「れっつ・ぷれい! とらんすれいと!」

〜その2;計画編〜

 

こんちは。マッコイです。前回に引き続いて海外RPGの翻訳について文章を書くことになりました。どうかよろしくお願いします(ぺこり)。

さて、前回は海外RPGの入手法と、翻訳に必要なグッズをそろえるところまででしたね。今回はさらに突っ込んで、どう翻訳を進めていけばいいのかお話しさせていただきます。
 たーだ−し! これはあくまでもマッコイに向いているやり方。プロ野球選手一人一人に独自のバッティングフォームがあるように、その人その人に向いているやり方がきっとあるはずです。でも、もし、バットの使い方そのものがわからない人、「ボールってどうやって打てばいいの?」っていうのと同じように、「ルールってどうやって訳せばいいの?」っていう初めの一歩で迷っている人がいたら、このやり方を参考にしてください。きっと新しい明日が見えてくるはずです(って、大げさですね。ハイ)。

1.グランドデザインを決めよう

 「グランドデザイン」なんて書くとなんかビジネスっぽいですけど、要するに「大ざっぱに計画をたてよう」ってことですネ。
 待ちに待ってたルールブックがやっと届き、わくわくしながらワープロの電源を立ち上げて「さあやるぞ!」…序文の1ページから几帳面に1語ずつずううううううっと訳していって…だんだん退屈になって…初日は1ページ、2日目は半ページ、3日目は1行、4日目は1文…そして5日目にゲーム棚の中へ…なーんてことありませんか。マッコイは、もうしょっちゅうです(泣)。
 そうならないために! アメリカ人に払った34ドル95セント(送料込み)を無駄にしないために!
 まず大前提。ルールブックには、本当に重要な部分(コア)と、そのコアに彩りを添える部分(アラウンド)があります。ハンバーグ定食に例えるなら…お肉と、その付け合せのスイートキャロットのような関係といえばわかりやすいでしょうか(いや別に、ほうれん草のソテーでもいいですけど)。
 「おいおい、ルールってのは最初から最後まで読まなきゃあ、話しにならないんじゃねえのかい」なんて人もいると思いますけど、今回は「海外RPGをいかに効率よく訳すか」という目的に特化してますので、とりあえずそのゲーム論議は後で。まあ抑えて抑えて。
 まず、ぱらぱらっとルールブックをめくってみましょう。そんな時間がなければ、目次だけ見てもかまいません。それでその本の構成がわかると思います。
 たとえば、Holistic-Designから出ているSF-RPG「Fading Sun」の目次を見てみましょう(注;文頭の括弧書きは整理のためにつけたナンバリングです。実際のルールブックには記載されていません)。
 (1) Prologue : Alustro’s Quest
 (2) Introduction
 (3) Chapter One : The Universe
 (4) Chapter Two : Rules
 (5) Chapter Three : Characters
 (6) Chapter Four : Traits
 (7) Chapter Five : Occult
 (8) Chapter Six : Combat
 (9) Chapter Seven : Technology
 (10) Chapter Eight : Gamemastering
 (11) Chapter Nine : Planets
 (12) Appendix : Pandemonium
 (13) Index
 (14) Character Sheet

2.コアとアラウンドの分類

 ここでルールブックをパラパラとめくり、だいたい何が書いてあるのか見ることにします。あ、ホントにこの段階ではパっと見でいいです。何ならイラストから類推して「ふうん、この章にはこんなことが書かれてあるみたいだな」だけでもいいんです。
 まず(1)、ここは何かルールというより小説みたいです。どうやら読者をルール世界に引き込むための、サンプルキャラクターの冒険談のようですね。(2)はどのルールブックにもある紹介文で、TRPGそのものについての説明ですね。「TRPGとは何か?」「TRPGには何が必要か?」ということが書いてあります。どんどん見ていくと(3)は背景世界の歴史と各勢力の説明、(4)は一般判定ルール、(5)はキャラクターの作り方、(6)は各能力値とスキルの説明、(7)超能力ルール、(8)戦闘ルール、(9)科学技術及びメカニクスの説明、(10)よりよいマスタリングの仕方、(11)各星系の説明、(12)サンプル星系、(13)索引、(14)キャラクターシート…と、なっています。
 ふう…これ全部、訳さなければ遊べないんでしょうか? ほんとに、最初から最後まで307ページ分を?
 もちろん「俺は英検1級持ってて帰国子女で、日本語なんてここ10年使ってないぜベイビー」みたいな人なら全然苦にならないでしょう。でもそうでないならば、グランドデザインを立て、本当に時間を費やすべきところを決めるのがオススメです!
 さあ、上記の例だったらどこが「コア」で、どこが「アラウンド」? マッコイはこう分類してみました。
 (1)はアラウンドですね。文章は文学的で難しいし、実際プレイして雰囲気がわかってからでも遅くなさそうです。同じく(2)もアラウンド。TRPGってどういうものかわかっているから、海外からこの本を取り寄せてるんだと思いますから(笑)。(3)はコアでしょう。特にSF-RPGのように特殊背景世界であるならば、ベースとなる架空世界がわかってないと遊べません。でも現代スパイ物や日本物(SengokuやUSAGI YOJIMBOのような!)だったら、アラウンドでもいいかもしれませんね。(4)から(9)までは文句なくコア。これがなきゃあゲームにならんとですよ。でも(6)のスキル説明文に関してだけは、「隠密」や「芸術」など一般的なものはアラウンドにしちゃいますね、自分は。
 (10)はマスタリングのコツやマンチキン対策、シナリオの効果的な組み方(序破急ってやつですね)なんですが、アラウンドです。海外RPGを選択した時点で、もうマスター経験は長いし、それなりのやり方がある人だと思いますから。(11)は…うーん、難しいけど、どっちかというとアラウンド。シナリオでその星系データが必要な時に応じて、そのときそのときでピンポイントで訳せばいいでしょう! 同じ理由で(12)もアラウンド。(13)はもちろんアラウンド。(14)はコアですね(もっとも、キャラクターシートは訳さないでコピーとればいいだけの話ですが)。

3.切るところは切る!

 ざっと見ると307ページのうち、234ページがコア。73ページがアラウンドでした。アラウンドの率は23.7%です。
 きっぱり言わせていただきますと、23.7%(スキル説明文もアラウンドにすると30%くらいまでいくかもしれませんね)は、「今、ここで訳さなくていい文章」なのです。
 まずはコアの部分を把握し、そこから訳し始めていきましょう。アラウンドはとばしちゃって、優先順位2番でけっこう。なんならアラウンドは日本語化せずに、英文のまま自分の頭ん中に入れておいても、愛と勇気と気合と根性で何とかなるかもしれません。
 あ、誤解しないでくださいね、アラウンドの部分は「ゲームに全く必要ない」ということじゃありません。これはこれで、ゲーム世界のフレーバーを醸し出す大切なものです。でも、限られた時間の中で、集中力を切らさずにそのルールブックを訳しきるには、泣く泣くカットしなければならない部分もあるということなのです。1日1ページ訳すとしたら、上記の例では、23日分そのゲームを遊べる日が早くやってくるのですから!
 繰り返しますが、この時点では大雑把な見立てだけでいいのです。もし訳している途中で、アラウンドをそのままコアにしなければ成り立たないとわかったとしても、そのときはそのとき! 自分の未熟さに、あるいはルールブックの構成に腹を立てながら、「まあ、これもネタ」と思いつつ、おとなしく流れに従ってコアのグループに入れてあげましょう。
 でも、そんなハプニングがあるからこそ、翻訳って楽しいんです。ずうっと計画どおりの作業じゃあ、共産主義経済みたいでつまらないと思いますけどね。
 日本のことわざに「木を見て森を見ず」っていうのがあります。これは「小さいところだけ気にして大局を見失う」っていうことなんですけど、どうかみなさんには、「序文で玉砕してルールに入れず」ということがありませんように…。その結果「やっぱ英語なんて俺にゃ向いてねえや」ってあきらめたら、全てのチャレンジはそこでおしまいなんですから。

 ということで、今回も時間が尽きてしまいました。次回はいよいよ実践編(って、前回も書いた気がするけど…)。英文の例をもとに訳し方のコツをみんなで考えてみましょう。お楽しみに!!

 

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