茜
女性にとって、(そして、それはきっと男性にとっても)
セックスの過渡期と言うのは
彼との始めてのセックス
結婚してからのセックス
そして産後のセックス
だと思うのですが、一番気持ちが変わるのは
子供を産んでからのセックスでは
ないでしょうか?
誰もが恋愛すれば「この人に触れてみたい」と思うはず。
そんな純粋な性欲から来る始めてのセックス。
それに「この人とずっと一緒にいたい」と言う気持ちや
「一生を共にするパートナーとしてこの人なら申し分ない」と言う
性欲以外の感情がともなってからのセックス。
お互いに“子供”という切っても切れない縁で結ばれた
二人になってからの セックス。
多くの女性は子供が生まれてからのセックスにものすごい転機を感じるようです。
愛情は感じるけれど、性欲は感じられなくなってしまったり、
その気が無い訳ではないけれど、忙しい日常に追われて、
そう言う心の余裕が なくなってしまったり。
茜さんも例外ではなく、妊娠、出産を期にセックスに対する気持ちが
変わってしまったようです。
自分の気持ちとダーリンの気持ちの間で、
どうして良いかわからず戸惑っている
ようでした。
「だってさ、はっきり言ってしまうと、入れて終わりなんですけど」
私がついぶっと吹き出して笑ってしまうと、
茜さんも本当なんだってば、
と言いながらつられて笑っています。
「常に子供が近くにいるでしょう?
私だけじゃなくて、
向こうだってゆったりした気分ではないみたい
なんだけど、
でもだからって、じゃあよそうかって言う風にはならないのよね」
「でも、茜さんはそれでいいの? そう言うので不満はないの??」
だってだってイヤじゃないですか。
そんな一方的なセックスなんて。
女の人はやっぱりそこに辿り着くまでの
ゆったりとした時間を楽しみたいものじゃないですか。
「良い訳ないじゃないのよぉ!!」
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「じゃあどうして、イヤだって言わないんですか?」
ただ入れるだけ…なんてこっちの気持ちを無視されているみたいで
イヤじゃない。
そんな一方通行なセックスは夫婦関係の潤滑油にはならないんじゃい?
確かにそうだけど、なんて言いながらも
茜さんたら笑っています。
「でも変わっちゃったのは私のほうだと思うのね」
赤ちゃんのミルクの匂いにつつまれてることで、
とても幸せになれて 安らげて。
その反面、育児の合間の家事に追われて、いつ起きだすか、いつ泣き出すか
と言う事でいつもピリピリしてる。
そうしたら、気が付いたら彼とセックスしてる事が楽しみじゃなくなっちゃった
って言うか、どうでも良くなっちゃったの。
したいけどそんな余裕はないっていうんじゃないのよ。
本当にどうでも良くなっちゃったの。
それってやっぱり私が変わっちゃったんだと思わない?
喧嘩してても、離れてても相手の体温感じてるのって
大事でしょ?
最近、なんかギクシャクしてるなあって思っても
散歩がてら買い物に行った時手をつなぐとか、
借りて来た映画をソファでくっついて座って見るだけで
距離が縮まっちゃうってことあるでしょ。
そう言う風に考えたら、子供が出来ても普通に
セックスしようって思う彼のほうが普通で
私のほうが、夫婦関係に投げやりになっちゃったような気がするの。
そりゃ、今日はそれでもやだなあと思うときもあって断る時もあれば、
彼が、「なんだかおれ一人でやってるみたいだなあ」
なんて冗談交じりに言って、
私にとってはすごく憎らしかったりして
ついつい喧嘩になっちゃったりすることもあるわ。
だからいつも誘われた時は応じてるって訳じゃないけれど
どうしてもって言う時以外は、やっぱりことわらないかな。
色々あるけど、やっぱり断りっぱなしって言うのは
なにかがすれ違ってきちゃうような気がして
行けないと思うのよ。
ふうん。
確かに一理あるようで、でも、奥さんがその気になるまで
待ってあげるって言うのも夫のやさしさなんじゃないかなあ…
なんても思ったりして。
茜さん、それって旦那様甘やかしすぎじゃなぁい??(爆)
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「あはは。自分の夫なんだもの。少しぐらい甘やかしたって良いんじゃないの?」
そりゃ、まあ、人んちの旦那様甘やかせるよりいいですけどね。
…ってそう言う問題じゃありませんね。
茜さんがそれで納得しているのなら構わないけれど、
夫婦なんてこれから何十年
って一緒にいるんですよ。
…言いたい事は言っておかないと
やって行けなくなりませんか?
「う〜ん。そうねえ。はっきり物を言わない私も悪いわねえ」
今度は言わないでいる事を反省しているような茜さん。
言おうと意気込む前に、いえない事を反省してしまう所が
本当に謙虚な方だなと思えてしまいました。
それで、このお話は終わってしまい、それからしばらくは子供の話や
デパートのバーゲンセールの話で盛り上がり、
日を変えてお会いしても
また、あの話になる事はありませんでした。
茜さんて本当に良く出来た人。
私達が集まるのは、なにもお互いの家だけじゃなく、
お気に入りの喫茶店から
おいしいと評判のレストランまで、
外で待ち合わせる事だってあるんです。
でも、旦那様が心配するような遠出や、
旦那様の夕食に影響するような
出かけ方は絶対しません。
それでいて、多分、きっと、旦那様に厳しく抑えつけられているのね
と言う感じでもなく、なんて言うか本当、
一つの器にちょうどぴったり収まったような、
お似合いのご夫婦なんですよ。
…そう言えば、あれからエッチの方はどうなったのかなぁと思ったのは
(って、人の家庭の夫婦生活を勝手に心配するなって感じですが 笑)
珍しく茜さんとご夫婦そろってお会いしたからです。
やっぱり仲が良いのね。
御主人が一人で私達と会話することなく
まめに奥さんにも話しかけています。
子供の面倒も交代で見ているし。
こんな人が、夜になるとそんな勝手ワガママな人に変貌するなんて 信じられません(笑)
後日、喫茶店で茜さんと待ち合わせをしていた私は
「で、エッチの方は、もう解決したんですか?」
と直接聞いてみました。
「ええ♪もう、ばっちり♪♪」
にっこり笑顔の答えが返ってきました。
「言った方が良い事って言うのもあるのね〜」
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茜さん曰く、言っても言っても直らない、
スリッパの放置(ちゃんと戻して!)
靴下のポイ脱ぎ(籠に入れて!)
ごみの卓上放置(ごみ箱に!!)
なんて言う日常の出来事に、いつのまにか、
「言っても直してもらえなければ、余計に腹が立つから、言わない」
と言う癖がついていたそうです。
ましては仕事を辞めて主婦になった身。
そう言うところも含めて、これが自分の「仕事」だと思えば、
それはそれで我慢できるのだからと茜さんはいいました。
え?そうなんですか?
私は、そんな子供でも出来るような事は、自分でして当たり前だと
思ってたんですけど。
…そう思うのは、たいして仕事もせず、そのまま家庭に入った者の
わがままな思いこみなんだろうか?
とふと考え込む一瞬です。
「いや、やっぱり違います!そんな事を許していたら、
上げ膳据え膳は当たり前で、
そのうちパンツはかせてくれだの、服脱がせてくれだの言い出しますよ!」
私のそんな物言いに思わず笑い出す茜さん。
「でも本当、言った方が良い事って、あるものね♪」
ご機嫌でそう話してくれる茜さんの言う事には、
ベッドに関しては、いろいろなリクエストがあったほうが良いようです。
なにせ言った事は速攻改善されるそうですから(^-^)
それにね。 茜さんはちょっと声を潜めていいました。
少し前の事なんだけど、私、
「すればするほどおまえがよくなるなあ」って 言われたの。
うわ!
「私達、もう結婚して10年よ。
10年一緒に暮らしてきた相手に
そう言われるなんて、
なかなか無い事だと思わない?」
私ね、その一言で、今まで、もやもやっていうか、イライラしていた物が
全部どうでも良くなっちゃったのよ。
自分でも単純過ぎるなあ、って可笑しいんだけど。
いえいえ、そんな事全然ありません。
そんな風に自分のお気持ちを伝えられるダンナ様。
その言葉を素直に受け入れておられる茜さん。
とっても素敵なご夫婦ですよ。
傍目から見れば、なにも言わなくてもすべて解っているような
ご夫婦でも、
そんなものなのねえ。
以心伝心、確かに結構。
でも言葉で伝えた方が更に「濃く」伝わるようだもの。
やっぱり、些細な事でもお互いに伝え合った方が良いのねぇ、と
改めて思った私。
私も思っている事ちゃんと、ダーリンに伝えなきゃ!
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