メモリーの交換1998/07/19 選定 種類は言うまでもなくSynchronous DRAMである。問題はどのようなスペックにするかであるが、まずどの程度のクロック周波数に追従できるかという指針であるアクセス速度が重要だ。当初SDRAMが出てきたころは10ns(ナノ秒)というのが普通であった。これを逆数にすると追従周波数がでる。つまり100MHzである。この頃から識者は既にアクセス速度10nsでは、その周期が10nsである100MHzクロックにはマージンがないので追従できないことを指摘していた。 案の定、100MHz外部クロックが現実味を帯びてくると、アクセス速度の問題がクローズアップしてきた。またクロックと同期するようになったこととどれほど関係があるのかは分からないが、従前のメモリよりもかなり相性問題も多くなってきた。このあたりの一連の問題に業を煮やしたIntelが、推進する外部100MHz化を頓挫させないために出したのがPC/100規格である。この規格さえ守ってメモリを作れば、外部100MHzに追従できる安定したメモリができあがるという訳である。まあこのへんの話は別の機会譲るとして、今回のアップグレードでは外部100MHzを行う以上は、やはり安心できるPC/100規格対応の製品を選んでおきたい。先ごろまで従来品に比べ異常に高値を付けていたPC/100規格対応品が440BXの発売を期に一気に下がり始め、現在では従来品とさほど変わらない価格になっている。対応品の購入に何の障害もない。 具体的なアクセス速度でいうと、8ns以下ということになる。100MHzのアクセスに2nsのマージンがあるので、安定しているということだ。しかし最近は6nsなども出てきており、外部112MHzや133MHzを行っていこうとする輩には、さらにこのような高速なSDRAMが必要だろう。今回の場合もできれは6nsにしたいところだ。しかしアクセス速度を明記して販売しているショップは少ない。その場合は今のところチップの型番を見て判断するしかなく、最も早い時期からPC/100規格対応品として販売されていたメルコMTCブランドのSDRAMに使われている、SEC(三星電子、韓国)の「KM48S8030BT-GH」というチップが6nsであるらしい。
[SDRAMチップ SEC KM48S8030BT-GH] また最近取りざたされているのはCAS Latency(CL)という数値だ。ここでは詳しいことは述べないがアクセス速度に関わる数値の一つである。通常は3、いいものが2ということである。CAS Latencyが何たるかが分かれば、この差がパフォーマンスにあまり影響ないであろうことはすぐ理解できる。事実各雑誌などで行っているベンチマークテスト結果もそれを証明している。しかし私は拘りたい。なぜなら少しでも能力の高いものの方がオーバークロックなどのイレギュラーな使い方に対する耐性が強いと言われ、実際も人柱の方々からそのような報告がされているからである。 ただしCLが2のものは流石にまだ高い。またアクセス速度以上にこれを明記したショップは少ないので、果たしてCL2のメモリが購入できるかは分からない。一応上記SECのチップがCL2だと言われている。
購入、交換 (6月14日(日曜日)) サハロフのページではCAS Latencyについて書いてないので、今回は秋葉ホットラインの情報を頼りに秋葉原に向かった。やはりチップがSECの上記チップの場合、6ns、CL2と判断していいようである。しかし相変わらずメルコのものは大変高い。やはりCL2品は諦めるしかないのだろうか。ところがパソコンシティでメルコの64MBが17,200円で売っていたのである。他に比べれば大変安い。ただそれでも安くなった他のPC/100規格対応品よりかなり高い。ふと見るととなりに同じチップを使用したバルク品が12,800円で置いてある。一応6ns、CL2と明記もしてある。店員に尋ねてみたが安い理由は、バルク品だからとしか言わない。メルコのものと見比べてみても、確かにチップは全く同じだが基盤は違う。メルコのバルク品ではなさそうだ。SDRAMは基盤も重要なのだが、この差にはかなわない。他店を一通り調査した上でこれに決定した。今回のアップグレード費用は12,800円也。 帰ってきて交換。一応このマザーボードはSIMM、DIMM混在でも使えるようなので、交換でなく増設でもいける訳だが、たかが32MBのためにせっかくの高速SDRAMを2年も前のFPMに付き合わせることもないと思い、きっぱりSIMMは外すことにした。スロットはCPUの左側にあり、ケーブルにも邪魔されないので交換はいたって簡単。ものの5分の作業である。 早速起動。問題なく動く。当然まだ外部66MHzなのだが、とりあえず相性問題はなかったようだ。
ザ・テスト マシンは名は、「FMVP3-SDRAM」と命名する。
見た感じ測定誤差程度の違いしかないようだ。
これも殆ど変わらない。
スクロールがちょっと変わったけど、あとは測定誤差の範囲だ。
これも同じ。
同上。
READが少し速くなっているのが分かる。やはりWRITEの変化が全然ない。
今回のテストで一番差がでたものだ。それでも15%。
テスト総評 まだ外部が66MHzとはいえ、アクセスタイミング的には「7-3-3-3」から「6-1-1-1」になっているのだからメモリ部分だけに限って言えば倍近い速度向上のはずなのだが、このありさまである。2次キャッシュのヒット率が90%近いというのもわかる。10%しかアクセスしないものを倍の速度にしても全体として5%しか向上しないという、全く計算通りの結果だ。私がこれまでに言ってきたことが見事に証明されている。 これでは外部100MHz化もメインメモリに関しては期待できない。ある意味メインメモリに拘ってアップグレードする必要のないことを示している。まあ安いものなので新規購入の場合、なにもSDRAM以外を選択する必要はないが、SIMMを大量に持っている人は殊更移行を急ぐ必要もなさそうである。 しかしCPUがボトルネックとなって、高速メモリの真価が発揮できていないということは言えるので、ここはやはり早急にCPUをアップグレードしたい。それではこちら「CPUの交換」へどうぞ。 ・「マザーボードの交換」へ戻る ・目次へ |