ごみ周辺物語

買い物好きで、流行りものは絶対にはずさない義姉が、台北に来るたびに
「あ!あれはなに!人だかりよ!!」
と言っていた物がある。

その都度私と旦那はギャハハと笑って言ったのだった。
「なにも売ってないよん♪ あれはごみ収集車を待っている人達だもの」

そう、夕方もそれなりの時間になってくると、
道路上に人が10人から30人ほども 群がっているのが見える。
皆それぞれにごみの袋を持ち、ごみの収集車が来るのを待っているのだ。
大部分の人はごみ収集車にごみを投げ入れ終わるとまた来た道を 戻ってゆく。

最近では台北出張も増えて、すっかりそんな光景にも見慣れたようだが、
彼女のDNAに組み込まれていると思われるショッピング遺伝子は
ついつい人だかりに反応してしまうようだ。
ごみ捨てのための人だかりを見ても、反射的にそちらを見てしまって、
「それにしても、台北の人はごみ捨てするにも並ばにゃならんのね。 大変だわ」
と言って笑うのだ。

まあね。確かにね。
マンションなどの私設ごみ置き場や、 レストランなどが個人清掃業者に依託したしたごみを
閉店後の店先に山積みにしている物などのを見かけても、
台北市に公設のごみ集積場を見かける事はない。 (
もちろんバス停や公園にごみ箱はあるけどね)

収集車は週に5日(と言やほぼ毎日)マメマメしく来てくれるが、
それでも決まった時間にごみを出しに行く事は必須だ。
ましてや、聞いた話によると、ごみ集積場がないのは台北市、そして台北県だけで、
その他の地域は、いつでも好きな時に集積場にごみを置いておけばいいのである。
その上、分別もいらないと来りゃあ、
時間指定あり、袋指定あり、分別ありのごみ捨てなんて、
面倒くさくてやってられないと思うのは当たり前だろう。
(注 台北県は、集積場がないので時間指定だけど、袋なし、分別なしなので
その辺のごみ袋に全部突っ込んで捨てられます)

そうです!
台北市は他の県や市を先取って、新たなるエコロジー社会を築くため
ごみの処理に気を使っているのです!!!

と書けば、見栄えは良いが…、 っちゅうか、そう言う目的のもとにごみ袋指定とか、
ごみの仕分けとか 始めたんだろうけど、
元祖「外は大きなごみ箱」思想のチャイニーズな 皆様。
彼らのごみ事情とは如何に?!

ちゅうことで、今回は台湾のごみにまつわる話なぞしてみたいと思う。

 

先週も書いたけど、台北のごみ捨ては時間制。
収集車が来る時間に、収集車が止まる場所に来なければ ごみは捨てられない。
ついでに言うと自分で放り込まなければならないのだから
そのあたりの時間に集積場気分でごみをそこに置いて行くということも出来ない。

それじゃあ、残業があろうとデートがあろうとごみの為に帰宅せにゃならんのか
と言うと、そうでもないのだよ。
もちろんすべての地域がとは言いきれないが、ごみ収集車が来るのは なにも1日一度ではないのだ。

収集車は大きめの道路や住宅地をくまなく回る。
表の道路の収集時間に間に合わなければ、裏の道路の収集場所に行けば良い。
裏の道路がなければ右の道路でも、左の道路でも 収集車が停車していないか、
チェックしてみればいいのだ。

え?チェックって1日収集車待ってみるの? ですって?
そんなバカな。
近くのコンビニや、小売店に(レストランは以外に駄目)
「ここってどこら当たりに収集車来ますかねえ」と聞いてみればいいのである。

ちなみにたろじろのうちだと、前後左右すべての道に収集車が止まる。
歩いて五分とかからない距離に、収集車停車所は四つ。
それも親切な事に(まあ、親切でやっているわけではないのだが)
停車時間は6:00、6:20、8:20、9:50と 停車時間にかなりワイドな余裕があるのだ。

だから、今日は外食にしよう♪なんて日な我が家でも、
帰りが遅くなりそうなら 先(6:00)に捨て、
簡単に済ませて帰ってくるようであれば 戻ってからゆっくり捨てる(9:50)なんて言う事も出来てしまうのだ。  

友達の所は近場に停止所は一つしかないそうだが、時間は11時だそうだ。
もちろん夜の11時。
さすがナイトライフ台湾。
ここまで来ると、
「残業やデートでごみが捨てられない」と心配するより、
「収集車が来るまで起きていられない」心配をしなけりゃ行けないだろうと 思いきや、
「朝の忙しい時間に、ごみを持って出かけなきゃ行けないよりずっとマシ!」 と言う事で、
彼女はそんな時間のごみ捨てに感謝さえしているようであった。

よし!これで収集車の時間制回収はなんとかクリアできそうだ。
じゃあ、あとは収集車君の黄色いお口(こっちの公営収集車は黄色♪)に
ごみをポンポ〜ンと投げ込めば良いじゃないか。
楽勝!楽勝!!
はっはっは。
って、そんな簡単には行かないんだって。

だって、こりゃまた分別制だもの。
この間日本に帰ったら実家の方は、台北より分別規制が甘くて驚いた。
日本でこれ?? 台湾であれぇぇ?!ってな感じである。

 

じゃあ、台北のごみの仕分け方はどうなってんの?
基本は、紙類、ビニール類、ビン缶類。そして生ごみ。
曜日によっては、衣類、自分で運べる程度の家具類、電化製品
なんて言うのも持っていってくれるので、
真面目に分ければ 無料で結構なんでも捨てられる。

だが、突っ込みたいのは、ビンと缶は一緒で、
新聞、本や他の紙ごみなんて言うのも一緒に捨てられるのに
生ごみがまたまた分別しなければならないと言うところ。
変なの。

その名も“葉っぱ類”と“ブタ食用”。
ブタ食用とは残飯のこと。
魚や鶏や豚の骨(食べ残しに「豚の骨」がでるって所がこっちらしいでしょ♪)
以外の残飯はこちらに。
そして先の骨類と共に野菜や果物の皮を、「葉っぱ類」に捨てるのだ。

この「ブタ食」用、なにも私が勝手に命名したのではなく、
専用のゴミバケツにもちゃんと「養豚」と書いてある。
ブタ食はれっきとした正式名である。

さすが中国ウン先年をかけて、言葉遊びを楽しんできた人達である。
スラングでおせっかいと言えば「鶏婆」(チキンばあちゃん)
ごますり野郎〜!と言えば「狗腿!」(犬の脚!)である。
私も知り合った頃のパパによく「チキンマザー(おせっかいだから…)」と 言われていたっけ。
そうか!英語にはそう言うスラングもあるのかと必至に覚えていた私は
ただのアホです。
あれはパパの作ったなんちゃって英語だったのか と気が付いたのは
…もうイギリスを去る頃だったっけ(笑)

ま、そんな風に生活にスラングは付き物のここ台湾。
残飯が「養豚」でも不思議じゃないかと思いきや、
あっさり 「そんなのないよん♪」とパパに否定された。
どうやら台湾清掃局のお茶目なネーミングらしい。

ちゅうことで、今日も私は、生ゴミ箱に二つの袋をしかけ、
こっちはブタ用、こっちは葉っぱ…と分けているのだが
二日前に作って冷蔵庫で硬くなってしまっているとんかつの食べ残しは、
もちろんブタ用である。
果たしてこれらは本当に、豚さん達の餌になっているのだろうか??
だとしたらこれは共食いではないだろうか…。
…私ならそんなのは絶対いやだぁぁぁ!と思いながらも やっぱりブタ用。

だって、清掃局のおじさん、見てないようで、見てるんだな。
全部一緒にしてどっちかに捨てようとしたり、
間違って いれる場所を反対にしたりすると、必ずと言っていいほどクレームがつくのだから。

え〜?それじゃあ、台湾のゴミ捨てって、日本以上に大変じゃない!!
って思うでしょう。
ふふふ。
それはあくまで見えているからの話。

え〜いぃ!そんな小面倒くさい事はやってられるか!!
そんなの全部無視して、普通ゴミを入れる指定ゴミ袋にすべて突っ込んでしまえ〜〜!!
と、すべてを一緒くたに突っ込んで捨てれば
それはそれで、無罪放免なのである。

ぷぷぷ。
このがんばっていそうで、がんばりきれていないところが いかにも台湾って感じでしょ。

でも、ゴミの振り分け強化します!来年からは「一緒くた捨て」も強化します。
と清掃局でももうしております!! 果たして、どうなる事やら。。。

とはいえ、ゴミの分類とか、指定ゴミ袋とか言うのは、
もともと「なるべくゴミを減らそう」と言う発想から来ているわけだから
「え〜い!!面倒くさい!全部一緒に指定ゴミ袋の中に入れてしまえ!」
とは言っても、
ゴミ袋高いんです(笑)

大中小と差はあれど、普通大体50枚入りで100元も出せば立派なのが買えます。
道端でなんでこんな所??と言う感じで爺ちゃんや、婆ちゃんが、
ロール状になったゴミ袋をごろごろ並べて売っているのなんか、
10元なんて言うのもあります。

それに比べたら、指定ゴミ袋って、
一番ポピュラーな小型で 20枚126元。
中型だと同じく20枚で297元もする。
ね、たっかいでしょ。

これって締めるところは締める
(見栄張んなきゃ行けないところは 借金しても張りますが 笑)
台湾人には、効果テキメンです!

いかにゴミ袋に入れるゴミの量が少ないか。
(汚れたビニール袋はゴミだけど、洗って水を切れば、回収ゴミだ)
いかに月平均のゴミ袋使用枚数が少ないか。

多くの台湾マダム(おばさんは、失礼かと思い… 笑)は
そこに命をかけている?! と言うくらい、
きちきちに詰まったゴミ袋を片手に
収集車へと 集まってくるのであります。

そんな事は全く関係なく、パサっと今日までのゴミを入れて
「そりゃ中身半分は空気かい??」と言うような
指定ゴミ袋を捨てているのは、
殆どが外国人その1と、外国人その2でしょうな。

外国人その1とは、留学や、仕事で来ている単身外国人。
以前の「なんでも一緒くたに、その辺の安いゴミ袋で捨てれば良かった」
事情を知らず、故に指定ゴミ袋がどれだけ割高か理解していない
(だって、一枚当たりの単価はだけ見たら、やはり安いものではあるもの)
彼等は今日もお気楽にその辺のゴミを
ちょちょいと集めただけのゴミ袋を 捨てていますな。

あ〜もったいない。
そこに、うちのゴミ袋からはみ出している
次郎のオムツパンツ ちょこっと入れさしてくれいっ
て感じです。

外国人その2は、そんなところでケチったって
自分の給料には何の変わりも ない外国人お手伝いさん。
(こっちじゃ、普通の家でも、子供が出来て世話が焼けるなどの理由で
東南アジアなどからの住み込みお手伝いさんを雇います)

この方達は一応リサイクルのものは分けて捨てていますが、
やっぱりゴミ袋はスカスカなのねぇ。
口うるさい台湾雇い主が文句を言わないのかい??
と思わなくもないけど、そんなところまでみてないのかな?

そうそう、ママごき版台湾の嫁は
もちろんこのグループには入りませんよっ。
(もちろん同じ台湾の嫁でも、お手伝い付き、
マンション持ちで ゴミ袋の消費量を気にするどころか、
ゴミを捨てに行った事もないと言う 嫁だって、居ますけど 笑)

身分は同じ居留証もちの外国人とはいえ、
台湾マダムよろしく、詰めるだけつめまくります!
もちろん台湾マダムを見習って、
詰めきれなくてはみ出してしまった部分を
テープで止めるという荒業だってやってのけます!!

なにせ、この日々の積み重ねが明るい未来につながる家計簿
(って、つけた事ないが…)を形成していくのですもの。

じゃあ、その辺の常識ない外国人はともかく、
台湾の人も 結構きれいに生活してるのね〜。
って、そんなわけないって(笑)

台北のあちこちで見かける収集車に群がる人達が
どんなに多かろうと
それは台北市内のゴミの何%なのだろうと、いつも思う。

台湾マダムの買い物の友、市場。

台湾観光には欠かせない、一度は行って値切って見たい、夜市。

ここでは道のあちこちがそのままゴミ箱だ。
試飲や試食で使った使い捨ての食器類や竹串。
果物の皮。
自分で買った食べ物の、空袋に空のボトル。

さすがに道端にヒョイヒョイ捨てて、
ゴミ絨毯の上を歩くほどでではないが
見づらい店舗の足元、死角になってるコーナー。
一人が捨てれば、あっという間にその場にこんもりゴミの吹き溜まりが出来る。

それを誰が掃除するって?
屋台のオーナーはもちろん帰るときに掃除して行く。
それ以外でもちゃんと掃除の爺ちゃん婆ちゃんがいるのだよ。

シルバー人材なんて言えば聞こえは良いが、
年金制度なんて名前だけのようなここだもの。
日々食べて行くために今日もせっせと働いている
老人は沢山いるのだ。
(シルバー人材とか、ボランティアとかを口に出来る
爺ちゃん婆ちゃんは、こういう仕事はしないらしい)

それを個人の収集業者が全部一緒くたに運んでいく。

ちなみに夜市から一つ奥まった通りに住んでいる友達の所は
ゴミの分別もしなければ指定ゴミ袋も使わない。
これまた全部一緒にして夜市が屋台の人達用に
指定しているゴミ置き場にポンと捨ててしまうのである。

「この辺の人はみんなそうよ〜@@」

…確かに私だって、ここに住んでたらそうするだろうな。
高い金出してゴミ袋を買うこともない。
分別する事もない。

ゴミの分別が始まったのは、たしか4年くらい前だったと思う。
分別も始まって台湾も文化的になったわね♪ なんて思ったのは
私だって最初の3ヶ月くらいだ。

それまでの五年間、
「なんか、全部一緒に捨てるのって、すごく罪悪感があるんですけど」
なんて、結構(かなり?)文化人的な嫌なやつを気取りながら
しっかり全部一緒に捨ててた私。

いざ分別が始まって見ると、使用後に
「洗わなきゃ行けない」ゴミはあるし、
時間を忘れていて、とっさに捨てに行きたい時
その辺のゴミを全部集めて捨てに行くって言う訳にはいかないから
間に合わないし。

これだけの分別ゴミ捨ては
めちゃくちゃめんどうくさいのである。
で、思うんだよな。
狭い台北に嫌というほど点在する市場、夜市。
当然個人清掃業者にごみ捨て依託するビルに大型マンション。

そんな中、私達が庶民がチマチマ分別したって… なんか意味あるのかな〜。ってさ。

…そうは思いながらも、今日も私はチマチマ分別したゴミを持って
収集車のほうへと引き寄せられていく。

だって、仕方ないじゃん。
そこしかゴミ捨てる場所ないんだから。

あっちのおばちゃん見たく、
「指定ゴミ袋は死んでも買わない!!」 とばかりに
夜中にこそこそ、個人清掃業者を待っている レストランのゴミ山に
紛れ込ませに行くマメさも持ち合わせてなければ

そっちのおばさん見たく、
「宵越しのゴミを置いておくのは絶対いや!」 とばかりに、
罰金の危険を犯してまでバス停や公園の公設ゴミ箱に
ゴミを捨てに行く根性もない。

次郎が機嫌の良い時間を見計らって出てくる私は
指定時間にかなりの余裕を持って家を出る事が多い。

てくてく、てくてく…、と、
「ヘイ!小姐!!」
も〜♪ 困っちゃう♪♪
若くて美人なたくみさんてば、
ゴミ捨てに来てまで ナンパされちゃうんだからd(^-^)!

「ブゥヤォ。ブゥヤォ。」(やだよ〜。)

とつれない返事にしょんぼり頭を下げるのは
新型のクスーターに片足乗せたお兄さんじゃあなくて、
こ、これをどうやって引くんだ?! と心配になるくらい
でかいリヤカーをマイチャリンコに つなげて、
紙類、ペットボトル類を回収している 爺様、おっちゃんの類。

とんだ、ナンパである(笑)

たかが私一人につれなくされても何のその、
ゴミ捨て小姐(ミズ)、ゴミ捨て先生(ミスター)はいくらでもいるのだ。

リヤカー爺ちゃんは次々と集まる人達に声をかけては、
すでに自分より高くなっている紙の山を更に高く積み上げて行く。
皆さん結構こういう人達に協力的である。

「DMなんかからでも個人資料が漏れたらイヤ」 と考える人間は、
うちの家族だけじゃないかと言うくらい
(つまり、爺様にうちの紙ゴミは渡さない)
皆、リヤカーの前に置いて行く。

これは個人的意見だが 中国は4000年の歴史の中で、
常に人が困っていたのである。
袖すり合うも他生の縁。
どうせ捨てるなら誰か(爺様)の役に立つ方が
気持ちが良いと考えるのかもしれない。 

それとも、日本以上じゃないかと思えるほどの 宗教好き台湾人であるから
生きてるうちに、少しでも人の役に立つ事をして
来世にそなえているのか?!

そうそう、ついでに言うと紙収集じゃない日でも、
これらの爺様は出没するので、
安易に「こりゃ助かる」  と思っているのかもしれない。

と言う事で、これらの爺様、おっちゃんたち
今日も大盛況を収め、ささっと去っていく…と 思いきや、
そんなカッコ良く行くわけもなく、 収集車が来る頃には
彼らの邪魔になら無いよう端にどいて、
シコシコもらった紙くず類を積み上げているのだ。

これからエッチラオッチラ、こいで帰らなければならないのだから
きっちりつまなきゃ、落ちちゃうもんね。

「ヘイヘイ!そこの爺ちゃん、いったい何やってんだよ!!」

今日も和やかに「あら、こんばんは♪」 なんて
挨拶も聞こえる収集車停車場で突然聞こえる
この罵声。

何事と振り向いてみれば、
あんたもその爺さんと そう変わりはないんじゃない?と
突っ込みたくなる ナイスミドルなプレ爺ちゃん一人が
腰を折りまげて紙くずを拾い上げている爺ちゃんに
居丈高に話しかけている。

「勝手に人んちのごみかき集めた上に、
こんなに道散らかしてよ〜! お前ら見たいのがいるから、
ごみの収集がつかなくなるんだろ! まったくいいかげんにしろよ!」

中腰の痩せた爺ちゃんに、恰幅のいいプレ爺ちゃん。
丁度プレ爺ちゃんが覆いかぶさるようにして話しているのも 手伝って、
今にも手が出るんじゃないかとヒヤヒヤするほどの 勢いだ。

事は、リサイクル痩せ爺ちゃんが収集車が来る前までに
自分の集めたごみを整理しきれずに、
通り道の一角を邪魔する形で道にごみを放置する形になってしまった
ところから始まった。

って、別にそのままって言うわけじゃない。
そこに転がっているごみは、はがき一枚残さず拾って
マイリヤカーに乗せて帰ってゆくのである。

本日は思わず大量で、
そんなに手早く処理し切れなかった というだけだ。

100歩譲って、プレ爺ちゃんに理解を示すとだな。
まあ、こういう爺ちゃんは汚く汚れたランニング一枚ですから。
手だって汚れて真っ黒。下手すりゃ裸足。
その上、人んちのごみ集めてお金儲けてるわけだから。

このあたりじゃめずらしい一軒屋に住んで、
趣味は実益を兼ねた早朝ランニング。
車は走れば何でも良いけど、Bから始まる車以外は乗ったことがないねえ♪
そういやお隣の駐在で来ている外国人とはお英語で話す仲とくりゃあ、
(って、ここまで書くとあまりに嫌味ですね。笑)

社会の底辺ともいえそうな仕事をしている人の生活なんて
なかったことにとは言わなくても、見なかったことにしたいのに、
本日は運悪く、そっちの人が道に店(?)広げて威張っていたんじゃぁ、
思わず文句のひとつも言いたくなるってもんさ。

「パイセ〜パイセ〜」(ごめんごめん)

と誤って、 とりあえず下のごみを拾って退散する爺ちゃん。
きっと先の角を曲がったあたりまで行って、
もう一回荷を積みなおすのだろう。
ポトポトと紙を落としながら去ってゆく姿が哀れである。

と、ここでプレ爺ちゃん、
リサイクル爺ちゃんを追いやっただけでは 気が済まず、
今度は収集車のおじさんたちに食って掛かった。

「なんであんなの放って置くんだよ。 ごみを回収するのはあんたらの仕事だろ?
あ〜ゆ〜のを放っておくから、台湾の景観はどんどん悪くなるんだ」

ってあんた、そこまで言ったら、
今日は何嫌なことがあった??
何をそんなにイライラしている?
景観はどうか知らんが、とりあえず、この場の雰囲気悪くしてるのは
あんただよと突っ込んでやりたくなる。

「で、オレにどうしろってのよ?!」

リサイクル爺ちゃんに文句を言っただけでは物足りなく
同じように居丈高で「リサイクル爺ちゃん」をどうにかしろ
と叫んでいるミスターごみ捨てに対して、
低い声ながらもしっかりそう言い換えす収集車のおっちゃん。

「違法な事しているわけじゃ無し。
オレら清掃員に 何しろって言うんだよ」

直接聞いてみた訳では無いからはっきりとはわからないが
清掃員の人たちだってあまりこの人達を
こころよくは 思っていないと思う。

このリサイクル爺ちゃんたちにも縄張りみたいのがあるのか
うちの近所4ヶ所の収集車停車場にも
出没するリサイクル爺ちゃんはすべて違う人だ。

と言う事は、収集車の前を進んで、
どこまでもごみをかき集められる と言う事ではなく、
彼らにも集められる場所の制限があるのだろう。

今回のように調子にのってごみを集めて、
収集車が来る頃までに 立ち去る事が出来ず、
停車場所を邪魔して 収集車が往生するなんてことは良く見かける光景だ。

そんな時、清掃員の人達は遠慮することなく
「この時間にこの場所の駐車は違反だよ〜!!!」と
怒鳴りまくってリサイクル爺ちゃんをどかしている。

彼らだって、きっちりしっかり時計の針をにらみながら の仕事である。
行く先々でリサイクル爺ちゃんに邪魔され、
時間にロスが出来れば 次に向かう先への時間も狂ってくるのだ。
面白いわけはないと思う。

でもさ。 そんな自分達の言い分をミスターごみ捨ての
怒鳴り声に 便乗して、主張することなく、
冷静に、「彼らは悪い事をしているわけではない」 と
言い切る清掃員はなんともかっこいいねえ。

よ!江戸っ子、いや、台北っ子、かっこいいよ!!

と声をかけてあげたくなる。

そしてその隣では、清掃員にも相手にしてもらえず
まだまだブツブツと悪態をつきながら家路をたどる
ミスターごみ捨て。

プププ。目立っちゃっただけカッコ悪いねえ。
なんて思ったりしながら、ごみ捨てついでに
コンビニへ入っていこうとして 同じようにプププと笑いながら
「クレイジ〜♪」 と言って、
こめかみのあたりで人差し指をくるくると回している お姉さんと目が合った。

 

「クゥレイジ〜♪」 そう言ったお嬢さんは、
上手に私と合った目線をはずして 仲間とまたおしゃべりを始める。

大丈夫よ〜。
私はあの人の知り合いなんかじゃ無いんだから。
そうは思うけどそれを口に出す勇気がないまま
私はコンビニの中に入って行く。

だって、中国語が通じるかわからないし、
英語で言う程大仰なことでもない気がするし、
ましてや、彼女達の言葉がわかるわけでもないのだから。

彼女達はこのお話の始めの方でもちょっと触れた
「ニーヨン」(24ではない。女傭 と書く)と呼ばれる
フィリピンやタイ、インドネシアあたりから来ている
出稼ぎ族のお手伝いさんである。

彼女達にとってごみ捨てプレ爺ちゃんは
もしかしたら 雇い主の友達かもしれないし、知りあいかもしれない。
まさかそんな事は無いとしても ごみ捨てプレ爺ちゃんを
「クゥレイジ〜♪」なんて 笑った所で目が合ったこの台湾人らしき女性(私のことだ) が
雇い主の知り合いじゃないという保証はどこにも無いのだ。

お手伝いさんとしてあまり品の良い行為とは言えない所を 見られたのだから
目をそらすのも 至極もっともであろう。

彼女達はみな住み込みである。
大きな家に行けば、自分の部屋を与えられる人もいるのかも知れないが、
私が知る限りでは、 まだまだ手のかかる乳児と同室とか
(母親は翌日の仕事があるから子供に付き添ったりしない)
介護の必要な老人と同室である。

もちろん一日中家の中にいるわけではなく 市場で買出しをしていたり、
公園などに車椅子の老人を散歩させにやって来たり、
ベビーカーを押して本屋やマックで見かける事もある。

とはいえ、やはり一人きりの時間と言うのは少ないのだろう。
ごみ捨てと言う公明正大な理由と共に 一人で外に出て、
同じ境遇で同じ言葉を話す友人 に
あえるこの収集車停車場は彼女達の楽しみなのだろう。

 

 

「ティーターイム♪」

といいながらコンビニに入って来て
各自ホットドリンクを買っている もう一つの集団は各国連合なのだろう。
話している言葉は英語だ。

そのにぎやかな雰囲気は まるで中学生や高校生のそれのように
うれしそうにはじけている。
輪の中心にいてしきりにしゃべる女の子。
逆に輪から1歩下がった形で参加して
恥ずかしそうに受け答えする女の子。

そんな様子だけで、
こちらにも その子がもう長い事台湾で働いているのか、
来たばかりなのかが、わかるのが面白い。

その女の子達の間を通りぬけて外に出て見ると
今日もいるいる、ニーヨン(お手伝い)アイドル
ミスター便所サンダル。

彼はかなり年季の入ったスクーターにのって
いつもこのコンビニ前の収集車停車場にあらわれる。
ミスター便所サンダルとはかなり失礼なネーミングだけれど
うちのトイレ(お風呂も一緒だけど)で使っている、
婆が買ってきた、 個人的な美意識としてはかなり許しがたい
サンダルと同じ物をいつも履いているので ついつい、
そこに目が行ってしまい、勝手にそう呼ばせてもらっている。

ちなみに冬でも、である。
それは彼だけではなくて、こちらの男性女性 に良く見られることだ。
寒い寒いと上半身はセーターの上にコートまで羽織っているのに
足元は素足でサンダル。

一度「なぜ?」と聞いて見た所、
「くつしたが汚れるから」と、
私にはものすごく 理解しがたい答えが返ってきて以来、
彼らにそれを 問うて見たことはない。

素足が好きだから素足でいるのだ。
くつしたが好きではないから穿かないのだ。
そう思うことにした。

で、そのミスター便所サンダルはいったいなぜにそこにいるのか?

私がニーヨンのアイドルだと書いたからと言って
別にそこで、歌っているわけでも踊っているわけでもない。
(当たり前だ)
ニーヨンたちは今日も彼の所に 財布を片手に走り寄るのである。
そして彼は勝手知ったる自分のバイクのお尻(荷物入れ) に
ゴソゴソと手を突っ込むのだった。

 

 

もちろん彼等が話す言葉を理解する事は出来ない。
しかしニーヨン達の黄色い声援と共に
ミスター便所サンダルがバイクの座席(物入れ)からとりだし、
高々に掲げた物を見て、
彼の人気の理由に納得がいった。

彼はタイやフィリピンで発行されているらしい
雑誌をもってここにやってくるのである。
彼女達の目的は彼ではなくてあの雑誌だったのだ。

うん。うん。わかるよ、その気持ち。
私だって、来た当初、久しぶりに買ったMOREやWITH(笑)
がどんなにうれしかったことか。
今やどこの本屋に行っても売っているけれど、
そのころ田舎に住んでいた私にとって日本の雑誌なんて
そんな簡単に手に入らなかったものだもの。

大好きなアイドル達の写真に懐かしさを覚え、
自国の流行ファッションや、わかりやす過ぎる母国語での説明に
気分は一気に母国へ戻る。
雑誌というものは何よりも手軽に
海外居住者を母国へ戻してくれる物なのではないかなあ。

とはいえ、ミスター便所サンダルが持ってくる雑誌の数といえば、
毎度一冊二冊がいい所。

そ、そんなみんなでよってたかってお金を差し出すほど 数は無いぞう??

それとも、みんなでそんなに出し合わなきゃ一冊かえないほど
ミスター便所サンダルは腹黒いのかい??

なんて思っていたら、雑誌とは別に皆ある一定の金額を
ミスター便所サンダルに渡しているではないか。
貢いでいるのか?
ニーヨン??

ま、これだけみんなで手渡しているのだから、 それはないでしょう(笑)

そのお金はミスター便所サンダルを通して
祖国の実家へ送られるのかな?
それともどこか彼女達に便利な銀行へ貯金されるのか?
はたまた彼女達だけの秘密のロトの軍資金なのか?
なんて想像は耐えないのですが、
聞いて見た事が無いので、このお金の行方は やはりなぞのままでなのであります。

ニーヨンさん達は二人で歩く時も手をつないでいたり、
おしゃべりしている時も女の子どうし肩をくんで
ピタッとくっついていたり なんとも密着性がある。

だから、そのニーヨンさんが、
ミスター便所サンダルのバイクの後ろに
当たり前のように座っているのも、
ま、普通の事なのだろう と思っていたのだけれど、
あれ?
ふと気がつけばカレがバイクに座っていようと、いまいと
バイクの後ろに腰掛けているのはいつも同じ女の子である。

はは〜ん。これは♪

こんな所でも出会いがあるのねえ。

お休みの日はそのスクーターに乗って二人でお出かけ??
うふふ。女の子のその晴れやかな顔を見ていると
こっちまでうれしくなってくるわ。
いつまでも仲良くねd(^-^)!

と、まあ、なんだかんだの
台北のごみ収集車周辺のこのお話。

ほぼ毎日ごみを捨てに行っていると言うのに
メルマガを発行して以来一度も書こうとは思いませんでした。
なのにミスター便所サンダルとニーヨンさんカップルを発見したとたん
その事を紹介したくなり、いざ書き始めたら あるわあるわ、
紹介したい事盛り沢山。

大変長くお付き合いくださいましてありがとうございました。 

日々育児に追われる私とては
も〜!!こんなにがんばって仕分けして一体なんの意味があるの〜?!
面倒くさいほどにわかれている
分別の方法から収集の時間帯まで
なんでこんなにしなきゃ行けないの?!
と思うことは 1度は2度ではありませんでした。

でもふと振り返って見ると
ごみリサイクルでお金を稼いでいるらしいリサイクルじいさんに、
それに難癖つけたいミスターごみ捨て。
(何かにつけ難癖をつけるのが楽しい人もいますから 笑)

そしてここをいこいの広場とするニーヨンさんたちに
ミスター便所サンダル。
そこには恋愛の可能性まであるとくりゃぁ、
こりゃやっぱり止めるわけには行きませんよねえ。

ごみ捨て行列はこれからも廃れることなく
台北の風物詩になって行く事でしょう。

そういえばこの1月1日からは台北全省でごみ分別をすると
去年の暮れにはうるさいほど言っていたのに…
どうなってしまったのでしょうか?

台中の義姉には「忙しいし普通に捨ててる」と言われ、
台東の友達には「え??そうなの?」と言われ、
高雄の友達には「なんかねえ、残飯もわけるらしいよねえ・・・」
となんとも心もとない事を言われ、

「…全く。真面目に罰金とってやれよな〜」
と思わなくもないのですが、
そうはいかないところが 台湾の良いところかな?

 

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