小売業・サービス業の課題

■平成18年9月26日

1)人口構成・ファミリー構成

少子高齢化の進展で、日本の人口ピラミッドは約20年間で大きく様変わりした。これまで消費の中心世代であった団塊の世代とその子息たちである団塊ジュニアと呼ばれる世代は確実に高齢化している。従って、消費のスタイルも全く異なっていることが予想される。それらの対応を考えておかなければならない。


2)
家族構成の変化

国勢調査によると1世帯当たりの人員は急激な減少傾向にある。これは工業化社会による都心部分への人口集中による団塊世代の「核家族化」が発端であるが、その傾向は特殊合計出生率の低下により「加速」している。さらに、近年の「晩婚化」傾向から、ファミリー構成の高齢化が進展するものと思われる。




3)細分化されたライフスタイル
加工貿易と大量消費社会を支える大量生産を可能にするため、都市部に集められた労働者は、画一的な生活を営むことが多かった。従って、その高度成長期のライフスタイルは、ライフステージが一定であったため変化が少なかった。しかし、晩婚化、離婚、子供なし、一人暮らしなど多様なライフステージが現れた結果、そのライフスタイルも多様化してきた。そのような傾向のなかで、女性のライフスタイルも多様化してきており、これまでのような画一的なビジネススタイルでは、彼女たちに対応できないことがわかる。


4)自由の獲得

科学技術の発達や労働環境、住宅環境の変化・改善などで、多くの「自由」を獲得することができた。その自由の中でも、「時間」「年齢」「性別」の3つの「自由」は生活に大きな変化をもたらした。結果、「自分自身のスタイル」を維持できる要因が増加し、慣習や他人の行動に左右されない消費行動が可能となった。



5)マインドで集まる消費者

慣習や他人の行動に左右されない消費行動が可能となったが、「所属欲求」(マズロー欲求5段階説)が働くことから、他人とのコミュニケーションを完全に無視した消費はないと考えられる。そこで、「所属欲求」は、これまでの勤続している会社関係や近隣住民に注がれるのではなく、同じマインドを持った人たちの「集まり」に注がれる。
※通信・移動手段など各種のインフラが整った結果、「マインド」で集まったり物を購入したりすることが可能となった。




小売業やサービス業者は上記の環境変化を踏まえ、マーケティングしていかなければ、失敗する。



■平成12年10月10日

「1」 コンピュータ社会における流通―電子商取引
                                                          

  1.ECとはこんなもの〜PCの発展はすべての流通分野におよぶ
   
 ◆インターネットで開店開業
  インターネット上に開業された仮想の店舗(バーチャルショップ)にアクセスし、商品の購入、送付を依頼し、電子決済などで、支払いを済ませる>>>これがEC (エレクトリックコマース)です。一種の通信販売ですが、これまでの通信販売とは、その潜在的可能性に大きな相違点があります。  
   1)出店費用、広告費用が少なくて済むので、誰でもが、出店できます。→カタログの印刷代、送料など、これまでの通販では必要な経費がなくなります。
   2)双方向の情報交換による、ワン、トゥ、マーケティングの実現。→顧客の属性やクレーム、購入商品をデータベース化することによって、きめの細かいサービスが実現できます。
   3)サプライ・チェーン・マネジメントの実現(大企業とのネットワーク化)→企業間でリアルタイムに情報を交換し、最終顧客を共有するサプライヤー同士が連結してコスト競争力や商品販売力をグループ全体で上昇させてゆくことが出来ます。
  
 ◆インターネット消費主流の時代に
   作れば売れるプロダクトアウトの時代から、売れる物だけを作るマーケットインの時代へ変わりました。しかし「どこで買っても同じ」と言う商品の同一化現象も起き始め、今後は 一人一人の感性に訴える商品とサービスが求められる時代となると予想されます。このような「個の価値の追求」の増幅に対応するには、膨大なデータの管理とサービスの実現を具体化できるECに頼らざるを得ないようになると考えられます。
  @ECの現状
   現在、いくつかのバーチャルショップが集まって仮想商店街(バーチャルモール)を形成している例がたくさんあります。パソコン上でいろいろな商品やサービスを次々と見て行き、気に入った物があれば購入出来るという新しい通販の形成が見られます。
   一方、そのバーチャルモールの中でも、すでに競争が始まっており、オリジナル性やフレッシュ性・アイデア・サービスに長けたモールが"勝ち組"となり、さらに店舗数の拡大に至り、より魅力をアップさせています。
  A先進国アメリカにおいて
   日本より情報化が10年進んでいるといわれる米国では、既にありとあらゆるものがECで取引されています。例えば、クリスマスプレゼント購入がEC利用が習慣となったり、自動車の新車販売の4%は既にEC経由であり、さらに増加する勢いです。      
                                              
  EX,
   楽天市場(http://www.rakuten.co.jp/)1999年7月16日現在、店舗数824,
        商品数66700,
        日本一元気なバーチャルモール。
 
   アマゾンドットコム(http://www.amazon.com/)300万種類の書籍を扱う地球最大の書店(米国)
    オンラインブックセールスシェア80%
    1998年 売上高732億円


 2.ECで流通はこう変わる。〜ITの普及、流通形態

 ◆流通形態・・若者、30歳代女性、シルバー層が牽引役
 
ネット通販でよく利用されるのが@家電(PC)、A図書、B旅行と言われています。そこで利用者は比較可能でより良い条件の商品(サービス)を選択しています。特に若者は、PCに対して抵抗感もないので、時間を節約するためECを利用しています。また、オンラインショッピングの購入経験者の割合が高いのは、男女とも40歳代ですが、潜在的なニーズは可処分所得の高い30歳代の女性であると考えられます。その中で購入品目を見てみますと、「衣料品」「宝飾品・時計」「食品」「日用品」であり、ネットを利用して最も条件の良いサイトであらゆる買い物をしていることがわかります。シルバー層については、定期郵貯の満期等、可処分所得が高く、外出の手間が省けると言うことで未開拓部分が多い優良市場であると考えられます。
 以上のような買い物条件の変化により、今までとは異なるチャネルにおいての購買が現実となり、百貨店等、既存事業の厳しさは増大していくものと予想されます。
 
 ◆ITの普及と投資のあり方
   これまでの中小企業状の情報化は、コンピューター機器の価格などが難点になり、あまり進んでいませんでしたが、ここ数年のインターネットの登場や、パソコンの低価格化などにより、容易になりました。また、大企業は競ってサプライチェーンを強化していますので、中小企業も情報化しないと取り残されてしまうと言う事態も考えられ、ますますITの普及が見込まれます。
   中小企業の経営者にはパソコンアレルギーや、投資に見合った成果が見えてこないなどの理由で情報化に失敗している企業は少なくありませんが、経営者の考え方次第で少額の投資でも成果を上げている企業は多くあります。その成功するための条件として5つの項目があげられます。(日経情報ストラテジー 4月号より)

  @経営トップの姿勢   :社長自ら陣頭指揮を執る。
  A投資のメリハリ    :必要な機能を見極め、欲張らない。        
  Bシステム化は目的にあらず:まずは業務の見直しを。
  C情報化の社風作り  :社員がシステムを使わざるを得ない状況を作り出す。 
  D継続的な改善    :構築しただけでなく、常により良いシステムを追求する。




「2」消費者が寄りつかなくなった量販店アパレルの仕入れ本部の功罪
                                                          平成12年12月31日

 1. はじめに

 1960年代頃から、日本においてもチェーンオペレーションが普及し、多数のGMSが台頭し始めました。1972年、ダイエーが三越を抜いて日本の小売業のbP企業になり、またアパレル部門においても未だその地位は変わっていません。しかし当時の勢いは全くなく、近年は前年比減収を余儀なくされています。この原因はいったいどこにあるのでしょうか。
今日の消費者は、商品を見る目が厳しくなっています。

(1) 収入が限られる中、衣服に対しても消費される金額が減少しています。(アパレル全体の収縮:過去5年間でアパレル上位30社の売上は11.5%のマイナス。`95`99繊研新聞資料より)

(2) 自分自身の買い物の尺度を明確に持ち始め、本当に価値のある物であればプライスに関係なく買い物を楽しみます。(ユニクロのジージャンをはおりながら、ルイヴィトンの鞄を持つなど。)

(3) 目的買い志向が強まりました。(欲しい物があれば、情報誌等で調べ、わざわざ出向きます。買い物をするという行動を楽しんでいます。)
このような消費者の変化に、量販店アパレルが十分に対応し切れなかったところに現在の低迷の原因があると思われます。

 2. 量販店アパレルの問題点

  一般的に、当業界は、販売は大手小売業者、生産は専門製造卸売業(以降、アパレル製造卸)に分業されております。
ここで量販店仕入れ本部は、アパレル製造業をふるいにかけるのですが、選択に漏れた会社は一夜にして倒産する可能性もあります。事実、取引の70%を大手I社に依存していた日本橋のあるF社は、前年中央区の高額所得リストに載っておりながらその翌年に取引をうち切らた後、倒産しております。いかに本部の意向に添うのが困難かが分かります。と同時に本部のアパレル製造業との信頼関係に疑問を残します。

(1) 製販一体への取り組みの遅れ
   @ 取引条件のあいまいさ … 返品、値引き等
   A 情報の共有化の遅れ … あえて情報を遮断し、アパレル製造業同士競わせる。 など

(2) アパレル製造業の企画力、リスク力の低下
   <企画力>ある程度、売れるであろうと予測できる商品については、情報が共通しているので(プルミエール・ビジョン、欧州コレクション、立ち上がりのPOSデータなど、各社準備している)商品の同質化がおこりやすく、消費者に対して新鮮味が感じられなくなっています。
   <リスク力>末端の売場で何が売れているかなどの情報の把握力が弱まっている(得意先からの情報のみに振り回されている。)ので、原材料の調達においては、定番品以外は独自で織物メーカーへ発注することが困難な状態です。そこで、生地卸からの仕入れを行うのですが、そこからの仕入れには他のアパレル製造業とのバッティングの恐れがある上、売れ筋の素材であると生地卸側での品切れがおこり、新鮮な商品を仕入れる際にもリスクが伴います。また、アパレル製造業はなんとか商品を小売店に納入するため、すぐに納品できる原材料(現物)を仕入れて製品を作りますが、それらの原材料は納期遅れ、色違い、クレーム返品、旧シーズン商品、見込み違いなどの売れ残り商品で、陳腐化していることが多く、消費者にとって、魅力ある商品に生まれ変わるには、かなりのMDの応力が必要となってきます。

(3) 目的買い志向に不適合な提案方法
  消費者は近年スーパーなどで野菜等を買ったついでに衣料を買うと言うことが少なくなってきています。それは目的が異なるからであると思われます。スーパーでも優れた商品と販促さえ行えば衣料を買いに来ますが、逆にそのときに野菜などを買いません。(独自アンケートによる:服が汚れそう、雰囲気を味わいたいなど)ユニクロがフリース商品を850万売ったのも、原宿出店によるイメージアップが引き金であり、同じ物をスーパーに置いてもそれだけ売れるかどうかは疑問です。
 3. 量販店アパレルの改善点

(1)独自の情報データベースを構築。
  アパレル製造業は、独自の情報データベースを構築し、得意先小売業と対等な地位を築くことが望まれます。近頃では、高度な情報加工ができるPCなどが安価で手に入り、簡単にデーターベースが出来るようになりました。直接消費者に接する業態でなくても、末端の消費者の声を聞き取り、自社で必要な情報を取り出す事は重要克つ可能であり、以降の商品企画、顧客との折衝に利用して行くべきであると思います。また消費スタイルを掴むことにより店舗イメージアップの提案も可能となります。

(2)絶え間ない技術力の向上
  次にそこで知り得た情報に基づいた商品を生産できる技術力の向上が必要になってきます。カネボウのSPA型ブランドであるランバンにおいては、これまでにない技術力をもった後加工(スパンコールや刺繍加工)の工場(S社)と取り組むことにより、他社と違った商品を生み出すことに成功しております。このように同じ情報ソース(この場合は後加工商品は売れる)からでも、技術力を高めることにより他社と差別化することが出来ます。
また物流、店舗も技術力と考えます。

 4. 量販店アパレルの今後の方向

 ワールド、三陽商会(バーバリーブランド各種)、ファイブフォックス(コムサイズム等)、フランドルなど、売上が伸びている企業の多くがSPA型を志向しています。SPAとは小売り部門の情報とそれを商品にする製造部門が一体となった形態です。いわば一社においてサプライチェーンを構築しているわけです。しかし全てのアパレルがSPA型になる必要はないのです。要は小売情報のデータベース化と、技術力の向上にあります。「しまむら」はアパレル製造業からの仕入れですが、情報化と店舗、物流の低コスト化(技術力)により驚くほどの業績をあげています。
景気の変動、国の政策に関わらず、消費者動向と技術力は年々変化します。それらに対応していく事が量販店アパレルのみならず企業にとっても最も重要になってくるのではないでしょうか。