消費者に最も接近したマーケティングツールは完備・整理された「顧客リスト」

  

  現在の小売業に共通して必要なもの

 独立してしばらくしたころ、出版社主催による「FSP徹底研究セミナー」に参加しました。データベースマーケティングについて勉強していたところ、FSP提唱者であるゲーリー・ホーキンス氏の講演が聞けるということで、非常に興味があり、当日、現地で申し込み参加することができました。私自身、フリークエント・ショッパーズ・プログラム(FSP)についての知識はその時点ではあまりなく、データベース・マーケティングの一種であろうと言う漠然としたものでした。しかし、セミナーが進むにつれ、それは、より具体性のあるマーケティング手法であり、また、すべての中小小売業にとっては最も取り組んで行くべきものであると言うことを感じました。

 (1) データベースマーケティングについて

   流通経済大学の江尻教授の著作によりますとデータベースマーケティングとはこのようなものであると理解しました。

   @マーケティングデータベースは商品基軸と顧客基軸の2つがあり、データベースとしては顧客基軸のほうが重要。

   A80・20の原則により、20%の最良顧客の特性を把握する。

   Bリレーションシップ確立のための戦略を構築する。

   CRFM分析による標的顧客の設定

   Dライフ・タイム・バリューによる戦略立案

 これらの5つの要素がすべて、ホーキンス氏が唱えるFSPに採用されており、しかも一つ一つが非常に実践的で、かつ、理解しやすいものでした。これは、ホーキンス氏自身が米国において、大手チェーンと競合しながら、地元スーパーを経営している、生きたマーケティングであるからでしょう。

  (2) イズミヤ鰍フ取り組み

 当日、パネリストとして、大阪が地盤であるGMSのイズミヤ鰍フ店舗統括部長が同席されており、そこで、FSPの取り組みについて説明されていました。特筆することは、FSPの考え方に加え、単品管理を重視されている点でした。顧客の顔が見える商売に商品の動きが見える商売を掛け合わせるというものでした。数店舗(新店舗など)のみの実験的な導入の段階ということでしたが、客単価アップ、買い上げ点数の増加など、かなりの効果をあげているとのことでした。

  (3)むすび

 私たちが支援している中小小売業において、どれだけの企業が正確な顧客データを管理しているでしょうか。高度成長期時代の考えのままで、お店さえ開けていれば、お客さんが入ってきてくれると、店奥に座っている店主が、まだまだ多いのが現状です。イズミヤ鰍フ部長が、「既存店の店長や店員を教育することが一番困難」とおっしゃっていた様に、中小企業の経営者にこういう点を理解して貰うことは大変だと思います。しかし、顧客名簿すらつけていないお店は、これからの大競争社会では生き残っていけないと思います。
 全ての顧客を平等に扱うと言う考え方を否定し、自店の上位顧客(店舗とマインドが会う顧客)を早急に把握し、維持し、新規顧客開拓への足掛かりを作って行くことが、中小小売業に残された最後の戦略であるように感じました。