スペードのススメ<ビッド編V>

・ 具体的に、戦略ビッドとは

1.最終(と思われる)ディールにおいて

 1.ビッド達成による勝利を狙う場合

勝っていて、点差に余裕があるならば、無理をしない、ということが基本です。

ここでいう『無理』とは、自信のないニルをする、セットを食らいかねないビッドをする、バッグを破裂させられかねないビッドをする、の3通りです。
 

では、接戦の時や負けている時はどうでしょうか?

これは逆に、無理をする、ということが基本と言えるかもしれません。

つまり、できる限りの高得点を狙う、ということです。

普段よりも一つ多めのビッドをしたり、厳しいハンドであっても、ニルをしてみたり、ということが例として挙げられます。

とにかく、ディールの終了した時点でOPよりも高い得点をしていないと負けなのですから、多少は無理をしなければ仕方がありません。

このような接戦の場合、3番目と4番目の人のビッドが重要なポイントとなると思います。

最初の人と2番目の人(つまり、先ビッドのプレイヤー)は、大抵の場合、DNはしませんし、途方もない嘘はつきません。

ですが、後ビッドの人はDNも含めて、嘘をつく可能性がありますし、その義務もあるでしょう。

どういうことかと言うと、3番目の人はラストビッドの人の選択の幅を狭める必要があり、ラストビッドの人は全員のビッドを考慮した上で、自チームに最も有利なビッドを選択しなければならない、ということです。

そしてもし、ビッド達成による勝利が不可能ならば、OPの得点を減らすことを考えなければなりません。
 

 2.オポネントの減点を狙う

スペードにおいて、減点させる手段とは

 1.N(または、DN)を阻止する
 2.セットする
 3.バッグを破裂させる

の3つです。

このなかで、どの手段をとるかはケースバイケースではありますが、常に成り立つのは、2.セットするです。

1のNまたはDN阻止というのは、オポネントがN(DN)ビッドをしていなければ話になりませんし、点差に余裕があってのNであれば、余程自信のあるハンドだということです。
これを阻止するのは困難でしょう。

(もちろん、それ以外に方法がなければ仕方がありませんが。例えば、467点でN+4ビッド などという状況ではバッグをつけてもNで相殺されて500点を越えますし、セットしても100−40=+60で、527点。こんな場合で、こちらがそれを上回る得点のビッドができなかったならばN阻止を狙っていくより他にありません)

3のバッグ破裂は、セットに比べれば幾分たやすい方法に見えるかもしれませんが、この作戦の欠点は、一度しか使えない、という点にあります。
一度、8か9たまっていたバッグを破裂させてしまえば、次のディールではもうバッグによる減点は望めないでしょう。

また、バッグによる減点は、一見−100点に見えますが、終盤においてはこれが重要なのですが、バッグがつく、ということは、ビッドを達成している、ということなのです。

467点で4ビッドされ、3バッグをつけた結果の点数を見てみましょう。

メイクで40点加算、バッグ点で+3点。そして、10バッグによる100点減点。
これらを合わせると、410点になります。
メイクで500を越えるビッドをしているオポネントのバッグを破裂させても、400点を切ることは決してないのです。
これは、そのディールではいいかもしれませんが、後々更に苦しくなることは目に見えているでしょう。

以上の理由から、私は2.セットする 作戦をお勧めします。
 

では、具体的にビッドについて考えてみましょう。

Nを阻止する作戦であれば、基本的に、ビッドは下げます。なぜならば、ニル阻止のためには、通常、トリックを数えるAやKを捨てざるを得ないことが多いからです。

セットをする作戦ならば、ビッドは合計が14になるよう設定します。
もちろん、OPがメイクならばこちらはセットされてしまいますが、その場合は、どちらにしても負けなので、こちらがセットした時、最も高得点が得られるビッドをするのです。

バッグをつける作戦であれば、ビッドは1が基本です。

敢えて極端なビッドをすることで、パートナーに意志表示をできることが、このビッドの長所です。逆に言えば、OPにも狙いが分かってしまうことが短所であるとも言えます。

しかし、慣れたプレイヤーの中には、敢えてセオリーを外したトリッキィなビッドをする人もいます。このビッドの長所はOPを欺くことができることです。

つまり、実はわりと強いハンドなのに1をビッドすることにより、OPにバッグ狙いを匂わせ、ビッドを上げさせることによってセットを狙いやすくしたり、弱いハンドで強気なビッドをすることで、セット狙いを匂わせてトリックを取らせ、バッグを破裂させる、ということです。
(もちろんこれらのビッドは、バッグを取ってしまうこと、あるいはセットされることを覚悟した上での作戦です)

しかしこのビッドは、パートナーまで騙されてしまうこともあるのが欠点です。
 

このように、幾通りかの典型的ビッド法というのは存在します。
ですが、ビッド時点で方針が決定しているということはまれですし、上で述べたように、嘘ビッドをする人もいますから、大抵の場合はカードを出し始めてから、パートナーの狙いを見極め、また自分の狙いを意志表示することが必要となるでしょう。
 

2.合計ビッドが高くなりすぎそうなとき
3.合計ビッドが低くなりすぎそうなとき

これは、後ビッドの二人のプレイヤーのみ(中でも、4人目の人)が考慮することです。

合計のビッドが高いときは、セットされる危険性が高いということです。
このような時に何を考慮する必要があるかというと、パートナーを思いやる、という点です。
特に、片寄ったハンドの場合、自分の数えるトリックと、Pの数えるトリックが、重なっているかもしれない、ということを考えましょう。
自分がラストビッドであるならば、合計ビッドを12以上にする時は一つ余分に取る余裕を持つことをお勧めします。

合計のビッドが低いときは、バッグが大量に出ることになります。
このような時にラストビッドであれば、場合によってはオーバービッドをした方がいいと思います。
場の合計ビッドが10以下であれば、通常、バッグコントロールの勝負になりますから、ミドルカードが多く、逃げ切れなさそうであれば、多少オーバービッドを言って得点を稼ぐことが狙えます。
ただし、その場合はきちんと責任を持つこと、つまり、バッグを食らうことになってもきちんとメイクするということが前提です。
逃げ過ぎてセットされた、というのでは頂けません。

合計ビッドの話とは少し違いますが、先ビッドのPが1をビッドしたときのことをついでに述べておきます。
このような場合には、後ビッドの人にメイクの責任があると私は思います。
何故ならば、1ビッドには二通りの意味があるからです。
1つは、1トリックできる、というもの。もう1つは、『1トリックもできないが、ニルすることもできない』というものです。
どちらであるかは実際にプレイしてみなければ分かりませんが、後ビッドの人は後者である可能性を考え、自分のビッドを一つ下げておくのが無難でしょう。
 

4.Nされたとき

 1.パートナーがニルの場合

パートナーがニルをした場合は、少しビッド法を変えなければなりません。
というのは、パートナーがニルならば、自分はカバーしなければなりませんが、その過程で通常ならばトリックのできるカードがOPに取られてしまうことがあるのです。

ここではニルカバーの時のビッドの数え方を説明します。

トリックを数えられるカードは、各スートのA(もしくは、Aからつながるカード)と枚数の多いスペードです。
これ以外、つまり、各スートのKやショートスートのスペードラフなどはトリックが確実であるとは言えません。

なぜなら、Kはカバーのために出したところをAに取られてしまう可能性が高いですし、ショートスートのスペードラフに関しては、それよりも自分の弱いカードをディスカードすることのほうが重要なので、できない可能性があるからです。

最後に、これはトリッキィビッドなのですが、敢えて高めのビッドをし、OPにセットを狙わせてニルのカバーをしやすくする、という方法があります。
 

 2.OPがニルした場合

この場合は、三つの選択肢があります。
1つめは、ニルの阻止を狙うことであり、もう1つは、カバー側のセットを狙う、もしくは、ニルに乗じてオーバービッドをメイクすること、そして最後は、便乗でニルしてしまうことです。

ニルの阻止を狙うのであれば、ビッドはやや控えめにしておきましょう。
高いカードを早々に捨ててしまう必要があるので、数えたカードでトリックができない可能性があります。

ニルの阻止を狙わないのであれば、ビッドはやや高めにすることが可能です。
というのは、カバーのプレイヤーは、トリックをとりにくることよりもニルを成功させようとするので、普段であればトリックを取れないミドルカードでもトリックが可能なことが多いからです。

便乗でニルをする、というのは、少し危険なカードがある、という場合、有効な作戦です。
何故ならば、通常はニルのカバーというのはPしかしてくれませんが、このような場合には、PとOPのカバー者とが二人がかりでカバーしてくれるので、少々危険なカードがあっても、捨てられてしまう可能性が高いのです。
 

5.N(DN)されそうなとき

2番目、3番目のビッドをするプレイヤーの注意事項です。

NやDNされそうなとき、とは、OPの一人が5をこえるような高いビッドをしたときのことです。

例えば2・6というビッドで自分に回ってきたとします。

こんなときにはビッドに注意する必要があります。

なぜなら、ここで正直に、例えば4といってしまうと、ラストビッドのプレイヤーに、カードを見ずしてそのハンドが弱いことをみすみす教えてしまうようなものだからです。
2・6・4というビッドが回ってきたならば、おそらくラストビッドの人はN(ひょっとするとDN)をするでしょう。

また、ここでニルというのも考えものです。
もし、自分がニルをしてラストビッドの人がDNならば、パートナーがニルをカバーするようなリードをすると、DNを成功しやすくしてしまいます。

ただし、逆にこれらのことを利用したトリッキィビッドをすることも可能です。
つまり、本当は1の手なのに4といえば、つられてラストビッドの人はDNするかもしれません。
セットもされるでしょうが、DNを阻止することにより、OPに大きなダメージを与えることができます。

序盤ならばまだ挽回のチャンスもありますが、中盤から終盤戦で大差がつくのは避けたいところです。
OPに高いビッドをされたときはよく考えてビッドする必要があるでしょう。
 

6.終盤で逆転もしくは点差を詰めたいとき

本来は、ラストディールに勝負を掛けたいところですが、そうすることのできる手が、ラストに来るかどうかはわかりません。
ですから、もしも終盤(スコアで350〜)で、勝負になりそうなハンド(Nなど)が回ってきたら、思い切ってやってみましょう。
 

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