| 風評被害・避難所生活 |
中越沖地震 長引く避難生活 プライバシー確保、過去の災害教訓に
7月26日8時0分配信 産経新聞
■着替えや授乳「簡易個室」など活躍
新潟県中越沖地震が発生してから10日が経過した。いまだ約2400人が避難所に身を寄せているが、避難の長期化にともない浮上するのがプライバシーの問題だ。人の目が気になるあまり、「車中泊」を選んでしまう人の存在も指摘されている。そんな中、避難所でのプライバシーを確保するための専用の間仕切りや個室も登場している。(森浩)
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「だいたい発生後72時間を経過するあたりから、課題として浮上するのがプライバシーです」−。阪神大震災など各地の災害現場の研究を続けている市民防災研究所(東京)の細川顕司さんは、そう指摘する。
まず声があがるのは、乳幼児のいる母親からが多いという。3年前の新潟県中越地震の際、子育て支援をしているNPO法人「ヒューマンエイド22」(新潟)は被災した母親を対象に避難所に関するアンケート調査を実施した。その結果、目立ったのは「(人目があり)安心して授乳ができない」という声で、「子供が周りに迷惑を掛けないかヒヤヒヤした」という回答も少なくなかった。
細川さんは「被災後、時間とともに被災者の要望は変わっていくが、プライバシーの問題はその代表的な例だ。今後、中越沖地震の被災地でもクローズアップされていくだろう」と予測する。
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大規模地震のたびに指摘されるプライバシー確保の問題。対応の動きもみられ、専用器具も登場し始めている。
段ボール製品を展開する新潟紙器工業(新潟)が一昨年春から製造し、中越沖地震の避難所でも利用されているのが、避難所用の間仕切り「プライバシーウォール」だ。高さ1・4メートルの「段ボール製のびょうぶ」で、囲うように立てることで、6畳ほどの空間を確保できる。段ボールには消臭作用のある塗装が施されているなど、衛生面にも配慮している。
開発のきっかけは、3年前に新潟県を襲った豪雨。同社社員の家族らの避難経験がその必要性を実感させた。「避難所が大混雑し、人の目が嫌で、自動車で寝てしまう人が少なくない状況だった。これを何とか避けたかった」と担当する小泉司さんは振り返る。
また、地震対策用品を手がけるムネオ・エス・エス・エックス(東京)が4月から販売しているのが、「瞬間個室プライバシー」。プラモデルのように組み立てることで、高さ190センチほどの段ボール製の“小屋”を作ることができる。授乳や着替えのためのスペースとして活用可能だ。
この商品の特徴の一つが、表面に企業名を記載することができること。「企業に購入してもらいやすくするための仕組みです。企業が災害時に提供すればPRにもつながり、被災者と企業ともにメリットがある」と同社では狙いを語る。中越沖地震の避難所にも数台が提供されているという。
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ただ、どう間仕切りなどを設置しても、「完全なプライバシー確保は難しく、被災者は高いストレス下に置かれる」(武庫川女子大学教授の柏原士郎さん)というのが専門家の一致した見解だ。
そして、「もし都会で大地震が起きたら、(プライバシーがないことに)耐えられない人が続出するのではないか」と予想するのは、富士常葉大学教授の池田浩敬さん(都市防災学)。「農村部では避難している人がお互い顔見知りというケースも多い。だが、どんな隣人が住んでいるか分からない大都市だと、農村部とは比べものにならないくらい高いレベルでのプライバシーの確保が重要になる」と都市と農村との違いに言及する。
池田さんは「プライバシーに加え、固い床や、夏なら猛烈な暑さなど過酷な生活になるのが避難所。自宅の耐震補強など、避難所に行かないための備えが都会ほど必要かもしれない」と話している。
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