高速WiFiの落とし穴

2019/1/19


我が家のWiFi事情

我が家は2002年7月に購入した建て売りの一戸建てですが、建築中に購入したので、まだ壁などができてなかったため、その時点で有線LANを敷設しました。既にパソコンを置くと決めていた部屋に外部からの回線を引く予定だったので、この部屋から各部屋に分配するように引きました。

そのためWiFiの必要性は低く、導入は早い方ではなかったと思います。初めてのWiFi関連のものは2005年7月2日、ノートPC用にBuffaloのPCカードWLI2-CB-G54Lの購入です。

と言っても所謂子機だけで、親機であるアクセスポイントはなかったので、外のWiFiスポットで利用するためでした。

親機の初導入、つまり我が家にWiFi環境ができたは、2006年に我が家初の光回線であるTEPCOひかりを引いた時です。依然WiFiの必要性は全くなかったのですが、TEPCOひかりのブロードバンド・ルータがオプションで安価にWiFiを導入できたので試してみたくなったのです。

オプションということで下記のようなカード(NEC Aterm WL54AG)を買って、ブロードバンド・ルータに差し込んで利用するというものでした。時折WiFiオプションを付けると月額利用料もあがるサービスもあるようですが、こちらはこの機器を買ってきて付ければ月額利用料のようなものはかかりませんでした。

[NEC Aterm WL54AG]

形はまさにノートPCのPCカードスロットに刺す子機のようなものですが(というか事実子機としても使えます)、これが親機なのです。ルータには以下のような刺し込み口があって、そこにこのカードを刺し込んで使います。

[ルータに刺し込んだ親機Aterm WL54AG]

しかしあくまでWiFiをちょっと使ってみたいという興味本位で導入しただけで、普段使う用途自体はありませんでした。前述のように家中に有線LANが張り巡っているので、リビングのノートPCも有線で使えていたからです。

やがて東京電力の通信事業撤退に伴い、TEPCOひかりサービスはKDDIに引き継がれサービス名などは変わりますが、実体に変更はなく、ルータやモデムなどの機器もそのままでした。しかしその後KDDIがギガサービス(ギガ得プラン)を開始して、旧ユーザーも安価に移行できることになったので、2010年2月に我が家もギガサービスに移行しました。

この時はブロードバンド・ルータなども全部変わったので、前述のWiFi環境はなくなってしまいます。当該サービスの新しいブロードバンド・ルータにはオプションでもWiFi機能はなかったからです。そこで依然WiFiの用途はなかったのですが、ギガ環境への移行に伴い、我が家の有線LAN環境もギガ化するためギガHUBがいくつか必要だったので、ある意味HUB用途としてWiFiルータを購入しました。CoregaCG-WLR300GNHという製品です。

[WiFiルータ Corega CG-WLR300GNH]

ギガHUBも当時既に5ポートなら3000円くらいで買えましたが、ギガ対応のWiFiルータでも6000円でした。HUB用途だと3000円高いのですが、これでWiFiで遊べるなら安いものかなと思いました。それでも当時は最新の規格であるIEEE802.11nにも対応したもので、理論値300Mbpsと謳われていました。


スマートフォンの登場

しかし結局我が家でWiFiを使うことは殆どなかったのです。これに大きな変化をもたらすのがスマートフォンの登場です。と言っても2010年に私が我が家で初めてガラケーからスマホに移行しますが、会社貸与のもので定額パケットの容量が十分でした。そのためそれ程電話回線を節約する必要性もないので、依然我が家でのWiFi使用頻度は非常に低かったです。

[私の最初のスマートフォン Xperia(SO-01B)]

やがて2014年頃、家内がスマホへ。その後息子にも購入すると次第に使用頻度が増えました。格安スマホだったので、定額パケット容量が少なく、これを節約するため、家にいる時は極力4G回線ではなく、WiFiで済ませたいのはどこの家庭でも同じでしょう。

またスマホの便利さを知ってしまうと、これまでPCを立ち上げてネットサーフしていたものがやたら面倒に感じます。もはやウェブやメールはもうPCが必要ないくらいになってきました。

やっと我が家のWiFiルータが役に立つようになってきた訳ですが、IEEE802.11nにも対応していたので、動画再生をガンガンやる息子の用途でも特に不満はありませんでした。

しかし用途が増えると一つ問題が顕在化してきました。それは場所によって電波が弱いという問題です。WiFiルータは当然ルータ機能はオフってブリッジ接続にしてアクセスポイントとして使うので、ある意味が我が家の有線LANが敷かれているところならどこに配置することができます。我が家は2Fのパソコン部屋にインターネット回線(光ケーブル)を引き込んでいましたが、ルータのようにそこに配置する必要はありません。そのため一番WiFiを使う1Fのリビングに置いていました。

しかしそうなると2Fの寝室や息子の部屋から遠い訳ですが、なぜか息子の部屋はあまり問題なかったのですが、寝室はかなり電波が弱かったのです。調べてみると息子の部屋はリビングの真上にあるのですが、寝室は対角線上になります。どうもこの位置関係が強く関係しているようです。

WiFiルータのある1Fのリビングでは以下の速度が出ます。理論値の300Mbpsにはほど遠いですが、100M有線LANの実効速度と同じくらい出ているので、実用上は全く問題ありません。

[1FリビングでのWiFi速度]

しかしこれが2Fの寝室へ行くと以下のようになってしまいます。ダウンロードはそれ程でもないのですが、アップロードがひどいです。

[2F寝室でのWiFi速度]

もっともアップロード速度は実用上はあまり関係ないのですが、ダウンロードもぐっと落ちているのは間違いありません。また理由はよく分かりませんが、時折接続切れを起こしてしまい、勝手に4G回線になってしまっていることがあるのが困ります。

同じ部屋でもドアの近くまで来ると以下のように改善します。ドアの方向がよりリビングに近いためと思われます。

[2F寝室ドア付近でのWiFi速度]

これだけ出れば実用上も問題ないし、接続切れも起こらないのですが、ドアの傍にはベッドもソファーも置けないので意味がありません。因みに同じ2Fでも隣の息子の部屋は以下の速度が出ます。

[2F子供部屋でのWiFi速度]

これは前述のように息子の部屋はリビングの真上にあり、かつWiFiルータ傍に窓があり、その真上に息子の部屋の窓があるので、屋外を電波が回折できているのかもしれません。


WiFi環境改善検討

かくして我が家もとうとうWiFi環境をまじめに改善する検討を迫られてきた訳です。さてどのように改善するか。普通に考え付くのが、WiFiルータの最新化です。

Webや家電量販店の店頭での各メーカーの宣伝文句をみると3階建てでもOKとか、最大1733Mbpsとかいったとても魅力的な謳い文句が並んでます。現在のWiFiルータが300Mbpsであることを考えると、この数値だけを見てもこれで十分問題解決するように思います。現在でもものすごく不満がある訳ではないのだから、この数値は実効値がたとえ1/5だとしても全然OKです。

しかしこのカタログスペックは当初から眉唾ものだと感じていました。調べれば調べるほど疑問が出てきます。特にこの高速を謳っているIEEE802.11acなる規格は5GHz帯を使うため障害物に弱いという特徴があるとのこと。我が家の現在の問題は障害物なのではないのか。だとすると本当にこれに替えて解決するのだろうか。

現在の2.4GHzに比べ障害物に弱いとは言え、これだけスペックが違えばその弱点を補って余りある可能性もあるか。しかしネットで調べてもそれを裏付ける情報が出てきませんでした。家電量販点の店員にも相談してみたのですが、こればかりは実際使ってみないと分からないとのこと。

では中継機はどうなのか。これについては肝心なのは適切な設置場所です。例えばA地点とB地点を中継する訳ですから、中継機がどちらかに偏った位置にあると意味がありません。我が家の場合、恐らく階段のどこかがベストは中継位置と思われます。しかし通常そのような所に電源がありません。結局電源位置が中継機の置き場に制約を与えてしまい、効果が半減のような気がするのです。

[無線LAN 中継機]

そしてこれは有線LANが家中にある我が家だからできることですが、もう一つの選択肢があります。それは1階と2階でそれぞれ別のWiFiアクセスポイントを設けることです。1Fは現在のものを流用。2Fに新たに購入する。これであれば恐らく速度や接続切れの問題は解決するはずですが、一点懸念がありました。

それはいちいち1Fと2Fでアクセスポイントを切替ないといけないのではという点です。中途半端に1Fから2Fなどに届いているがため、返って自動に切り替わることがないだろうという予測です。できるだけ強い電波の方に自動的に切り替えるなんてことしないですよね、きっと。

そのようなことでそれぞれ一長一短があり、なかなか決めかねていました。


インターネット回線変更

そんな頃、家内のスマホを格安でSoftbankに更新するプランを見つけました。家のインターネット回線も一緒にSoftbankに替えると格安で携帯のSoftbank回線も使え、機器もiPone(特に当時最新のiPhone 8)にすることができます。インターネット回線はau(KDDI)のもので特に不満はありませんでしたが、計算するとインターネット回線の月額自体も少し安くなりますし、同じギカ回線で特にデグレードするようは要素もなかったので、別に構わないかなと思い、家内のスマホのためにこちらに変更することにしました。

ということでインターネット回線の変更は家内のスマホのために仕方なくということだったので、何か良くなる要素もないため特に期待することはありませんでした。むしろプロバイダーもDTIを解約しないといけないのでメインに使っていたメールアドレスも変えねばならないなど面倒なことの方が多かったです。

しかし契約時に分かったのですが、Softbank回線にすると提供されるブロードバンド・ルーターは無線LANも内蔵されているとのこと。前のTEPCO光のルータのように別途カードを指す必要も、無線LAN利用のために追加費用もいりません。しかもIEEE802.11acにも対応した1300Mbpsを謳っています。これは渡りに船です。とりあえずルータを購入しないで5GHzが試せる訳です。

ただネットでは一つ前の古いルータ(EWMTA2.2)だとIEEE802.11acに対応していないのでちゃんと最新のルータ(EWMTA2.3)が来るか確認した方がいいとのことでした。そこでSoftbankに電話して最新のルータが届くか確認したところ、ちゃんと最新のもの(EWMTA2.3)を届けるとのことでした。俄かに楽しみになってきました。

2018年5月31日(木)に回線開通したのでこの日帰宅して、一通りの有線側の設定などを確認しました。

[Softbankルーター EWMTA2.3]

右側の白い方がSoftbankのルータで左側の黒いのがNTTのモデムです。ところがなぜか全然遅いのですよ。もう一桁遅いです。これにはがっくり来て、翌日すぐにソフトバンクに電話してきてもらうことしたのですが、その後なぜか解決してしまいました。確かに開通後2日くらいは遅かったのですが。


IEEE802.11acの実力や如何に

まあとりあえず解決したので、一旦有線の速度を挙げておきます。測定ツールやサイトはスマホと違いますし、あくまで最高記録なので、いつもこの値がでる訳ではありませんが、回線の能力は分かると思います。上りも下りも約700Mbpsということでギカ回線としては実効値が理論値比70%ということでまあ十分かなと思います。

=== Radish Network Speed Testing Ver.5.3.3.0 β - Test Report ===
使用回線: 光ファイバ
測定地: 神奈川県
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測定条件
 精度: 低 接続数: 1-16 RTT測定: 速度測定前後/速度測定中
 データタイプ: 標準 測定クライアント: JavaScript
下り回線
 速度: 698.7Mbps (87.34MByte/sec) 測定品質: 95.7 接続数: 16
 測定前RTT: 8.46ms (8.00ms - 9.25ms)
 測定中RTT: 8.20ms (7.16ms - 9.01ms)
上り回線
 速度: 726.9Mbps (90.86MByte/sec) 測定品質: 82.6 接続数: 16
 測定前RTT: 7.97ms (7.70ms - 8.20ms)
 測定中RTT: 14.3ms (7.70ms - 34.5ms)
 測定者ホスト: softbank.net
 測定時刻: 2018/6/2 13:56:55
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測定サイト http://netspeed.studio-radish.com/ =================================================================

さて早速WiFiを測定してみましょう。以下の通りとなりました。因みにブロードバンド・ルータは2階のパソコン室に置いてあるので、これまでのWiFiルータとは逆の位置関係になるので注意して下さい。以下は勿論2階のルータ近くでの測定です。

[Softbank 5GHz WiFiの近くでの速度]

思ったより速いです。有線の半分くらい出れば御の字と思ってましたが7割くらい出てます。コレガのWiFiと比べると5倍くらいの速さです。さすがacの5GHzです。

さて気になっていた障害物があった場合ということで早速ルータから遠い1Fのリビングで測定してみました。

[Softbank 5GHz WiFi 1Fリビングでの速度]

やはり落ち方がひどいです。1/40分になってしまいます。コレガのWiFiと比較してもダウンロードは悪いということです。機器が違うので何かと条件が違うため比較にしくいので、実はSoftbankルータには従来の2.4GHzのアクセスポイントもあるので、そちらでも試してみました。2.4GHzということはIEEE802.11nということですが、理論的にはコレガのWiFiルータと同等の性能のはずです。

まずはWiFiルータの近くで。

[Softbank 2.4GHz WiFiの近くでの速度]

予想通り大体コレガと同じですね。これを1Fリビングから測定するとどうなるでしょうか。

[Softbank 2.4GHz WiFiの1Fリビングでの速度]

やはり予想通り。落ち方は5GHzよりずっと緩く、1/3程度です。結果5GHzのacよりもいい値になってしまいます。


結論

結果は当初の懸念通りです。結局IEEE802.11acは電波さえ正常に届けば有線とも遜色のない速度が出ますが、やはり5GHzという高い周波数は障害物に対する透過性が低く、1F分の階層差でも対角線上の部屋などには十分に届かず、2.4GHzのIEEE802.11nよりも劣ってしまいます。

いくら高速を謳っているWiFiルータでも障害物によって遮断されている場合はだめだという大きな落とし穴があることが分かりました。

因みに我が家の場合は2アクセスポイント体制でいくことにしました。つまり2FではSoftbankルータで5GHzの高速なIEEE802.11acを堪能。1Fでは従来通りコレガのルータでIEEE802.11nでそこそこ使うということです。これは我が家では有線LANが疎通しているから可能な選択肢です。

ただしアクセスポイントは移動しても自動で切り替わってくれません。一方の電波が完全に途絶えれば、接続切れを起こすことによって、強い電波の方に切り替わるのですが、なまじっか微妙に電波が届いているせいで接続切れにはなかなかならないので切替が起こらないのです。従って手動で切り替えないといけません。

このような不便はあるものの家中で快適にWiFiを利用するには何とかして有線を引っ張り、複数アクセスポイント体制にするのが一番の解決策かと思います。


 
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