モンスター誕生

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キャラクター作成&タイタン人物列伝 –-Creature of Havoc--

 

 さあ、ついにやってまいりました。

 Livre dont vous etes le heros(君が英雄になれる本)』は、今日からFFシリーズ最高峰とも称される『モンスター誕生(Creature of Havoc)』がスタートです!

 舞台はファンタジー世界のタイタン。そしておなじみのアランシア大陸。しかし今回の主人公は・・・なんと・・・モンスターなのです!!わーお!!

 今回の作品、作者は神降臨スティーブ・ジャクソン。そして訳者もまた神!安田均大先生です。スーパータッグでお届けする冒険譚となります。すごいぜ!wktkしちゃいます!

 なになに「はじめに」によるとだな・・・

 

 『トロール牙峠全土を、暗い悪の影が覆っていた。妖術師ザラダン・マーがエルフの魔法の秘密を盗み出そうとしていたのだ。それに成功すれば、ザラダン・マーは無敵になるだろう。もはや彼と、悪の軍勢がアランシアを征服するのを阻むものはなくなるのだ。アランシア征服、それこそがザラダン・マーの望みだった。』

 

 うーん。なかなかダークファンタジーだぞ。そしてその次の文章には・・・

 

 『怪物(モンスター)にとって、そんなことはどうでもよかった。腹が減ったら何か食べ、腹がたったら叩き潰す。怪物はしゃべることができなかったし、誰かがしゃべる言葉を理解することもできなかった。他の生き物を叩き潰し、その肉を食うことができれば満足だった。この恐ろしい破壊を呼ぶ怪物、それが君だ!』

 

 わあーーーーーーーお!!!!!

 そうなんです。今回はファンタジーなのですが、“君”は人間のブリッツくんではなく、オリジナルの特別編ということで、新しいキャラクター「怪物」を作ることになります。皆さんどうかご了承ください。ちょっと語り口もどシリアスですんで。顔文字とか使いませんので今回は。ガチムチのダークファンタジーです。ヨロシクです。

 さあ、キャラ作成はいつもの通り4d6のダイス割振り制にしてぇー、えいっ!・・・(コロコロ)・・・こうなりました!!

 

 原技術点115)  原体力点152,1)  原運点104

 

 おっとお?この能力値はぁ???

 ふっふっふ、そーか、そーいうことか・・・策略の神ロガーン様め・・・

 まあとにかく、名前もない「怪物」ができました(体力点低いのがちょっと気になるところだが)。こいつが今回の主人公です!!

 

 さてそれでは次に、特別ルールだ。

 俺っちは怪物くんなもんで、今回は食料持ってないし、原点回復薬もありません。だけど人間じゃないのでバリ強です。

 

<スゲぇぜモンスター その1

 戦闘ラウンドで負けてダメージ受けるとき、体力点-2じゃない。体力点-1でよいのだ。

<スゲぇぜモンスター その2

 戦闘時にゾロ目を出せば、敵を即死させる。

 

 ・・・うひょお。

 ブリッツくんの生唾呑み込む音が聞こえてきそうだね。こりゃあ確かに人間じゃないや。

 あ、でも、当Blogのハウスルールにより1ゾロは今までどおりこっちの負け、体力点-4ですからあしからず。

 そして次に、ここから・・・おお・・・

 作品の舞台となる「トロール牙峠」について背景説明が載っているぞ。えらく詳しいな。ひい、ふう、みい・・・なんと20ページもあるのだ。これを全部よよよ読むのか?

 よ、読んだ方がいいんだろうなあ。でないとこの作品の重層なファンタジーが、いまいち伝わらないもんなあ。はうう。

 というわけで、このブログでも次回の投稿から数回に分けて、背景世界を紹介していきます。なかなか本編が始まらなくて退屈かもしれませんが、どうかお付き合いください。

 

 それでは、サックリと、スタートゥ!!

 

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 ではここで、タイタン世界の紹介コーナーですだよ。人物列伝の2回目だ。

 前回は910日に投稿していたな。ヤズトロモ、ニコデマス、そして癒し手ペン・ティ・コラの伝説、その後編です。

 

* * * * * *

 

 異教平原の古代の廃墟で“闇の者ども”の企みに嵌り、「死の呪文」という邪悪な呪いにおかされたニコデマス。

 彼はその呪いを解いてもらうべく、必死の歩みでストーンブリッジへと向かった。そこにはかつての学友であり、“癒し手”と人々に尊ばれている治癒魔法の使い手、ペン・ティ・コラがいたからだ。

 しかし“癒し手”はストーンブリッジにはいなかった。ドワーフたちは、彼はファングに向かったはずだと教えてくれた。悪態をつき、さらに馬をムチをくれ、ときどき止まりかける心臓に怯えながらも平原を北に渡るニコデマス。

 そして瀕死の状態となりながらも、何とかニコデマスはペン・ティ・コラに追いつくことができた。彼はアンビルという村の市場で民に施療していたのだ。

 

 ペン・ティ・コラは友を一目見て、思わず神に祈った。それほど死に近かったのだ。

 彼はぶるぶる痙攣しているニコデマスを村の外に連れ出し、友を肩で支えながら、東に輝く「火吹山」の山頂へと旅立つことに決めた。「友よ、あそこで夜明けを待とう」と、ペン・ティ・コラは重々しく告げるのだった。

 それは長く辛い登山だったが、ついに彼らは山頂にたどり着く。“癒し手”はそこで太陽の仮面を取り出し、ニコデマスの顔に被せ、夜明けの太陽の光を待つ。

 やがて暁光が仮面に達した。そのときニコデマスは夢を見ていた。己の魂を生者の地に持ち帰ってきてくれる不死鳥の夢だ。そして目覚めたとき・・・

 ニコデマスの魂を押し潰していた“死”の冷たい手が消え去った。彼は一命をとりとめた。“闇の者ども”と、その悪魔の主人の復讐から逃れることができたのだ!!

 

 だが・・・“癒し手”ペン・ティ・コラにとって・・・

 ニコデマスを治したこの施療は、あまりにも代償が大きく、邪悪の軍勢の注目を集める行為だった。そう、今度はペン・ティ・コラ自身が、怒り狂ったそれらの者の復讐を引き受けることになってしまったのだ。

 一週間のあいだ、彼は身体を動かせなくなり、とてつもない業病に襲われた。もともとは壮健な青年だった彼の体は醜く歪み、筋肉を動かすたびに苦痛を受けるように変質してしまったのだ。

 我が身に降りかかった想像外の仕打ち、その苦しみにより、“癒し手”は人の世界から去らざるを得なくなった。そして氷指山脈のはずれの寂しい洞窟に身を隠し、ひっそりと世捨て人として暮らすことになる。

 彼は今でもそこにいて治療の術を極めているが、めったに人と関わろうとはしない。彼の助けを必要としない者には、絶対に会おうとしなくなったのだ。

 

 そして健康を回復したニコデマスは・・・

 それから幾度となく悪の跳梁を妨害し、様々な者から依頼されて数多くの冒険をこなした。

 だが、ニコデマス本人が語るところによれば、ひっきりなしに届く助力の要請に疲れ果ててしまい、とうとうポート・ブラックサンド--そう、あの悪名高い盗賊都市--で引退生活に入ることにしたのだった。

 苛烈なまでに善の道に自らを捧げたニコデマス。そんな彼が、なぜあんな悪の巣窟の只中に住み着くことを決めたのか・・・それは誰にもわからない・・・

 (ひょっとしたらそれは、あの街の支配者アズール卿を密かに探るための口実かもしれない?)

 

* * * * * *

 

 で、ヨーレの大魔法学校の俊英三人組のうち、最後の一人、ヤズトロモなわけだが・・・

 他の二人がそんなこんなで大変だった頃・・・

 の ん 気 に ぼ り ぼ り 菓 子 食 っ て ま し た 。

 

 ( ヤズトロモ 「うぉーい!」 )

 

 あ、ウソウソ。けっこうがんばってた。

 大魔法学校を出てから彼は商業魔術師(よくわからない職業だな)になり、護符やお守りや魔法薬などを売ってそこそこに財を成し、その金貨を元手にしてアランシアの各地を渡り歩いた。人間の住む居住地を、東西南北いずれの果てまでも訪れたのだ。

 そして長い旅の果てに得た結論は「悪が再びこの地に充満し始め、彼らの残虐な手が、そこかしこで糸を引いている」ということだった。しかしその端くれといちいち戦って潰していくのも面倒くさい。

 だったらどうすればいいか・・・その手段を見つけるには・・・ううむ・・・

 

 そんな感じで悶々と考えたが結論の出ないまま、彼は旅の途中である場所に立ち寄った。

 そこは広大な森林ダークウッドの森の外縁部だ。季節は隠の月で寒くなりかけていたが、まだ黄昏の星の下を歩くのは快適だった。

 ぶらぶらと夜の散歩を楽しんでいたヤズトロモだったが、ここで闇エルフの襲撃部隊に遭遇する。奴らはダークウッドに住む森エルフの集落を攻撃しようとしていたのだ。すぐさまヤズトロモはこの戦いに加わり、闇エルフどもを魔法の火の玉で焼き尽くした。彼の助力により、戦いは善の圧倒的な勝利に終わった。

 そしてヤズトロモは森エルフたちの尊敬と称賛を勝ち取ることになる。闇エルフの脅威は去ったが、それ以外にもダークウッドの森には数々の危険が潜んでいた。この土地は、常に監視し、保護できる者を必要としていたのだ。

 ヤズトロモは思った。ここは様々なことが牧歌的で、とてもいいところだ。この森のほとりで、のんびりと休養できる「別荘」を作るのもいいかもしれないな、と・・・

 思い立ったが吉日、ヤズトロモはストーンブリッジのドワーフに、自分が住む塔を建ててくれるよう依頼した。ドワーフ王のジリブランは、何でエルフが近くにいるあの森で俺らが工事しなきゃならんのかと一瞬思った。しかし、魔物が潜んでいるダークウッドの森の付近に、良い魔法使いが睨みを利かすのはいいことだと考えた。

 

 こうしてヤズトロモの塔は建てられた。

 それは白い石でできていて、大きな樫の扉がある、印象深い外見の塔だ。中にはたくさんの部屋があり、天文台や、魔法の実験に使う様々な道具が収められている。

 別荘のできばえに満足した彼は・・・ここで少しだけ過ごすはずだったのだが・・・滞在期間が6ヶ月になり・・・1年になり・・・そして最終的には、自分がここに留まり、この地の面倒を見るべきだ、という結論に達した。

 以来、風変わりな老人のヤズトロモは、ほとんどの時をこの塔の書斎で過ごしている。

 お気に入りの古い樫材の肘掛け椅子に座り、とても重大な悪の陰謀が企まれている時を除き、めったに外に出ることはなくなった。

 あとそれから、ここで商売を再び始めた。自分が作った魔法の小道具を訪れた旅人に売り、大好きな砂糖菓子を買う小遣い金に換えるビジネスだ。彼は甘い物が大好きで、買う金が手元にあればいつも注文してしまう。それでも常に備蓄量に満足しているわけではないらしい。たぶん。

 

 とまあ、ここまで書くと、どうしようもない人物なように見えるが、それでもヤズトロモは善に与する活発な勢力だ。付近のエルフとドワーフから絶大な信頼を得ており、仲が悪くいさかい事が多い二種族の間柄であっても、彼の仲裁でなら一致団結して悪に挑みかかる。

 ニコデマスやペン・ティ・コラと違って、完全に引きこもったわけではない。外からのニュースは森に住む鳥や動物、そして(罰当たりにも)自分の師匠の名をつけた「ヴァーミスラックス」というペットのカラスにより届けられる。他にもいろんな魔法ネットワークを有していて、ヤズトロモはこの地にて鋭く目を光らせている。

 彼はアランシアで起こり得る悪の蠢動のほとんどを把握している。そしてポート・ブラックサンドにいるニコデマスを初めとして、その他多くの協力者と情報のやりとりを交わしているのだ。

 

* * * * * *

 

 というところで、ヤズトロモ、ニコデマス、“癒し手”ペン・ティ・コラのお話はここまで!

 次の人物列伝は・・・そうだねえ・・・今度はダークサイドから1人出そうか。さっきちょっと名前も出たことだし、ポート・ブラックサンドの支配者アズール卿のお話です。

 お楽しみに!(^v^)ノ

 

 

 

背景 =トロール牙峠の伝説= (1 –-Creature of Havoc--

 

(「モンスター誕生」序文より S・ジャクソン作 安田均訳)

 

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回の「モンスター誕生」の冒険はアランシアの東部、逆風平原とトロール牙峠の境目で行われる。トロール牙峠の北、クモの森、そして月岩山地と呼ばれる一帯こそ、妖術師ザラダン・マーが支配する闇の地域だ。

 南に下れば、サラモニスの町が文明最後の名残を止め、そこから丘陵地帯は山地となり、ぎざ岩高地、バルサス・ダイアの要塞へと続いている。

 西に目を転ずれば、荒涼たる逆風平原が広がっている。平原を横断すれば、そこはポート・ブラックサンドであり、西の海が広がる。

 逆風平原は、東アランシアと西アランシア、さらにはその先の旧世界の大陸とを結ぶ大動脈ということができる。いくつもの隊商が西アランシアに様々な商品を運んでいった。

 トロール牙峠の東部、フラットランドはきわめて危険な地域だった。西を目指す隊商はフラットランドを通るときだけは戦士たちを雇い入れる--いわゆる“用心棒”だ--のが普通だった。

 トロール牙峠を無事に通り抜けると、用心棒たちはお払い箱になる。彼らはチャリスやシルバートンで東に戻っていく隊商を待ち構えた。中には、コーブンやドライストーンといった小さな町でしばしの休息をとる用心棒たちもいた。

 しかし、どんなに無謀な用心棒でも、ドリーに近づこうとする者はいなかった。

 魔女の村、ドリーには。

 

ドリー ~魔女の住む村~

 

るで毒蛇がとぐろを巻く巣のように、川の三角州の奥深くにドリーがある。ドリーは、邪悪な異形の生き物全てをひきつける磁石のようなものだった。

 そもそもこの村は、おぞましい魔術を使った罪でサラモニスの町を追放された魔女、ロミーナ・ドリーが建てたものである。ロミーナは予言や呪い、愛の媚薬や病気の治療といった月並みな魔術に飽き足らず、生命そのものの本質を追求しようとしたのだ。

 ロミーナはマランハ--ある生き物の器官を、魔法によって他の生き物に移植する--の研究にとりつかれ、何とかして新種の超人的な生き物を造り出そうとした。それによって、サラモニスの貧民街に数々の奇形--人間と他の動物の混血--が誕生した。

 ロミーナの魔術は生命に対する冒涜であった。サラモニスの神々は彼女の研究を快く思わず、ためにロミーナは町から追放された。ロミーナは鎖につながれ、サラモニスのはるか北の地、ディードル川とクモの川が交わる地点で解き放たれた。彼女はそこに居を構え--そして実験を続けた。

 ロミーナの信奉者や、仲間の魔女たちは彼女を見捨てなかった。邪悪な人々がロミーナに会いに北方への巡礼を繰り返し、彼女と共に住んだ。

 やがて村ができ、その存在は各地に知れ渡った。アランシアの他の地域からも魔女が集まり、ドリーの村は黒魔術の実験を行う魔女たちで、そして、マランハの秘術をロミーナから学ぶ人々で、栄えていった。

 ディードル川を上り下りする者や、たまたまドリーの村を通りがかった者は、恐ろしい光景を目にすることになった。村の通りは、名状しがたい奇形の怪物、そもそも生きて動いていることが信じられない哀れな化け物で溢れ、それが汚らしい廃屋で必死に生きながらえようとしていたのだ。

 化け物たちは、身を守れない者や逃げられない異形の仲間を共食いして飢えをしのいでいた。地獄の亡者ですら、マランハの秘術で造られた怪物に比べれば幸せだったろう。

 魔女たちはマランハの秘術で生み出されたモンスターに満足していた。彼女らにとって、怪物は単なる実験の産物であり、哀れむに値しない「もの」であった。怪物たちは、食料、ペット、そしてさらなる実験の材料にすぎなかった。中でも醜悪なものは村を訪れた商人に売られ、アランシア各地を巡るサーカスで見世物にされた。

 ドリーの悪名はあまねく広がり、貪欲で抜け目のない商人たちは村に注目した。魔女は人目につかないところで一人ひっそりと暮らしているのが普通だったので、魔法を商売にすることは甚だ困難だった。もしドリーの村と取引ができれば、莫大な利益を上げることができるだろう。薬や媚薬、呪いや魔法を一つの村からいくらでも買い上げることができるのだ!

 しかし、村の正確な位置を知るものは一人もいなかった。たまたま村にたどり着いた魔法と無関係な旅人はすべて、最初は手厚くもてなされ、油断したところで薬を盛られた。そういった旅人こそ、マランハの秘術の実験材料だったのだ。

 何人もの商人が珍しい果物や宝石、絹の織物や香料を携えてドリーを訪れ、二度と戻らなかった。彼らの大半は実験の途中で死に、生きている者はもはや人間と呼ぶことはできなかった。トカゲの頭やマンギーの頭脳、カニの腕を持つ者を、人間と呼ぶことができるだろうか?

 ドリーを訪れ、無事に出てくることができた最初の商人は、マイアウォーターのギャンガという男だった。彼は、魔女と取引するためには魔女が必要としている物、しかもめったに手に入らない物を持っていかねばならないと考えた。

 彼は香料ではなく、薬草--スカル藻、メデューサ草、呪い葉、清め草などを携えていた。また、マンティコアの毒やエルフの眼球、干したゴブリンの肝臓や煮詰めたグラッブの汁なども彼の荷の中に入っていた。

 魔女たちは喜んで彼の商品を買い、ギャンガはあっという間に大金持ちになった。何年かして、他の商人たちも魔女が欲しがる商品に気づいたが、それまでドリーとの商売はギャンガが完全に独占していたのだ。

 

ドリーの三姉妹

 

女たちは絶対によそ者と付き合おうとはしなかった。めったに村の外に出ようとはせず、出るとしても魂だけの姿ということがほとんどだった。

 しかし、ロミーナの妹たちだけはそうではなかった。彼女たちは喜んで外の世界を歩き回り、旅人や“用心棒”の前に姿を現した。トロール牙峠に、ドリーの三姉妹の悪名が広がっていった。

 確かに彼女たちは不意に現れて旅人を驚かせたり、彼らをからかって無意味な探索につかせたりしたが、実際のところ人間に害を及ぼしたことはなかった。彼女たちは人間に対して母性本能のようなものを持っていたに過ぎない。それでも人々がドリーの三姉妹を恐れたのは、ドリーの魔女たちに対する先入観(三姉妹以外の魔女たちに出会うことは、旅人にとって災厄以外の何物でもなかった)ゆえであろうか。

 ドリーが世界から隔絶してくれていたら、人々は幸せだったろう。しかし、三姉妹の他にも、数少ない何人かの魔女たちが外の世界に出て行き、住み着いた。呪い医(ヨアの森のビトリアナ)や予言者(コーブン近くのロシーナ)、あるいは料理人(バルサス要塞のシーナ姉妹)として、彼女たちはひっそりと暮らしている。

 が、邪悪な目的で外の世界に出て行く魔女がいないわけではない。そういった魔女がドリーの悪名の源であり、そしてザラダン・マーの出現と共に、ドリーはトロール牙峠の人々の憎悪の的となった。

 

 

 

背景 =トロール牙峠の伝説= (2 –-Creature of Havoc--

 

妖術師ザラダン・マー

 

っそりとザラダン・マーを育てたのは、ロミーナの妹たちである。

 誰が彼の父親かは知られていないが、魔女たちが黒ミサで呼び出した多くの地獄魔人のうちの一人であろうことが、まことしやかに伝えられている。あるいは、ザラダン・マーもマランハの秘術による怪物の一つであるとする説もある。

 ドリーは女だけの村なので、三姉妹はザラダンを外の世界に連れ出し、月岩山地で彼を育てた。

 物心ついたザラダンはフラットランドへ送られ、そこで教育を受けた。彼はすでに簡単な魔法を習得しており、魔女たちは高名な魔術師の下で彼の才能が花開くことを期待したのだ。師はヴォルゲラ・ダークストーム、若きザラダンのほかに2人の生徒を持っていた。バルサス・ダイアとザゴールである。

 3人の生徒たちは勉学に励み、ダークストームにとっても、これまでの弟子では見たこともない早さで、彼らは黒魔術をマスターしていった。

 3人は友人であり、互いがライバルであった。他の2人の能力を認めつつ、3人とも自分こそが最強の魔術師であると認めてもらいたがっていた。

 ダークストームの下で学んでいる途中でザラダンは改名した。ザラダン・ドリーという名は自分にふさわしくないと考えたためである。ドリーは魔女の村の名であり、薬草を使ったまじないや呪いといった原始的な魔術をイメージさせた。ザラダンはこういった魔女の術を軽蔑していたのだ。熱中できるのは唯一つ、マランハの秘術だけだ。

 ザラダンは古の黒魔術にある改名の魔術を用いた。ある夏の夜、ザラダンはまる一晩をかけて一人こもって儀式を行った。それが完了したとき、ザラダン・ドリーという名はあらゆる人の記憶から消え、それ以後、彼はザラダン・マーとして知られるようになる。

 マーを始め3人は驚くべき早さで黒魔術をマスターし、ダークストームはやがて彼らの力に怖れを抱くようになった。師の力の衰えを感じ取り、3人は間もなく己の力に十分に自信を持ち、新たに得た力で導師に謀反を起こした。もはや、彼らこそが神に近い存在であり、周囲の世界など取るに足らぬものと感じていたのだ。

 老ダークストームは3人の邪悪な意志に気づき、彼らを滅ぼそうとした。しかし、全ては遅すぎた。

 激しい魔法による闘いが行われたものの、あっけなく片がつき、“悪魔の3人”(彼らは自分たちをそう称した)が密かに呼び寄せた「刃の雨」の魔法が、ダークストームを切り刻むこととなった。

 ダークストームの研究室を略奪し、若き魔術師たちは東へ、トロール牙峠へと向かった。ダークウッドの森でしばらくの間過ごし、それから3人はそれぞれの道を目指して別れていった。

 

コーブン

 

ラダン・マーは鉱夫という触れ込みでコーブンの町--ドリーの村から南に半日--に向かった。地下に己の居城を築くためだった。

 ところが、何たる偶然か、ザラダンは金の鉱脈を掘り当ててしまったのだ。イエローストーン金山のおかげで彼は裕福になり、強大な権力を握った。

 しかし、彼の真の目的は金ではなかった。己の帝国を築き上げ、やがては全アランシアを征服する、それが彼の望みだった。

 その国家建設は一人でできることではなかった。ザラダンはヴァラスカ・ルーを雇い入れ、金山の管理を任せた。

 ルーは身なりこそみずぼらしいが、丸々と太った気性の激しい男で、ザラダンのように力を渇望し、鉄のように固い意志を持っていた。ルーはザラダンに忠実に仕え、ザラダンも彼を信用して秘めたる野望を明かした。2人は征服の計画を練っていった。

 やがてルーはザラダンの軍隊を指揮するにふさわしい男を探しに出かけ、ザラダンは最近耳にした出来事について思索にふけった。

 よじれ樫の森に住む中立の魔術師ハニカスは、魔法に必要な品を買い求めてコーブンの町を訪れ、ザラダン・マーと出会う。

 ザラダンはハニカスを地下の研究室に招き入れ、彼に地下帝国でのしかるべき地位を保証しようと申し出た。ハニカスはそれを承諾した。ハニカスはトロール牙峠一帯の伝説に通じており、ザラダンはその知識を我が物にしようとしたのだ。

 ハニカスが語った数々の物語の中で、“スティトル・ウォードの煙”という伝説がザラダンの注意をひいた。

 

虹の池

 

モの森の奥深く、群生する槍穂木に隠された魔法の湿原があった。

 誰一人として湿原を見た者はいない。したがって、虹の池に関する噂も当てにはならないが、そこにいくつもの美しい池があるという。

 まるで神自らが創ったかのごとく、それぞれの池は極彩色の花々で彩られている。花々は四季を通じて枯れることがない。水中からオレンジ色のユリが顔を出して咲き乱れ、甘い匂いが漂っている。池の周囲は色とりどりのホウオウボクで縁取られ、その周りに咲くアサガラの鈴のような銀色の花が、風に吹かれて揺れている。その眺めは絶景と言う他なく、“虹の池”という名前がついている。

 しかし、虹の池という名前の由来は、その咲き乱れる花ゆえではない。池の水そのものが虹のようにいくつもの色を持っているのだ。それぞれの池の底の岩に異なる種類の金属が含まれているからだと主張する者もいるが、おそらくそれは誤りだろう。そうであるには、あまりにも色の違いがはっきりしすぎている。

 したがって、虹の池は魔法で造り出されたと考えるべきだろう。エルヴィンならそのように美しい池を喜んで作るだろうが、あたりでエルヴィンが見かけられることはない。であるから、虹の池を造ったのはエルフであると考えられている。

 虹の池が持つ魔法の力について、いくつもの言い伝えがある。青緑の池で顔を洗えば美しくなれる。琥珀の池で水浴すれば、一つの技能(それが精神的なものであれ、肉体的なものであれ)に習熟することができる。真紅の池に浸かれば人徳が増し、あらゆる人からたちまち友情と尊敬を得ることができる。

 こういった噂話の大半、あるいは全てが真実から程遠いものであろう。なんといっても、虹の池を見た者は一人もいないのだ。そのことからも、池が魔法の産物であると覗うことができる。

 虹の池は邪悪なる森の中のオアシス、そして桃源郷であり、そこを訪れた者は、あまりの美しさで永遠に立ち去ることができないとも言われている。

 

 

 

背景 =トロール牙峠の伝説= (3 –-Creature of Havoc--

 

スティトル・ウォード

 

年、虹の池に関する噂のいくつかが、冒険者たちの間で話題となっていた。スティトル・ウォードの白髪の森エルフが、虹の池を含む一帯を治めているというのだ。

 ここにあるエルフ村(エルフ語で“エレン・ダーディナス”と称される)は強い魔法で守られており、エルフが望まない部外者は決して中に入ることができない。そして中に入ることが許されるのは、村の位置を外部に漏らさない者だけに限られていた。

 一つだけ確かなのは、エレン・ダーディナスがクモの森の奥深くに実在し、おそらくその近くには虹の池があるということだ。

 冒険心に富む若いエルフの中には、好奇心のあまり樹上の王国から外の世界に出かけ、地上をさすらい、他の種族と交際し、(ごくまれにではあるが)人間の町にやってくる者すらいる。

 そのようなエルフの一人がリーハ・フォールスホープだ。リーハはチャリスの町の近くを通りかかり、この町を覗いてみたいという誘惑に勝てなかった。

 謎めいた白髪の種族に関する噂がパッと広まった。チャリスの娘たちはこの優美な青年に魅了されてつきまとい、くすくす笑ったり、話しかけたりした。リーハは夜な夜な町の居酒屋を訪れ、飲み比べでは誰にもひけをとらなかったので、粗野な男たちも快く彼を受け入れた。町の露店で立派なマンドリンを手に入れたリーハはあっという間にそれを弾きこなし、道行く人は誰もみな彼の歌声に聞きほれた。

 チャリスの人間でリーハを知らぬものはもはやいなかった。人々はリーハの故郷の話を聞きたがったが、最初のうちリーハは黙して語らなかった。当然のように根も葉もない噂が流れ、中にはリーハを貶める噂もあった。リーハは自分の名誉を守るため、少しずつ、ほんの少しずつ、エルフの村の話をする羽目になってしまった。

 人々はそれこそ熱狂してリーハの物語に聞き入った--そうした“逸話”はたちまち野火のように町に広がった--ので、彼も少しずつ大胆になった。リーハは自分の物語の多くを歌のかたちで語り、それらの歌は今なお西アランシアの各地で吟遊詩人によって歌い継がれている。

 そんなある夜、リーハは少しばかり酒を飲みすぎ、少しばかり煙草を吹かしすぎたため、余分に口を滑らせてしまった。酔って酒場娘などに、エレン・ダーディナスがクモの森の奥深くに実在するなどと言うつもりはなかったし、ましてやエルフしか知らない“煙”の秘密を漏らすつもりなどはまったくなかった。

 話し終わった瞬間、リーハは自分が犯した過ちに気づき、何とかしてごまかそうとした。しかしすでに手遅れだった。酒場の主人や立ち聞きしていた客たちが矢継ぎ早に質問を浴びせかけた。なかでも、村の名前を尋ねる質問が多かった。エルフ語の発音は人間には難しすぎたのだ。

 リーハはとっさに浮かんできたごまかしの単語を口にしていた。スティトル・ウォードと。スティトル・ウォードとは、エルフが衣類の染色に用いる青い染料の名前だった。

 酔いが覚めたリーハは自分のしでかしたことに愕然となった。何世代にも渡って守られてきた森エルフの秘密を、人間たちに、それも酒場の客などに明かしてしまったのだ。

 リーハはすぐにチャリスを離れ、故郷に戻っていった。村の秘密を人間たちに漏らしてしまったことを報告するために。

 リーハは仲間の冷たい視線を浴びながら、一生を村で終えた。その間、リーハとその家系はエレン・ダーディナスの賤民として扱われた。今なお、エルリア・フォールスホープ--リーハのひ孫--は仲間の非難のまなざしから逃れることができない。決して罪を忘れてもらえないほどに“煙”の秘密は重要なものだったのである。

 

スティトル・ウォードの煙

 

の木々の上に建てられたエルフの村は外敵から完全に守られていた。エルフの魔法の力と優れた視力--はるかかなたの侵入者を容易に発見することができる--が村の守りに役立っていたし、しかも神々自身がひいきにしていたのだ。

 エルフは自分たちを選ばれた民だと信じていたし、それは事実その通りだった。神々は自分たちが創り出した白髪のエルフの、あまりの美しさ、優雅さに驚いた。

 エレン・ダーディナス(人間の言葉ではスティトル・ウォード)の昔のエルフの僧侶たちは神々と“契約”を取り交わした。神々はエレン・ダーディナスのエルフに他の生き物にはない特別な加護を約束する。その代わり、神々へ嫁ぐ娘をエレン・ダーディナスの来るべき女王として代々選ぶ。この未来の女王は、すばらしく美しく、機知に富み、非の打ち所のない優美さを備えていなければならない。

 18歳の誕生日に娘は神々と霊的に交わりを持つ。この交わりこそ代々のエルフにとって最高の名誉であり、交わりが長く続けば続くほど、神々の祝福は大きいものとなる。交わりの際、大いなる力と智慧、指導力が娘に与えられる。エレン・ダーディナスの新しい女王の誕生だ。

 交わりから4つの季節が過ぎる間に、女王は“出産”する。“出産”は宗教儀式であり、それに立ち会うのは侍従の僧侶だけだ。“出産”がどのような出来事であるかを知るのは、女王と僧侶、そして信頼できる村人数名だけである。“出産”の呪文は女王と僧侶だけが知っているのだ。

 女王が“出産”するのは普通の子供ではない。それは神が女王に授ける“煙”--特殊な力を有する精霊--なのだ。

 精霊の力は、女王がどの神と交わりを持ったかによって異なっており、それは女王だけが賢い使い方をする。どんな“煙”か知っているのは、女王と僧侶だけだ。誕生した“煙”はガラスのフラスコにしまわれ、僧侶が保管する。

 女王は一生の間に一度だけ“煙”を呼び出してその力を行使することができる。ただし、呼び出すことができるのは、毎年1回の神分けの日--“煙”を授けた神の星座が、特別な位置に来た日--の夜に限られている。

 

 

 

背景 =トロール牙峠の伝説= (4 –-Creature of Havoc--

 

サグラフとダラマス

 

の池、スティトル・ウォード、そしてエルフの女王の産み出す“煙”--ザラダン・マーは以上の話をハニカスから聞きだし、より詳しい情報を集めた。その結果、現在のエルフの女王エシレスは、なんと3つもの“煙”を持っていることが判明した。

 エシレスはエルフの中でも飛びぬけて美しい女性だった。そのため彼女は3柱ものエルフの神と霊的な交わりを持つことができた。言葉の神ユーシリアル、理性の神イシシア、エルフ魔術の神アライアリアンの3柱だ。

 このうち、3番目の神の名がザラダンの関心を惹いた。エルフの魔術は、彼の黒魔術に勝るとも劣らぬ力を持っているからだ。もしエルフの魔術を使いこなすことができるようになれば、そのときこそザラダンは無敵となるに違いない。ザラダンの鋭い知性はこれに気づき、彼は魔術師ハニカスの話に考えをめぐらせた。

 しかしエルフの村は巧妙に隠され、守られていた。ザラダンは数年もの時間をかけて、スティトル・ウォードの場所を発見する手段を練った。その間に金山は大きくなり、ザラダンの権力もますます確固たるものになっていった。

 ヴァラスカ・ルーは新しい仲間としてハーフ・トロールのサグラフを連れて戻ってきた。ゼンギスのちっぽけな宿屋で、酔った挙句に殴り合ったのが、ルーとサグラフが知り合うきっかけだった。

 ザラダンもサグラフの荒削りなユーモアと残酷さが気に入り、彼をよじれ樫の森に派遣した。サグラフは森にあるハニカスの家を改造し、軍隊の“訓練所”を創設したのだった。

 全ての伝説を聞き終えた今、ハニカスには何の価値もなかった。それどころか、彼は己の無能さをさらけ出していた。負かされていた研究室の管理をおざなりにしてしまい、ならず者の“用心棒”グループが研究室に忍び込んで略奪したことにすら気づかなかったのだ。

 ハニカスの代わりが見つかったのは2年後だった。ポート・ブラックサンドから戻ってきたヴァラスカ・ルーは、にやにや笑いながらザラダンにダラマスのことを告げた。

 ハーフ・エルフのゾンビーであるダラマスは、慈悲や良心といったものをまったく持ち合わせておらず、人を拷問したり殺したりすることを喜びとしていた。軍隊の士官として、彼は必ず死刑を自らの手で行った。それも、ただ単に楽しむために長時間の拷問を加えた後で。

 ザラダンは熱心にこの話を聞き、その後、背の高いハーフ・エルフが彼のもとに現れたときには、聞いていた以上に相手を気に入った。

 ダラマスはイエローストーン金山の管理を任された。最初に彼が行ったのは、賃金システムの変更だった。ダラマスの着任以来、イエローストーン金山の労働者には給料として鞭と鎖が支払われた。鉱夫の数が足りなくなれば、サグラフ率いる軍勢が近隣の村へ奴隷を狩りに行った。

 ザラダンはダラマスの能力に満足し、まもなく研究室を含む地下における全ての活動がダラマスの管理下に入った。ハニカスにはもはや抵抗する術はなかった。

 

ダーガ・ウィーズルタング--無垢なる裏切り者--

 

グラフの軍は日増しに強大となり、訓練所も大きくなっていった。訓練所の周りには獣も寄りつかなくなり、それが冒険心に満ちた若い森エルフの注意を惹いた。

 エルリア・フォールスホープの従兄弟、ダーガ・ウィーズルタングが曾祖父と同じようにエルフの裏切り者となることは、あるいは避けようのない運命だったのかもしれない。

 ぶらぶらと散歩を楽しんでいたサグラフの兵士が、蛇頭のオフィタディオタウルスを調教していたダーガに出会い、仲良く話し合う間柄になったのだ。

 サグラフはそれを兵士から聞き出し、直ちにザラダン・マーへ報告した。ザラダンはすぐに“訓練所”に向かい、友好的なサイ男に変身してダーガに近づき、彼の好意を得ることに成功した。

 白髪の森エルフは自分でも意識しないうちに、ザラダンの<魔法生物支配>の呪文をかけられていた。ダーガは“煙”を盗んでくるよう命じられ、それを成し遂げてしまったのだ。

 “煙”は研究室の地下深く隠された。しかしながらいくら“煙”を調べてみても、スティトル・ウォードの外に住む者には、その使い方は皆目わからなかった。

 ここにきてザラダン・マーも、エルフの村エレン・ダーディナスを絶対に見つけてやると誓いを新たにした。

 

 

 

背景 =トロール牙峠の伝説= (5 –-Creature of Havoc--

 

ガレーキープ

 

かに大量の兵士を動員しようとも、クモの森を地上から探索するだけでは、森エルフの村を見つけることはできないだろう。エルフの魔術がある限り、村を見ることすらかなわぬはずだ。ザラダンにもそのことはわかっていた。

 しかし、別の可能性がそのうち出現した。純白の帆をなびかせ、一隻の巨大な船がやってきたのだ。

 その船体は信じられないほどに厚く、小さな穴一つ開けることもできないだろう。巨大なその船には、ゆうに一千の兵士が乗り組むことができる。船がどこから現れたのかは、誰も知らない。しかし、その船が神の手に成るものであることは明らかだった。

 人々がガレーキープと呼ぶその船は、海ではなく空を飛んでいたのだ!

 ザラダンはガレーキープの奪取を決意した。あの船を手に入れることができれば、いかにも世界の支配者としての姿にふさわしく、ザラダン・マーの名は否が応にも世界に鳴り響くことだろう。

 しかも、空からの探索ならばスティトル・ウォードを発見することもできるかもしれない。地上からは隠されていても、空からとなると・・・ザラダンはヴァラスカ・ルー、そしてサグラフらとともに襲撃計画を検討した。

 ザラダンの軍が船に不意打ちを仕掛け、激しい戦いが始まった。“訓練所”でたっぷり修練を積んだ兵士たちは船の乗組員を圧倒し、船はザラダンのものとなった。ザラダンはすぐに船に指令室を置き、船上で生活し始めた。

 そして今、ザラダンはクモの森を上空から探索している。

 事情を知っている者たちは、彼が成功するのではないかと恐れおののいている。もしスティトル・ウォードが発見され、“煙”の謎が解明されれば、ザラダンは無敵になるだろう。何とかしてザラダンの計画を阻止しなければならない。

 チャリス、シルバートン、ストーンブリッジの勇敢な冒険者がかき集められ、“煙”の探索に出発した。しかし、彼らの誰一人として“煙”を見た者はなく、彼らは何を探せばいいのかすらわかっていないのだ。

 マイアウォーターでは、カラ・ベイが鳥男の軍隊を組織しようとしている。が、鳥男のガレーキープに対する恐怖心は根強く、たとえ組織することができてもガレーキープを奪回することは困難だろう。

 サラモニスでは、町に住むエルフが北に向かい、何とかして森エルフに警告を伝えようとしている。しかし森エルフは同じ種族の仲間すら信用しようとしないから、この試みも望み薄ではあるが。

 もはや、ザラダン・マーの前に立ち塞がる者はない。ザラダンがアランシアを征服するのは時間の問題だろう。

 

 以上が「モンスター誕生」をとりまく世界の説明だ。

 その大半は大して役に立たないだろうし、君を迷わせるための情報が含まれているかもしれない。冒険を始めればわかるだろうが、君には理性というものはほとんどなく、君の行動は本能に支配されている。君がなる“怪物”の本能に、だ。

 しかし、冒険を進めていくにつれて、君は自分の運命が定められていることを知り始め、疑問を感じだすことだろう。

 

 自分は何者なのか?

 どこからやってきたのか?

 なぜここにいるのか?

 

 その答えは、君が怪物(モンスター)として選ぶ道にしたがって異なっている。

 

(お待たせしました。いよいよ本編がスタートです!!)

 

 

 

覚醒 –-Creature of Havoc--

 

【技術点11/11 体力点15/15 運点10/10

 

 おれ  は  めざめ  た

 

 

 

蠢動 –-Creature of Havoc--

 

【技術点11/11 体力点15/15 運点10/10

 

 いたい

 ここ どこ だ?

 よごれた ゆか いし かべ つうろ いきどまり

 あたま ぐらぐら て で おさえる ざらざら して いた

 おれ の かお うろこ おれ の せなか とげ はえてる いちれつ に なって

 まえ に ぼうっ と した ひかり この さき いきもの が いる! そこ に あるき だす と なにか が よこたわって いた

 こがら な おとこ まだ いきて いる ねている もじゃもじゃ の ひげ あおじろく よごれた かお

 

 

カラー.JPG 『君の全身に、わけのわからない感情の波が駆け抜けた。

 怒り? 憎しみ? 恐怖? 好奇心? 飢え?』

 

 おとこ が おきた おれ を みる 

 とびはねて あとずさり てつ の ぼう の さき を おれ の むね に むける

 おれ の あし が かって に うごき おとこ を けりとばす おとこ は さけぶ

 

ドワーフ「ヘチテアチ、キル!」(※1

 

 おれ の あし に きりつける が かたい うろこ が それ を はじく

 おれ は この ちいさな ひげもじゃ の おとこ を ふみつぶした!

 おとこ は なにか もっていた?

 こし に おおきな ふくろ ひきちぎると きらきら ひかる きんぞく の えんばん が でてきた

 あと は ちいさな かわ かわ には いろいろな きごう が かかれて いる よく わからない けど この てざわり きにいった もって いく こと に きめた

 

『君はまだ気づいていないが、この革きれに記されているメッセージは、これから君の冒険に必要なものである。革を持っている限り、メッセージを読みたければいつでも337に行くことができる』

 

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 337

 「ゆぽネ、しろあおぷぼでユ、セトソノ、こよめなしネ、オヲセイタナ、エクリ、コアゾアネチマ--ヘイオワ、エケトア、ヤイゴアネ、ノヲクチワ、イクソ。ドチテサツ、ハテチネ、ナヲミワ、ムアジ。ごよぞを・ほーネ、タオツアケキナアカ、“クミラ”ネ、ノアチソ、ひよしけワ、テラメデシネゾ。しつあてり・いえーでネ、“くみら”ワ。ひよしけノ、コヲベヲ、ポリネヅ、セネシブツワ、ケネヘイツアナ、メタオウリケテ。ひよしけネ、ヒソノ、クチサツ、テチツノ、トヨトア。ケネナヲミワ、ノソコニテカ、セトソナノ、ネレアン、ヒラオオリヅ、ポレイ。アネタ、ポリオガラ、ナヲミワ、シアケイスユ」(※2

 (その下にも文章があるが、少し書き方が異なっている)

 「“タサカネ、クミラ”--さりどーてをネ、ポホアレネ、ソツンマ--チドコ、ポリ、オビテ」(※3

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 ( ここ で さいころ を ふる でめ は 3 )

 

 くねくね と まがっている つうろ を さき に すすむ どんどん さむく なって きた しろい いき を はいて さら に さき に すすむ 

 へや に でた

 あかり と たくさん の はなしごえ きこえる

 たたかい に なる! おれ の は と かぎつめ むきだし に なった!

 へや に とびこむ と まんなか に たきび と 3にん の ぼうけんしゃ

 ひとり は キラキラ かがやく ふく うごく たび に シャランシャラン おと を たてる

 ひとり は まっかな ふく ながい くろひげ を はやして いる

 3にんめ きれいな かわ を まいた ちいさな おとこ あし に もじゃもじゃ の け が はえてる たきび で あし を あたためて いた

 3にんめ の おとこ が いちばん よわそう だ! いき を すいこんで つっこむ!!

 

『哀れなホビットは何の武器も持っておらず、鉤爪にとらわれたその命はもはやなくなったも同然だ。残る2人は、慌てて立ち上がったために身体のバランスが崩れ、ホビットの手助けができる状態ではない』

 

【ホビット 技術点5 体力点6

1R (ホビット/12)(“君”/19) ホビット/体力点-2

2R (ホビット/10)(“君”/17) ホビット/体力点-2

3R (ホビット/11)(“君”/21) ホビット/体力点-2 ←KiLL!!

 

 いちど も きずつけられず に 3かい いない で たおした!

 おれ は うごかなく なった ちいさな おとこ の にく を あじわおう と する ところで おもいだした

 まだ 2にんの てき が のこって いた!

 きらきら した ふくの おとこ おおきな てつ の ぼう ふりかざし わめく

 

鎧の戦士「セアチネ、ケケレワ、けをてれーりサレ!しわあをぶぽでネ、アドサユワ、サチツアリオメ、サルトアゼ!」(※4

 

 ここ で うんだめし けっか は きち

 おれ は すばやく うごいた あかい ふく の おとこ なにか つぶやいて いる こっち の ほう が つぶすの かんたん! あかい ふく の おとこ を はりとばす!! そいつ は ふっとんだ うごかなく なった!!!

 イタイ!

 きらきら した ふく の おとこ その すきに おれ を さした!(体力点-2

 おれ は ふりむき うなりごえ あげて そいつ と たたかう!

 

【鎧の戦士 技術点8 体力点9

1R (鎧の戦士/15)(“君”/17) 鎧の戦士/体力点-2

2R (鎧の戦士/19)(“君”/15) “君”/体力点-1

3R (鎧の戦士/17)(“君”/21) 鎧の戦士/体力点-2

4R (鎧の戦士/20)(“君”/14) “君”/体力点-1 

5R (鎧の戦士/19)(“君”/21) 鎧の戦士/体力点-2

6R (鎧の戦士/20)(“君”/出目3) “君”/体力点-2

7R (鎧の戦士/19)(“君”/15) “君”/体力点-1

8R (鎧の戦士/13)(“君”/17) 鎧の戦士/体力点-2

9R (鎧の戦士/18)(“君”/15) “君”/体力点-1

10R (鎧の戦士/13)(“君”/18) 鎧の戦士/体力点-2 ←OverKiLL!!

 

 こいつ も ぶんなぐって うごかなく させた! ころした!!

 

 

 

(※1)ほっといて、くれ!

 

(※2)ヨアの スワインベアよ そなたは サラモニスの かんそうちに おける さいだいのつみ--ほうかを おこない ゆうざいの はんけつを うけた。

ばつとして ひとつの にんむを めいず。

ザラダン・マーの ちかていこくにいき “けむり”の はいった フラスコを とりもどすのだ。

スティトル・ウォードの “けむり”を。

フラスコは さんぼん あるので そのすべてを このほうていに もちかえること。

フラスコの ふたは けっして とっては ならない。

このにんむを はたさぬとき そなたには のろいが ふりかかるで あろう。

いのち あるかぎり にんむを すいこうせよ。

 

(※3)“ちしきの けむり”--シルバートンの あまいろの たてがみ--つばさ ある かぶと

 

(※4)そいつの こころを コントロールしろ!

スヲインベアドの いばしょを しっているかも しれないぞ!

 

 

 

遭遇 –-Creature of Havoc--

 

【技術点11/11 体力点7/15 運点9/10

 

 たたかい おわって おれは はらが へっていた

 あたたかくて やわらかい ほびっとを ほねごと たべる

 きらきらした よろいの おとこは かたくて たべられない だから おれに なぐられ じめんに たおれて よわっている あかい ふくの おとこに とどめを さし ふみつけてから たべる

 これで はらいっぱいに なった(体力点が原点まで回復)

 ぼうけんしゃたちの もちものを あさるが たのしそうな ものは ない

 せんしが もっていた まるくて たいらな きんぞくの えんばん すてた あかい まじゅつしが もっていた くるくる まかれている かみも すてた ほびっとが もっていた しかくくて やわらかい “サユキラユイ(※1)”? これも すてた

 このへやの でぐち 3つ ある にしに すすむ

 

 やがて つうろは まっくらに なった

 キーキーと こえが して つばさを もった ちいさな どうぶつ おれを ひっかく だけど かたい うろこは それを ふせぐ

 つうろ きたに まがる おおきな きの とびら しょうめんに ある

 とびら ぶちやぶる? それとも ほかのこと かんがえる? 

 

 ( ここで さいころを ふる でめは 6 )

 

 おれは てで とびらに あなを あけ そのあなを ひろげて からだを くぐって へやに はいった

 へやの なかは さゆうに とびらが あり わらが しきつめられ こわれた てーぶると いすが ちらばっている たぶん たたかいが ここで あったらしい

 まんなかに さっきと おなじ よろいを きた せんし つばさつきの かぶとを かぶって ころがっている ぜんぜん うごかない うでと かたの つなぎめに くろいやいばの つるぎが ささっている

 せんしの ちかくに さらに 3にんの したい

 ひとりは せんしと おなじ からだで かわの よろいの せんし のこる 2にんは ぶたの ように はなが ひくくて あごに するどい きばが はえている

 ぜんぶで 4にん しんでから かなりの じかんが たっている おれは ちかづき したいを のぞきこむ

 すると あしあと きこえた だけど すがたは みえない なんだ? おどろいた! したいが きえていく なにが おこっている??

 

 ( ここで さいころを ふる でめは 1 )

 

 もっと しらべてみる

 したいを けとばして ころがすと キーっという おたけび なにも なかったところに 3つの やせこけた ばけものが でた こいつらは ぴょこぴょこと すばやく めは ちいさく くちが でかい そして しょくじの じゃまをされて おこっている!

 

『このたちの悪い生き物は屍肉喰らいだ。屍肉喰らいは死体をあさっているとき、背後から襲われるのを防ぐために姿を消すことができるのだ。ただし食事をしていないときにはその能力を発揮できないし、気も短くなる』

 

カラー0013.JPG

【屍肉喰らい1 技術点6 体力点6

【屍肉喰らい2 技術点6 体力点7

【屍肉喰らい3 技術点6 体力点6

1R (屍肉喰らい1/13)(“君”/18) 屍肉喰らい1/体力点-2

2R (屍肉喰らい1/17)(“君”/5ゾロ) 屍肉喰らい1/即死←KiLL!!

3R (屍肉喰らい2/12)(“君”/17) 屍肉喰らい2/体力点-2

4R (屍肉喰らい2/15)(“君”/15) Draw

5R (屍肉喰らい2/13)(“君”/18) 屍肉喰らい2/体力点-2

6R (屍肉喰らい2/10)(“君”/20) 屍肉喰らい2/体力点-2

7R (屍肉喰らい2/17)(“君”/21) 屍肉喰らい2/体力点-2 ←OverkiLL!!

8R (屍肉喰らい3/18)(“君”/出目3) “君”/体力点-2

9R (屍肉喰らい3/10)(“君”/16) 屍肉喰らい3/体力点-2

10R (屍肉喰らい3/12)(“君”/15) 運試し吉 屍肉喰らい2/体力点-4 ←KiLL!!

 

 ぜんぶ たおした したいは 7つに ふえた

 ぶたはなの したいは かじってみたら とても くさい くえないので はきだす ちいさな ほね もっていたけど いらない おとこの したいは きんぞくえんばん もっていた これも いらない

 つばさつきの かぶとの せんし おおきな ふくろを せなかに しょっていた あけると ちいさな きばこ さらに そのはこ あけると とうめいな がらすの びんが あった なめらかすぎて おれの ゆびでは すべって もてない

 いらいらして ゆかに おとすと がらすの びんの せんが はずれた なかで うずまいていた むらさきの けむり が びんから あふれでた

 むらさきいろの けむり おれに ちかづき にんげんより ちょっと かくばった かおの かたちに なる へびのような ひとみが おれを みつめ くちが うごいて はなしはじめる

 

紫色のガス「ロン、ヌミラワ、モビラサ、メネユ。トヲザ、ロルテ、ロンタオヨワ、サヨジ。サオサ、ロンガミワ、ノソコヲ。トヲザナ、ラスアネ、ハオラワ、ポソウヲ。ケルユラ、トヲザネ、イヲムアノ、トヲザン、カラハヨキブサ。ロル、ヒソソバ、ヌミラナ、チオヲ。ヘサベサン、ハテホロラシリ、セネテカホヅ(※2)」

 

 わけが わからないから なぐりかかる だが てごたえはなく とおりすぎた けむりの かお ゆっくり めを つぶる いろが しろに かわる

 そして けむりは がらすの びんの なかに ひとりでに はいって せんが かってに しまる その がらすの びんは こばこの なかに またひとりでに はいって こばこは すうっと きえた!

 こんな へやは もう ごめんだ おれは にしの とびらから でる! (ただし、いま経験したことで、運点+2を加えよ)

 

 つうろは まっすぐじゃないけど てんじょうが あおく ひかっているから くらくない だから あるける

 まえの ほうから あしおとだ ちかづいてくる おれは あしおと しない あいては きづかないだろう たたかいの よかん かどを まがる ゆっくりと

 するどい ひめい! ぼうけんしゃに ぶつかった!!

 せんとうの やつを こぶしで かべに たたきつける うしろの なかま2にん はしってくる そのまえに こいつを たおさなければ!

 

【冒険者のリーダー 技術点7 体力点8

1R (冒険者のリーダー/17)(“君”/19) 冒険者のリーダー/体力点-2

2R (冒険者のリーダー/12)(“君”/17) 冒険者のリーダー/体力点-2

3R (冒険者のリーダー/14)(“君”/18) 冒険者のリーダー/体力点-2

4R (冒険者のリーダー/14)(“君”/18) 冒険者のリーダー/体力点-2 ←KiLL!!

 

 やっつけた! それと どうじに のこる2にん どうじに こうげきしてくる (複数戦闘のルール) とうぞくと おんなせんし どちらも たてを もっている!

 

【女戦士 技術点7 体力点7

【盗賊 技術点8 体力点6

1R 盗賊を指定 (女戦士/15)(盗賊/10)(“君”/17) 盗賊/体力点-2

2R 盗賊を指定 (女戦士/17)(盗賊/14)(“君”/2ゾロ) 盗賊/即死 ←KiLL!!

 とうぞくも たたきつぶしたけど おんなせんし なきながら はむかう!

3R (女戦士/19)(“君”/1ゾロ) “君”/体力点-4

 いたい! おれは ほんとうに おこった!!! 

4R (女戦士/10)(“君”/15) 女戦士/体力点-2

5R (女戦士/9)(“君”/20) 女戦士/体力点-2

6R (女戦士/15)(“君”/18) 女戦士/体力点-2

 どんどん なぐりつける おんなせんし なきわめいている だけど ゆるさない!!

7R (女戦士/19)(“君”/20) 女戦士/体力点-2

 とうとう おんなせんし めを とじて ぐったりと うごかなくなった

 

 おれは そうなった おんなせんしの かお ふみつぶした!!

 

 

 

(※1)しょくりょう

 

(※2)わが ねむりを やぶりし ものよ。

なんじ われと わがちからを しらず。

しかし わがぎむを はたさん。

なんじに りせいの ひかりを あたえん。

これより なんじの うんめいは なんじが きりひらくべし。

われ ふたたび ねむりに つかん。

ほしぼしが ひとまわりする そのときまで。

 

 

 

発現 –-Creature of Havoc--

 

【技術点11/11 体力点9/15 運点10/10

 

 ぶちころしたぼうけんしゃたちの したいのまわりをうろつく そしておれは きになるものをはぎとった

 リーダーがくびにかけていた ペンダント とうぞくがうでにはめていた ブレスレット おんなせんしがもっていたふくろのなかには 12まいのきんぞくのえんばん おれは いちばんきにいった ペンダントをてにしてみる

 にぶいいろのきんぞくばんに かわひもがつながっている きんぞくばんはまんまるで ちゅうおうにあおいほうせきがはめこまれている そうだ このぼうけんしゃは これをくびからかけていた だからおれもそうしてみる

 

『実はこのペンダントには特別な秘密が隠されている。何も見ることができない・・・という文章に行き当たったら、その文章が書かれている番号から20をひいた番号に行くことができる』

 

 これはいいものだ とてもとてもきにいった だからずっとかけておこう!(運点+1ですが原点なのでそのままです)

 それと このばしょをはなれるまえに はらごしらえをしておこう めのまえにはうまそうなにくがころがっているのだ おれは3つのしたいをガツガツむさぼりくった!(体力点+4

 

 それからおれはさきにすすむ

 はるかまえからみずのながれるおとだ くうきもしめっぽくてつめたい

 いきなりめのまえがひらけた おれはがけのへきめんにある いわだなのうえにたっていた みおろすとはるかしたに かわがながれている かわはどうくつのなかをながれているんだ

 ここからかわべりまでかいだんが いわだなにきざまれている おりるしかないけど このかいだんは おれのあしではちいさい あしをすべらせそうでこわい

 おりていくにつれて いやなにおいもただよってきた かわのみずがにおいのもとのようだ ちゃいろくにごっている だけどおれのすすむみちは このかいだんしかない

 ここでうんだめし けっかは きち なんとかころばずにしたまでおりられた だけどここはとてもくさい!

 はやくここからさらないとしんじまいそうだ きたとにしに2つのどうくつがある おれはきたのほうにはいった

 

 どうくつのおくは すぐにまっくらになる てさぐりでゆっくりとすすむ するとつうろは いきなりひろくなった まだまわりはみえないけど どうやらおおきなへやにでたようだ

 だけどこのへやはまっくらだ なにもみることができない・・・

   <<<ここで現在のパラグラフから20をひくことができる!>>>

 なんだ??

 ペンダントがいきなりひくいおとをはっして あおいほうせきがピカッとひかった!!

 ほうせきのひかりはあおからあかにかわる あかいこうせんがめのまえのかべをてらす そこをしらべると ちいさないしがロープにむすびつけられている そのいしをひっぱると・・・

 ゴロゴロというおとがして しょうめんのかべがずれた ひみつのとびらだ!

 そうか このペンダントには かくれたとびらをはっけんできる ちからがあるのだ!! 

 

『これから先、真っ暗な中を進んでいくと、すぐに通路は行き止まっていたという文章があったら、その場所には隠れた扉があるかもしれない。その文章の番号に20を加えた番号を読んでみること。文脈が通じれば隠れた扉を発見したことになる。文脈が通じなければ、そこには隠し扉がないので元の番号に戻ること。隠し扉を発見するたびに、君の運点に1を加えることができる』

 

 ワクワクしたおれは かくしとびらをくぐってなかにはいる 

 そこはちいさなへやで かべぎわにはこがひとつある はこのふたをあけると そのなかに2つのものがはいっていた

 ひとつはおおきくてかたいえんばん かたがわにかわのとめぐがあって てにつけられる

 もうひとつはきれいないしでできたこんぼう みどりいろでひかりをはんしゃして にぶくひかっている これでぶんなぐればてきにおおけがをあたえられるけど とてももろそうだ

 だけどおれはこんぼうのほうがきにいった! とてもきにいった!!

 

『君が選んだのは水晶の棍棒だ。さして価値のあるものではないが、君にとってみればとても美しい品に違いない。ただし、砕けやすい。戦闘の際にこれを使うなら、そのときは333に進むこと』

 

 このこんぼう もったいなくてたたかいにつかえない だからさいごまでだいじにもっておこう

 ここのかくされたへやにはもうなにもないから もとにもどってさきにすすむ

 

 さっきのまっくらなへやをぬけて きたにすすむつうろにでる そっちにはあかりがあって ホッとしたからだ

 そのきたへのつうろは やがてひがしとにしにのびるつうろといきあたっていた

 どっちでもいいから おれはにしにすすんだ そのつうろはみぎにおれまがって また2つにわかれている

 こんどはまっすぐきたにすすむか にしにまがるかだ これもどっちでもいいから おれはにしにいく そっちのつうろをすこしすすむと・・・ハッ!おれはたちどまる!

 まえのほうからカチャカチャおとがきこえてくるぞ!!

 それでもようじんしてまえにすすむ あしおとときんぞくのこすれるおとは ますますおおきくなる おれのきんにくにちからがはいり かぎつめとはがむきだしになる!!

 あっちのあしおとがとまる ヒソヒソささやくこえがする あっちもきづいたんだ そしてまたあしおとだ ちかづいてくることにきめたようだ

 そしておたがいにちかづき いきなりあいてのすがたがみえた!!!

 あっちはふたりのにんげんのせんしだ おどろいておれをみつめて うごこうとしない

 おれもおどろいたので いっしゅんにらみあう だけどおれのほうが やつらよりほんのちょっとうごくのがはやかった あいてにダッとつかみかかる!!!

 

【戦士 技術点8 体力点9

【革鎧の剣士 技術点7 体力点8

1R (戦士/18)(“君”/18) Draw

2R (戦士/12)(“君”/16) 戦士/体力点-2

3R (戦士/14)(“君”/17) 戦士/体力点-2

4R (戦士/16)(“君”/16) Draw

5R (戦士/17)(“君”/20) 戦士/体力点-2

6R (戦士/11)(“君”/21) 運試し吉 戦士/体力点-4 ←Overkill!!

7R (革鎧の剣士/12)(“君”/20) 革鎧の剣士/体力点-2

8R (革鎧の剣士/15)(“君”/18) 革鎧の剣士/体力点-2

9R (革鎧の剣士/11)(“君”/20) 革鎧の剣士/体力点-2

10R (革鎧の剣士/16)(“君”/17) 革鎧の剣士/体力点-2 ←KiLL!!

 

 せんてをとれたのがきめてだった! おれはやつらをあっとうしてさつりくした!!

 

 

 

解読 –-Creature of Havoc--

 

【技術点11/11 体力点13/15 運点8/10

 

 さあ、こいつらはなにをもっている?

 おれはホッといきをついたあと、よこたわる2つのしたいをながめる。ひとりめのおとこが、たたかうまえに、せおいぶくろをじめんにおいていた。まずはそれをあけてみよう。

 ふくろのなかには、なにかかたいものが・・・くそ!おれのふといゆびじゃあなかなかとりだせない。イライラしてガチャガチャふくろをふると、そこからちいさなきばこがころがりおちた。

 きばこは、じめんにおちたしょうげきでふたがひらき、なかにはいっていたフラスコのせんもぬけてしまう。

 フラスコのなかのえきたいがゴボゴボとわきたち、みどりいろのけむりがでてきた。それはぐるぐるとうずまいて、にんげんのかおになった!

 そのかおは、やせこけてかくばっている。めをカッとみひらいて、おれにはなしかけた。

 

カラー0003.JPG

緑色のガス「ロソサノ、ケテドネ、クミラ。ロソサワ、ムゴムコスソネノ、ゾルゾ? ソサオナ、ヘサベサノ、ソゾサア、アタナ、チアツアリ。ユレサア、エキラメネワ、コジクユイ(※1)。さあこれで君はどんな言葉でも・・・」

俺「??????」 (いきなりこいつのしゃべりが、わかるようになった!)

緑色のガス「・・・理解できるようになった。この贈り物を上手く使うんだよ」

 

 こういうと、ガスはふたたびうずまいて、フラスコのなかにもどっていく。そしてすべてなかにはいると、フラスコもろともきえてなくなった!

 あったばしょをてさぐりしても、もうなにもない・・・

 

『君は幸運にも“言葉の煙”から贈り物をもらったのだ。それは言葉を理解する力であり、君はいまやどんな言葉でも--書かれたもの、話されたもの問わず--理解することができる』

 

 おれはひとりでにさとった。ことば!ことば!そうか、あたまがよいいきものには、ことばがある。ことばでものごとをつたえる!!

 ここまでもってきた、かわにかいてある(さいしょのひげもじゃのこおとこがもっていたものだ)・・・ことばをみた・・・よめる!わかる!

 

『今や君は言葉を理解する力を持っているのだから、暗号の読み方を知っておかねばならない。暗号の解き方はすごく簡単だ。暗号の言葉を全て、50音順の次のひらがなに直せばよいのだ』

 

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<<<当Blog特製 暗号解読表>>>

 

あ→い  い→う  う→え  え→お  お→か

か→き  き→く  く→け  け→こ  こ→さ

さ→し  し→す  す→せ  せ→そ  そ→た

た→ち  ち→つ  つ→て  て→と  と→な

な→に  に→ぬ  ぬ→ね  ね→の  の→は

は→ひ  ひ→ふ  ふ→へ  へ→ほ  ほ→ま

ま→み  み→む  む→め  め→も  も→や

や→ゆ  ゆ→よ  よ→ら

ら→り  り→る  る→れ  れ→ろ  ろ→わ

わ→を  を→ん

ん→が

 

が→ぎ  ぎ→ぐ  ぐ→げ  げ→ご  ご→ざ

ざ→じ  じ→ず  ず→ぜ  ぜ→ぞ  ぞ→だ

だ→ぢ  ぢ→づ  づ→で  で→ど  ど→ば

ば→び  び→ぶ  ぶ→べ  べ→ぼ  ぼ→ぱ

 

ぱ→ぴ  ぴ→ぷ  ぷ→ぺ  ぺ→ぽ  ぽ→あ

 

★「ぽ」は一周して「あ」に戻る。

★大小の“つ”“っ”、“ゆ”“ゅ”などの区別はないので、それは前後で判断しなければならない。

★「ー」はそのまま読めばよい。

★カタカナはひらがなに、ひらがなはカタカナに直すこと。

 

========================================

 

 そうか、いままでであったやつらは・・・

 こういうことをいっていたのか!こういうことをつたえたかったのか!!

 まほうのけむりのちからで、おれはやつらのことばがわかるようになった(運点+1)。

 

 さあ、ぼうけんをつづけるぞ!!

 

 

 

(※1)わたしは ことばの けむり。

わたしを めざめさせたのは だれだ?

たしかに ほしぼしは ただしい いちに ついている。

よろしい おくりものを さずけよう。

 

 

 

疎通 –-Creature of Havoc--

 

【技術点11/11 体力点13/15 運点9/10

 

 おれはこのば所からひきかえした。元の分かれみちまでもどるのだ。

 そしてふたたび北へのつうろをあるきはじめる。北にすすむつうろは、やがて東へのつうろと分かれているところに出た。よし、こんどはここを東にまがってやる。

 東へのつうろは、大きな木のとびらにつきあたっていた。このとびらはとてもがんじょうで、ぶちやぶれそうにない・・・

 だけどとびらのまん中に金ぞくのとっ手があるぞ。おれはそれをたたいてノックしてみることにした。すると、とびらのおくからブーブーというなき声と、足をひきずる音がきこえる!

 とびらがギーッとひらく。出てきたのは、ブタのような大きなはなと小さな目、かおのまん中からつき出たきょ大な角。よろいに身をつつんだサイ男だ!

 

カラー0012.JPG

サイ男「トナワ、サナカソヲゾ? ケテドン、ロオリトヨ、シギナ、レキザヤイナドヲナ、アキヲゾ。レキ、ナ、ドヲゾゼ。キタン、カクトアネオ?コポ、エルワ、エケヨストアイタナ、コチコテオウル」(※1

 

 こいつはそんな風にはなしかけてきた。そしておれは、こいつのことばがわかる!

 

  <<<パラグラフ62に進む!>>>

 

 おれはコクコクとうなずいた。おれみたいなモンスターでもことばをわかるのが、サイ男はおどろいたようだ。おれを中にまねき入れて「するとお前も、マーの怪物の1人なんだな?」とあらためてたずねてくる。

 マー?なんだかよくわからないで首をかしげるおれに、サイ男はフンとはなをならしてせつ明をはじめた。

 

サイ男「それも知らないのなら、イエローストーン金山か、ねじれ樫の訓練所に行きな。お前の体つきからすると訓練所のほうがいいだろう。ダラマスが知っているよ。ダラマスは何だって知っているんだ。ただし、ダラマスを怒らせたら大変だぞ。あの無慈悲なゾンビーに対して勝ち目なんてないからな」

 

 おれはちょこんとすわってはなしをきく。このサイ男はとてもおしゃべりなやつだ!

 

サイ男「それでもし訓練所に着いたら、えーと、何だったかな・・・そうだ、29番兵だ。29番兵にこう伝えてくれ。“ガット・フーリーはクモの森の指輪を持って逃げた”ってな。あそこでは名前ってものを使わないんだ。もちろんサグラフは別だがな。29番兵は俺と同じサイ男だよ。そうだ、お前はしゃべれるのか?」

 

 おれは口をあけて同じようにしゃべろうとする・・・が、だめだ。ことばが出てこない・・・

 

サイ男「だめか?だめだよな。じゃあ、手紙を書いてやろう。この手紙を29番兵に渡すんだ。頼んだぞ。北の扉から出て、三叉路に着いたら右に曲がるんだ!」

 

 そう言うと、サイ男は手がみをわたして、おれのせ中をおす。

 なにがなんだか、よくわからないが、おれは大人しくこのへやを出るしかない・・・(もし29番兵を見つけたら、その番号に29を加えた番号に進むこと)・・・

 

 サイ男に言われたとおりにする。

 三さろから東にいき、すぐにつうろは上りかいだんにつうじていた。かいだんを上りきると南へのつうろで、少しいくと、東と西に分かれみちとなっていた。

 東にいくか?西にいくか?

 くんれん所にいけ、と言われたけど、それがどこにあるのかぜんぜんわからない・・・。

 よくわからないから、あてずっぽうに、東にいくことにした。いわでゴツゴツしたつうろはするどく南におれまがり、まがったところでいきどまりだ。正めんと左手に木のとびらがある。

 どちらをあける?正めんか?左か?

 どっちでもいいや。おれは左のとびらをあけた!

 

 かるくおしただけでとびらはスーッとひらいた。

 へやの中にいたのは2ひきのブラッド・オークだった。じょうぶなあごとするどいはをもった、いぼだらけのモンスターだ。

 そして、ブラッド・オークのうしろにろう人が立っていた。このじじいはボロボロのローブをまとい、白くて長いあごひげを生やしている。

 

カラー0004.JPG

老人「ゾルゾ? トナン、エケチソヲゾ? ポポ、ケネムキヨホサネ、ネレアン、テクツキルルド・・・」(※2

 

 おれがろう人のことばをききとろうとする前に、ブラッド・オークが突しんしてきた。たたかわなくてはいけないようだ!(ここは複数戦闘です)

 

【ブラッド・オーク1 技術点7 体力点7

【ブラッド・オーク2 技術点8 体力点7

1R ブラッド・オーク2を指定 (ブラッド・オーク1/9)(ブラッド・オーク2/17)(“君”/20

   ブラッド・オーク2/体力点-2

2R ブラッド・オーク2を指定 (ブラッド・オーク1/17)(ブラッド・オーク2/16)(“君”/4ゾロ)

   ブラッド・オーク2/即死 ←KiLL!!

 おれはブラッド・オークの片われのあたまをつかんで、にぎりつぶす。

 ぐしゃあ!もう1人の方はおどろいて、23ほ、あとじさる・・・

3R (ブラッド・オーク1/14)(“君”/20) ブラッド・オーク1/体力点-2

4R (ブラッド・オーク1/16)(“君”/17) ブラッド・オーク1/体力点-2

5R (ブラッド・オーク1/12)(“君”/19) 運試し吉 ブラッド・オーク1/体力点-4 ←OverKiLL!!

 

 おれは2人ともしとめた!オークどもの死たいをふみまたぎ、ぼろをきたろう人にちかづく。ろう人はおびえてふるえており、うつろな目を天じょうに向けている・・・

 

老人「デトソオ、サヨニン、ポロルト、レイザヲナ、エトコクワ。メサ、マオソトヨ、ケケオヨ、ゾサツキル。デイサツ、ゾホチツ、アリヲゾ。アチソア、ゾルトヲゾ? ゾサツキルリ、チメラトヨ、ノモキサツキルユ。セイヅトアネトヨ、ヘチツエアツキル。ケテドン、ロオヨトアネオ? ロオリネトヨ、ナハモキドヲナ、アキヲゾ。ナ、ズレ、ズレ、ゾゼ。トナオ、アチツキル。ポロルト、レイザヲナ、エムギマワ。オヌオ、ソブメネワ、ムギヲヅ、キゾコル」(※3

 

 ええい、しゃべるのがペチャクチャうるさい!

 ろう人をころそうかと、一しゅん思った。だけどこいつのことばはわかるので、とりあえずきいてやることにした。もうちょっとだけつき合ってやる。

 おれは、自分のゆびを、このじじいに向ける。お前はだれだ?ろう人はとまどっている。うう、おれはしゃべれないんだ。わかれ!お前はだれだ!?

 なん回もゆびさす。なん回も!なん回も!なん回も!

 そうしてやっと、おれが伝えたいことを、こいつはわかったようだった。

 

  <<<パラグラフ200に進む!>>>

 

老人「わしの名は・・・」

 

 

 

(※1)なにを しにきたんだ?

ことばが わかるなら すぐに ろくじゅうにばんに いくんだ。

ろく に ばんだぞ。

くちが きけないのか?

さあ おれを おこらせないうちに さっさとかえれ。

 

(※2)だれだ?

なにが おこったんだ?

ああ このめくらましの のろいが とけてくくれれば・・・

 

(※3)どなたか しらぬが あわれな ろうじんに おなさけを。

もし みかたなら ここから だしてくれ。

どうして だまって いるんだ。

いったい だれなんだ?

だしてくれる つもりなら はやくしてくれよ。

そうでないなら ほっておいてくれ。

ことばが わからないのか?

わかるのなら にひゃくばんに いくんだ。

に ぜろ ぜろ だぞ。

なにか いってくれ。

あわれな ろうじんに おめぐみを。

かねか たべものを めぐんで くだされ。

 

 

 

放擲 –-Creature of Havoc--

 

【技術点11/11 体力点13/15 運点8/10

 

老人「わしの名はハニカス。ここで起こっていることはおおよそ知っているつもりだよ」

 

 目が見えない老いぼれはそう名乗った。そして自分の身の上をしゃべり始める。

 

ハニカス「なんといっても、私はこの地下研究所の所長だったのだからな。ザラダン・マーが、わしのような老いぼれの魔術師よりもゾンビー・・・くそったれのダラマスの方が能率的だと言うまではな・・・く、く、く・・・36年間に渡って忠実に働いた見返りが、目くらましの呪いというわけだ。今では、わしはダラマスのなぐさみものとして生かしてもらっているにすぎん。もしわしを助けてくれるなら、ダラマスのところまで案内するが?」

 

 何だかよくわからん。だがとりあえず、おれはコクコクとうなずいた。するとそれを「わかった」のサインと受けとったのか、ハニカスは話を続けていく。

 ダラマスとかいうやつのところに行くには、まず東に進み、ぺちゃくちゃじゅうの部屋まで行く。だが、この“ぺちゃくちゃじゅう”の話を聞いてはならない。やつは食い物をおびきよせるためにしゃべっているだけなのだ。そしてそこからに北に進めば、すぐにダラマスの部屋に着くだろう・・・と、ハニカスは話す。

 

ハニカス「そして、ダラマスは手強いが、こいつさえあれば簡単にやっつけることができる!」

 

 さらにそう言うとハニカスは、ふところからぎんの指わを出した。指わには大きな石がついている。おれの近くによってきて、手探りでおれの指を見つけて、その指わをはめた。この指わはどんな大きさの指にもぴったりはまるようにできているのだ。

 

ハニカス「ダラマスに出会ったら、指輪を外して壁に叩きつけろ。そうすれば半エルフのゾンビーを一瞬にして滅ぼすガスが出てくる仕掛けになっている。もちろん、人間やその他の生き物には無害だ」

 

 半エルフ?ゾンビー??ガス???お前の話、よくわからない・・・

 だが、この指わのきらめきは、気に入った!(運点+2 おれはこいつをずっと指にはめておくことにする。

 「さあ、こいつをあげるかわりに外へつれていってくれ」と老人は言った。だがどうすればいい?こんな弱そうなやつ、足手まといになるのはわかりきっている。

 だからおれは放っておくことにした。

 「おい、話が違うだろ、あんまりだ!!」あわてて怒っている老人をわきに押しのけ、耳が聞こえないふりをしてこの部屋から出るのだった・・・。

 

『もしダラマスに出会うことができたら、老人が教えてくれたように指輪を使うことができる。その場合はダラマスにつかみかかるという選択肢のある文章の番号に50を加え、その番号に進むこと』

 

 部屋の出口は入ってきたところしかないので、いったんもどって、正面のとびらを開ける。

 そっちは天じょうが高い大きなへやで、カビくさい。東西南北どっちにもとびらが1つずつついている。

 へやの真ん中には大きなテーブルがあった。その上には金づちとくぎがおいてあり、厚い板もある。何かの工作をするへやなのか?細長い木ばこがかべに立てかけてある。その横のかべにはくぼみがあるぞ。

 このくぼみを調べると・・・はるか下に続いているらしい・・・水の流れる音がする・・・。

 だが、このくぼみからおりるより、へやについているとびらから出た方が、楽そうだとおれは思った。だからここにあるものには全部さわらないで、おれは東のとびらから出ることにした!

 

 東に進んでいくと、石の橋があるところに出た。

 深い谷にかけられた橋だ。谷底にはザーザーという音が聞こえるから、川が流れているらしい。下をのぞくと、とてもいやなにおいがする。

 石の橋はせまくてぬるぬるしているぞ。足がすべらないように注意して歩く必ようがあるぞ・・・(運試し、吉)・・・よし、わたりきったぞ!

 おれはぶじに石の橋の反対がわにたどり着くことができる。右手に小さな道があるけど、おれのからだではきゅうくつだと思ったので、そのまままっすぐ東に進み続けることにした。

 

 やがて、前に2つのとびらが見えてくる。

 通ろはそこで行き止まりだ。耳をとびらに当てて、中のようすを探ることにする。1つのとびらの方は何も聞こえてこない。だがもう1つの方は、息をしている音が聞こえる。ぶ気味な音だ・・・

 そっちに入ったらあぶないと思った。だからおれは、何も聞こえてこないとびらの方を開けることにするが・・・開かない!かぎがかかっているぞ!!

 おれは怒った。おもいっきりぶつかる!ドスン!体当たりしたらとびらがこわれた!かたをいためたけど、そのうち治るくらいのいたさだ(体力点-1)。

 

 さあ、このへやは何がある?

 おれはこわしたとびらをふみこえて中に入る。へやの中にはだれもいなくて、真ん中にがあり、その回りは書るいだながかこんでいる。たなにはきちんとひもで結ばれた書るいが整理されている。東のかべにとびらがあるぞ。

 おれはたなにある書るいを見た。だが、書いてある言葉がわからなかった。さっきの“言葉のけむり”で読めるようになった言葉より、もっともっと難しい言葉で書いてあるんだ。くやしくてうめき声を上げながら、もっと他に調べようと真ん中の机に近づいていって・・・そのときだ!

カラー0001.JPG どごおおんん!!

 おれの真後ろで大きな音がした。おどろいてふり返ると、さっきまでなにもなかったところに、いきなり大きな怪物がいた!

 怪物の体は肉じゃなくて岩でできている。怒っているらしい。おれをにらみつけて、こぶしをにぎりしめ大きな口を開けて、ノシノシと近づいてきた。どう見てもおれより大きくて強そうだ。戦うとけがすることになるし、さい悪、殺されてしまうかもしれない。

 だけどおれは勇気を出して戦う!歯をくいしばり、むき出しになったかぎ爪で、この岩男のような怪物になぐりかかる!!

 ・・・?

 おれのこぶしは、てきの体を突き抜けた!

 なんだ?わけがわからない??

 もう一回なぐりかかってみるけど、やっぱり、何の手ごたえもない。

 一歩前にふみ出し、今度はこいつの胴体をつかもうとする・・・が、空気しかつかめない。どうなっているんだ???

 ぷちっ。おれの足が何かをふんだ。そしていきなり、この岩の男のすがたが消えた。

 おれは足のうらを見る。そこには死んだネズミがこびりついていた。小さなネズミをふみつけて死なせたら、岩の男も消えた?だと??

 

『そのネズミに“幻影”の魔法がかかっていて、ロック・デーモンになっていたのだ。君には何が何だかわからなかった。が、危険が去ったのは間違いないようだ・・・』

 

 まあ、いたいことにならなくて、よかった!

 おれはあまり気にしないことにして、あらためて机に近づき、上にあった紙を読んでみる。うれしいことに、こっちは読める言葉で書いてあるぞ。どれどれ・・・

 

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ごよぞを・ほーヅヲカ、ゾア、カヤイ、ザヤイ、コヲぷーざ(※1

 

 オキツ、ごよぞをノ、ビチサチ、スオアワ、ノトル、エネルネ、スオアナ、テザケメチソ。ロルロルン、サチツアリ、アオトリ、スオアテメ、ケテトリ、スオア--ザゲキナ。オルン、アリユイナ、マウリ、ドサユナ、オルノ、アトア、グヲオキネ、スオア。オルワ、コンサ、メテムリ、メネノ、エネルネ、シンソワ、マアゾシヅ、ポレイ。サオサ、ケネソムナ、ごよぞをノ、ハテチネ、ザモキツヲワ、メチケテナ、トチソ。シアサユイネ、ケヲベイゾ。ロルロルネ、スオアテ、オルネ、スオアワ、ミシビ、メヲワ、ノオアシルド、ごよぞをノ、ナデテ、メデチツ、ケルトキ、トリゾレイ。(※2

 メサ、カマン、ごよぞをネ、スオアナ、チイザリ、メヲワ、マチクソヨ、セネテカネ、ドヲゲイオヨ、ケケナ、オオルツアリ、ぷーざドヲゲイ (カヤイ、ザヤイ、コヲ) ワ、ハカ、セネドヲゲイナ、シシム。ヘヲテイナ、メヲネ、テケレナ、アソネトヨド、ごよぞを・ほーナ、ポイケテン、ヅカリノジゾ。ケネサユリアワ、ユヲゾ、カマノ、イヲツヲワ、グヲツヲナ、メデシケテン、ヅカリ。(※3

 

========================================

 

 ・・・なるほど。

 おれはしばらくこの紙を見つめ、中身を覚えてから、へやを出ることにした。

 

 

 

(※1)ザラダン・マーでんき だい きゅう じゅう さんページ

 

(※2)かくて ザラダンは ぶっしつ せかいを はなれ おのれの せかいに とじこもった

われわれが しっている いかなる せかいとも ことなる せかい --じごくに。

かれが いるように みえる ばしょに かれは いない げんかくの せかい。

かれを さがし もとめる ものは おのれの すがたを みいだすで あろう。

しかし このために ザラダンは ひとつの じゃくてんを もつことに なった。

すいしょうの こんぼうだ。

われわれの せかいと かれの せかいを むすぶ もんを はかいすれば ザラダンは にどと もどって これなく なるだろう。

 

(※3)もし きみが ザラダンの せかいに つうじる もんを みつけたら そのときの ばんごうから ここに かかれている ページばんごう (きゅう じゅう さん) を ひき そのばんごうに すすめ。

ほんとうに もんの ところに いたのならば ザラダン・マーに あうことが できるはずだ。

このしょるいを よんだ きみは うんてんを げんてんに もどすことが できる。

 

 

 

看破 –-Creature of Havoc--

 

【技術点11/11 体力点12/15 運点10/10

 

カラー0005.JPG さて、本と文字だらけの部屋を出て・・・

 俺はさっきのところに戻り、何かの声が聞こえてきた部屋を、覚悟を決めて開けることにする。扉には鍵がかかっている。体当たりしてぶち壊すしかないぞ!

 ガツン!思いっきりぶつかる。だが開かない(体力点-1)。ちくしょう!もう1回試してみる。ガツーン!今度は開いた!扉が吹き飛んだ!!

 俺は身構えてのっそりと踏み込む。部屋の中には4つの壁それぞれに扉があり、片隅の床にはうず高く骨が積み上げられている。そして食べかけの人間の死体と、食事を邪魔されて怒っている巨大な怪物がいる!

 この怪物は全身が毛に覆われて凶暴な目をしている。狂獣というモンスターだ。鋭い歯をむき出しにして襲いかかってきた!

 

【狂獣 技術点7 体力点8

1R (狂獣/15)(“君”/2ゾロ) 狂獣/即死 ←KiLL!!

 

 だが俺の怒りは、こいつよりも強かったのだ!!

 一瞬にして俺の拳は奴のどてっ腹を突き破り、狂獣は為す術なくピクピクもがき苦しみ・・・そして動かなくなった。あっという間に死んだ。

 それなりに腹が減ったので、俺はここで休むことにした。肉を食うことにしようじゃないか。俺の目の前には、俺が殺した狂獣と、その狂獣が食っていた人間の肉の2つが転がっている。どちらにするか・・・狂獣の肉はなんとなく臭そうだ。そして人間の肉の方が脂がのっていそうだ・・・。

 ・・・ ・・・ ・・・ うむ、うまい。

 死んでからかなり経っているが、その分熟成されて味がまろやかだ(体力点+4)。

 そしてこの人間もまた、小さな金属の円盤--どうやらこれは「金貨」というものらしい--を2持っていた。持って行くことにする。それから緑の薬と青い薬もあったが、これは薄気味悪いからどちらとも飲まないことにした。

 腹ごしらえは十分だ!俺は大きくげっぷをしてから先に進む。

 

 俺は東の扉を開ける。通路は薄汚れていて、すぐに木の扉に遮られた。扉に耳を当ててみると、23人(それとも匹?)で話し合っている声が聞こえる。

 扉に鍵はかかっていない。ここまでの戦いで利口になった俺は、部屋に忍び込んで中にいる奴を驚かせて有利に戦うことを考えた。

 だからそうする。そうっと扉を開け、そろりと足音をさせないで中に入って・・・

 なんだ?誰もいないぞ??

 部屋は丸い形だ。扉が西と南と北の壁に1つずつ、そして扉と扉の間にそれぞれくぼみがあって、つまり合計6つのくぼみがある。このくぼみは十分俺が入る大きさだが、どれくらい奥に続いているかは暗くてわからない。

 そしてさっきの話し声は、俺が部屋に入ると同時に消え去っていた。生き物の気配がない。臭いもしない。少なくともこの部屋の中には。

 俺は慎重に部屋の中央まで進んでいく。中はしんと静まり返っていて、俺は薄気味悪さで苛立ってきた。さっきの奴らはどこにいる?いい加減、姿を現せ!!

 そのとき、いきなり1つのくぼみから、さっきの声が聞こえてきた!

 

くぼみからの声「ケケゾ。ケネフモネ、ケテン、サラソアトヨ、ケタヨナ、エアヅ。ポル、ケテドン、ロオヨトアネオト? ヅノ、てれーりゲン、アアオト。」(※1

 

 いや、お前の言葉はわかる。俺は声がしたくぼみへ近づいていく・・・

 

くぼみからの声「ふあ、おみえを、かもを、やー、ぽをぞーしそをで、てれーらちさや? えーねー、ぽとごー、よをぐーざ・・・」(※2

 

 俺はトロールじゃないんだ。その胸糞悪い言語でしゃべりかけるのをやめろ!

 

くぼみからの声「・・・これならどうだ?おっ、わかるようだな。さて、君のお役に立ちたいのだが、何がお望みかな?美味い食事にありつける場所に案内しようか?太ったホビットが2匹いるところを知っているんだ」

 

 体力点は原点。腹いっぱいだ。俺は首をゆっくり横に振る。

 

くぼみからの声「それとも君の秘密を握っている人物について話してやろうか?ザラダン・マーのことだよ。さあ、こっちにおいで」

 

 俺の秘密だと?ザラダン・マー??

 陽気な声は確かにそう告げたのだ。俺がどうして暗闇の迷宮で彷徨っているのか、教えてくれると言う。

 それはとても知りたい!ここはいったいどこなんだ!なぜ俺はこんなところにいるのだ!そして俺は・・・いったい、何なのだ!!

 俺はふらふらと声がするくぼみに入り込む。東の壁の真ん中のくぼみだ。

 

 

くぼみからの声「さあもっと近くへ。こっそり君にだけ教えてやろう。ちがう、そのくぼみじゃない。ここだよ、怖がらなくていいから・・・」

000.jpg

 くぼみは短いトンネルで、すぐに行き止まりだった。

 天井はかすかに光る物質で覆われている。

 

くぼみからの声「さて、全知全能の人物と、美味いホビットについて話してあげよう。少しばかり長くなるが我慢してくれよ。なにせ他人と話をするのはずいぶん久しぶりだし、外の話も聞きたいからな」

 

 声の主は奥の壁にもたれて腰を下ろしていた。

 頭からすっぽりフードを被っているので、顔を見ることはできない・・・

 

くぼみからの声「さあ、もっと近くにおいでよ。最近耳が遠いものでね。飲み物はどうだい?」

 

 俺はもっとその人影に近づこうとして・・・いや、待て!

 違う!この人影は、生きていない!!

 そう、俺に話しかけていると思っていたこいつは、ただの死体の骸骨だ。そして声は天井から聞こえてくることに気づいた。

 天井のかすかに光る物質は、実は、クモの巣のような身体を持った獰猛な肉食生物なのだった。こいつらがいろんな言葉で誘い出し、俺をおびき寄せよせていたのだ。そしてこの怪物は、上からふわりと覆いかぶさってまとわりつき、麻痺の毒で動けなくさせてからゆっくり獲物を食べるのだ。

 そうか、こいつが、ペチャクチャ獣!!

 老いぼれハニカスからの警告を寸前に思い出した俺は、ペチャクチャ獣を刺激させないよう、ゆっくりとくぼみから遠ざかっていく。

 くぼみからは様々な言葉の悪態が聞こえてくるが、そんなことは気にしない。どうせこいつがザラダン・マーについて知ってることなんて、嘘っぱちに決まっているんだ。

 

 自分のことを知りたければ、自分で知るさ。

 

 俺はペチャクチャ獣の潜むくぼみを離れ、別のくぼみに入ってみる。

 こっちの中は暗くてよく見えない。しかしかすかながら、盛り土で巧妙に隠された向こうに、わずかなきらめきが見える。

 水が滴っているのか?慎重に中へ入っていくと、天井が崩れて土砂がザラザラと降ってきた。生き埋めになるのか!?・・・いや大丈夫だ。そんなに大したものじゃない。

 俺は気にせずくぼみの奥まで進み、その“きらめき”の正体を確かめることができた。

 天井の小さな穴からフワフワ舞い降りてくる、きらきら光る・・・これは・・・粉・・・?

 粉の真下に立って天井を見つめてみたが、何もわからない。粉を全身に浴びてしまったが、特に身体への変化もないようだ。

 

『粉には魔法がかかっているが、どうもこれは白魔術の性格を持っているものらしい。すぐに効果が出るものではないようで、君がそこで自分の見つけたものにしばし頭をひねるのも無理からぬことだろう。しかし、エルフの粉の滝を何者かが目隠ししようとしていたのは明らかだ・・・』

 

 ここまででお馴染みの言葉だが・・・

 何だかよくわからん。俺は鼻の穴に詰まった粉をくしゃみで吹き飛ばし、くぼみを出て、部屋に戻る。

 そしてこの部屋も離れることにする。さっきの老いぼれハニカスの話では、ペチャクチャ獣のいるところのすぐ北に行けば、ダラマスとかいう奴の部屋にたどり着くって話だ。よし、敵か味方かわからないが、そいつに会ってみよう。

 俺は北の扉を開け、狭い通路を先に進むのだった。

 

 

 

(※1)ここだ。

このへやの ことが しりたいなら こちらに おいで。

あれ ことばが わからないのかな?

では トロールごが いいかな。

 

(※2)ヘイ カムオン キャン ユー アンダースタンド トローリッシュ?

オーノー アナザー ランゲージ・・・

 

 

 

酷薄 –-Creature of Havoc--

 

【技術点11/11 体力点15/15 運点10/10

 

 北への通路を先に進む。

 足の裏に心地よい感触を覚えた。これまでの通路とは違い、ここには丸石が敷き詰められているのだ。だが何だか薄気味悪い。俺の頭は、このような「頭のよさそうなもの」に対して、違和感しか覚えないのだ。

 突然、背後でガチャンと音がする。

 はっと振り返ると鉄格子が降りて通路を塞いでいた。俺は引き返すことができなくなったのだ。先に進んでいくより他にない・・・

 そしてしばらく行くと十字路にたどり着いた。どちらも奥の方までは見通せない。

 俺は当てずっぽうでここから西に曲がる。ここから先は真っ暗だ。その中を手探りで進んでいくと、すぐに通路は行き止まっていた。そう、真っ暗な中で、すぐに通路は行き止まりだ。

 

   <<<現在のパラグラフに20を加えた番号へ進む!!>>>

 

 またペンダントがブーンと震えて青く光った!ここに隠された扉がある!!

 隠し扉を見つける魔法のペンダントの青い光は、壁の一点を照らし出す。そこには小さな留め金があった。それを引っ張ってみる。すると突然蒸気が噴き出した!

 驚いて飛びのく俺。蒸気はかすかに酸っぱい臭いがするものの、俺にとって毒ではないようだ。それが晴れると壁面に裂け目が現れ、気味の悪い緑色の光が向こう側から漏れている。

 裂け目は狭い。だが俺の身体で何とか通れそうな隙間だ。だったら入ってみるとしよう。目を緑色の光に慣らしてから・・・。

 裂け目の向こう側は狭い通路だった。

 その通路を一歩ずつ慎重に進むと正面に暗闇がある。不思議なことに緑色の光が照らされているのに、その闇の中はまったく見ることができない。

 その闇へさらに近づくと、身体の回りが通路でなくて、広くなった空間になったのが肌で感じられた。

 突然、俺の左手のすぐそばで、ぽうっと小さな炎が灯った。

 その炎は人間の顔の形をとる。目を閉じた老人の顔だ。生きているのか死んでいるのかわからない。また炎が灯った。別の老人の顔だ。また1つ。さらに1つ、そしてもう1つ・・・

 俺の四方は4つの老人の顔に囲まれた。

 そいつらは同時に目を見開き、同時に口を動かし始める。甲高い声で俺にこう告げた!

 

老人の顔「エホウネ、ケイデイノ、シブツ、オヲサコルツアソ。トナハテチ、サヨコルツアトオチソナメ、オオロヨジ、ユキケケホヅ、ケルソメネゾ。サオサ、エホウネ、エオグヅ、ヒソチネ、クミラン、イサトロルツ、サホチソ。エホウネ、サユビヲノ、ごよぞを・ほーコホン、エカムナ、トチソ。エホウノ、ケネデイキチヅ、ロソサネ、ムアジリホホナ、ケイデイシリネゾ。ロソサノ、ぞよほし、エホウネ、サヤザヲゾ!(メサ、ケテドン、ロオリトヨ、カヤイザヤイドヲナ、シシム。カヤイ、ズレ、ドヲゾ)」(※1

 

   <<<パラグラフ90に進む!!>>>

 

 俺は低いうなり声を上げて辺りを見回す。

 4つの炎が揺らめいて消え、その代わり天井に照明がつき、明るくこの中を照らし出した。

 いつの間にか俺は贅沢な部屋の中に入り込んでいたのだ。壁には絵や織物が飾られている。それらは地獄の風景を描いたものばかりだ。そして俺を囲んでいた四隅の老人の顔は、本物そっくりの彫像だったのが、今わかった。

 俺の正面、そう、さっきの暗闇があったところに、大きくて恐ろしい姿をした男が立っていた。黒のローブを身にまとい、赤い眼が2つ、フードの奥から光っている。

 この男の名はダラマス・・・俺はうなり声を喉の奥で潜ませる・・・

 

ダラマス「お前はつい最近ここに送られてきた。お前はザラダン・マー様が作られた実験動物なのだ。マー様とその部下のキンメル・ボーンが、マランハの秘術で造り上げた怪物(モンスター)の1つなのだ」

 

 目の前で奴はスラスラとしゃべり始める。いかにも頭がよさそうな静かで穏やかな口調なのだが、そこに口を挟むことは許されないと、鋭く邪悪な眼が俺を油断なく睨みつけている。

 

ダラマス「マー様は薬や魔法を用いて、動物を別の動物に変化させたり、あるいは様々な器官を組み合わせてまったく新しい生物を創造する実験をなさっておいでだ。実験は成功するとは限らぬが、もし成功して生き物が完成すると、ここでしばらくの間観察して、それから最終的な使い道を決めるのだ」

 

 酷薄な唇をわずかに歪め、ダラマスは微笑らしきものを作った表情を見せる。

 わかった。こいつは俺を軽蔑しているのだ。知性もなく醜い生物だと、汚物にたかるハエを見るような目で、嫌悪感もあらわに・・・

 

ダラマス「お前がどんな使い方をされるかはわからん。興味もない。だが今、お前は私の所有物だ。金山で働かせるつもりだったが、もう一つ別の選択肢も与えてやろう。もしマー様に呼ばれるまで金山で働くのが嫌だったら、この別の道を選んでもよい・・・」

 

 こいつは敵だ。まごうことなき、俺の敵だ。俺は歯と鉤爪をむき出しにする。

 それをダラマスは宣戦布告と受け取った。ぞっとする甲高い笑い声を部屋の中に響かせる。そして高らかにこう告げるのだ。

 

ダラマス「・・・つまり、死だ!!」

 

 ふざけるな!俺は誰の指図も受けない!!

 その宣告を聞かぬがまま、ダラマスに突進する俺の身体。

 「わかった、別の道を選ぶわけだな」ダラマスはそう言うと、冷静に机の上の書物を広げる。それから何やらブツブツとつぶやき始める。

 俺は直感で悟った。奴が放とうとしているのは恐るべき呪いだ。死の蛆虫を俺の身体に潜り込ませようとしている!

 その前に俺は・・・ダラマスの身体までたどりつき・・・つかみかかることが・・・できるか???

 

   <<<「ダラマスにつかみかかる」という選択肢があるなら50を足せ!>>>

 

 いや待て、そうだ!思い出したぞ!!

 盲目の老魔術師ハニカスからもらった銀の指輪!!

 それは半エルフのゾンビーにとって身体活動を永遠に停止させるガスを吹き出す暗器なのだ。俺は大きな石がはめ込まれた銀の指輪を、自分の指から抜き取って壁に叩きつけようとする!!

 「祝福の指輪ではないか!」ダラマスは先ほどの余裕ある態度から豹変した。手の指をくねくねと動かす。すると俺の身体はとたんに動けなくなってしまう!

 くそう!指輪を叩きつけようとする直前でだ!

 

俺「ぐぁ・・・う、ぐ・・・!」

ダラマス「どこでそれを手に入れたんだ?さあ、よこせ!今すぐ!!」

 

 金縛りになった俺に向かって奴が近づいてくる。そして指輪を俺の手から奪おうとした・・・

 

俺「ぐ・・・う・・・うあああああああああああっ!!」

 

 しかし!俺の筋肉の力は、無理やり奴の魔法力による呪縛を退けた!!

 俺は壁に向かって一歩踏み出し、思い切り指輪を叩きつける。パリン!指輪にはめ込まれていた大きな石が砕け散り、甘い臭いのガスが噴き出した。

 ダラマスは悲鳴を上げて北の壁に駆け寄り、そこを手でドンと押す。隠された扉がスルスルと開き、秘密の通路が現れた。奴はその中へ逃れようとする。

 だが、ガスの方がダラマスより速かった!ガスは奴を包みこむ!!

 

ダラマス「お・・・の・・・れっ・・・!!」

 

 ダラマスはがくりと膝を突く。涎を垂らして喉をかきむしり、地面をのた打ち回る。

 不死たる半エルフのゾンビーにすら苦悶を与える凄まじい気体の威力を目の当たりにして、俺はただポカンと見つめている。

 そして・・・やがて・・・こいつはピクリとも動かなくなった・・・

 

 

 

(※1)おまえの こうどうは すべて かんしされていた。

なにひとつ しらされていなかったにも かかわらず よくここまで これたものだ。

しかし おまえの おかげで ふたつの けむりが うしなわれて しまった。

おまえの しょぶんは ザラダン・マーさまが おきめに なった。

おまえは このどうくつで わたしの めいずるままに こうどうするのだ。

わたしは ダラマス おまえの しゅじんだ!

(もし ことばが わかるなら きゅうじゅうばんに すすめ。 きゅう ぜろ ばんだ。)

 

 

 

脱却 –-Creature of Havoc--

 

【技術点11/11 体力点15/15 運点10/10

 

 やったぞ!俺はこの汚らわしい屍を倒したのだ!!

 勝利の興奮で、俺は雄叫びを上げて胸を何回も叩く!そして吠えまくる!!

 

 それから少し落ち着きを取り戻して、速やかにここから去ることにした。ダラマスが集めていたきらびやかな装飾品に興味はない。口に入れても固くて食えないからな。

 俺はダラマスがさっき逃げようとしていた、北に現れた新しい秘密の通路に入る。

 あいつがこの鉱山の主人だった以上、もうこれ以上手強い怪物は出てこないだろう。俺は大またでズンズンと先に進む!

 

 通路は西に折れ曲がり、汚水の臭いが漂っている。看板があって『でびでれオロ』(※1と書かれていた。なるほどな。その名の通りの川のほとりに着いたわけだ。

 その川をまたぐ木の橋を渡ると、通路は再び北に向かい、大きな石の扉に遮られた。

 どうしようかとその前で迷っていると、その扉が向こうから開き始める。そして俺の目の前に現れたのは1人の衛兵だった。

 

黒エルフの衛兵「どういうことだ?ダラマス様がお前をよこしたのか?マーの洞窟から出ることを許されたのか?どうした、口がないのか?」

 

 奴は背後の扉に鍵を閉めてから、俺の前に向き直って立ちはだかる。

 この男は黒い肌のエルフで、頬に大きな傷跡があった。片目は潰れかけていて、黄色くて汚い歯をむき出しにしてニヤニヤ笑っている。

 笑っているのなら、すぐに襲いかかっては来ないはずだ。こいつもダラマスと同じく、俺が脳味噌の足りない馬鹿な生き物だと勘違いしているんだ。だったら騙せるかもしれない・・・

 俺は黙ってうなずき、ダラマスの許しを得てここまで来たことを示そうとする。そんな俺をこいつは疑わししげにじいっと見つめて、そしてこう言った。

 

黒エルフの衛兵「本当にそうなのか?よし、それなら合図を知っているはずだ。しゃべれないのなら、合図を教えてもらっただろう?」

 

 むう!これは困ったぞ!もちろんここを通る合図なんて知らない。だから俺は・・・

 

 (1)両手を交差させるか?

 (2)両手で円を作るか?

 (3)合図を出さないか?

 

 3)だ。面倒くさいのはもうやめだ。こいつも殺して食ってやろうと身構える!

 「合図は何もなしってか?ダラマスがそう教えてくれたってのか?」・・・ところがこの衛兵は、俺の敵意に気づかず、のんびりと話を続けてやがる。

 ここで不意を打って攻撃することもできたのだが、俺はもう少し奴を騙そうとして、ダラマスなんか知らないとでも言うように肩をすくめた。

 「とにかくダラマスに聞いてくればわかることだ。ここで待っているんだぞ!」衛兵はそう言うと、棍棒を手にしてダラマスの部屋のほうに走り去っていった。

 

 ・・・ ・・・ ・・・ そして、すぐに駆け戻ってきた。ハアハア喘ぎながら。

 

 黒エルフの衛兵はここでぼーっと待っていた俺を見て、やっぱりこいつは迷子になった頭の鈍い実験生物だと決めつけたようだ。まさかダラマスを倒したのが俺だとは夢にも思ってないだろう。

 

黒エルフの衛兵「どうやらお前が正しいらしいな。奴は滅んでいた。合図は二度と教えてくれないだろうよ」

俺「・・・(こく、こくとうなずく)・・・」

黒エルフの衛兵「だけどお前を通すわけにはいかない。それが俺の仕事だからな。ダラマスの許可を得ない者を通すわけにはいかないんだ。ただし・・・なにか・・・特別な事情がありゃあな。俺の言うことがわかるか???」

 

 衛兵はいやらしい笑みを浮かべる。俺はその意味がよくわからない・・・

 そんな俺の様を見て奴は舌打ちした。それから少し考え込み、俺が胸から下げているペンダントを見つめて、こう言うのだ。

 

黒エルフの衛兵「きれいなペンダントだな、ええ?」

俺「?」

黒エルフの衛兵「例えば・・・そのペンダントを俺が預かっておくんだ。お前だってそれを手放したくないだろう。そうすりゃあ、お前が必ずここに戻ってくるという保証ができるわけだ。もちろん、万が一お前が戻ってこなければ、ペンダントは俺のものになるがな」

俺「・・・???」(小首をかしげる)

黒エルフの衛兵「だから、ペンダントを渡せば通してやろうって、言ってるんだよ!!」

 

 衛兵はしびれを切らして俺に怒鳴った。なんだそういうことか。もっとわかりやすく言え!

 さて、どうする?俺はちょっと考えることにした。

 ここを通るには衛兵にペンダントを渡せばいい。だけどそれを渡せば、俺はもう隠された扉を見つけられなくなる。

 こいつを殺してしまうという選択肢もあるか?

 いや待て、それはだめだ。衛兵がここに1人だけとは限らない。戦っているうちに仲間を呼ばれたら捕まってしまう。せっかくここまでやってきたのに、また地下深くの穴倉に連れ戻されるか、最悪、殺されてしまうだろう。

 じゃあしょうがない。俺はフン!と鼻息を荒く吹き出すと、ぶちっとペンダントを首から引きちぎり、そいつに渡すことにした。

 黒エルフの衛兵はペンダントを受け取ってキヒヒッと醜く笑う。そしてポケットから鍵束を取り出し、正面の扉を開けるのだった。

 

 扉の外には上りの階段があった。

 その階段を上りきると、そこは冷たい石壁の部屋だった。

 部屋の中央に石の台があり、台には様々な模様や記号が刻まれている。天井にある裂け目から一条の光でくっきりと浮かび上がっていた。天井に両開きの押し扉があるのだ。その扉の向こうは、とにかく明るい空間のようだ。

 俺は台に上る。よし、天井に手が届くぞ。両手を上にして押し扉を開けた。扉の縁によじ登り、まずは首を出し、それから全身を部屋から出す。俺は石壁の部屋の外に出た。

 

 そこに開けた光景に呆然とする。とてもとても、広い空間だったのだ。

 俺は地下迷宮を脱け出した。そして俺を取り巻く、この新しい場所は・・・

 

 世界だ!!

 

 

 

(※1)『ドブドロかわ』

 

 

 

糸口 –-Creature of Havoc--

 

【技術点11/11 体力点15/15 運点10/10

 

 さきほど天井から差し込んでいた一条の光の正体が、外に出てわかった。俺の頭上にある、巨大で青白い球体の明かりだったのだ。俺は冷たい夜の空気を吸い込み、その光に照らされたこの場所を、ゆっくり見回してみた。

 なんというか驚くべき場所だ。平らな土地の全体に、規則的に巨石が配置されている。石は横倒しになっているものもあれば、直立しているものもある。

 俺はこの新しい環境に少し怖れを感じた。特にあの巨石の群れは、何だか近寄ってはいけない気がする。

 左の方、平地の端に、尖った屋根の大きな建物があった。右手はだ。俺のいるところから一直線に道が通じている。

 まずはあの建物から調べてみようか・・・ゆっくりと近づいてみる・・・。

 すると、建物の中から人の話し声が聞こえてきた。俺が近づいていくにつれ、その内容まではっきり聞き取れるようになる。老婆のしゃがれ声だ。

 

老婆1「いよいよ今夜じゃな。わしらロミーナ三姉妹にとってはな」

老婆2「いひひ、いつ頃来るじゃろうな?」

老婆3「静かに!近いぞ!すぐそばにおる!」

 

 俺は建物の扉まで近づき、一気に押し開けた。

 部屋の中にいた老婆たちが悲鳴をとどろかせる。だがそれは恐怖からの悲鳴ではなく、興奮のあまりの悲鳴だった。

 そう、俺を出迎えたのは3人の老婆だ。3人ともボロボロの服を着て、真っ白の長い髪と無精ひげを生やし、しわだらけの手をもみ合わせている。人間のようだが、それにしては小さすぎる気もする。

 そして老婆のうち、1人は盲目、1人は口の中に歯が1本もなく、1人はまるで蛇のようにシューシューという声を出している。

 

カラー0002.JPG

盲目の老婆「さあさあ入っておいで。敵じゃあないよ。お前さんが来るのを待っておったんじゃから」

歯抜け老婆「そう、その通り。わしらはドリーの三姉妹と呼ばれておる。お前さんの手助けをしてやろうと思ってな」

蛇声の老婆「スー、そうじゃ、わすらはお前が何者で、なずここにおるかをすっておる。お前はすらんだろうがな。お前の道のりを手助けしゅるため、神がわすらをおつかわすになった。わすらの言葉は命令じゃなく、助言じゃ。しゃいすーてきな決断はしゅべてお前が下しゃねばならない。スー。わすらのちすきをかりてお前がどう動くか、わすらはずっと見守っておるぞ」

盲目の老婆「そうなのじゃ!お前は、なぜ自分のような愚かな化け物に知恵が授けられたのか、不思議に感じはせんかったか?全ては神の思し召しなのじゃよ」

 

 そんな感じで老婆たちは一方的にしゃべくるので、俺は言葉についていくのが精一杯だ。

 彼女らは額を寄り合わせて自分たちだけで相談を始め、子供のようにくっくっと笑うので、いつの間にか誰が何を言っているのか、さっぱりわからなくなってしまった。

 「じゃが助言を与える前に、お前に仕事をしてもらおう」そのうちどうやら相談は終わったらしい。歯抜けの老婆が俺に顔を近寄せてこう言う。

 

歯抜け老婆「今夜はぐっすり眠って、明日元気になったらあるものを探してくるのじゃ。薬を作るのに必要なのでな。スカル藻の根じゃよ。それを持ってくれば、お前の運命に関わる話をしてやろう。期限は次の満月の夜じゃ」

 

 もったいぶるな、今すぐ教えろ!

 俺は、俺のいちばん知りたいことを知っているという老婆たちを脅そうと、いらいらして3人に近寄る。

 ところが・・・老婆たちはかき消すようにいなくなった!!

 先ほどまでの話し声はぴたりと止み、重苦しいほどの静寂が建物を包む。

 俺はさっきまでの言葉をじっくり考えてみる。彼女たちが言ったことを聞くべきか?それとも無視して自分の道を行くべきか?

 

 ・・・よし、決めた。

 

 このだだっ広い世界を、何の手がかりもなくさ迷ってもいいことはなさそうだ。

 あの老婆たちが敵か味方かはわからないが、少なくとも今の段階での“とっかかり”ではある。だったらそれに乗ってやろうじゃないか。

 もしそうしたときに裏切られたら、そのときこそあいつらの身体を引きちぎってやる。あいつら不気味だけど力はなさそうだったしな。簡単に勝てるさ。

 そこまで考えると、俺は建物の床に寝っ転がって、身体を休めることにした。

 「スカル藻の根」というのがどういうものかわからないが、この仕事はひどくおもしろそうだぞ。何だかわくわくしている。さっきまで、地下鉱山の中でとぼとぼ歩いていたときとは、まったく違う気持ちだ。これが知恵というものなのだろうか?

 

 (そんなことを思いつつ、いつの間にか眠りに落ちる)・・・zzz・・・

 

 建物のステンドグラスから差し込んでくる朝の光が、俺を起こした。

 テーブルの上にいつの間にか食べ物があった。おそるおそる一口食べてみる。

 うまい。何かはわからないが、とにかくたっぷりとした肉だ。俺はガツガツと食事を平らげ、満ち足りた気持ちで朝の空気を胸いっぱいに吸い込んだ(体力点+8と運点+2。しかしどちらも原点なのでこのままです)。

 さて、まずはここから動くしかないだろう。どっちに行く?

 北か?南か?東か?西か?

 ここで俺は足を南の方角に向けた。

 理由は特にない。強いて言えば、そっちの方がなんとなく暖かそうだったからだ。

 こうして巨石の丘、そして魔女の住む家から、南に少し歩くと・・・

 

 人間どもが住む村に着いてしまった。

 

 

 

同輩 –-Creature of Havoc--

 

【技術点11/11 体力点15/15 運点10/10

 

 人間どもが住む村はコーブンという地名だった。

 家々は小じんまりとしており、村の中心を通る道はでこぼこで埃だらけだ。ちょうど朝の野良仕事に出る時間らしくたくさんの人がいたが、俺を見るなり・・・

 バタンッ バタンッ バタンッ ・・・

 次々とドアを閉めて自分の家に隠れてしまった。中からじいっと様子を覗っていて、誰も外に出てこない。おそらく俺のような怪物、あるいはその首領のザラダン・マーやダラマス、はたまたさっきの魔女たちに日々怯える生活を送っているんだろう。

 しょうがないからキョロキョロしつつ、村の中に入っていく。

 途中「食料品店」「薬屋」という看板がかかっている家も見えるが、俺がこの姿で入っていけば襲撃と誤解されて、奴らも死に物狂い抵抗するだろう。余計な戦いはしたくない。だからこの村は大人しく通り過ぎた方がよさそうだ。

 俺はそのまままっすぐ通りを歩いていく。ときおり道をのんびり歩いていた村人が、ぎょっとして逃げていくが、それにいちいちかまうことはしない。今は腹も膨れているからだ。

 やがて、一軒の小屋の前に来ると、そこから興奮した叫び声や罵り声が聞こえてきた。

 なんだなんだ?

 声はますます大きくなり、突然、小屋の扉がバシッと壊れて、中から人影が飛び出してきた。

 半オークだ。そしてそいつを追って、上半身裸のたくましい人間の男も小屋から出てきた。さらにその男の後ろで、酔っ払った人間たちが野次を飛ばしている。

 

カラー0006.JPG

たくましい男「薄汚ぇ半オークめ!泥棒野郎が!」

村人1「やっちまえログ!」

村人2「クソでも食わせてやれ!」

村人3「そうさ、それがお似合いさ!ヒー!ヒー!ヒー!」

 

 どうやら人間たちが、半オークをいじめて楽しんでいるようだ。

 このたくましい男はログという名前で、どうやらコーブンの村で若い衆の束ね役らしい。腕力に自信があって、ふらふら紛れ込んだ半オークをからかって殴りつけた、というところだ。

 だがこの人間どもは、外にいた俺の姿を見てぎょっとする。俺はこいつのいやらしい笑い方が大嫌いだと思ったので、かぎ爪をむき出しにして半オークの前に割って入った。

 「なんだ、てめえ、や、やるのかよお!」自分の手下の前で格好悪い真似はできない手前、ログは拳を握って戦いの姿勢をとる。素手でのケンカには自信がありそうだ。

 野次馬たちは遠巻きに取り巻いて見守っている。半オークはよろよろと起き上がり、俺に自重するよう首を横に振った。

 だが俺はその制止を聞かなかった。一声咆哮してから、こいつに向かって飛びかかる!

 

【村人 技術点7 体力点8

1R (村人/16)(“君”/15) “君”/体力点-1

 男のパンチが俺の目にクリーンヒットする。なんだ、こんなものか。

 「へっへっ!」奴は自慢げにニヤニヤしている。そこで俺も・・・

2R (村人/14)(“君”/20) 村人/体力点-2

 本気を! 「ひいい!!」

3R (村人/18)(“君”/21) 運試し吉 村人/体力点-4

 出した! 「やめてくれえ!!」

4R (村人/12)(“君”/5ゾロ) 村人/即死 ←KiLL!!

 「こ、降参するよう!!」さっきの態度がガラリと変わり、奴は糞尿を漏らして許しを請う。

 だがもう遅い。止まらない。俺は奴の顔の中央に拳をめり込ませた。

 ぐぼしゃあ!頭蓋骨全体が破壊された音がする!!

 

 相手は変な倒れ方で地面にうつ伏せになる。そしてピクピクとうごめき、やがて死んだ。

 取り巻いていた観衆は呆然と立ち尽くし、ついで・・・いっせいに怒号が上がる!!

 

 「ログが殺された!」 「復讐だ!!」 「みんな集まれ!武器もってこぉい!!」

 

 ワ ア ア ア ・・・!!

 村人たちが怒りの叫びと共に、次々と鍬や鋤を手にして俺に向かってくる。

 俺はこいつら全ても相手にしてやろうと考えていたが、その背後でガラガラ声がした。

 

半オーク「逃げるんだ!グズグズしていると殺されるぞ!俺について来い!!」

 

 俺は村人と半オークの顔を見比べ、こいつの言葉に従うことにした。ここから走り去る!

 こうして俺ら2人と村人たちの追っかけっこが始まったが、俺らがコーブンの村の境界を越えたところで奴らはあきらめた。

 村人たちは腕を振り回し、盛んに捨て台詞を吐いている。だがとりあえず安全になったようだ。

 

半オーク「他人のケンカに口を突っ込むなんて、おろかな奴だ!」

 

 助けてやった礼もそこそこに、この半オークはこすっからい目つきで悪たれをついた。

 こいつは俺より背が低く、身体は汚れ、臭かった。服はボロボロだが胸に革鎧を着け、刃こぼれした剣を腰に刺している。名前はグログナグ・クロートゥースという。長ったらしいからグロッグと呼んでもいいそうだ。

 空腹のあまりコーブンに忍び込み、犬を盗んで食おうとしたところ、村人の若い衆に捕まっちまったのだそうだ。

 

グロッグ「まず殺してから食うべきだったな。そうすりゃあキャンキャン吠えられないですんだんだ。人間に見つかることもなかっただろうよ」

俺「 ・・・ ・・・ ・・・ 」

グロッグ「なあ、腹が減ったら誰だって盗みくらいするよな?あんたはどうだい?」

俺「 ・・・ ・・・ ・・・ 」

グロッグ「どうした、口がないのか?それとも無口ってわけかい?」

 

 グロッグは、俺がしゃべれないのがわかったらしい。「じゃあしょうがねえ、俺がついてってやるか!」と、肩をすくめてにやりと笑った。

 こうして俺は、当面、おしゃべりな半オークのグロッグといっしょに旅をすることになってしまった。

 

『半オークと別れる(あるいは半オークが死ぬ)までのあいだ、君が進む番号に注意すること。7で終わる番号287とか107とか)に進んだら、その番号から52を引いた番号も同時に読まなければならない(そちらにはグロッグの行動が書かれている)』

 

 <<<そしてさっそく次のパラグラフは107。そこから52を引き、55へ進む!>>>

 

 俺たちはコーブンの西外れまでやってきた。

 「ちょっと待ってくれ」ここでグロッグは途中の道端にある廃墟に入り、何かを持って戻ってくる。放浪している途中で拾い、村に忍び込む前に隠しておいた物らしい。

 背負い袋だ。その中には何か大きな物--箱か?--が入っている。俺は興味を惹かれたが、これについてグロッグは何も話してくれなかった。

 その代わり、俺についてのことを根掘り葉掘り聞き込んでくる。

 

グロッグ「それにしてもお前は変わった奴だな。何も言わない、どこにも行く当てがない。いったいどこから来たんだ?ただ道に迷っているわけでもなさそうだ。何か探しているのか?」

 

 そう!俺はスカル藻の根を探しているんだ。熱心にうなづく。

 

グロッグ「ふーん、で、それは何か・・・っと、しゃべれないんだったよな・・・じゃあ首を振ってくれよ。それは人か?」

俺「 ・・・ 」(首を横に振る)

グロッグ「じゃあ、物か?」

俺「 ・・・! 」(首を縦に振る)

グロッグ「で、それがある場所は、大体の見当がついてるのか?」

俺「 ・・・ ・・・ ・・・ 」(首を大きく前に落とし、しょんぼりする)

 

 そんなやりとりをしながら俺たちは道を先に進み、やがて十字路にたどり着いた。

 そこでグロッグは顔を輝かせてこう言った。

 

グロッグ「そうだ、ロシーナがいる!あいつなら助けてくれるぜ、西に行こう!!」

 

 

 

託宣 –-Creature of Havoc--

 

【技術点11/11 体力点14/15 運点9/10

 

   <<<ここのパラグラフは177。なので52を引き、125になります>>>

 

グロッグ「あれがロシーナの家だ」

 

 グロッグの誘いに乗って西に向かうと、平らな荒野でただ一つ目につく丘があり、その斜面の前にちっぽけな小屋が建っている。その小屋の煙突には煙が立ち上っていた。誰かが住んでいるのは明らかだ。

 

グロッグ「きっと力になってくれるよ。もちろん金さえあればな。こいつをやるよ・・・俺は外で待っているから、中へ入れよ」

 

 俺はグロッグが差し出した金貨2をありがたく受け取り、小屋に入ってみる。

 中は色鮮やかで手の込んだ織物がそこかしこにかけられており、薄暗くて神秘的な雰囲気が漂っている。片隅のテーブルにはカードと水晶球が置かれ、それから香炉もあった。香炉からはかなり強い匂いの線香も点けられている。

 そのテーブルの後ろの織物が揺れて動く。「ロシーナ・ドリーの力を借りたいのは誰じゃ?」と言いながら、太って腰の曲がった老婆が出てきたのだ。

 彼女はテーブルに着くと、目を細めて俺をじっと見つめた・・・

 

ロシーナ「自分の運命を知りたいのは、どこの者じゃ?」

俺「 ・・・ 」(自分を指差して、コクリとうなずく)

ロシーナ「おお、これはこれは。遠路はるばるおいでくださったようじゃな。では、さっそくそなたの運命を占って進ぜよう。お代はお持ちじゃろうな?」

 

 ロシーナは突然小屋の中に入ってきた俺を見ても、怖れも何も感じていないようだ。淡々と客として扱ってくれている。

 それが逆に俺には不気味だった。きっとこいつは俺よりも強いんだ。だから襲いかかられても呪いとかですぐに対処できるので、こうして落ち着いていられるに違いない。

 俺は逆らわないことにした。この老婆に金貨2枚を大人しく渡す。

 ロシーナは「ありがとう」と、にっこり微笑んだ。それからカードをきりはじめる。そして俺に、好きなところで手を止めさせろと言った。

 なので俺は適当な時間の後に低いうなり声を上げた。ロシーナは手をぴたりと止め、いちばん上のカードを上に向けた。カードには黒字に疑問符がたくさん書いてある。

 

ロシーナ「・・・大いなる謎・・・あらゆる出来事は見た目とは異なっておる。そなたの過去、現在、そして未来には、いくつもの謎が秘められており、そなた自身もそれを知らない」

 

 そしてまた1枚のカードを表に向ける。それは黄色い太陽のマークだった。

 

ロシーナ「ふうむ、闇に差す一条の光か。悪くないな。そなたの任務は達成されるであろう。だが運命はいたずらで残酷じゃ。安易な道のりではなさそうだて」

 

 老婆は占いに熱中している。

 次のカードは棺に入った若い妊婦の絵、そしてマントと机の絵だった。

 

ロシーナ母の死魔術!おぬしの誕生には魔法が関与しているぞ」

 

 その次は雲に乗った男がどこか遠くを指差しているカード。

 そして、2つの頭を持った男がそれぞれ別の方向を見ているカードだった。

 

ロシーナ誓い達成しなければならぬ任務何かのためにおぬしは送り出されたのだな」

 

 次々と俺が遭遇した過去を言い当てるロシーナ。薄気味悪さを感じつつもうなずくだけだ。

 「ああまだよくわからぬ。もう少し待っておくれ・・・」彼女はカードを脇にどけ、今度は水晶球に神経を集中しだした。水晶球の中で雲が渦巻き、怪しく光って彼女の顔を明るく照らす。

 「ドリーの三姉妹!お前たちじゃったのか!」俺のことなんかまったくかまわず、ロシーナは水晶球と対話を始め、ブツブツつぶやいている。

 

ロシーナ「しかしこやつはスカル藻のことなど何も知らぬ。危険のことも・・・なるほど・・・じゃが、わしが手助けしてもかまうまい?その方がよっぽど手っ取り早いじゃろう?なあ?」

 

 やがて水晶球は光を失い、ロシーナは俺に向き直った。

 

ロシーナ「そなたの任務は十分に説明されておらぬ」

俺「・・・」(まったくその通りだ、とうなずく)

ロシーナ「青い茎のスカル藻はカエル沼・・・ディードル川の南にある沼にしか生えん」

俺「・・・!」(手がかりを教えてもらい、ニンマリと牙を見せる)

ロシーナ「しかし1人でそれを取ってくるのは大変じゃ。しかも何の準備もなく行ったのでは死ぬだけじゃ。あそこにあるロープを持っていくがよい。きっと役に立つじゃろう。お主に幸運がありますように!」

 

 そう言ってロシーナは俺を小屋の外に送り出す。

 外で待っていたグロッグはロープを手に入れてホクホク顔だ。俺はロシーナから得た情報を身振り手振りでこいつに伝える。なかなか苦労したがわかってくれたみたいだ(運点+2)。

 

 それから俺たちは元の十字路まで戻った。スカル藻が生えているカエル沼、ディードル川の南岸ということは、ここの地点から北に行けばいいことになる。だからそっちの方角を目指して歩き始めるのだった。

 やがて太陽はほとんど沈み、夜の闇が辺りを覆い始める。

 だが空に浮かぶ巨大な青白いボール--グロッグによれば、これは「月」というものらしい--のおかげでつまずくこともなく歩ける。

 それでもさすがに歩き続けて疲れてきたので、巨大な岩陰に身を横たえて少しだけ眠ることにした。俺に襲いかかってくるような身の程知らずの獣もおらず、ここでしっかり休息をとることができる。体力点+4だ・・・。

 

 翌朝。

 そのまま道を北に進み続けると分かれ道に出会った。その中央には標識がかかっている。  

 

200901%2F02%2F62%2Ff0038762_2222345.jpg

 

 南は俺たちがやってきたところ。だからこれから行くのは、北東か北西だ。

 北西はコーブン。ということは、以前俺たちが追いかけ回された人間どもの村に戻ってしまう。 だから北東の道を行けばいいのだ。きっと「ブ・フォン・フェン」というのは、どこかの種族で沼地を意味する言葉なんだろう。俺はそっちの道に入りかけて・・・

 「いやいや待て待て、これを見ろ!」そのときグロッグが俺を呼び止めた。そして標識の根元を指差す。

 あっ!そこのところの根元の土が、深く削られている!!

 標識がぐるぐる回せるのだ。だから指し示していたとしても、正しい場所ではない・・・

 

グロッグ「誰かが俺ら、というかお前の邪魔をしようと、混乱させているみたいだな」

俺「・・・(グルルルとうなり声を上げる)・・・」

グロッグ「まあそうイラつくなって。南は俺たちがやってきたコーブンだ。それは間違いない。だからそういうふうに合わせてみると、だ・・・」

 

 グロッグは「コーブン」と指し示している札を南の道に合わせるよう、ぐるりと標識を回してみる。

 するとこうなった。なるほど・・・

 

200901%2F02%2F62%2Ff0038762_22225659.jpg

 

 俺たちが行くのは、北西だ!

 

 

 

池塘 –-Creature of Havoc--

 

【技術点11/11 体力点15/15 運点10/10

 

 あたりの景色が変わってきた。草がだんだん高くなり、足元がぬかるみ始める。

 間違いなく沼地に入ってきているのだ。いまや自分の背丈よりも高くなった葦草をかき分け、俺たちは先に進む。

 下はどろどろで足取りは重たかったが、しばらく進んでいくと少しはマシな泥に変わった。そしてここにいくつもの足跡がついている。

 人間ではない・・・何か大きな動物のようだ・・・水かきのある・・・

 

   <<<ここのパラグラフは307。なので52を引き、255になります>>>

 

 ここから先に開いた土地があって分かれ道が見える。俺が足跡のある場所を踏み越えてそっちに向かおうとしたところで、グロッグが「待て!」と制止した。

 

グロッグ「どの足跡も真ん中を避けて通っているぞ。何か危険があるのかもしれん。足跡のあるあたりを避けて通った方が身のためだぜ」

 

 ここまで旅してわかったが、半オークのグロッグはとても慎重で、俺よりもずっと利口だ。

 グロッグは人間どもに蔑まれながらも、たった1人でこの大地を彷徨ってきた。そこで得た危険を回避する経験と勘、そして自信は、俺がまったく持ち合わせていない貴重なものだ。

 だから俺はこいつの忠告に従い、足跡の場所を避けて通る。そして北に向かうのだった。

 

 北は草の間を縫うように曲がりくねった道だ。何匹か沼蛇が道を横切ったが、俺らに向かってこないので無視して先に進む。

 ガーガー、ゲロゲロ、カエルの声も聞こえる。とてもうるさくて俺をいらだたせるが、もう少しよく聞いてみると、俺らを取り囲んで、何やら合図を交わしているようにも感じる(と、グロッグは言った)。

 やがて前方にが見えてきた。川べりには色とりどりの花が咲いている。しばらくそれらを見つめていると・・・

 視線を感じた!

 草むらの中から一対の、真ん丸い飛び出した目が、ゆっくりまばたきしている。俺らをじいっと観察しているのだ。

 俺がそのことに気づいたとき、その目の持ち主は背を向けて逃げていく。まるで岩のようにゴツゴツした背中だ。

 後を追いかけた方がいいのか?俺はグロッグにそう尋ねかけるように見向く。

 

   <<<ここのパラグラフは267。なので52を引き、215になります>>>

 

グロッグ(そわそわしながら)「あんたがあの怪物を追っていくのは自由だが、俺はゴメンだぜ。あんたがどうしようとかまわないけどさ、俺はすぐにここを離れた方がいいと思う」

 

 ・・・なるほど。

 たしかに俺の今の仕事はスカル藻の根を探すことで、あの怪物と一戦やらかすことではない。冒険の勘所を押さえているグロッグの言葉に従い、俺はそいつを見逃すことにした。

 さて、あらためて川のほとりを調べてみる。

 実に様々な種類の草花がここにある。自生しているように見えるが、ひょっとしたら誰かが育てているのかもしれない。

 さて、この中から1つだけ植物を持っていくことができる。

 

 (1)紫の花か?

 (2)青い茎の草か?

 (3)赤い葉の草か?

 

 ここは・・・2)だ。

 青い茎の草。そう、俺は占い婆のロシーナにあらかじめ教えられていたので、それがスカル藻だと知っていた。茎の青は目にも鮮やかで、葉っぱからは芳香が漂っている。

 

『この草には不思議な力がある。うまくいけばこの草の力を知ることができるかもしれない。この草をあとで誰かに渡さねばならないときには、49という番号を忘れないように記録しておくこと』

 

グロッグ「ほう、そいつが、お前の探していたものか」

俺「・・・(にんまり笑う)・・・」

グロッグ「へへ、そいつぁよかった。じゃあさ、さっさとここを離れようぜ。まったくこんな泥だらけでじめじめしたところは・・・むう?」

「???」

 

 俺はこの草を何本か抱えて、この川辺を離れることにした。ところが・・・

 なにかがおかしい。ここまでやってきた道があったところは、草が生い茂って通り抜けられなくなっているのだ。

 そして代わりに左手の方向に進む道が現れている。まるで俺たちを誘い込むように。

 グロッグと俺は顔を見合わせる。

 

グロッグ「しょうがない、か」

俺「・・・(こくりとうなずく)・・・」

 

カラー0007.JPG

 俺たちは慎重にそっちの、左手の道のほうに進むしかなかった。

 すると開けた場所に出た・・・ところで・・・いきなり背後で「げこっ!」と大きな声がする!!

 驚いて振り向くと、そこには三叉の矛を手にした巨大なカエル男がいた!

 そいつの大きさは俺と同じくらいで、膨らんだ身体に馬鹿でかい頭がのっている。肌はいぼだらけで手足に水かきがついていた。

 

カエル男「グァ!グァ!グァ!」

 

 カエル男は耳が痛いくらいの大声で威嚇しながら、矛を振り上げる。俺らを開けた場所の真ん中に追いやろうとしているらしい。

 だがその中央には真っ黒でぬるぬるした泥があった。いや、あの黒さは単なる泥じゃない。もっともっと深い!

 「ありゃあ底なし沼だ、踏み入れたら最後だぞ!」グロッグが叫ぶ。

 だが、なりふり構わず俺たちをそこに追いやろうと矛で突っついてくるカエル男。

 ふざけるな!俺はその矛をつかんで叩き折る。カエル男は逆襲とばかりに長く伸びる舌を突き出し、俺を打ち据えようとする。

 闘いが始まった!

 

 

 

永訣 –-Creature of Havoc--

 

【技術点11/11 体力点15/15 運点10/10

 

 俺は泥沼の真ん中で猛然とカエル男につかみかかっていった。

 

【カエル男 技術点9 体力点9

1R (カエル男/18)(“君”/22) カエル男/体力点-2

2R (カエル男/12)(“君”/19) カエル男/体力点-2

3R (カエル男/20)(“君”/19) “君/体力点-1

4R (カエル男/16)(“君”/21) カエル男/体力点-2

5R (カエル男/13)(“君”/17) カエル男/体力点-2

6R (カエル男/18)(“君”/出目3) “君”/体力点-2

7R (カエル男/15)(“君”/16) カエル男/体力点-2 ←OverKiLL!!

 

 ムチのようにしなって伸びてくる舌に戸惑い、多少の手傷は負った。しかしその分のお返しはしてやった。俺はこいつを地面に引きずり倒す。そして胸の上に馬乗りになって、力いっぱい顔を滅茶苦茶に拳で連打する!

 カエル男は始めの方こそ「グエ!グエ!」と悲鳴を上げていたが、やがて自分の血と体液にまみれたまま眼球が外れ、顔の骨格が陥没したところから反応がなくなる。そして上半身がぐちゃぐちゃになって死んでしまった。

 俺は呼吸を整えてから辺りを見回す。しまった!こいつを仕留めるため、周りも気にせず集中して殴りつけていたのは、失敗だった!

 俺は何匹ものカエル男に取り囲まれている!!

 奴らは同胞を殺された怒りでぴょんぴょん跳ねながら近づいてくる。その数は、俺が数えられる数よりもたくさんだ。とてもこんな大勢を相手にはできない。

 ちくっ。痛い!カエル男の群れのリーダーらしき者が、三叉の矛で俺の背中を突いてから、こう言ってきた。

 

リーダー「誰も我らの国に入ってはならない。聖なる沼と聖なる庭を見ることができるのは、我らだけ。それに従わぬ者には死あるのみだ!」

 

 情け容赦なく俺の命が果てつつあるところで・・・

 グロッグは、どこだ?

 

   <<<ここのパラグラフは287。なので52を引き、235になります>>>

 

 そう、あの目端の利く半オークのグロッグは、いつの間にか逃げ去っていた。

 いや、違う。あいつは俺が最初のカエル男と戦っているうちに、奴らの背後に回り込んでいたのだ!

 俺を取り囲む輪の外を忍び歩き、しかも全身泥に塗れていたのが保護色になって、カエル男どもはグロッグにまったく気づいていない。

 それを幸いとばかりに、グロッグは自分の背負い袋を置き、刃こぼれした剣を抜く。そしてカエル男のリーダーに飛びかかって不意打ちを仕掛ける!

 

 グロッグ「くらえ!」  リーダー「グゲッ!?」  手下ども「グァアア!!!」

 

 カエル男のリーダーが驚いて、俺を攻撃していた手を止める。

 だがそのとき、カエル男の手下の1人が、グロッグの奇襲に反応して三叉の矛を投げつけた。

 うう!なんということだ!矛はグロッグの首を貫通してしまう。そして俺の仲間の半オークは目論見の寸前で崩折れた・・・しかし彼の命を吹き消したその矛は・・・

 勢いあまってグロッグの身体を突き抜け、リーダーの身体までも串刺しにしていた!

 

リーダー「グゲエエアエエゲエエ・・・ッ!」

 

 地面に擦り潰されるような声とともに、リーダーはよろよろとつんのめり、バシャアッ!開けた場所の中央にある底なし沼にはまり込んだ。そしてそのままブクブクと沈んでいった・・・。

 一部始終を見ていたカエル男どもはパニックに陥り、グェグェ騒ぎながらリーダーを助けようと右往左往している。俺のことはすっかり忘れてしまったようだ。

 ならばこの隙だ!俺は動かなくなった瀕死のグロッグと、こいつの持ち物を拾い上げて、この沼地から急いで逃げ去るのだった。

 

 ドタ、ドタ、ドタ・・・

 俺は十分に沼から離れるところまで一目散に走り抜けた。もう危険はない。さすがに息が切れて立ち止まる。

 肩に担いでいたグロッグはすでに死んでいた。両目を閉じ、口を半開きにして、動かなくなっていた。俺はこいつの遺体を地面に横たえる。

 グロッグが大事にしていた背負い袋の中には幸運の薬木箱が入っていた。

 木箱の蓋は固く、不器用な俺の指では開けられない。このまま持っていくことにする。幸運の薬は俺に必要なさそうだ(飲むと運点が原点に戻るんだけど、今は元々原点です)。ためしにこの薬をグロッグの顔に振りかけてみた。だがこの半オークは生き返らなかった。

 

 ポツ、ポツ・・・

 

 曇り空から雨が降り出した。

 俺はグロッグの死に顔をじっと見る。

 こいつはもう全然動かない。何もしゃべらない。

 

 ポツ、ポツ、ポツ・・・ザザーッ・・・

 

 雨はすぐ土砂振りとなり(ピカッ!ゴロゴロゴロ・・・)遠くで雷鳴が響く。

 俺はその中で濡れそぼったまま、命尽きたこの半オークをじいっと見下ろす。

 ついさっきまで陽気に騒いでいたこいつが、今はここに、静かな骸となって・・・

 

 なんだ?

 この感情は?

 

 う・・・

 

 う・・・

 

 ガアアアアーッッ!!

 

 俺は雷雨の中で咆哮する。

 その大音声に呼応したかのように稲妻が煌く。その強大なエネルギーは、俺の近くに立っていた樅の木を直撃し、一瞬にして焼き焦がした。ドズゥン!バリバリバリ!ものすごい音が荒野に響き渡る。

 しかしそんなことなど一切かまわず、俺はただ咆哮を続ける。

 

 わからない。まったくわからない。この胸の中に沸き起こる感情は、

 

 いったい何なんだ!

 

 俺は天を見上げて力の限り叫び続ける・・・冷たい雨の中・・・

 

 

 

用命 –-Creature of Havoc--

 

【技術点11/11 体力点12/15 運点10/10

 

 夜の激しい雨はすぐに止み、空に満月が顔を見せた。

 グロッグを失ったという感情が爆発したまま吠え続け、ついに体力を消耗しつくした俺は、いつの間にか眠ってしまっていた。先ほど稲妻が直撃した樅の木の幹にもたれかかり、赤子のように丸まって眠るのだ。

 

 夢を見た。

 

 ひどい夢だった。

 ドリーの三姉妹が目の前に現れ、それぞれが俺の手足を引っ張るのだ。魔女たちの力は物凄く、身体が引き裂かれそうな軋みと痛みを(夢だというのに)感じていた。

 

歯抜け老婆「こいつはみんなのもの!マランハの実験のため、ドリーに連れて行かねば!」

盲目の老婆「いやそれは違う!約束は守らねば。もしこいつがスカル藻の根を持っていたら・・・」

蛇声の老婆「スー、ススー、しょーゆーことじゃ、まじゅはありゅかどうか、しゅカル藻の根が!」

 

 魔女たちは各々がそれぞれを押しのけようとして大声で罵りあう。そして最後は全員パッと手を離し、しわだらけの醜い顔を俺の鼻先に近づけ、声を合わせてこう叫ぶのだ。

 

ドリーの三姉妹「根を!根を!根をよこせ!!」

 

 ハッ!目が覚めた。

 全身が冷や汗でびっしょりだ。雨が明けた夜の空は風が強く、稲妻で地面になぎ倒された木の枝はざわついている。そのざわつきの中に、何か別の音が混じっていることに気づいた。

 

 ザー、ザザー、ザワザワ、ゴー、ゴゴー、ゴー

 ねー・・・ ねー・・・ 根ぇぇぇぇええええええ!!!!!

 

 尋常ならざる気配に、横たえていた身体を元に戻して、再び2本の足で立つ。

 後ろをそっと振り返ると・・・にやにやしてドリーの三姉妹が立っていた!

 何も言わずともわかる。彼女たちは俺からスカル藻の根を受け取りにやってきたのだ。そうかこれがほしいのか。俺はおずおずと青い茎の水草を握りしめ、三姉妹の前で見せるのだった。

 

   <<<植物の番号(49)に92を加えた番号へ進め!すなわち141!!>>>

 

蛇声の老婆「しゅカル藻じゃ!任務を達しぇいスおった!」

盲目の老婆「やはり神の判断は正しかったのじゃ。さあスカル藻の根を渡しなされ。そうすればお前に必要なことを教えてやれる」

歯抜け老婆「お前は試験に合格したのだ!」

 

 魔女たちは両手を高く上げて喜び合う。そして俺から目的の品を受け取ると、まずは歯抜け老婆から1人ずつ代わり代わりに滔々と話し始める。その間、他の2人はうむうむとうなづくだけで、不気味な沈黙を保ち続けている。

 それは俺の物語。俺の過去、現在、そして未来について・・・

 

 「すでに知っていると思うが、お前はザラダン・マーの秘術による怪物(モンスター)じゃ。ザラダンがわしらの息子であるのと同じようにな。じゃが、わしらの息子はお前の手で滅ぼされねばならん。ザラダンが宇宙のバランスを崩そうとしておる以上、たとえ彼奴の守り役を務めたわしらであっても黙っておるわけにはいかぬ」

 「スー、悪があらゆるものを支配スること、混沌がしゅべての支配者であることは許シゃれぬのじゃ。バランスが取れていることこソ重要だ、ス、ススー」

 「わしらにはザラダンを倒すことはできぬ。すでにわしらの意図を見抜かれ、ザラダンが警戒しているからな。じゃが、彼奴はうぬぼれておるし、お前はザラダンの息子のようなものじゃ。ザラダンもお前には油断することじゃろう。だからこそ、ザラダンを倒す道具としてお前が選ばれたのじゃ。ザラダンに会って、奴を殺せ。そしてそのときこそ、お前の全てが明らかとなる」

 「スー、これ以ジョー、お前の過去については話しゅまい。知識欲が満たされてスまっては、行動力もなくなりゅものじゃからな。ス、ススー」

 「どうすればザラダンに遭えるのかは、わしらにもわからん。じゃが、仲間を教えてやろう。よじれ樫の森に住む白髪のエルフ、ダーガ・ウィーズルタングを探すのじゃ。ダーガはガレーキープに潜り込む方法を知っている。ザラダンが住処としている、あの空飛ぶ船に!」

 「スー、しかシ、ダーガの言葉には気をつけなされ。彼の言葉には真実と虚偽が半々に含まりぇているからな。ス、ススー」

 「ダーガが『ふむ・・・』で話し始めたとき、それは真実じゃ。そうでなければ彼の言葉を信用してはならんぞ。とにかくこの<真実の指輪>を持っていくとよい。これをダーガに見せるのじゃぞ」

 

 そしてドリーの三姉妹は俺の手を取り、きらきら輝く宝石がはめ込まれた指輪を渡した。

 

『ダーガ・ウィーズルタングに出会ったら、この指輪を見せることによって、より多くの情報を得ることができる。ダーガに出会った番号から50を引いた番号に進むこと』

 

 俺は指輪をはめ、ドリーの三姉妹の話を聞き続ける。

 老婆たちの声はだんだん渾然一体となってきた・・・

 

盲目の老婆「ダーガがよじれ樫の森のどこに住んでいるかはわからん・・・」

歯抜け老婆「・・・が、オフィタディオタウルスはダーガの仲間じゃ。オフィタディオタウルスがダーガの元に案内してくれるじゃろう・・・」

蛇声の老婆「・・・ススー、しょしてわスらは、お前をオフィタディオタウルスのいるところに導きゅことができる・・・ス、ススー・・・」

 

 俺が渡したスカル藻の根は、彼女らの手中でいつの間にか白い粉末に変わっている。魔女たちはそれをゆっくりと俺の鼻腔に嗅がせた。そして、この不思議極まる話の最後の締めくくりに、三人の魔女は声を合わせて、こう告げるのだった。

 

ドリーの三姉妹「・・・わしらが去ったあと、もう少し眠るがよい。わしらにできることのおしまいに、お前が持ってきたスカル藻の根で薬を作ってやった。遠く離れたところからでも、それくらいの魔力を送ることはできるのだからな。では、さらばじゃ・・・」

 

 (ここで運点が原点に戻る。だけど原点なのでこのままです)

 

 一陣の風が吹き起こって三姉妹の姿が消えた。

 辺りに静けさが舞い戻り、後に残るのは心地よい夜のそよ風だけだ。あまりの心地よさに我慢できなくなった俺は、この場で再び地面に横になり、そのまま眠りにつくのだった。

 

 今度は悪夢も見ずに、ただただ安らかに、惰眠を貪る。

 

 そして目覚めたとき、どこか知らないところにいた。

 俺がいた場所は、今までの荒野とはまったく違う暗い森の中だったのだ。小鳥の鳴き声が頭上から聞こえ、すぐそばに小川が流れている。

 戦いに疲れていた身体はすっかり元通りだ(体力点を原点に戻す)。これもドリーの三姉妹の霊力によるものかはわからない。しかしなぜか俺の怪我は全て治っていた。

 俺は小川の水を掬い取って、新たな気持ちで顔を洗う。

 ここがよじれ樫の森、だというのか・・・

 

 

 

樹林 –-Creature of Havoc--

 

【技術点11/11 体力点15/15 運点10/10

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 爽やかな流れの小川に沿って下流の方向へ歩いていく。やがて小さな湖に着いた。

 あたりは酸っぱい臭いが立ち込めており、水面から蒸気が上がっている。その蒸気を透かした向う岸に1頭の動物がいた。四つ足で立ち、おいしそうにこの水を飲んでいる。俺から見ても汚いこの水を・・・

 俺は茂みに隠れてそうっと近づいてみる。まだこっちに気づいていないようだ。長い足にはひずめがあり、体の表面は硬そうなうろこで覆われ、尻尾の先は棘々のボールのようだ。頭は蛇のように細い顔で、水を飲むときに長い舌がチロチロと見え隠れしている。

 こいつが、魔女たちの言っていたオフィタディオタウルスという獣なのか?だったらこいつがダーガ・ウィーズルタングとかいう奴のところまで案内してくれるっていうのか?

 俺はこいつの目の前まで近づく。オフィタディオタウルスは俺を見つけた。動かずにじいっと立ち尽くし、次の俺の出方を見守っている。穏やかな性格のようだ。

 そうだ、こういうのはどうだろう。

 俺は近くで飛んでいた小鳥を捕まえて握りつぶした。そして動かなくなった小鳥を餌として、オフィタディオタウルスの口の前に突き出す。

 (技術点チェック、成功!)

 長い舌が巻きついて、俺の差し出した贈り物をぺろりと平らげた。何だか変わった感情が初めて湧き起こったぞ。こいつが「うれしい」っていう気持ちか!

 どうやらこいつは俺を信じてくれたようだ。だったら賭けてみるか。

 人間どもに比べると大きい身体の部類になる俺だが、オフィタディオタウルスもがっしりした身体を持っているので、そうそうつぶれたりはしないはずだ。だから思い切って、俺はこいつの背中に跨ってみた!

 ヒヒイイン!

 驚いたオフィタディタウルスは暴れたが、それも一瞬だけだ。すぐに大人しくなる。

 俺は太い指でこいつの首をつかみ、かかとで腹を蹴る。すると突然、オフィタディオタウルスは走り始めた。うわ!今度は俺が驚いた!!

 

 パカラッ パカラッ パカラッ ・・・

 藪に分け入って、森の中でどんどん速度を上げていくオフィタディタウルス。ピシピシと小枝が俺の身体にぶつかってくるから、顔を下にしてしがみつくのが精いっぱいだ。

 こいつがどれくらいの距離を駆けたのかわからないが、さすがに疲れてきた。腕が痺れて、もう振り落とされることを覚悟したそのとき・・・

 オフィタディオタウルスが立ち止まる。

 ぽっかり開いた森の中の空き地に着いたのだ。

 俺が急いで背中から飛び降りると、俺をここまで連れてきたオフィタディオタウルスは、駆け足で森の中に消えてしまった。

 この場所でどうしたものだろうか?俺が途方にくれて頭をぽりぽり掻いていると・・・

 

 (ガキン! キン! うああ! やめてくれえ!!)

 (へっへっへ 身ぐるみはいじまえ!! 観念しな!!!)

 

 闘いの音、そして悲鳴が聞こえてきた。その音はこっちに近づいてくる。ハッとして俺は素早く近くの茂みに身を隠す。そして何がやってくるのか見届けることにした。

 やがて3人の姿がもみ合いながら、この空き地に転がり込んでくる。

 うち2人は人間の山賊のようで、革の胸当てとナイフを身につけている。

 こいつらは白髪のエルフを殴りつけていた。エルフは滑らかな布のローブを身にまとっているが、逃げる途中で落としたのか武器は持っていない。21ではどう見ても分が悪そうだ。抵抗しているものの、腹や顔をしたたかに殴られ続け、とうとう地面に突っ伏して弱々しく呻くだけになった・・・。

 

 (1)エルフを助けようとするか?

 (2)黙って見ているか?

 

 1)だ。ドリーの三姉妹の導きによると、おそらくこの情けない痩せっぽちが、ガレーキープに潜り込む方法を知っているダーガというエルフのはずだ。そしてガレーキープには、俺が倒すべきザラダン・マーと、俺が求めるべき真実がある・・・

 だから俺はぬうっと茂みから出た。山賊どもはぎょっとして振り向く。そしてお互いに顔を見合わせた。

 

カラー0010.JPG

テール「な、なんだこいつ・・・」

俺「 ・・・ 」(一歩、ずいっと踏み出す) 

ビビッツ「テール、どうやらこいつ、エルフの助太刀気取りだ!」

俺「 ・・・ 」(また一歩、ずん、と進む)

テール「わかってるさビビッツ、返り討ちにしてやるぜ!」

 

 この山賊の2人組は、お互いをビビッツテールという名前で呼び合う。そして同じような動きで同時に俺へ向かってきた!

 (本文中『君は同時に戦わねばならない』とありますので、ここは複数戦闘になります)

 

【山賊1 技術点8 体力点9

【山賊2 技術点8 体力点7

1R 山賊2を指定 (山賊1/13)(山賊2/13)(“君”/21) 山賊2/体力点-2

 俺はまずスタミナのなさそうなテールを殴る!しかし・・・

 「落ち着け、連携だっ、人間様の知恵を見せてやれっ!!」と山賊どもが目配せする。

2R 山賊2を指定 (山賊1/14)(山賊2/11)(“君”/1ゾロ) “君”/体力点-4

 そしてひらりひらりと右から左から・・・

 ぐうっ!奴らのナイフが同時に俺を刺す!!

3R 山賊2を指定 (山賊1/13)(山賊2/15)(“君”/16) 山賊2/体力点-2

 だが、これで俺の闘志に火がついた。

 こいつらは敵だ!俺の行く手を阻む障害だ!!

4R 山賊2を指定 (山賊1/18)(山賊2/17)(“君”/20) 運試し吉 山賊2/体力点-4 ←OverKiLL!!

 俺はテールの両腕を押さえて、上半身を紙のように引きちぎるっ!!

 山賊の片割れは悲鳴を上げる間もなく鮮血とともに絶命した。

5R (山賊1/14)(“君”/18) 山賊1/体力点-2

 「なん・・・だと・・・!」残されたビビッツはじりじりと後ずさる。

 どうやら俺にかなわないと悟ったようだ。

6R (山賊1/15)(“君”/15) Draw

 だがもう遅い。

 ちょこまかと逃げるな、貴様・・・

7R (山賊1/18)(“君”/22) 山賊1/体力点-2

 俺はビビッツの右足首を手で捕え、容易くポキリと折る。

 「ひい!」と、短く叫んだのが・・・

8R (山賊1/18)(“君”/3ゾロ) 山賊1/即死 ←KiLL!!

 こいつの最期の言葉だった。

 俺は、足を折って動けなくなったもう一人の山賊の胴体を、ズシンと踏み潰す。

 

 ズシン!ズシン!念には念を入れて、ビビッツの身体を何回も何回もしつこく踏みつける。とうとう背骨というか肋骨というか、なにもかもが粉砕されてこいつも死んだ。山賊の2人組は、静かな森の中で、血まみれの肉塊に姿を変えた。

 そして俺は、相変わらず地べたに倒れているエルフに注意を戻した。エルフは自分も同じような目に遭うと思ったのか、俺と目が会ったとき、びくっと縮こまる。

 お前がダーガ・ウィーズルタングだな?

 なるほど、イタチの舌が生えているような、卑屈な顔だ!!

 

 

 

虚実 –-Creature of Havoc--

 

【技術点11/11 体力点11/15 運点9/10

 

 未だ痛めつけられた苦しさに呻いているエルフを引きずり、空き地の中で日当たりのよい芝の上に寝せてやる。エルフの男は仰向けになったままでしゃべり始める。

 

エルフ「あ、ありがとう、わ・・・痛っ・・・私はホワイトリーフという者だ。イーセル・アメインの村に住んでいる・・・あー、だいぶ楽になった・・・」

 

 何だと?ではお前は、ダーガ・ウィーズルタングではないというのか???

 

エルフ「助けてくれたお礼に何かしたいのだが・・・この森のことならかなり詳しいが、なにかお役に立てないだろうか?」

 

 どうやら俺が助けたこいつは、同じエルフでも人違いだったようだ。がっかりして肩を落とす。

 そのとき、鳥たちが驚いてばたばたと一斉に飛び上がった!

 ゴウン、ゴウン、ゴウン・・・

 かすかな低音が上から聞こえてきた・・・

 俺とエルフは空を見上げた。そこには「それ」があったのだ。ついに「それ」がやってきた。まだかなり向うに離れているが、青空の中に不自然な漆黒の斑点が浮かんでいる。

 そう、悠然と浮かんで恐怖を撒き散らしている「それ」は・・・

 

 空飛ぶ帆船!ガレーキープ!!

 

 エルフはこの世の終わりを見たというような、げっそりした表情で呟いた。

 

エルフ「ついにお出ましだ・・・ザラダン・マーの行くところ、後に残されるのは死と荒廃だけだ・・・」

俺「あ・・・うあ・・・」(空を指差す)

エルフ「そうか、ガレーキープについて知りたいのか?」

俺「・・・(激しくうなずく)・・・!!」

エルフ「私はどうすればあそこに行けるか知っているよ。風が弱まると、ガレーキープはここから西に少し行った地点に着陸するんだ。そこに行けば乗り込むことができる。まあ、幸運を祈るよ」

 

 エルフはよろよろと立ち上がり、この空き地から去ろうとする。ところがここで突然、俺の指にはめた<真実の指輪>がちりちりと熱を発した。

 そう、思い出した。これはドリーの魔女たちにもらった指輪だ。はめ込まれた宝石はいつも以上に妖しく輝いている。

 俺はエルフの前に立ちはだかり、手の甲を向けて指輪を見せつけた。お前、ひょっとして嘘をついてないか?ガレーキープについて本当のことを何か知っているんじゃないか??

 

   <<<真実の指輪が効力を発揮した!パラグラフから50を引く!>>>

 

ダーガ「あー、今言ったことは少し正確ではないかもしれないな・・・」

 

 指輪を見せつけられると、エルフは急にタジタジとなり、声の調子が変わった。

 やっぱりこいつはダーガ・ウィーズルタングだったのだ!!

 

ダーガ「ふむ・・・ガレーキープはこの近くに着陸したりはしない。着陸なんかしたら危険すぎるからな」

 

 <真実の指輪>の魔力がダーガを捕らえる。ここからこいつは真実をしゃべることしか許されなくなった。正直になったダーガによると、ガレーキープに乗り込む方法2つあるらしい。

 

(方法その1

 森のあちこちにガレーキープの乗組員が仕掛けた罠がある。彼らは食料を地上で調達しなくてはならないからだ。この罠にわざとはまって食料として乗り込む。

(方法その2

 サグラフの訓練所に行き、乗員として雇ってもらう。

 

 どちらもあまり気に入らない。俺はグルルルと唸り、不賛同の意を表明する。

 

ダーガ「なに?君は怪物のくせに、ザラダン・マーの配下になりたくないのか?」

俺「・・・(うなずく)・・・」

ダーガ「だとしたら、ザラダン・マーに会ってどうするんだ?」

 

 ダーガは俺の目をじっと見る。そしてこのエルフは、俺の真の目的を悟った。

 「ま、まさか・・・」顔面蒼白で呟くダーガに対し、俺はコクリとうなずく。そう、そのつもりだ。

 ダーガはおどおどして背後を振り返った。大丈夫だ、ここには誰もいない。それがわかると苦悩に歪んだ顔で話し続ける。

 

ダーガ「とにかく、私が知っていることはすべて話してやるよ。その指輪はエルフが鍛えたものだからな。たとえ裏切り者の私でも、身体の中にはエルフの血が流れているんだ」

俺「 ・・・ 」

ダーガ「ふむ・・・ザラダンがガレーキープで暮らしてることは知っているな?ザラダンの部屋にはあるマークがついている。それがどんな印かは知らないが、こんな詩がある」

 

 火と氷が争うとき、それを止めるのは何?

 火と氷の間に立つものは何?

 そのしるしが火と氷を分かつ

 それは火の赤でも、氷の白でもなく、青きもの

 

 不思議な抑揚で詩を吟じるダーガ。俺はその一言一句を胸に刻み込む。この謎かけがザラダンの部屋に通じる鍵となるのだ。しっかり覚えておかねば。火と氷の争いを止めるもの、火と氷の間に立つもの・・・

 

ダーガ「私が知っているのはこれで全部だ。もう行かなければ!」

 

 こうして猜疑心の強いエルフ、ダーガ・ウィーズルタングは、そそくさと手を振ってこの空き地から去っていった。

 最初に嘘をついて俺をだまそうとしたのには怒りを覚えるが、奴を責めるのはよそう。

 事情はよくわからんが、エルフ族の中で裏切り者として蔑まれているうちに、他人をなかなか信用できない疑り深い性格になってしまったのだろう。

 

 ゴウン、ゴウン、ゴウン・・・

 

 空に響く低音がだんだん大きくなってくる。

 ガレーキープ、あの邪悪な空飛ぶ帆船が、確実に接近しつつある。

 だが俺はあそこへの乗り込み方がわかっている。ダーガに教えてもらった2つの方法のうち、悠長にサグラフの訓練所に行っている暇はあるまい。せっかくこんな近くまでやってきているのに時機を逸してしまう。

 だから手っ取り早い方法をとろう。俺は茂みの中にガサゴソと入ることにした。

 ガレーキープの乗組員どもが仕掛けた狩り罠を探すのだ・・・。

 

 

 

強襲 –-Creature of Havoc--

 

【技術点11/11 体力点11/15 運点9/10

 

 俺は、茂みに入ってから自分の誤りに気づいた。

 もともと罠というのは見つからないように仕掛けてあるわけで、それを見つけようとするのは容易いことじゃない。まごついている間にも(ゴウン、ゴウン、ゴウン・・・)空飛ぶ帆船ガレーキープは俺の頭上まで迫ってきている。俺はイライラしてあたりの茂みを両腕でなぎ払った。

 (ここで運試し、吉!)

 ん?あれは?背が高く細い木が不自然にたわんでいる。

 木の小枝はきれいに刈り取られ、たわんだ木の先端はロープで固定されている。ロープの先が輪になっており、その輪に足を突っ込むとロープが外れて木が跳ね上がるという仕組み・・・

 見つけたぞ!ガレーキープの狩り罠だ!!

 

 ゴウン、ゴウン、ゴウン・・・

 ついにガレーキープが真上までやってきた。もうこの方法しかないだろう。意を決してわざと罠に足を突っ込んでみる。

 バィイイン!木は跳ね、予想通り俺は木のてっぺんで逆さ吊りになった。

 ポロッ。しまった、そのときの弾みで、指にはめていた<真実の指輪>がするりと抜け、俺の手から離れて地面に落ちてしまった。俺は罠にはまって身動きがとれないので、それをもう拾いにいけない・・・

 まあいい、そんなことよりも、今はこの状況だ。

 もしガレーキープが拾ってくれなかったら、俺はここで無防備のまま宙吊りになるわけだ・・・これは賭けだ・・・そして・・・

 俺は賭けに勝った!

 ガレーキープの黒い巨体から鉤のついた棒が突き出され、俺を吊るしているロープを引っ張り上げる。俺を捕らえた食料だと勘違いしたのだ。

 しばらく空中を浮揚したあと、俺は嫌な臭いのする色黒の怪物(モンスター)に乱暴につかまれ、甲板にどさっと投げ出される。

 その間、同じように捕らえらた獲物をの真似を演じて、俺はぐったりと動けないふりをする。よし、誰も気づいていないようだな。俺の真の目的に・・・

 やがて力の強そうな色黒の怪物は甲板から引っ込み、代わりにちょこちょことした2匹の小柄な怪物がやってきて、俺の腕を片方ずつ掴んだ。そしてずるずると引きずって甲板に据え付けられたギロチン台まで俺を運んでいく。刃は今にも落ちそうだ。なるほど、こうして捕らえた獲物は肉塊にするのか。

 

 だが、俺は違うぞ!

 俺はがばっと起き上がり、満身の力をこめてこの2匹の怪物をまとめて抱え上げ、甲板から外に突き落した!!

 「アアァァァァ・・・!」甲板の手すりを越え、悲鳴を上げて墜落していく2匹の怪物。そんな俺の抵抗を見て、周りにいた同じく2匹の小さな怪物が、小剣を抜いて俺に襲いかかってきた。

 やっとわかった、こいつらはゴブリンだ。さあ、甲板の上で複数戦闘だ!

 

【ゴブリン1 技術点6 体力点5

【ゴブリン2 技術点5 体力点5

1R ゴブリン1を指定 (ゴブリン1/14)(ゴブリン2/12)(“君”/22) ゴブリン1/体力点-2

2R ゴブリン1を指定 (ゴブリン1/15)(ゴブリン2/9)(“君”/16) ゴブリン1/体力点-2

3R ゴブリン1を指定 (ゴブリン1/17)(ゴブリン2/14)(“君”/20) ゴブリン1/体力点-2 ←OverKiLL!!

4R (ゴブリン2/9)(“君”/18) ゴブリン2/体力点-2

5R (ゴブリン2/11)(“君”/22) ゴブリン2/体力点-2

6R (ゴブリン2/13)(“君”/17) ゴブリン2/体力点-2 ←OverKiLL!!

 

 こんな小鬼どもが、俺を傷つけられるわけがない!

 俺はゴブリン2匹を圧倒して瞬殺し、死骸をさっきと同じく舷側から投げ捨てた。そして血走った眼であたりを見回すと・・・おおっと、こいつはまずいぞ。

 

怪物兵士1「反逆だ!」

怪物兵士2「食料採集員がやられたぞ!」

怪物兵士3「第2分隊、こっちだ、早く!毒矢を持ってこい!!」

 

カラー0008.JPG

 俺様の大暴れを聞きつけて、兵士たちがやってこようとしている。不快なわめき声がどんどん俺の付近に集まってくる。どこか隠れ場所を探さねば!

 すぐ目の前に扉があったので、俺はとっさにそこを開けて飛び込んだ。先は船内に続く下り階段だ。

 どす、どす、どす・・・

 そこを早足で下りていくと、船の中央に存在する広いホールに出た。

 俺の目の前の正面に5つの扉が並んでいる。そして後ろの階段からは兵士たちの怒声と足音。ここでまごまごしていると、捕まってさっきのギロチン台送りだ!

 だが、どの扉を開けて入ればいいんだ?

 5つの扉にはそれぞれマークが描かれている。左から順番に・・・

 

 『水がこぼれている水差し』

 『燃え盛る炎』

 『王冠』

 『雪の結晶』

 『交差した剣』

 

 この5つだ。このうちのどれかが、ザラダン・マーの船室につながる扉のはずだ。

 待てよ?あの裏切り者のエルフ、ダーガ・ウィーズルタングが何か言ってなかったか?たしかあいつが吟じていた詩によれば・・・

 

 火と氷が争うとき、それを止めるのは何?

 火と氷の間に立つものは何?

 そのしるしが火と氷を分かつ

 それは火の赤でも、氷の白でもなく、青きもの

 

 火と氷の間に立つ・・・火と氷を分かつ・・・赤でも白でもなく・・・

 そうか、これだ!

 ピンときた俺は『水のこぼれている水差し』の扉を開けた。あの謎かけの詩の答えは「水」にちがいない。だからこのマークの扉で正しいはず・・・

 

 急いで扉を抜けると、そこは薄汚い部屋だった。

 

 

 

姿見 –-Creature of Havoc--

 

【技術点11/11 体力点11/15 運点8/10

 

 クモの巣、塵に覆われた家具、舷窓にかかるカーテン、ベッド、そして乱れたままの毛布、半開きになった衣装ダンス、中にあるのは優雅な制服、広い机、その上に乱雑に置かれた書類と地図、天井のハッチにつながるらせん階段、3本足の奇妙な機械、上についた筒は窓の外に向けられている・・・

 

 俺が急いで部屋の中を見渡した風景はこの通りだ。それから・・・

 

 鏡。 

 

 かがみは きんの わくに はまって いて せいこうな さいくが ほどこされて いる。

 

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 ザラダン・マー伝記 第93ページ

 

 かくてザラダンは物質世界を離れ、己の世界に閉じこもった。

 我々が知っている、いかなる世界とも異なる世界--地獄に。

 彼がいるように見える場所に、彼はいない。幻覚の世界。

 彼を探し求める者は、己の姿を見出すであろう。

 

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 俺がさ迷い歩いた地下の洞窟。そこにあった本だらけの部屋。その部屋の机の上にあった紙。あそこに書かれていたことを思い出す。鏡、鏡、鏡・・・そうだ、鏡だ!!

 

   <<<ここで現在のパラグラフから、伝記のページ番号である93を引く!>>>

 

 俺は鏡に近づき、映っている自分をじっと見つめる。

 いや違う。俺は、俺の姿ではなく、その奥にある何かを見つめている。

 俺の立ち姿はゆらめき・・・別の人影がゆっくりと形作られていく・・・

 

 妖術師ザラダン・マーが、己の聖域とした謎めく地獄からやってこようとしている!!

 

 鏡の中に映ったのはどこかの書斎だった。

 机に向かって座っている奴こそ、ザラダン・マーその人だ(表紙参照)。何百冊もの書物、奇妙な工芸品、恐ろしい悪魔像などが周りを飾っている。

 ザラダンは目を閉じている。眠っているのか?

 違う。俺の心臓の音は早鐘のように鳴り響き、背筋に戦慄が走る。こいつの全身から不思議な力、あるいはただ純粋なおぞましさを感じとったのだ。

 ザラダン・マーが、カッと目を見開く!

 鏡の前に立つ俺に気づいたらしい。らんらんと輝く燃えるような赤い瞳。どんな敵とも違う威圧感に俺はすくみあがった。

 「鮭が生まれた川を遡るように・・・我が創造物よ、見えない力に操られて故郷に戻ってきたのだな。お前はよくやった!」奴は重々しく語り始める。口の中には鋭い犬歯が見えた。俺はもはや鏡の前で身震いしながらその話を聞きとるだけだ。

 

ザラダン「お前がここ、ガレーキープまでたどり着いたのは、決して偶然ではない。お前は私のマランハ秘術による最高の作品だ。わが実験は完ぺきな成功を収めた。おまえはただ強いだけでなく、それに見合うだけの知性をも兼ね備えている。お前はすべての試練を乗り越え、とともに我が元へ帰ってきたのだ!」

 

 ザラダンはすべて予定通りでもあるかのように、滔々としゃべる。

 

ザラダン「そのたくましい身体を与えられる前、お前には慈悲など施されるべくもなかった。だが、我は優しくも、ただ殺される代わりに1つの選択肢を与えてやった」

 

 いつしか彼の口調には優しさが宿り、父が息子に対するような情愛が漂っていた。

 

ザラダン「お前は我の捕虜だった。我の部下として働くか、さもなくばマランハ秘術の実験材料となるかを尋ねると、お前は後者を選んだ。我はお前に敬意を表し、全霊を傾けてマランハを執り行ったのだ」

 

 それが俺の過去だというのか?

 俺は、以前ザラダン・マーと会ったことがある、だと??

 

ザラダン「我は長期に渡ってマランハの実験を繰り返していた。最初は小さな動物でしか上手くいかなかった。野ネズミをジブ・ジブに、家ネズミをグラニットに・・・それくらいしかできなかった。高等生物での実験は、お前と、お前の部下が最初の成功例だ。人間をお前のような強い怪物に変えるような実験は、それまでことごとく失敗していた」

 

 人間!人間!!俺はもともと人間だったのだ!!!

 だがしかし、俺の部下というのは・・・

 

ザラダン「実験を生き延びた被験体はコーブンの地下研究所へ送り込んだ。その能力と生命力を調べるためだ。お前とお前の乗組員も同様の措置をとった」

 

 もやもやした霧のように閉ざされていた記憶が、ザラダン・マーの言葉をきっかけとして、急速によみがえってくる。

 俺はやっと鏡から視線を外すことができ、キョロキョロと部屋の中を見回した。

 机、ベッド、衣装ダンス・・・それぞれの品物に対して、親しみを急に感じ始める・・・そうだ、ここは・・・この部屋は・・・!

 ザラダンはそんな俺の様子を見て、からかうように笑った。

 

ザラダン「その部屋を思い出したか?ほこりもかかっているし、少しばかり散らかってもいる。しかし、まったく手を加えてはいないぞ」

 

 この部屋は俺の私室!そして確かに、俺が捕まったときのままだ!

 

ザラダン「残念だが、お前の部下たちは、お前ほど幸運ではなかった。お前の親友リジーを覚えているか?彼はブラッド・オークとなって、盲目の愚かなハニカスを守っていたはずだ。給士長のバーゴンの味はどうだった?あの肥えた男はホビットにしてやった。そう、魔術師や剣士といっしょにいた、あのホビットだよ。おまえが一撃で殺した相手だ」

 

 ザラダン・マー!

 貴様はいったい、俺に、何をさせようと・・・!!

 

 

 

背反 –-Creature of Havoc--

 

【技術点11/11 体力点11/15 運点8/10

 

ザラダン「そう、それが真相だ!」

 

 自分だけが知る真実、その話に対する俺のリアクションがおもしろかったのか、得意げなザラダン・マーの口調はだんだん調子に乗って熱を帯びてきた。

 眼を大きく見開いて身を前に乗り出す。すると不思議なことに、鏡の表面から彼の頭が立体化して飛び出してきた!この魔法の鏡は、まるで水をたたえたプールのように表面が流動化するのだ。

 

ザラダン「お前には十分な褒美を用意してある。我が軍の上級司令官に任命してやろう。だがその前に、半オークの背負い袋をよこすのだ!」

 

 半オーク?グロッグのことか??

 あいつは確かに自分の背負い袋を後生大事に持っていた。そして今、それは俺の手元にある。確かあの中には細々した日常品と、固くて蓋が開けられない木箱が入っていて・・・

 そうだ、あの木箱!

 俺はここで突然思いつく。あの木箱と似たような形と大きさの箱を2つ、俺は壊して開けたことがある。その中にはどちらもフラスコが入っていて、中から変な煙が現れた。

 1つ目の煙を嗅いだ俺は深く考えることができるようになり、2つ目の煙を嗅いだときは他人の言葉や文字を理解できるようになった。

 この箱にも同じようなフラスコ、そして“煙”が入っているに違いない。

 

ザラダン「ヴァラスカ・ルーは失敗した。ガレーキープを用いても、エルフの村は見つけられなかった。となれば魔術の煙に頼るしかない。しかしこれらの“煙”がエルフ以外の生物にどんな影響を及ぼすのか未知数だった。だからこそお前に理性の煙言葉の煙の力を与えてやり、テストしてみたのだ。『理性』や『言葉』など、我には何の意味もないからな。だが“魔術の煙”を渡すわけにはいかん」

 

 ザラダン・マーは鏡の中からさっと手を伸ばしてきた。

 そこで俺は本能に従って後じさる。だめだ、これはグロッグの物だ。俺にしか触らせないぞ!

 その抵抗を見て、奴は舌打ちして恫喝する。

 

ザラダン「我こそがエルフの魔術を役立てることができる。その袋をよこせ!!」

 

 (1)ザラダン・マーに袋を渡す

 (2)渡さない

 

 ここで(1)を選べば、ザラダン・マー率いる魔軍の尖兵となって、世界中に破壊と暴虐を振りまく歓びを味わうことも可能だったろう。

 だが・・・(2)だ。

 俺はザラダンの命令よりも、ドリーの魔女三姉妹から下された使命を優先することにした。ゆっくりと首を横に振る。

 「なぜだ!」ザラダンは驚きに目を丸くし、次いで怒りに顔を歪めた。「我がお前を創ったのだぞ!その我に逆らうつもりか?お前を創り出すことに比べたら、お前を処分することなど何の造作もないのだ。よく考えろ!」

 鏡の向こうの妖術師が脅迫を仕掛けてくる。だが、俺の心はすでに定まっているのだ。

 ふざけるな!俺はその思いを込めて威嚇の叫びで応える。

 貴様に創られた俺は、ここまで・・・どれだけの・・・憎しみと悲しみを・・・!!

 

ザラダン「よかろう・・・」

 

 下僕と見込んでいた者からの予想外の反抗を受けたザラダンは、口元をひきつらせて、死の宣告を下すことに決めた。頭を鏡の中まで引っ込め、俺を指さしてなにやら呪文を呟き始める・・・

 

ザラダン「お前にこの世の地獄を見せてやる!!」

 

 黒色の魔法エネルギーの奔流が俺の全身を包む!

 

 『君はペチャクチャ獣のところでエルフの粉を浴びたか?』

 

 あのキラキラ光る粉か?ああ、浴びたさ!

 

 俺の身体を取り巻いた暗黒がバチイン!と音をたてて消滅する!!

 ザラダンは大いに驚き、全身の関節をあらぬ方向に捩じ曲げる苦痛呪文が効かない原因を考えた。

 

ザラダン「そうか。白魔術と黒魔術の中和!ペチャクチャ獣の罠を潜り抜けて・・・ええい!役立たずのハニカスめ!まだあのエルフの粉を封じていなかったのか!!」

 

 強硬手段が行えないと悟ったザラダンは、すぐさま次の手を考えてきた。

 すなわち・・・懐柔だ。

 

ザラダン「ところで、お前は何が不満なんだ?よし、その背負い袋を渡しさえすれば、一生遊んで暮らせるだけの富を約束しよう。どうだ?」

 

 そんなものは、いらない。

 このまま奴の好きなようにやらせておくわけにはいかない。反撃しなければ。しかし直接攻撃することは不可能だ。ならば・・・

 鏡を割ってしまえばいい!そうすれば中にいるあいつも無くなるはずだ!!

 

ザラダン「お前が何を考えているか大体わかるぞ。だがそれは無駄だ!無駄なんだよ!いかにお前の怪力でも、次元と次元の継ぎ目がそんなに簡単に壊れるものか。そんなことで壊れたら、ガレーキープが悪天候に見舞われたときなど、我の安全はどうなる!?」

 

 ザラダン・マーは鏡の中で、愚かな考えだとケラケラ笑う。だが俺は見逃さなかった。

 その余裕の表情の中に、一抹の危惧が含まれていたことを。

 

ザラダン「だから、そう、我の配下に・・・」

 

 素手でこの鏡は壊せない。ならば、これならどうだ?

 俺はここで、最適の道具を取り出した。

 

ザラダン「待て、なんだ、それは?」

 

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 ザラダン・マー伝記 第93ページ (続)

 

 しかしこのために、ザラダンは一つの弱点を持つことになった。

 水晶の棍棒だ。

 我々の世界と彼の世界を結ぶ門を破壊すれば

 ザラダンは二度と戻ってこれなくなるだろう。

 

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『君が水晶の棍棒を手に入れているのなら、それに対応した番号333を記録したはずだ。ただし今回はその番号ではなく、それに28を足した番号に進め』

 

 

 

終極 –-Creature of Havoc--

 

【技術点11/11 体力点11/15 運点8/10

 

 お前が存在する“鏡”を壊す方策は、この一つだけだ。

 俺は、地下研究所の隠された部屋にあった、緑色に鈍く光る武器--水晶の棍棒--を、ゆっくりと担ぎ上げる。

 「な、なぜ・・・それを・・・」俺がそれを持っていることなど、ザラダン・マーはまったく予想外だったのだろう。狼狽で顔が蒼ざめている。もはや恐れを隠そうとしない。

 確かにそうだな。俺はたまたま遭遇した冒険者連中をぶち殺して隠し扉を見つけるペンダントを奪い取り、それを使って水晶の棍棒が安置されている部屋を発見した。

 しかしその手掛かりとなるペンダントは、研究所の地底から地上へ出るときに、黒エルフに賄賂として差し出してしまった。だから今、ここにそのペンダントはない。

 なのでどうして水晶の棍棒を見つけられたかなんて、奴にはどう考えたってわかるはずがない。俺は言葉をしゃべれないし、答える義理もない。

 そう、ザラダン・マーは永久にわかるわけがない。それが必然の道理だ。

 

ザラダン「そうか、そんなものまで持っていたのか。あくまで創造者たる私に逆らおうというのだな」

 

 答えの代わりとして、俺は水晶の棍棒で鏡を打ちつけようと、一歩前進する。

 ザラダンは明らかに様子が変わった。己れのことを高慢ちきなではなくと言うようになった。さんざん威張り腐っていた態度がウソのように、上目遣いで俺をちらちらと見ながら、柔らかい口調でこう切り出す。

 

ザラダン「そう急がなくてもいいだろう。どうだね、私たちで将来について話し合おうじゃないか。君の望むものはすべて手に入るようになるんだよ・・・」

 

 それでも棍棒を持って迫ってくる俺を見て、ザラダンの声は恐怖に震え始めた。自分とこの世とをつなぐ次元の鏡が破壊される前に、何とかして交渉事をまとめようと、焦った早口で言葉をたたみかける。

 

ザラダン「君と私が組めば、アランシアに怖いものはなくなる。アランシア全土を征服できるんだ。富が欲しいのなら、いくらでも受け取るがいい。権力が欲しいのなら、西アランシアを君に差し上げよう!」

 

 遂に鏡の前まで辿り着いた。すでにエルフの粉を浴びている俺には、妖術師ザラダンのいかなる黒魔術も通用しない。奴の持つちっぽけな武器は、もはや舌の上で虚しく踊る言葉尻だけだ。俺は水晶の棍棒を容赦なく振り上げる・・・

 「これでもわからないのか?じゃあ、これはどうだ!」必死にザラダンが叫ぶ!

 

ザラダン「考えてもみろ!私を殺したら、お前は一生その姿のままだぞ!そんな化け物の姿で暮らしていくつもりか?お前は、お前の同族である人間に憎まれ、嫌われ、狩りたてられることになるぞ!!」

 

 俺の動きが止まった。

 確かにそうだ。奴のちっぽけな“言葉”という武器は、的確に俺の急所をとらえた。

 ザラダンがこの世から破壊されれば、俺は元の姿に戻れない。社会の敵として文明世界から追われたままだ。

 それは奴の言う通りかもしれない。

 だが、そもそもマランハの秘術は、元に戻せるものなのか?

 それに、ザラダン・マーの言葉を信じていいものなのか?

 俺は・・・

 

 ザラダンの顔に笑みが浮かんでいる!

 

 奴の姿が消えていこうとしている!

 奴はただ単に時間を稼ごうとしていただけだ!

 俺の視界が狭まって真っ赤になる。口の中の牙がきしむ。低いうなり声をあげた。

 俺は鏡に向って水晶の棍棒を 振 り 下 ろ し た ! ! ! 

 

 (((ガシャーン!)))

 

 部屋に響き渡る澄んだ音!

 消えゆくザラダンに向けた一撃は・・・そう、たった一撃だけで・・・鏡を粉々に叩き割った・・・。

 ザラダン・マーが住む奈落の地との繋がりは、これで消えたのだ。この世界を征服せんとすべく、様々な恐怖を振り撒いていた非道なる者の、あっけない最期だ。

 邪悪な妖術師は、二度とこの世に戻ってこられない。

 俺は、奴が俺に施した慈悲--何ともおぞましいものだが--を、何倍にも返してやった。

 ザラダン・マーにふさわしい慈悲。それは・・・

 

 「無」だ。

 

俺「 ・・・ ・・・ ・・・ (終わった) ・・・ ・・・ ・・・ 」

 

 俺は虚脱感を覚えながら、この部屋を出ようと、扉に向かって歩き出す。その瞬間。

 

俺「 ・・・!!!(イタイ!) 」

 

 足に激痛が走った。ガラスの破片でも踏んだのか?

 いや、俺の硬いうろこがそんなもので傷つくはずがない。

 俺は痛みの原因が何なのか、ゆっくりと足元を見つめ・・・そして驚き叫んだ!

 

「あ!あああっ!!神様っ!!!」

 

 人間の言葉で!!!!

 

 

 

団円 –-Creature of Havoc--

 

【技術点11/11 体力点11/15 運点8/10

 

 戻っている!俺の姿が、人間に戻っている!!

 濃緑色だった足はもはや鱗に覆われていない。傷つきやすくて柔らかい肌色の、人間の足だ。鉤爪も消えた。床に飛び散った鏡の欠片には、目を丸くして驚いている見慣れた人間の顔が映っている。

 俺は悟った。マランハの秘術は外科手術のようなものではなく、魔法による変身だ。魔法をかけた者がいなくなるとともに、俺にかけられていた魔法も消えてなくなったのだ!

 月岩山地の苦い記憶が甦る。ザラダン・マーと、その配下である無数のトーキ--戦闘用グリフォンの特殊タイプ--が、空を覆いつくして次々と、俺の船であるガレーキープを攻撃してきたのだ。そう、まるで猛り狂う嵐のように・・・

 トーキの背に騎乗しているブラッド・オークたちが射かける矢が雨あられと降り注ぎ、乗組員は次々と倒れていった。まさか天空に浮かぶこの船を襲撃する奴らがいるなど、まったく想像できなかった。俺は完全に不意を突かれ、やむなく降伏したのだった。

 そして奴がやってきた。

 ガレーキープに第一歩を踏み下ろす、ザラダン・マー!

 俺はあの時、命ある限りこの妖術師に復讐してやると誓ったのだ。まさか自分がマランハ秘術の実験材料にされるとは知らず・・・

 

伝声管からの声「ザラダン様?こちらキンメル・ボーンです。いかがいたしました?」

 

 この部屋につながった伝声管から、奴の手下の一人が声で安否を尋ねてきた。首領の部屋で物音があったのを不審に思ったのか。だが、主人の許しなしではこの部屋に入れないので、仕方なく声だけで様子を探ってみた、というところか。

 そして、ガレーキープの構造を熟知している俺は知っている。この伝声管はあまり精度が良くないのだ。俺の声でもザラダンの声でも、遠い向こうで聞こえているようになり、くぐもってしまう。

 だから俺はゆっくりと余裕を装って、ザラダン・マーに成りすまして返答した。

 

俺「・・・いや、どうということもない」

伝声管からの声「甲板から侵入した怪物を現在捜索中です。その件については、また後で報告いたします」

俺「・・・頼む」

伝声管からの声「そろそろ指定地域の上空に到達します。ここからのご指示は?」

俺「・・・しばし、待て」

 

 俺は再びガレーキープの船長になった。

 知能の低いザラダン・マーの兵士たちは命令されることに慣れている。実態の見えない声だけで指令を下していくだけで、俺に盲目的に従うだろう。

 こいつらを率いて地上に破壊を撒き散らし、世界の王者になることができるかもしれない。いやその逆に、邪悪の巣に乗り込んで混沌の亡者どもを一掃し、不世出の英雄として崇められることも不可能ではない。

 どうしてやろうか・・・この船を・・・ガレーキープを・・・いや待てその前に・・・

 いつまでも裸のままではいられないな。俺は衣装ダンスにかかっていた船長服を着込む。いろいろと今後やるべきことを考えながら、全ての装飾品を身に着けた。これは元々俺の衣装だ。これで俺はやっと人間らしい姿に戻れた。

 そして、仕上げのカフスボタンを留めているところで、あっさり唐突に考えがまとまった。

 

「針路を真西に向けろ」

伝声管からの声「了解です、ザラダン様」

「やがてアランシアの陸地が途切れ、西の海に出ても、なおも真西に向かえ」

伝声管からの声「了解です、ザラダン様」

「我が次の命令を下すまで、ひたすら真西に進むのだ。以上」

伝声管からの声「了解です、ザラダン様・・・」

 

 これでよし。俺は地図を見て確認する。うむ。

 邪悪な怪物どもを満載した空飛ぶ帆船。俺が命令したとおり、この船はやがてアランシア大陸を離れ、西の海に飛び出していく。

 果てのない航海の始まりだ。

 そして広い洋上では食料と水の補給もままならず、乗組員である怪物どもはみな死に絶えてしまうにちがいない。頭が悪い怪物どものことだ。飢えれば共食いし始めるかもしれない。

 しかしこの船の動力源は、魔法による半永久機関だ。乗組員がいなくても飛行能力は保持される。変針しないまま永久に前進し続けるのだ。

 つまり、俺が出した最後の命令により・・・

 ガレーキープは幽霊船となって天空の軌道をさまよい続ける。

 

 ギ・・・ギィ・・・

 ガレーキープが大きくきしみ、船首が西の方角に向かった。それでいい。この船は誰にも利用させない。どの勢力にも加わらないまま、永遠に空の彼方を進み続けるのがお似合いだ。

 そして俺は?

 俺は肘で舷窓のガラスをぶち破る。パリン!あっけなく割れた。

 はるか下には赤茶けたトロール牙峠が見える。そうだな。西の海に出て飢えて死ぬ前に、今のうちに自分の責任をとるべきだ。ここでもまたあっさりと・・・

 俺はひらりと飛び降りた。

 ザラダン・マーによって怪物となった俺は、たとえ知らぬこととはいえ、かけがえのない仲間を興奮して殺戮し、その肉をむさぼり食った。その罪と業はあまりにも深い。拭い去ることはできない。のうのうと生き続けることは、自分として許せない。

 

 だから自ら命を絶つことにした。

 運命がもたらした絶望に打ちひしがれ、報いを受けることに決めた。

 

 ヒュオオオオオオオッ・・・!!

 風を切って墜落していく俺の身体。頭上に見る見るうちに迫ってくる地面。

 もう少しだ。あと1秒もすれば、俺のやわな頭は大地に激突し、脳漿を撒き散らして即死できる。それで全ての終わりだ。

 ザラダン・マーを倒して俺の復讐は終わった。もうこの世で俺がいる意味は

 な に も な い 。

 

 (馬鹿者が!全て終わった気でおるわ!そうはさせんぞ!!)

 

 暗黒。

 

 そして。

 

 俺は・・・

 

* * * * * * * * * * * * * * * * * *

 

商人「ちょっと、おい、あんた!!」

 

 誰だ?俺を助けるのは?

 

「う・・・あ・・・」

 

 雨が降っていた。夏特有の驟雨。風が吹き付ける原野で。

 目覚めさせられた。一人の、なんでもない人間の隊商に。風体がさえない人のよさそうな中年男が、俺の頬を必死に叩いて目覚めさせていた。

 

商人「何だってこんなところで寝てるんだ?行き倒れっていう割には身体の血色がよさそうだ。いったいどうしたんだ?」

 

 いや・・・それが・・・あれ・・・??

 

 思    出    な

    い    せ    い。

 

 俺は何で生きている?

 なぜこんなところで寝ていて、商人にたたき起こされている?

 ここで目覚める前、俺はどこで何をしていた?どんな奴だったんだ?

 まったく思い出せない。記憶がない!俺は誰だ?誰だったんだ!!

 

 (ふぉふぉ・・・忘れたほうが良いこともあるが・・・人並みな過去でも授けてやるか)

 

商人「あんたの名前は何だ?名前だよ、な・ま・え!」

 

 (お前は今や新しい心を与えられた。存分に生き抜くがよい)

 

 ピカッ!雷鳴がとどろく。

 あの雷はどこかで見たことがある。いつかどこかで莫大な喪失感とともに・・・

 だけど思い出せない。まあいいや。思い出せないほうがいいのかもしれない。

 だんだん頭の中の混乱が収まってきた。ええっと俺はたしか、ファング出身の孤児だったはず。けちな盗みを繰り返してこんなところまで流れてきて・・・

 名前か?名前、ねえ・・・適当に・・・。

 俺は今見た稲妻を網膜にやきつけ、その印象そのままに、答えた。

 

 (ピカッ!) (ゴロゴロゴロ)

 

商人「はあぁん、ブリッツっていうのか」

ブリッツ「ん、まあ・・・そうだ・・・」

商人「あんたの身体つきと立派な船乗りの衣装、そしてベルトに刺した剣から見て、あんた相当の剣士だったんじゃないか?違うかい??」

ブリッツ「そう・・・なのかな・・・?自分じゃよく思い出せないんだけど」

商人「ま、いいさ、旅は道連れ世は情け、助けてやったのも何かの縁だ。どうせならこの隊商の護衛になってくれないか?俺は異教平原まで商売に行くんだ」

ブリッツ「異教平原?」

商人「ああ。チャリスからダークウッドの森の縁を抜けてな、そこまで行く。大きな山が目印さ。その山は不思議なことに頂が真っ赤でな、いや、火山というわけじゃないんだが。周りからは火吹山と呼ばれているらしい」

ブリッツ「なんだか知らんが・・・」

 

 おもしろそうだ。ここで野垂れ死にするよりましだな。付き合うぜ。

 こくりとうなづく俺の手に、商人はパン!パン!パァン!と、自分の手を合わせてハイタッチする。それからおもむろに「食いな」と、パンを差し出した。

 

商人「まずは食っとくんだ。死ぬのはいつでもできる」

ブリッツ「ああ・・・(一口かじって)・・・うまいっっ!」

商人「だろう?わしの運んでいる品に、目利き違いの物があるもんかね!」

ブリッツ(空を見上げて)「雨、やんだな」

商人「おう!あれを見ろ!!」

 

 空にかかる七色の光。虹だ!

 商人はにんまりとしてから、馬車馬に鞭をひとつくれてやった。

 

商人「いい塩梅だ。旅を再び始めるには、もってこいだ!」

 

 

* * * * * * * * * * * * * * * * * *

 

 (うほーぃ!やりおった!やりおった!!)

 (いちおう喜んでいいのじゃろうな。なんとか危ういところで世界の均衡は保たれた)

 (あいつ、ブリッツという名を担ったらしいぞ。あの甘党魔術師にも伝えとくかな)

 (スーススー、ところで歯抜けの老婆よ、おぬスが持っている物は?)

 (よじれ樫の森であやつが落っことした<真実の指輪>よ。まだ使えるわいヒヒヒ)

 (はっ!ケチケチしたこった!どこであいつに返してやる??)

 (そうだな、サソリ沼あたりで・・・)

 (スーススー、暗黒大陸クールに初めて渡リュときか?)

 (うむうむ、あそこへ行くには、わしらの手助けが、ちいとばかし必要じゃろう)

 (ま、そんとき、あいつはわしらのことなど、覚えておらんだろうがな・・・)

 

* * * * * * * * * * * * * * * * * *

 

 

 

【ファンタジー特別編『モンスター誕生』はこれでおしまいです】

 

 そして『ブリッツ-episode 0-』も終~了~ッ!!

 達成点+1で体力点を1点増やし、彼はこの後『火吹山の魔法使い』へと向かうことになります。

 そして紆余曲折あって・・・

 

【なんでどうしていつの間にやらこうなった。次回は『仮面の破壊者』からの続きになりますよ。友を失い逃亡者になったブリッツ君が『ナイトメア・キャッスル』に挑戦です!!】