電脳破壊作戦

 

 

 

 

主人公作成&キャラ設定(うわぁ) --Rebel Planet--

 

 はーい、FFリプレイブログLivre dont vous etes le heros(君が英雄になれる本)』は、今日から新シリーズ突入!

 SF超大作『電脳破壊作戦(Rebel Planet)』のスタートです!

 このGamebookの主人公は人類最後の希望を担う秘密工作員です。地球は銀河系の侵略者であるアルカディオン帝国に支配されています。人類最後の希望である“君”は、奴らの心臓である女王コンピュータを破壊するため、敵が厳重に統治する惑星を渡り歩くことになるのです。なになに、あらすじによると・・・

 

========================================

 銀河系を支配するアルカディオン帝国。その締め付けがますます厳しくなったとき、人類のレジスタンス組織SAROSは、微力ながらもその総力を結集して、最後の大胆かつ決死的な作戦に踏み切った。侵略者の母星の心臓を打ち砕くのだ。

 あらゆる格闘技を極めた君は、地球にわずかしか残っていない禁断の兵器、レーザー剣を携え、人類最後の希望を担ってその任務に赴く。君の任務は、旅の商人を装って、占領された諸惑星で散り散りになったレジスタンス地下組織の残党を探し出し、任務達成に必要なコードを探し出すことにある。その情報が得られたとき、君は始めて、惑星アルカディオンの女王コンピュータを破壊できるのだ。それさえ破壊すれば、アルカディア人の力は一挙に衰え、圧政の手が緩むはずだ!

========================================

 

 わお!まさにスペースオペラの王道を行くシチュエーション!!ヽ(・∀・)

 作者はこれがFFデビューのR.ウォーターフィールド、訳者は「宇宙の暗殺者」でおなじみ、酒井昭伸氏です。

 さてさて、今回の主人公ですが・・・

 当ブログでは、SF作品はまとめて「宇宙(そら)の一族」年代記として、サワムラ家の登場人物が代々務めることになっているのですね。勝手な設定なのですけれども。

 そして今回は、『宇宙の暗殺者』主人公ハヤト・パウロ・サワムラの次女、そして『宇宙の連邦捜査官』主人公マサト・サワムラの妹である、ケイト・サワムラが主人公となります。

 あれ?こいつは確か???

 

 (「宇宙の暗殺者」の最後の方を読み返してみるマッコイ・・・)

 

 あ、やっぱりそうだ。今回の“君”は、Blog初の女性主人公です。戦うヒロインだよ!

 レーザー剣の使い手だっていうから、そうさあの娘はクールなサムライ・ガールというわけだぁ!( ̄▽ ̄)ノ_彡☆

 だとしたらキャラ的には、話し方がちょっと固くて古風なカンジ?礼儀正しくて曲がったことが大嫌い、みたいな?よくある学園物のライトノベルなんかだと、黒髪長髪のポニーテールで、高校の剣道部主将、みたいな?

 あ、でもSAROSとかいう秘密レジスタンス組織の一員なんだよね。だったらハイティーンじゃなく、もう22歳くらいにしとこうか。剣の道を究める凛々しいお姉さんだ。なんつーか、異性より同性に好かれるタイプなのな。

 軟弱や卑屈な男を見かけたら、冷たく軽蔑のまなざしを向けるんだろうな。だけど冷酷ではなく、武士道精神で弱きを助け強きを挫く。

 んー、そんなキャラでいいっすかケイト・サワムラさん?(´・∀・`)

 

ケイト「む。貴様に任せる」(‐д-)

 

 あ、いーんじゃないすかそのリアクション。キャラ立ってきましたよー!

 

 えーさて、妄想がここからどんだけぇーな方向へ転がる前に、ルールの確認をしておきましょう。まずは能力値。これはサワムラ家代々一子相伝。今までの主人公をそのまま引き継ぎます。すなわち・・・

 

 【技術点11/11 体力点18/18 運点12/12

 

 となるわけだね。それから戦闘ルール。

 これはいつものFF戦闘、2d6+技術点の振り合いです。運試しによるダメージ増大or減少も今までのルール通り。

 え?SF物でおなじみの銃撃戦ルールや、宇宙船戦闘ルールはどうなってるかって??

 そ ん な ル ー ル ね ェ 。

 だってこの主人公、レーザー剣が唯一の武器だから銃撃たないもん。このSF25世紀で、刀剣片手に肉迫突撃だぜ、スゲエ!!Σr(‘Д‘n)

 あっと、敵のアルカディア帝国にレーザー剣を取り上げられたとき、素手で戦うことがあるってさ。そのときの特別ルールなんだけど・・・

 

※君の攻撃力が敵の攻撃力よりも大きい場合、もう一度1d6を振る。

  →1から5の出目なら敵体力点-2(いつも通りだね)

  →6の出目なら敵は秘孔をつかれて即死

 

 (*゚Д゚)ェェェェエエエエエ工工

 ちょwwこの娘wwww銀河系最強wwwwwww

 なんでも、アルカディア人の厳格統治を受け、武器が希少なものとなった人類の間では、素手の格闘技が極限まで進化を遂げたそうで。SAROSの特殊訓練を受けた君は、アルカディア人の急所を知り尽くしているから、なんだそうですけれども。

 だったらレーザー剣捨てて素手で戦えよ。その方が有利でしょ!!(o≧口≦)o

 しかもこの「即死」ルール、敵はないんだよね。ちょっと不公平かも・・・よーしパパ、ここで当Blogだけのハウスルールを導入しちゃうぞー。

 

 レーザー剣を使えずに素手戦闘となった場合、

 ケイト・サワムラは技術点-2のペナルティを受ける。

 

 こんなとこでどうかな?ケイト・サワムラさん??

 

ケイト「む。かまわぬ。その方が挑みがいがあるな」(‐д-)

 

 いーねえ。そのクールな対応。おいちゃん君の剣でバッサリ一刀両断にされたいよ(´Д`;)ハァハァ(←おいちょっとまて)

 ええとそれから、食糧とか体力回復薬はナシなんだ。

 そして携行品は反重力パックに入れられる6アイテムまで(ただしこれにレーザー剣は含まれない)。

 所持金は2,000クレジット。うまく使えば、これは旅の途中で追加の携行品を買い、宇宙船に乗り、宿泊するの十分な額らしい。さらに冒険の成果でもっと手に入る可能性もある。

 

 よし、準備完了。

 今回の主人公は・・・人類最後のサムライ・ガール、ケイト・サワムラ嬢。

 『Livre dont vous etes le heros(君が英雄になれる本)』初の女性ヒロイン抜擢です。

 果たしてうまくいくかな?それでは、スタートゥ!!ヽ(゚∀゚)

 

※タイタン世界の紹介コーナーは、今回もお休みです。どうかご了承ください(ー人ー) 

 

 

 

(プロローグ) ザ・ラスト・サムライ・ガール --Rebel Planet--

 

【技術点11/11 体力点18/18 運点12/12

 

 私が生を受けてから22宇宙年が経過したとき、地球は未曽有の危機に晒されていた--

 

 人類統合政体「銀河連邦」が遭遇した144番目の異星種族、アルカディア人。惑星アルカディオンを主星とする2本指の爬虫類型ヒューマノイドは、平和的な文明管理交渉を一方的に破棄し、強力な軍隊をもって地球へ電撃的に侵攻してきた。

 奴らの主攻勢面は、惑星アルカディオンから地球に直結する航路上にある、ハルマリス星系、ラディクス星系、そしてトロポス星系。

 これら3つの星系が次々と敵に占領される間、銀河連邦の政治家や軍人たちは、戦線の急激な変化に対応できないでいた。それほど奴らの軍事行動は統制がとれて速やかだったのだ。

 そしてとうとう我々の主星である地球も陥落してしまった。銀河連邦は無条件降伏し、アルカディオン帝国の統治下に置かれることとなった。

 私たち地球人は、アルカディア人に嘲られ、蔑まれ、いたぶられる、銀河の二等市民となってしまったのだ。

 

 申し遅れたが、私の名はケイト・サワムラ。

 誉れ高い武士(もののふ)であるサワムラ家の血を受け継ぐ者だ。

 祖父はトラベラー号を指揮し他次元宇宙遭難から奇跡の生還を果たしたホクト・サワムラ。

 父はヴァンダーベッケン事件で悪の首領科学者を拘束したハヤト・パウロ・サワムラ。

 そして兄は、銀河連邦警察で麻薬犯罪組織を一斉検挙する功績を上げたマサト・サワムラ。

 彼ら「宇宙(そら)の一族」の偉業に憧れた少女時代の私が、同じく星々を駆ける人生を追い求め、銀河連邦軍の幼年学校に入監するのは当然の摂理だった。

 サワムラ家伝統のサムライ・スピリットを継承し、特に個人刀剣術に優秀な成績を収めた私は18歳で士官学校を卒業する。それはアルカディア帝国が地球への侵攻を始める2宇宙日前のことだった。

 そして私は何の役目も果たすことなく、対アルカディア戦役は終了してしまった・・・

 

 無念の敗戦。銀河連邦降伏から4年。

 私はアルカディア帝国の支配下に置かれた地球で、とある天文研究組織に務めている。

 SAROSSearch And Research Of Space

 それが私の職場だ。表向きは惑星植民計画を司る民間研究組織。だがその裏側は、あらゆる手段を尽くして帝国支配を打倒するための、地球人によるレジスタンス組織である。

 軍籍を自ら抹消した私は、ここでたゆまぬ訓練を継続し、優秀な秘密工作員となった。アルカディオン帝国を打倒する、来るべき日のために、私のレーザー剣は日々唸りを上げて訓練標的を破壊しつづけている。

 そんなある日、一人の男がSAROSに来訪してくる・・・

 

マサト「ケイト!こっちだ!!」

ケイト「兄上もお元気そうで」

マサト「“アニウエ”ってのは、やめてくれないか・・・」

ケイト「申し訳ありません」(ぺこり、と、頭を下げる)

 

 ここはSAROSの来客ロビー。やってきた客人というのは、私の兄マサト・サワムラだった。

 地球陥落直前の任官パーティ以来、久しぶりに会った彼は、少し痩せてサングラスをかけていた。頬に刻まれた大きな傷跡が、銀河連邦解体後の境遇がハードであったことを伺わせる。

 かつては銀河連邦警察(GUP)で敏腕麻薬捜査官として活躍していた彼は、今でも--トカゲどもに雇われて(本人談)--帝国治安部に所属し、いまだ星々を駆け廻っている。アルカディオン帝国の支配下にあっても、旧銀河連邦星系を統括する警察組織は必要と為政者側に見なされたからだ。

 「お土産だよ、かわいいキティ」兄は1冊の分厚いレポートを渡す。

 「キ・・・キティっていう言い方こそ、やめてもらえませんか!」私は子供の頃、本当に嫌だった自分の愛称に眉根を寄せつつ、それを受け取った。

 そして驚く。

 それは地球降伏後、彼が行ってきた抵抗活動の集大成だったからだ。

 表面上は、兄マサトは帝国治安部に所属するアルカディア協力者だ。「侵略者の手先!」「裏切り者!」と同胞の地球人たちに罵られ、唾を吐きかけられながら、地道に情報収集してきた調査レポートが、今、ここにある。

 私は湧き上がる興奮を抑えてページをめくった。

 

 「アルカディオン帝国の強大たるゆえん。

  なぜ我ら地球人はいとも易々と敗れ去ったのか?」

 

 その秘密の鍵は、アルカディア各人の脳に埋め込まれた情動感知機にある。これによって主星アルカディオンに存在する彼らの女王コンピュータからの指令を受信し、奴らトカゲ人どもは、ただちに情動感応(エンパシー)体制に移れるのだ。

 「要するに、ハチやアリと同じということさ」そう言って兄のマサトは肩をすくめ、コーヒーをすすった。

 一人ひとりのアルカディア人は、巨大な単一の、帝国全体を冷酷に効率よくコントロールできる知性の、細胞なのだ。

 

ケイト「道理で統一軍事行動を、あれだけ速やかに行えたわけですね」

マサト「ああ、我々の敗北は必然だった。だがな・・・奴らの強みは逆に、弱みでもある」

 

 マサト・サワムラはにやりと笑う。それは修羅場を潜り抜けた男の凄味。

 心なしか、サングラスの奥で眼がキラッと光ったような気がした。

 

マサト「蜂の巣の弱点は、女王蜂があまりにも重要なことだ」

ケイト「と、いうと?」

マサト「すっかりコンピュータに頼りきっているということさ。トカゲ人どもは、もはや自分の意志というものを持っていない。中枢の女王コンピュータを破壊してしまえば、生けるゾンビーとなる」

ケイト「・・・!」

マサト「できるか?サムライ・ガール??」

 

 瞬時に理解した。アルカディオン帝国によって銃の所持を禁止された我ら地球人にとって、最大の武器は刀剣だ。そして私は、刀剣戦闘術において、誰にも負けた覚えはない。

 そう、私は人類最後のサムライであり、今現在この地球において、レーザー剣で戦える最強の人物なのだ。私は決然と顔を上げ、彼の射るような眼を正面から見据える。

 

ケイト「やらねば、なりますまい」

マサト(サングラスを外して)「そうか。ならば話を続けよう」

 

 彼が数々の危難をはねのけ、命がけで得た情報(そしてそれを私にリークすることもまた、命がけだ)によると・・・

 奴らの侵攻途上にあったトロポス、ラディクス、ハルマリスの各星系には、圧政に虐げられている地球人の地下抵抗組織が形成されている。その指導者達は最近になって、惑星アルカディオンの女王コンピュータルームに入るためのコード番号の断片を把握したらしい。

 

マサト「アルカディオン人は2本指の種族だ。2進数社会なんだ。奴らの女王コンピュータルームに侵入してそれを破壊するためには、2進数で9桁のコードが必要となる。そこまでは調べた」

ケイト「3つの星系それぞれで指導者に会い、そのコードをつなぎ合わせれば、いいのですね」

マサト「そう、そしてそのための手段だ。これをやろう」

 

 マサトは私に1つの鍵と、セラミックカードを渡す。それは彼の愛船サクラ号のメインパネル操作キーと、星間商人証明パスだ。

 我々地球人は惑星間の渡航を許されていない。だが、特別な認可を受けた星間商人に扮すれば、宇宙空間を航行することができる。彼が用意した偽装旅券は完ぺきなつくりだ。

 

マサト「サクラ号も、武装は外したがまだまだ現役だ。ワープ速度は地球でいちばん速いぞ」

ケイト「よいのですか?兄上にも必要な宇宙船では・・・」

 

 兄はふっと笑った。

 

マサト「ここらで引退しようと思ってな。今まで娘の治療費を稼ぐため、トカゲどもに頭を下げ続けていた」

ケイト「サクラちゃんのために?」

マサト「ああ。病院から連絡が入った。その必要もなくなったんだ」

ケイト「兄上・・・」

マサト「このレポートが俺の最後の仕事だ。お前に託す」

 

 兄の一人娘であり、私の姪サクラ・ウィリアムズは、アルカディア戦役において敵の大気圏外空襲で放射能被爆していたのだ。そして現在の衰退した地球の医療水準では、彼女を生かし続けることは至難の技だった。

 私はカチン、とレーザー剣の鯉口を切る。それはサムライの誓いだ。

 

ケイト(鋭い声で)「兄上の無念、晴らします」

マサト(鋭く返す)「いや違う、お前は、お前のために戦え。これから先も生きるために」

ケイト(すっくと立ち上がる)「承知!」

 

 そして私は大宇宙に飛び立つ。

 

 

 

(トロポス編・1) さらば地球よ旅立つ船は --Rebel Planet--

 

【技術点11/11 体力点18/18 運点12/12

 

メインコンピュータ「はじめまして。マサトの妹君。そして新しいご主人様。さて、あなたのことは、なんとお呼びすれば?」

ケイト「貴君の話しやすいように。だが、兄のように“キティ”とだけは呼ばないでほしい」

メインコンピュータ「アイ・サー」

 

 兄が私に委ねた星間宇宙船は素晴らしいメンテナンス状態だった。主にコンピュータ端末とディスプレイからなる、驚くほどシンプルな操縦パネルながらも、最新のワープ技術であるアルファ・ディリジウム航法にしっかり対応したプログラミングが為されている。

 私はゆったりとクッションのきいたパイロット・シートに収まり、ベルトを締め、メインコンピュータに応答するだけでよい。宇宙空間で何か異常が起こっても、この長い任務で私のパートナーを務める、サクラ号のメインコンピュータが的確な判断を下してくれるだろう。

メインコンピュータ「ケイトさん、で、いかがでしょう?」

ケイト「うむ、それならばよい。私は貴君を信頼する」

メインコンピュータ「身に余るお言葉。すべては正常に機能しています」

ケイト「よし・・・では、行こう」

 

 離昇!

 いよいよ冒険の始まりだ。私を乗せたサクラ号は数分間の高Gを味わった後、地球の大気圏を飛び出し、漆黒の宇宙空間に躍り出る。

 後部ディスプレイに映る、ぐんぐん小さくなっていく青い星。思わず振り返ってそこに視線が止まった。

 

メインコンピュータ「ケイトさん、いかがしましたか?」

ケイト「いや、なんでもない」(顔を前に向ける)

 

 もう一度、この星を見られるだろうか?

 私の任務はきわめて重大で、かつ、ひどく危険なのだ。

 

 さて、トロポス星系への星間航路に乗って2時間後、1つのアクシデントが起きた。

 メインコンピュータが警告を発する。一定の距離をとってぴたりと後をつけてくる宇宙船が発見されたのだ。

 回避行動をとるか?

 一瞬そう考えたが、やめた。つけてくるのはアルカディア人に違いない。星間商人に偽装した私がここで逃げ回っては、かえって注意を惹いてしまうだろう。

 こういうときはじたばたしてもダメだということだ。不動の精神でいかねば。

 兄マサトの用意した偽造旅券は完ぺきなはず。私は慌てずに落ち着いて、残りの航宙時間を、食べ、眠り、メインコンピュータと将棋をして過ごした。

 

 やがて惑星トロポスに到着する。

 サクラ号を追跡してきた宇宙船は、いつの間にか姿を消していた。どうやら賢明な判断だったらしい。税関のアルカディア人たちは、私に対して何の疑いも抱かなかった。

 反重力パックの中は衣服以外に見つけられる物はない。私が隠匿しているレーザー剣は化学処理を施されており、作動させない限りは外側に2つのボタンが付いた中空の筒にしか見えない。ベルトに隠した2,000クレジット貨幣も金属ではないので、探知機には引っかからない。

 オール・グリーン。無害な星間商人は惑星トロポスへの入星登録を済ませる。

 

メインコンピュータ「その格好、似合っていますよ。それではご武運を」

ケイト「・・・そうか?まあいい、ありがとう」

 

 星間商人風の黒のレザースーツに着替えた私は、サクラ号のメインコンピュータと簡潔なあいさつを交わす。この服は身体のラインが不必要に出ておりはしたなく感じるが、身分を隠すためだ。やむを得ない。

 私は宇宙港の外に出た。

 

 ほどなくして、無人のホバー・タクシーを拾う。乗り込んで驚いた。タクシーの中には堂々と監視カメラが取り付けられていたからだ。きっと撮影した映像すべては、アルカディア人の警察本部に送信されているだろう。どこかに盗聴器も仕掛けられているに違いない。

 なので私は無言で、頭の中だけで、ブリーフィングを行う。我々地球人にとって、脳内だけが自由の許される場所だからだ。

 兄マサトが調査していた事前情報によると、惑星トロポスの地下組織について、わかっていることは・・・

 

◎リーダーのコードネームが“ベラトリックス”であること

◎ベラトリックスとは、私がいま向かっている街にある<フィジョン・チップス>というクラブで接触できること

◎ベラトリックスはレジスタンスを厳密なモラルで統率していること

 

 この3つだ。敏腕捜査官だった兄らしく、情報としては多い方で、他の2つの星系に比べれば、ここの仕事は比較的容易に片付くだろう。

 私を乗せたホバー・タクシーはハイウェイを疾走し、やがて街を構成するビル群が見えてきた。この星の外出禁止時刻まであと6時間。さて、どうするか?

 

 (1)まっすぐ<フィジョン・チップス>に行く

 (2)惑星外の人間が滞在しなくてはならないホステルに行く

 

 さっそくベラトリックスに接触開始といくか?いや待て“急いては事をし損じる”だ。

 いきなり押し掛けても得る物は少ない。まずはこの星の文化的特色や、アルカディア人の統治体制を確認しておかねば。

 というわけで(2)。私はホバー・タクシーを操作し、ホステルに向けるようルート設定を行う。

 そしてその判断は・・・重畳至極!!

 街の繁華街と、ホステル街とのハイウェイ分岐点には、大きな警告ボードがアルカディオン文字を点滅させていたのだ。

 

 <要注意。街へ車を乗り入れることはできない。違反者は処刑される>

 

 即、処刑か・・・。

 アルカディア人の厳格な統治に武者震いを感じつつ、私は地球人用ホステルの前でホバー・タクシーを降りる。そして思わず顔をしかめた。

 

 

 

(トロポス編・2) 泣く男、グルス --Rebel Planet--

 

【技術点11/11 体力点18/18 運点12/12

 

 惑星トロポスの地球人専用ホステルは、今の私たちの境遇を象徴しているような、半ば廃屋となった建物だった。なんてところだ!ロボットのフロント係もいなければ、コンピュータ端末によるチェックイン・システムもない。何もかも旧式な、21世紀風の低い天井を持つ建物。

 フロントに入ると、接客担当の南アルカディア人はどうやら眠っているようだ。

 少々待って咳払いなどしてみたが、フロント係は私に気づかない。カウンターでうつ伏せになって微動だにしないのだ。

 こんなことをしていても時間の無駄だ。先に上がらせてもらおう。御免!

 ホステルの2階は共同寝室になっており、驚くほど不潔で、陰気臭くて、がらんとしている。そして・・・トロポスの蚤がどんなにすごいものかは、その目で見てみなければわからない・・・。

 その凄まじいベッドに一人だけ残っている地球人の男がいた。彼は悲しげに泣いているらしく、肩を震わせている。

 

ケイト「どうした、元気を出せ・・・(部屋を見渡して)・・・これ以上悪いことは起こらんだろう」 

男「もう起こっちまったんだよ。俺はトロポスの人間さ。あの人殺しのトカゲ人どものせいで、宿なしにされちまったんだ」

ケイト「君はこの星の出身なのか?」

男「奴ら、俺がレジスタンスだと疑いをかけやがって、女房も・・・子供達も・・・」

 

 彼は無実の罪でアルカディオン帝国に資産を没収されたらしい。私は元来口下手な方なので、人生のすべてを失った男の嘆きに付き合うのは難しい。黙ってじっと話を聞くだけだ。

 ややあって男のすすり泣きはやみ、どちらともなく睡眠をとることに同意した。ぼんやりとカビだらけの天井を見上げる私。彼の転落人生の話を聞けば聞くたび、帝国の苛烈な統治体制に怒りと恐怖がこみ上げてくる。

 このままじゃいけない。しかし敵は巨大だ。私は本当に任務を成し遂げられるのだろうか?

 

 ドス、ドス、ドス・・・む、あの足音は?

 仮眠をとっていた私が跳ね起きるのと同時に、1階から北アルカディア人の警備兵が尻尾を鞭のように振り回しながら、ものすごい剣幕で共同寝室に駆け上がってきたのだ。

 

警備兵「フロント係が殺されている!貴様ら2匹のうち犯人はどっちだ?」

 

 何だって!道理で動かないわけだ。死んでいたとは!!

 ここは一介の星間商人を装うべきだ。慌てふためいた民間人の振りをして、濡れ衣を晴らそうとする。しかしシーツの下ではレーザー剣をいつでも作動できるよう、私の指はそっとスイッチに添えてある・・・

 

ケイト「じょ、じょ、冗談じゃないわ、私が来たときは、すでにあのアルカディアの旦那は、動いてなかったのよ!私はただの商人です、殺し屋なんかじゃありません!」

警備兵「いや、そんなことはどうでもいい。アルカディア人1人が殺されるたびに、10人の人間を殺す決まりだ。貴様らにその最初の2人となってもらう!!」

男「ああ、殺すがいいさ・・・」

ケイト(演技をやめて素に戻る)「いや待て、君!」

警備兵「ようし、ならば、お前からだ!!」

 

 警備兵はさっきまで泣いていた男に近づく。彼は死ぬことなど気にならない様子で、自暴自棄になって、じっとベッドに横たわっているままなのだ。アルカディア人は残虐な笑みを浮かべて電気ムチを振り上げる・・・

 やむをえん!同胞の地球人を見殺すわけにはいかぬ。私はレーザー剣を作動させ、警備兵にとびかかった!

 「貴様ら、二級種族の分際で!!」警備兵は猛り狂い、尻尾を振り上げて私を威嚇する。銃器を没収された地球人が素手戦闘技術を昇華させたのと同じように、敵のアルカディオン人も、長く伸びた尻尾を用いて独特の戦闘技術を持っているのだ。

 この警備兵は尻尾を鞭のようにしならせ、第2の攻撃手段として活用してくる。つまり1回のラウンドごとに1d6を振らなければならない。出目が56であれば、尻尾は私の身体に命中して体力点-2だ。なるほど、これがアルカディオン人の戦い方というわけか。おもしろい!

 

【警備兵 技術点6 体力点8

1R (警備兵/11)(ケイト/15) 警備兵/体力点-2

   尻尾外れ

2R (警備兵/16)(ケイト/18) 警備兵/体力点-2

   尻尾外れ

3R (警備兵/13)(ケイト/17) 警備兵/体力点-2

   尻尾命中 ケイト/体力点-2

4R (警備兵/13)(ケイト/19) 警備兵/体力点-2 ←KiLL!!

 

 不慣れな尻尾の一撃をくらったものの、訓練にいそしんだ私の剣は、おごり高ぶったアルカディア人の兵士を圧倒する。ふっ。鈍い。こいつは鈍すぎる!!

 やがて奴は切り刻まれ、床にドスンと倒れた。「ブラヴォー!」私がレーザー剣のスイッチを切るのを見て、さっきまで泣いていた男が歓声を上げる。そしてこう続けた。「だけど急いでここを出た方がいい。一緒に来てくれ」

 うむ、確かにそうだ。私は彼と一緒に、地球人専用ホステルの窓から脱出することにした。

 

 私たちはホステルを出て、繁華街地区に潜入し、南に向かう。

 男はグルスと名乗り、憎きアルカディア人を屠った私に感謝して、握手を求めてくる。彼が詮索しないのを幸いとばかりに、私はまだ正体を明かさぬまま、彼と協力して逃避行を続けるが・・・どこか妙だ・・・

 グルスは、妻子を殺され嘆き悲しんでいた先ほどと違い、冗舌なのだ。また口調も荒々しく、下層市民特有のスラングも口端に上る。まるで二重人格のようだ。まさか、ホステルのあの態度は演技だったのか?

 しかしこの地区はきれいに碁盤目状になっていて、逆に迷いやすい。どのブロックにレジスタンスとの接触地点である<フィジョン・チップス>が存在しているのか、道を聞くなら同行者に尋ねるべきかと考え、やや慎重に切りだしてみる。

 

ケイト「腹が減ったな。ところで、地球の友達が言ってたんだが<フィジョン・チップス>というクラブは、入ってみる価値があるそうだ。君はそんな店、どこにあるか知らないだろうが・・・」

グルス「いや、知ってるさ。あの店は<アドルフォ・ビデオラマ>の地下にある。しかしあんたのようなカッコイイ姉ちゃんに、あそこの食べ物を勧めるとは・・・」

 

 このくだけた口調は、やはりさっきと違う。こっちの方が地なのか?

 

グルス「・・・お前のダチもおかしな趣味の持ち主だな。まあいい、連れてってやるよ」

 

 こうして私は、グルスの案内を元に、とある地点にたどり着いた。その間も胸の中の疑念は否応なしに膨らんでいる。

 

グルス「ちょっと待っててくれ、俺はある人間に会ってこなきゃならん。俺らを<フィジョン・チップス>に入れてくれる人間にだ。なあに、長くはかからん」

ケイト「待て。私も中に入らせてもらおう」

グルス「疑ってるな?それがここまで案内してきた者に対する態度かね?」

 

 私とグルスは、緊張の一瞬、にらみ合う。中間地点で視線の火花が飛び散る。

 先に目を外したのは彼の方だ。肩をすくめ、ふっと息を抜いて、こう告げた。

 

グルス「まあいいや、入れよ・・・」

 

 

 

(トロポス編・3) 彷徨いの繁華街 --Rebel Planet--

 

【技術点11/11 体力点16/18 運点12/12

 

 彼らのアジトらしい建物の中に、グルスと一緒に入る。私の後ろでガチャっと鍵の閉まる音がした。ハッと振り向いた瞬間だ。私は後ろ手に関節を決められ、壁に押し付けられた!

 

グルス「こいつを押さえろ!だが気をつけろよ、武器を持ってるぞ!!」

 

 あっという間に、グルスともう1人の男が私をはがい締めにする。そしてレーザー剣となる中空の筒をベルトから抜き去り、部屋の向こうへ放り投げた。

 

ケイト「待て、私はお前らの敵ではない。同じ地球人ではないか!」

グルス(ニヤニヤして)「なかなか見事なだましっぷりだったろう?」

ケイト「血迷ったか貴様!!」

グルス「もっとも気の毒には思ってるんだ。俺と相棒のインダスは泥棒でな。前に異星人野郎につかまっちまったんだ。で、今は奴らのスパイになり下がったというわけさ」

ケイト「・・・罠に嵌めたのだな、私を」

 

 やはり、ベッドで流していたあの涙は演技だったというわけだ。私が帝国の敵かどうか、同情を刺激させてふるいにかけるための。おそらく共同寝室に乱入してきた警備兵ともグルだったのだろう。

 グルスは抵抗組織の一員ではない、アルカディオン帝国の協力者だ。そして私が帝国の体制にたてつく奴だとはっきり認識したので、拘束して引き渡し、報酬を得ようとしている。

 

グルス(肩をすくめて)「言う通りにしなきゃ殺されちまう。お前を差し出しゃ、俺とインダスの借りも早く返せるってもんよ」

ケイト「卑劣な奴め!」

グルス「何とでも言え。(ケイトの頬をなでて)・・・なかなか上品な顔立ちのお嬢様だ。奴らに処分される前に、ちょっとだけ遊んでいくのも、悪くねえなぁオイ!」

インダス「ぐえへへへ!」

 

 馬鹿めが、自分たちから隙を作りおった!ここで1d6を振り、出目は5だ。そうすると・・・

 「私を怒らせたな!」私は片腕を振りほどき、押さえつけていたインダスの足の甲を踏みつけることができる!ゴキ!相手の骨が割れる感触を味わう。「ふげあ!!」情けない声を出し、思わず怯んで手を離す悪党の片割れ。

 さあ身体が自由になったぞ。私は丹田に息を込め、砦破の構えをとる。そして襲いかかってくる2人の悪党に対し、サワムラ一族相伝の徒手空拳術で対応する!

 この戦いは素手戦闘なので私の技術点は-2される(注:これはハウスルールです)。さらに、2人同時に対応せねばならず、両方に勝っても私が選択した方にしかダメージを与えられない。しかし私の攻撃が勝てば1d6を振り、出目が6なら相手を瞬殺できるのだ!!

 

【グルス 技術点5 体力点8

【インダス 技術点6 体力点8

1R インダスを選択(グルス/11)(インダス/9)(ケイト/15) 1d64 インダス/体力点-2

 拳を合わせてみて、奴らの弱さを実感した。なんだ所詮はこの程度の小悪党か・・・。

2R インダスを選択(グルス/8)(インダス/11)(ケイト/14) 1d63 インダス/体力点-2

3R インダスを選択(グルス/9)(インダス/18)(ケイト/18) Draw

 おっと危ない、油断した。気を引き締めねば!

4R インダスを選択(グルス/12)(インダス/15)(ケイト/16) 1d63 インダス/体力点-2

5R インダスを選択(グルス/14)(インダス/13)(ケイト/14) インダス/体力点-2 ←KiLL!!

 怒りの拳がインダスの耳の裏側に命中する。

 正確に急所を突かれ、牛のような大男はばったりと倒れ伏した。

 そして私はにやりと笑い、顔が青くなっているグルスに対して、クイっと手招きする。

6R (グルス/13)(ケイト/18) 1d64 グルス/体力点-2

7R (グルス/12)(ケイト/20) 1d61 グルス/体力点-2

8R (グルス/12)(ケイト/13) 1d61 グルス/体力点-2

9R (グルス/15)(ケイト/19) グルス/体力点-2 ←KiLL!!

 私の蹴り上げたつま先がグルスの眼窩底部に直撃を与え、卑劣漢の眼球を粉砕した。

 悲鳴にならない悲鳴を上げつつ、グルスはバタバタと地面を転がり・・・

 ぴくぴくと痙攣し・・・やがて動かなくなった・・・。

 

 ふう。後味が悪い。苦い勝利だ。

 たとえ帝国に与する裏切り者であれ、奴らも同胞の地球人であるからだ。

 だが気を取り直して、私はレーザー剣を取り戻し、自分のベルトに再び下げる。そして事が面倒になる前に、さっさと奴らのアジトを物色することにした。すると現金500クレジット(現在所持金2500)、ジリディウム張りのブレスレッド、赤外線スキャナーを見つけた。

 それら戦利品を反重力パックに収納し、精神を平穏を取り戻してから、私は繁華街の街路区画に出るのだった。

 

 だが大通りは相当な人ごみだ!!

 電子地図帳も携帯通信端末も持っていない私は、碁盤目状の街中で、とうとう道に迷ってしまう。こんなところで体力を無駄使いしてしまい、体力点-2だ。

 むむ、困ったぞ。早急に<フィジョン・チップス>に行く道を見つけねば外出禁止時間になってしまう。そのときになってもまだウロウロ出歩いていたら、即時銃殺だ。

 焦る私は近くにあった、地球人が経営している食料雑貨屋に入ってみることにした。あわよくば店の従業員が道を教えてくれるかもしれない。

 

 ありがたいことに、食料雑貨屋の店主は非常に良心的だった。

 私は40クレジットを支払い(現在所持金2460)、果物やナッツをその場で食べさせてもらう。おかげで体力点+4あっという間に原点まで回復した。

 

ケイト「ふう、人心地つきました。礼を申し上げる」

店主(ケイトの言葉を聞いて)「こりゃあ、新しい地球の流行りかなんか、かな?」

 

 自分と同じ人間がここまで気前よく現金を支払うのを見て、店主はうれしそうだ。

 さて、目的地への道筋を聞くわけだが・・・

 いきなり<フィジョン・チップス>への道を尋ねるのは、危ない。善良そうに見える店主だが、さっきのグルスの例もある。なのでまずは、その上の地上階にあるという<アドルフォ・ビデオラマ>の場所を尋ねてみるとしよう。

 すると彼は眉をひそめて、疑わしげにこう答えてきた。

 

店主「なんだってトロポスに来て、そんな古いところへ行くんです?もうずっと前から、そこは廃墟になってますよ。お楽しみが欲しいんでしたら、いいところを教えてあげます」

ケイト「いや、気持ちはありがたいが、その店の外で友人と待ち合わせをしているのだ」

店主「ま、私には関わりのないことですがね。<アドルフォ・ビデオラマ>は、20丁目/東7番街にあります」

ケイト「ふむ・・・。して、この店の現在地は?」

店主「北18丁目、東9番街の真ん中あたりです」

 

 さて、そうすると、私は・・・

 

 (1)北に1ブロック半行ってから、西へ2ブロック進む。

 (2)北に2ブロック半行ってから、西へ2ブロック進む。

 

 簡単な計算だ。(2)だと目的地点を北に通り過ぎてしまう。なので(1)。私は食料雑貨屋の店主に別れを告げ、早歩きで先を急ぐ。

 ほら見えてきた。悪趣味に光るネオンの看板。あれが<アドルフォ・ビデオラマ>だ。

 グズグズしているヒマはない。この地下にあるクラブ<フィジョン・チップス>でレジスタンスのリーダー“ベラトリックス”と接触し、何としても任務を果たさなければ・・・

 

 

 

(トロポス編・4) クラブ<フィジョン・チップス> --Rebel Planet--

 

【技術点11/11 体力点18/18 運点12/12

 廃墟となった立体シネマ館<アドルフォ・ビデオラマ>は、かなりの電球がなくなっていたが、今なお華やかなりし頃のネオンサインが残っている。

 かかっている看板は、地球が誇る名優グェン・リン・ヤンと、その孫フェイ・リン・ヤンの共演が話題となった「アドバンスド・スター・トレック」だ。銀河連邦崩壊直前、最後のメガヒットとなった作品を目の前にして、思わず郷愁にひたってしまう。

 いや、こんなところで立ち尽くしている場合ではない。私はクラブの入口に通じる地下へ階段で下りる。なるほど、階段の突き当たりに小さな看板で<フィジョン・チップス>と記されていたドアがあった。

 コン、コンとノックすると、のぞき穴から鋭い人間の眼が私を見据えてきて、いかにもその筋に慣れた手合いのドアマンが喧嘩腰に尋ねてくる。

 

ドアマン「何の用だ?」

ケイト「もちろん、クラブに入りたい」

ドアマン「誰に紹介されてきたんだ、よそ者?」

ケイト「誰にも。地球から来たのだ」

 

 と、簡潔に答えてみよう。まだドアの向こうの人物が、レジスタンスの一員かわからない。だからあくまで慎重に、SAROSやベラトリックスなど、私の任務に直接かかわる固有名詞は避けた。

 選択は正しかったようだ。ドアの向こうで掛け金を外す音が聞こえ、ドアマンは私を中に通す。会員登録料の250クレジットをしっかりせしめた上で(現在所持金2210)。

 いかがわしい非合法酒場の中を見渡す。客は大半が地球人だが、支配者側である南アルカディア人もちらほらいる(急いでSAROSと名乗らないで正解だった!)。頽廃した室内に漂う空気は、アルコールと、微量の合法ドラッグの1つ、グラジウムだ。だが、肝の据わったアルカディア人は、なんと禁止されて久しい劇物のニコチンタールまで吸引している!

 そこで私の観察は中断された。ドアマンが会員カードを手渡して、こう告げたのだ。

 

ドアマン「もう一つ、お手間をお取らせします。保安上の用心でしてね、お分かりいただけると思いますが、アルカディア人のお客様が、絶対やれとおっしゃるんですよ」

 

 そして金属探知機が私の全身を走査する。もちろん何の反応もない。さらには撫で回す執拗なボディタッチによる身体検査。ふん、用心深いことだ。しかし無駄な努力だ。私のベルトにある中空の筒がよもや武器とは思うまい・・・だが・・・奴は小声で・・・

 

ドアマン「おもしろい、実におもしろい。金属探知器に反応しないよう処理されたレーザー剣か」

ケイト「・・・!!!!」

 

 なんだと!私はバッと身体をひるがえし、戦闘時のスタンスを構える。

 だが、ドアマンはチッチッと人差し指を振り、こう言った。

 

ドアマン「アルカディオンのスパイなら、こんなものを隠し持つ必要はない。どうやら君は、目的の場所にたどり着いたらしいな」

ケイト「 ・・・ ・・・ ・・・ 」(無言でドアマンの顔を睨みつける)

ドアマン「まず、カウンターバーで待っていてくれ。23分したら、テレビ電話ボックスに行くんだ」

 

 即座に見抜かれた自分の素姓。その動揺を隠しつつ、私は10クレジットを支払い、人間用のドリンクをカウンターバーで注文する(現在所持金2200)。

 ドアマンは酒場の隅にいる人間のグループに近づいていき、15歳ほどの若い娘に何事か囁きかけている。娘はちらりと私を見やって席を立ち、すぐ傍を接近して通り過ぎ、クラブの外に出ていった。

 あの人物がベラトリックスか?

 まさか、あんな若輩が・・・姪のサクラ嬢とほぼ変わらない年頃じゃないか・・・

 私は今までの常識からその考えを否定し、ドアマンに言われた時間が経過したので、テレビ電話のボックスに入る。

 すぐにこの店から脱出できるよう、念のため、宇宙港のタクシーを予約しておこうか?

 いやそんなことをする必要もあるまい。もし何か事があったら、磨き抜かれた刀剣戦闘術で自力で脱出できる自信もある。しかしここは狭苦しいな・・・カチリ・・・

 今の音は???

 その瞬間だ。天井のハッチが開き、分厚い煙が私を包み込む!!

 ガス!睡眠ガス!!

 

 そう気づくも後の祭り。

 思い切り吸引した私は、崩折れながら自分の咳こむ音を聞くが、それはどこか遠いところから響いてくるみたいだ。しまった、意識が、くそっ!

 ガタン!足もとの床が外れ、私はシュートの中に落ち込んでいく・・・

 

 

 

(トロポス編・5) 公正なるリーダー、ベラトリックス --Rebel Planet--

 

【技術点11/11 体力点18/18 運点12/12

 

 ズキッ・・・ズキッ・・・ひりつく後頭部の痛みで目が覚める(体力点-2)。

 ここはどこだ?真っ暗だ。まさか私は目を潰されて・・・いや、光源がないだけか・・・よろよろと立ちあがる・・・

 カッ!!

 いきなり強烈なライトが私を照らしつけた。光の向こうには、3つの人影が辛うじて見えた。1人はテーブルに座っており、他の2人はその両脇に立っている。

 真ん中でテーブルに座っている人物は、さっきのドアマンに語りかけられ、クラブを出て行った年端もいかぬ娘だ。端正な顔立ちの顎に手をやり、じっと私を見つめている。

 

娘「あなた、私たちのビジネスについて、何か知っているようね。可能性は2つ。アルカディオンのスパイか、地球から来た味方のどちらか、ね」

 

 私は自らの根拠ない先入観を恥じた。何が若輩なものか。彼女の声音からは私以上の明晰さと冷静さがうかがえる。そして酷薄な笑みを漏らしつつ、続け様に言葉を発してくるのだ。

 

娘「乱暴な扱いをしたことは謝るわ。だけど、こうしなければならないわけはわかるでしょう。さあ、釈明を聞きましょうか」

ケイト「私は“ベラトリックス”を捜しているのだ」

娘「すると、私の暗号名を知っているのね。でも、それでは何の証明にもならないわ。スパイが潜り込んでいるかもしれないからね」

ケイト「・・・ ・・・ ・・・」

娘の傍にいる男「どうした、なぜ黙秘する???」

 

 微妙な状況だ。

 向こうは私がSAROSの工作員であることを疑っているし、私も彼らがレジスタンスだと信じるだけの確証がない。

 

 (1)自分の身元を証明しようとするか?

 (2)彼らがレジスタンスである証拠を見せろというか?

 

 ・・・よし、1)だ。私は胆心明らかにし、SAROSの一員であること、また、課せられた任務のことを打ち明けることにした。そう、年若いながらもこの娘は闘う目をしている。私のその直感に賭けてみよう。

 すると彼ら3人は頭を寄せ合って相談を始める・・・いい兆候だ!この連中がアルカディオン帝国の手先なら、今ごろ私は処刑されているからだ。

 長い合議の末、とうとう3人は離れ、ベラトリックスと名乗る娘が再び話し始めた。

 

ベラトリックス「いいでしょう。あなたはこの任務について、アルカディア人のスパイには到底わからないことまで知っているようです。ですが最後の確認として・・・」

 

 そして息をついで、すでに取り上げていたレーザー剣を私の手に戻しながら、こう告げた。私の心臓を突き刺すがごとく、早く鋭い口調で。

 

ベラトリックス「・・・1つ、してほしいことがあります。<フィジョン・チップス>のバーテンは二重スパイです。あそこに戻って、彼を殺してきなさい」

ケイト(即座に)「断る」

ベラトリックス「なぜ?何をためらうの?」

ケイト「私は人殺しではない。武士の末裔だ。証拠もなく闇雲に人を斬ることなど、せぬ!」

 

 私と彼女の視線が交錯する。それはまさに言葉によるつばぜり合い。そして・・・

 

ベラトリックス「おお、公正な考え方だわ!」

 

 ベラトリックスは相好を崩した。「これで、彼女の評価は上向くでしょう、どう?」初めて年相応のみずみずしい笑顔を見せ2人の男に問いかける。男たちも微笑みを浮かべ、室内の空気は一気に和らいだ。

 そう、彼女は厳格なモラルで抵抗組織を統率している。それは「証拠」なくしては何者も--例えアルカディア人であろうとも--有罪にはしない、ということだ。だから得体のしれない私もここまで生かされた。始末されなかった。その明解なる公正(Justice)こそが、レジスタンスの闘士たちから尊敬を受ける理由なのだ。

 

ケイト「それでは時間が惜しい。さっそく核心に入ろう」

ベラトリックス「いいでしょう、誇り高きサムライさん。私が知っていることをお教えしましょう。これだけ苦労してきた割に、情報量が少なくて申し訳ないんだけど・・・」

 

 彼女の得た情報では、問題のコードのうち連なる3つの数値を覚えるために、北アルカディア人が行進曲を作ったらしい。

 その数字がいくつかは知らないし、コード全体のどの部分かも判然としないが、ともかくこういう歌なのだそうだ。

 

 いけ!たたかいはわれらのたのしみ

 ちはたぎる、もたもたするな

 ぜんのうのアルカディオンよ!

 ろうをおしむな、すすめ、つねにすすめ!

 いけ!いくさのおたけびに、ちはさわぐ

 ちをもとめて、すすめ、ひたすらすすめ!

 

ベラトリックス「おそらく各フレーズの歌い出しが・・・」

ケイト「ああ、そのようだな」

ベラトリックス「幸運を祈ります」

ケイト「貴君こそ武運長久であれ。私が任務を達成するその時まで」

ベラトリックス「ええ、一斉蜂起の準備をしておきます。ところで・・・」

ケイト「む?」

ベラトリックス(にっこり笑って)「素敵ね、そのレザースーツ。私もそれが似合うスタイルにまで成長するといいんだけど!」

ケイト「・・・」

ベラトリックス「あ、ごめんなさい。こんなご時世なのに、ね」

ケイト(フフッと笑いながら)「・・・よく食べ、よく眠り、あとは適度な運動をすることだ」

 

 こうして私とベラトリックスは、闘う者同士、そして女性同士としての友情を感じとりつつ、固い握手を交わすのだった。

 やったぞ。この星ではいろいろと騙されてしくじったが、とりあえずここまでたどり着いた。

 アルカディオン帝国の女王コンピュータ室に入るためのパスワード、私はその3分の1を手に入れたのだ!(運点+2、しかし今は原点なのでこのままです)。

 

 

 

(トロポス編・6) 宇宙港脱出と船内ブリーフィング --Rebel Planet--

 

【技術点11/11 体力点16/18 運点12/12

 

 リーダーのベラトリックスと別れた後、レジスタンスの先導を受け、地下道の迷路を戻って地球人専用ホステルまで帰る。

 すでに私の大太刀回りのおかげからか、ホステルでは警備兵の数が出たときの3倍強となっていた。だが、私が警備兵を切り刻んだあの時の目撃者、裏切り者のグルスも始末しているから、私が犯人だとは特定できない。

 よし、大丈夫だ。パスワードを入手した安心感から、私はぐっすりと眠り(体力点+2)、翌朝、宇宙港に向けて旅立った。もうこの星に長居は無用だ。

 

 ここでもすごい警備兵の数だ。だが星間商人に扮した私の偽装は完ぺきなはず。パトロールしているアルカディア人たちは、私の人相を見ても知らん顔をしている。

 しかし順調なのもここまでだった。チェックポイントの税関で「待て!!」と、係官に呼び止められたのだ。

 「私は惑星ラディクスに向かう商売人です、旦那さま」と釈明するが、奴は一方的に「反重力パックを貸せ!」と命令する。携行品のチェックをするつもりらしい。

 まずいな・・・ほとんどの携行品は、物騒なものでないが・・・

 

係官「これはなんだ??」

 

 係官が疑念に思って手にしたそれは、グルスのアジトから分捕った赤外線スキャナーだった。

 私は心の中で舌打ちする。こいつはごまかしやすそうな南アルカディア人ではなく、斧型の頭をした中央アルカディア人だ。彼のとさかは極彩色に染め上げられており、それは階級の高い軍人である証拠だ。適当にはぐらかすとかえって厄介だ。

 

ケイト「・・・見ての通り、赤外線スキャナーです」

係官「なぜ地球人のお前が、こんな高度な装置を持っている?盗んだのか??」

ケイト「いえいえめっそうもない。私は星間商人です、こいつは宇宙船の外殻温度を測るために必要なんですよ」

 

 自分としても口慣れない卑屈なイントネーションで、馴れ馴れしく話しかけ、油断させる。

 さて、こいつは信じてくれるか・・・もしこれ以上ひと悶着あれば・・・私はベルトに隠し下げているレーザー剣のスイッチに親指を伸ばす。

 

係官「どうも怪しいな、昨日私の部下をホステルで殺した・・・貴様・・・?」

ケイト「ひえええ、滅相もない。そんな恐ろしいことがあっただなんて、初めて知りましたでさあ」

 

 アルカディア人の係官がズイッと迫る。一触即発、やむをえぬ。いざとなれば、こいつを切り刻んででも、この星を脱出してやる!!

 だが、その時だ。

 

???「きゃああ!SAROSのテロリストよお!!」

 

 !!!背中に衝撃が走る。落ち着け!声が響いた地点は、私がいる税関とは全く違う方角じゃないか。そこで若い女の声がしたのだ。

 一気に警備兵は臨戦態勢となり、声の方へ向かっていく。私を呼びとめて因縁をつけていた係官も、明らかに気が削がれている。

 

ケイト「あの・・・私は・・・?」

係官「ん?まあいい、早く通れ!!」

ケイト「そりゃあどうも!ありがとうごぜぇます!!」(足早に去る)

 

 こうして私は、無事に自分の宇宙船であるサクラ号までたどり着いた!!

 事が面倒になる前にさっさとスイッチを入れ、タキシングムーブに入る。サクラ号に乗り込んだところで、宇宙港ターミナルの格納庫でせっせと働いている整備員の地球人が、ふと目に入った。

 私に向けて帽子を振って笑顔であいさつしている。その顔は・・・ベラトリックスだ!!

 そうか。さっきのターミナルでの声も、彼女の率いるレジスタンスの仕業だな。私は彼女たちの援護射撃を受けたわけだ。

 たしかに私の下手な演技力では、あのまま尋問されたらボロを出し、拘束されるのは確実だったろう。奴らの気を逸らせてくれて、ただただ感謝だ。

 

ベラトリックス (・・・ヴォン・ヴォヤージ!!)

ケイト (・・・ありがとう!!)

 

 私と彼女は無言で会話する。そして敬礼を戻した後、メインブースターに点火だ。

 

 離昇!!

 

 さて、次のパスワードを得るための目的地はラディクス星系だ。

 久しぶりにほっと一息をつく。あらかじめメインコンピュータが航路をプログラムしているので、私は何もすることがない。そこで私は今のうちに、兄マサトが作成したラディクスの調査レポートを元に、船内私室で孤独なブリーフィングを行うことにした。

 

 惑星トロポスは文化的にも技術的にも後進惑星だった。それに比べると惑星ラディクスの文明度は高い。おそらく居心地はいいはずだ。

 しかしラディクスの地下組織の指導者は暗号名さえわかっていない。彼または彼女から何を聞き出せるかは、前にもまして重要になっている。

 そしてラディクスの学術意識と娯楽意識の高さは、戦役前の銀河連邦内でも有名な星系だった。アルカディオン帝国による占領後も、その怠惰で自由な雰囲気にひかれて、南アルカディア人がいちばん進駐しているらしい。こいつらはほかの2種族よりも寛容だが、意志を通じ合うのはより難しいとされている・・・

 

 ちなみにアルカディア人には3つの人種がある。

 兄マサトによる調査レポートを要約するとこうだ。

 

◎北アルカディア人・・・最大で身長約3m。鋭いとげを持った太く筋肉質の尻尾を持つ。これは戦いにおいて有効な武器となり、バランスを保つのにも使われる。彼らは粗野な戦士階級で何よりも殺戮を好む。逆に知能は高くない。

◎南アルカディア人・・・背が低くずんぐりしていて、2本の触覚を持っている。その触覚の用途は今のところ地球人には不明。感受性が強く、詩的な表現で会話することを好むが、しばしば意味が通じないこともある。アルカディオン帝国におけるエンターティナー層である。

◎中央アルカディア人・・・身長2m以下。関節の数も人間と同数。外見上もっとも地球人に近い。長い頭部を持ち、頭頂部にはトサカが生えている。肉体的には他の2人種よりも虚弱だが、その弱さを才知で補い、現在の帝国の支配者階級として君臨している。

 

 BEEP!!BEEP!!

 船内ブザーが鳴った。ベッドでハッと飛び起きる。どうやらレポートを読みふけっているうちに、いつの間にかうたた寝していたらしい。これでも私の身体にとってみれば休養十分。体力点が現在持っているそれの0.5倍、つまり8点回復する(注:ただしすでに体力点は原点なのでこのままです)。

 

メインコンピュータ「ケイトさん、休息中のところすいませんが・・・」

ケイト「早いな、到着したのか?」

メインコンピュータ「イエス。あと3宇宙時間後にワープアウトします」

ケイト「さすがだね、君のワープエンジンは」

メインコンピュータ「お誉めにあずかり光栄です。任務のご成功をお祈りします」

ケイト「ありがとう。では、ちょっと失礼」

 

 私は急いでシャワーを浴び、心と身体を目覚めさせる。そして黒のレザースーツを着込んで星間商人に扮し、ブリッジに戻る。

 やがて宇宙船サクラ号はワープアウトして通常空間内に姿を見せた。船外モニターに飛び込んできたのは水色のきれいな惑星だ。

 

 次なる目的地、惑星ラディクス。さて、ここで私を待っているものは???

 

 

 

(ラディクス編・1) 華やかなりしキャンパス --Rebel Planet--

 

【技術点11/11 体力点18/18 運点12/12

 

 ラディクスの税関は難なく通過。だが星間商人に扮した私にとって、偽装積荷のジリディウム鉱石が市場で捌けるまで、滞在許可証に記された期間は2だ。

 それ以内にレジスタンスのリーダーを見つけ、アルカディオンの女王コンピュータ室に侵入するためのパスワードを見つけなければならない。

 宇宙港を出て外の街に出る。

 ここはやはり高文明惑星で、そこらじゅうにロボットが闊歩している。重力がわずかに地球より軽いので、少しだけ身軽に動けそうだ。

 外来旅行者の私が使えるのはモノレールのみ。それに乗り、ラディクス唯一の大都市に運ばれていく。

 まずは怪しまれないうちに投宿だ。携帯端末で検索すると、この星の出入星管理委員会によって認可されている地球人用ホテルは2つしかない。

 1つはゾーディアック・ホテル。委員会によって3つ星の等級がつけられている。宿泊料もそれなりで一晩375クレジット。もう1つはポーキーズ・パレス。こっちはいかにも場末のモーテルだ。宿泊料は一晩50クレジット。

 どっちにするかと言われたら・・・心情としてはゾーディアック・ホテルだ。

 だけど私の旅はまだまだ長い。所持金はなるべく節約せねば。というわけでダウンタウンにあるポーキーズ・パレスを選択した。

 

 さて、ホテルに向かう途中、建物が何棟かまとまって崩壊している箇所が、街路のあちこちに散見される。まるで局地的な地震が襲ったかのようだ。

 これはいったい?アルカディオン帝国の仕業か??

 そう考えているうちにポーキーズ・パレスに到着した。オーナーの「ポーキー」は、ひどく太っちょな中年男性の地球人。悪趣味な指輪を全ての指に通し、ふかふかのマントを羽織り、ホテルの前の階段でノホホンをした顔をしつつ、日光浴をしている。いかにも占領後うまく立ち回って為政者と渡りをつけ、闇市場の顔役となった典型的な人物だ。

 そいつに50クレジットを支払い(現在所持金2150)、通された部屋で軽食をとってから・・・

 

 さあ、行動開始だ。

 まずポーキーに話しかけ、情報収集をするとしよう。

 私は星間商人らしく、儲け話を持ちかけるように、さりげなくこの星の現状を尋ねてみる。

 この破壊された建物群は、アルカディオン帝国の新兵器か何かか?先の戦役で被災したものか?だったら、私がこの次に向かう惑星から建築資材ユニットを仕入れてこようか。もちろん販売代理人は君にして・・・

 だがポーキーの口は重かった。周りをうかがうようにキョロキョロして、慎重に言葉を選びつつ応対してくる。

 この粉々になった街路区画は“ストリート・ファイター”という殺人ロボットが破壊しつくした結果だ。最近アルカディオンの占領軍当局は神経過敏で、その機械を使って学生のデモ破りをさせている・・・

 彼から聞き出せたのはそれだけ。

 あとは膝の上に猫を乗せ、ポーキーは私を無視して頽廃的な音楽をヘッドホンで聞き続けている。私は彼の傍を離れ、公園のベンチに座って考えをまとめることにした。

 

 待てよ、学生のデモ? ・・・そうか。

 

 惑星ラディクスには占領前の銀河連邦時代から、独立自治を誇りとしていた総合大学が存在していたはずだ。

 そしてアルカディオン帝国の統治下になっても、その機構は残されている。なぜなら惑星ラディクスの政治システムはとても高度なものであり、大学側が育成した地球人の官僚や技術者が為政者に提供されなければ、いずれ統治が行き詰ってしまうからだ。

 だが、いつの時代でも、自由を求める烽火はまず若者から着火する。高教養のテクノクラート学生の熱情から革命が生起した事例は、我々が宇宙に進出する以前の前史時代から、いくらでもあるのだ。

 とすると、反乱の温床となり得る大学施設に、抵抗組織が潜伏している可能性は非常に高い。よし、最初に手をつける場所は決まった。

 

 私はモノレールを乗り継いで大学前で降りる。

 外で少し様子を観察すると、大学キャンパスは素晴らしい威容を誇った建物群だとわかる。惑星の小さな重力をフルに利用した構造で、巨大な塔やアーチが優美に天へとそびえていた。建築用石材も淡いブルーでとても魅力的だ。なるほど、これほど先進的な施設であれば、帝国が占領時に破壊しなかったのもうなずける。

 ちょっと道草して併設された考古学博物館に入ってみる。そこではとても興味深く知的好奇心がそそられる展示物が並んでおり、ここに通う学生たちの高い教養度がよくわかる。

 今月の特設展示は、ラディクスに地球人が植民する以前、我々の歴史でいえば21世紀初頭におけるファシウム戦争の遺跡群についてだ。

 私が歩いていると、ぶらぶらと巡回していた警備員の南アルカディア人が話しかけてくる。なにやら回りくどい言葉だが、要するに「暇つぶしに案内してやろうか?」という真意らしい。

 冗談じゃない。アルカディア人を引き連れて、抵抗組織のリーダーに面会なんかできるものか。丁重に断って考古学博物館を出た。

 

 しかし・・・うーむ・・・

 どうにも違う次元世界に迷い込んだようで、落ち着かない。

 キャンパスは軽やかに騒いでいる若者たちでいっぱいだ。

 アルカディア人も地球人も、どちらも戦争など過去の歴史だと言わんばかりに、友人と笑い、遊び、真剣に話し合い、要するに自分たちの青春を謳歌している。

 かくいう私は、物心ついてから幼年学校を経て士官学校に入り、そのあとはSAROSの特殊訓練施設で己の戦闘技術を磨き上げることに専念し・・・生命のカット&ペースト。彼らとは全く対局の殺伐とした青春を歩んできたのだ。こんな爽やかな学園生活とは無縁の・・・

 いや待て、何を考えているんだ私は。任務に集中しろ!

 私はいつの間にか科学学部の校舎内に入っていた。その一角にある自動販売機のフロアーで、それぞれコップを片手に熱っぽく科学論議にふけっている学生諸君がいる。

 彼らから何か有益な情報が聞き取れるかもしれない。右も左もわからない新入生の振りをして、私はそっと少し離れたソファに座る。

 そして、彼らの後ろで聞き耳を立てる・・・。

 

 

 

(ラディクス編・2) 君たちは頽廃している --Rebel Planet--

 

【技術点11/11 体力点18/18 運点12/12

 

 彼らの話題の中に、レジスタンスと繋がる有益な情報が--

 私の期待は外れ、議論はすぐに終わった。誰かが混ぜっ返して爆笑が起こり、友情を高めつつ彼らは私の索敵範囲から離れていく・・・そうか、この感情は・・・

 ここのキャンパスに入ってから、私の心を支配していた、言い知れぬ感情の正体がわかった。

 「寂しさ」だ。

 年も変わらぬのに、彼らは明日のパーティや流行ファッションの着こなし方で頭がいっぱいだ。一方、故郷を離れ、誰にも言えぬ任務の重圧を背負っている私は・・・

 

???「あなた、新入生?」

ケイト「・・・!!」(びくっと背筋を伸ばす)

 

 不覚、気配に気づかぬとは!

 私の背後からいきなり声をかけてきたのは、1人の利発そうな地球人の女子学生だった。眼鏡を外し、私のいるベンチの隣に座る。

 

メヒタ「私はメヒタ。メヒタ・スナイプス」

ケイト「ああ・・・私は・・・(とっさに偽名をでっちあげる)・・・セン・ニューソーサ」

メヒタ「よろしく!セン!」

ケイト「こちらこそ」

 

 私とメヒタはお互いに握手を交わす。だがそれだけにとどまらず、彼女はそっと、身体を私の方に寄せてきた。

 

メヒタ「どうしたの、友達が作れなくて寂しいの?お姉さんに話してごらんなさい??」

ケイト「いや・・・その・・・なぜ君は、体を密着させてくるのだ?」

メヒタ「だってあなた、素敵だもの」

 

 彼女はうるんだ目で私を見つめ、しなやかな手つきで頬を撫でてくる。これは、そう、情報収集段階ではよくある光景だ。つまり・・・

 性的な対象として私を認識している!!

 ・・・私だって知識がないわけじゃない。異性とのそのような交渉について十分活用し、相手を利用できるよう教練を受けた。だが待て、彼女は、私と同じ女性だぞ!

 対応リソース不足でパニックになった私は、得体の知れない危険を感じてすっくと立ち上がる。メヒタはキョトンとして私を見つめている。

 

ケイト「待てメヒタ。私は君と同じ性別だ、交際の対象とはなりえない」

メヒタ「でもスラリとしてかっこいいわ。それで充分。男とか女とか、こだわる必要あるの?」

ケイト(思わず怒鳴りつける)「き、君たちは、頽廃しているっっ!!」

メヒタ(動ぜずに微笑む)「あら?ラディクスでは当たり前のことよ」

ケイト「な・・・破廉恥なことを言うな!革命の理念を捨て、こんなことしてて、いいのか!?」

メヒタ「革命?」(目つきが鋭くなる)

 

 しまった!動揺していらぬことまで・・・くっ!!

 獲物を自分の網に絡めとった蜘蛛のように、メヒタは唇を舐め、言葉を告げる。

 

メヒタ「なんだ、そんなこと?うちにはアルカディア人のスパイになる学生なんて、ほんとにわずかしかいないの。私たちは学生よ、そのことだけで十分なの」

ケイト「君も・・・そう思っている?」

メヒタ「はてさて、どっちだと思う?」

 

 彼女は謎めいた笑みを浮かべる。その余裕ある態度が気に入らぬ!お前は敵だ!!

 私は腰に下げたレーザー剣のスイッチに親指を伸ば・・・したところで、その手の上にメヒタの右手が重なった。

 

メヒタ「ここでそれを作動させてはダメ!トカゲ人どもがそこかしこにいるの、忘れた?」

ケイト「味方なのだな、君は。そうなのだな???」(必死に念を押す)

メヒタ「まったくもう・・・(ため息をつき、つまらなそうに)・・・上の芸術学部にいる老ザカリアス教授と話してみるといいんじゃないかな。“メヒタに言われてきた”と言うのよ。教授の部屋番号は239号室」

 

 心の底から安堵する。どうやら彼女は抵抗組織の一員で、私に「その筋の匂い」を感じたので付きまとい、内偵を図っただけみたいだ。とにかく、私の身柄が帝国に売り飛ばされることは避けられそうだ。運点1点回復(だけど運点は原点なのでこのままです)。

 

メヒタ「あそこは迷路みたいだから、部屋番号を忘れると、教授は絶対に見つからないわよ」

ケイト「ありがとう。君の協力に心から御礼を申し上げる」

メヒタ「・・・ウソばっか」

ケイト「うむ、私は嘘が下手だ、認める」

メヒタ「じゃあね、地球から来たサムライさん」(ひらひらと手を振る)

 

 私はメヒタから可及的速やかに緊急離脱し、すたすたすたと早足で直線状に歩いて、芸術学部のフロアーに向かう。部屋番号は教えられたとおり、239!!

 

 (ここで、その番号のパラグラフに飛びます。すると・・・)

 

 「どうぞ!」その部屋には、ちょうど講義に出かけようとする男がいた。白い髭を蓄えた地球人の老年男性だ。手に持っている書物から類推すると、どうやら歴史学の教授職らしい。

 

ケイト「Mr.ザカリアス?」

ザカリアス「いかにも。私は急いでいるんだがね、何の用かな?」

ケイト「メヒタから勧められてきました。ここへ行くようにと」

ザカリアス「あの子が?本当に??」

 

 私は無言でコクリとうなずく。明晰な彼の頭脳にそれ以上のサインはいらない。

 老教授はほうっと息を吐いた。すなわち、私が地球から来たSAROSのエージェントであることを、十分に彼は確信したのだ。

 

ザカリアス「私はメヒタの人を見抜く力には信頼を置いているんだ」

ケイト(吐き捨てる)「どこがだ!」

ザカリアス(驚いて)「・・・は?」

ケイト「あ、いやいや、なんでも」

ザカリアス「うむむ、しかし今は時間がない。講義が終わったらまた来てくれんか。1時間後だ」

ケイト「・・・承知しました。教室で大人しくしています・・・」

 

 

 

(ラディクス編・3) ストリート・ファイターの追撃 --Rebel Planet--

 

【技術点11/11 体力点18/18 運点12/12

 

 教室は聴講生でぎっしりだ。ザカリアス教授は人気者らしい。だがいざ授業が始まると、彼の歴史学の講義は非常に単調で面白みが全然ない。こんな退屈なのに、なぜだ?

 周りの学生の私語を盗み聞きして理由がわかった。ああそうか、彼は誰彼かまわず、とにかく出席していれば履修単位を与えるらしい。だから学生にとって安全パイな授業なわけか。

 しかし必要単位や留年など、一切関係ない部外者の私にとってみれば、ただ眠気を催す時間しかない・・・なるほど、学生は学生で、大変だこれは・・・zzz・・・

 

掃除婦「もしもーし!授業は終わりましたよ!!」

 

 ハッ!教室内には他に誰もいない!

 何ということだ私としたことが。居眠りするとはまたもや不覚!慌ててザカリアス教授の部屋、239号室に駆け戻るが、ドアにはこんなメッセージが貼ってあり、私は悔しさのあまり拳をドアに叩きつけるしかなかった。

 

 <急用にて早退。明日は午前11時に出勤>

 

 要するにパスワードを教えてもらうのは明日までお預けということだ・・・。

 こうまで失策続きとは、私はスパイ任務に向いてないのか?修羅場を数多く潜り抜けた兄上ならば、何の迷いも戸惑いも困難もなく、任務を遂行していくのだろうな。それに引き換え、私という未熟者は・・・

 ええい!まったく自分の馬鹿さ加減に腹が立つ。運点-1だ。しかし少しだけ眠ったので体力は回復できた(体力点+2。しかし原点なのでこのまま)。それがせめてもの慰めか。

 こうして地団太踏んでいても仕方ない。ともかく今日は撤退するしかないのだ。私は失意のうちに大学の構内を後にするのだった。

 

 不本意ながら投宿しているポーキーズ・パレスに戻るため、モノレールに乗車する。

 ところがこれに乗っているうちに、緩んでいた気を引き締め直していた私は、とある「気配」を感じた。

 振り返ると、確かにすぐ後ろを別の車両がついてきている。とはいえ効率重視のモノレールシステムでは、夕方の下校時のラッシュアワーに合わせた当たり前のことでもあるのだが。しかし・・・私の第六感が・・・チリチリと脳内で警報を発している・・・

 

 (1)次の駅で降りるか?

 (2)ホテルにつけば安全だと考えて直行するか?

 

 いや、多少ポーキーズ・パレスに着くのが遅くなってもいい、ここは慎重に行こう。(1)だ。

 私は次の駅でモノレールからエスカレーターに飛び降り、地上に出る。後ろを見上げると、2人のアルカディア人が急いで降り立ったのがわかった。奴らは脳内に埋め込まれた情動感知機で、女王コンピュータと何やら交信している。

 やはりそうか!私は目についた最初の横道に駆け込み、物陰に潜んでじっと動きを止めた。

 ここで運試しは吉だ。目の前の大通りを尾行者たちが通り過ぎていった。

 ふう、帝国治安部のアルカディア警備兵か。逮捕されたら即時処刑だったかもしれない。私は幸運を感謝しつつ、迷路のような横道を幾度となく曲がりながら、ホテルに戻るのだった。

 

 ところが、今日という受難の一日は、まだ終わっていなかったのだ。

 前方から巨大なマシンが、ストリートを歩く私の方に向かってくる。そいつはのっぺりした金属の円筒で外殻は固そうだ。てっぺんにアンテナが突出しており、無重力スラスターでふんわりと浮遊移動している。そして交差点でぴたっと止まると・・・

 

 DOGOOOOMMMMMM!! いきなり超高速回転して衝撃波をぶっ放した!!

 

 周りの建物から、崩れた屋根瓦やレンガがばらばらと落下する。

 私は反射的に伏せることができたが、訓練を受けていない一般人の(そして貧困で恵まれない)地球人街の住民達は、この殺人機械の巻き添えを食って続々とゴミのように吹き飛ばされていく。そんな哀れな彼らが辛うじて発することのできた言葉は・・・「逃げろー、ストリート・ファイターだーー!!」

 たしかにそれにふさわしい名前の戦闘ロボットだ!

 なに?本文によると・・・『きみはバリオン手榴弾を持っているか?』・・・そんな物騒な兵器の所持が地球人に許されているわけがない。

 なので私は衝撃波を回避しつつ、曲折する横道を駆け回るしかないのだが、どこに行ってもストリート・ファイターはFEEENNNN・・・」と浮遊しながら私を追って街路を曲がってくる。

 そう、私を追尾している!このロボットは、先ほどのアルカディア帝国治安部の尾行者が呼び寄せた刺客なのだ!

 DOGOOOOMMMMMM!!

 またとてつもない衝撃波が噴出され、スラムの建物と一緒に、罪のない地球人がばらばらと吹き飛んでいく。

 くっ、これ以上私のために犠牲者を出すわけにはいかない。立ち向かわねば!

 私はレーザー剣を構え、ストリートのど真ん中に踏みとどまった!!

 

 久しぶりのレーザー剣戦闘。相手は油断ならぬ殺人ロボット、アルカディア帝国軍の恐るべき処刑兵器ストリート・ファイターだ。

 周りの建物が衝撃波で脆くなっていくたびに、私を襲う瓦礫はどんどん強烈になっていく。もし私が負けたラウンドの場合、最初のダメージは体力点-2で済むが、その次に負けたら体力点-3、その次は体力点-4と、どんどん増大していくのだ。

 だがここで技術点チェックだ。成功!私はこいつの弱点を見つけた!!

 ストリート・ファイターの弱点、それは敵を探知するために取り付けられたアンテナだ。急所を見破った私は、自分が勝ったラウンドのとき「普通に外殻を傷つけて敵の体力点-2か、「アンテナを傷つけて技術点-1か、どちらかを選ぶことができるようになった。

 さあ、戦闘開始!!

 

【ストリート・ファイター 技術点9 体力点12】 

1R (ストリート・ファイター/14)(ケイト/18) ストリート・ファイター/技術点-1

 まずはセオリー通り、アンテナを狙っていこう!

2R (ストリート・ファイター/11)(ケイト/17) ストリート・ファイター/技術点-1

 まだ技術点低下が足りぬ。絶対安全圏まで持っていかねば。

3R (ストリート・ファイター/16)(ケイト/1ゾロ) ケイト/体力点-3

 あっ!しまった脇腹に!くそ、あばらが2本持っていかれたか!!

4R (ストリート・ファイター/13)(ケイト/14) ストリート・ファイター/技術点-1

 だが私は退かぬ。退かぬぞ!

5R (ストリート・ファイター/11)(ケイト/17) ストリート・ファイター/技術点-1

 まさかのファンブルに苦しみもしたが、アンテナをついに切り落とした。

6R (ストリート・ファイター/15)(ケイト/18) ストリート・ファイター/体力点-2

 十分に技術点を低下させた。あとは・・・

7R (ストリート・ファイター/9)(ケイト/15) ストリート・ファイター/体力点-2

 切り刻むのみ!!

8R (ストリート・ファイター/13)(ケイト/16) ストリート・ファイター/体力点-2

9R (ストリート・ファイター/13)(ケイト/18) ストリート・ファイター/体力点-2

10R (ストリート・ファイター/10)(ケイト/18) ストリート・ファイター/体力点-2

11R (ストリート・ファイター/13)(ケイト/16) ストリート・ファイター/体力点-2 ←Destroy!!

 

 ストリート・ファイターは、私の瞬速の連撃によって、ついに作動を停止する。

 その一瞬の後に・・・ZUGOMMM爆発して四散した!!

 

 

 

(ラディクス編・4) 歓喜の直後の絶望 --Rebel Planet--

 

【技術点11/11 体力点15/18 運点10/12

 

 地球人を街のゴミのように処理していた殺人ロボットは、私の剣技で破壊された。

 長らく苦しんでいたスラムの住民たちが、驚愕と称賛の視線で私を見ている。ストリート・ファイターの散らばった残骸を蹴り上げ、私は確固たる足取りでポーキーズ・パレスまで戻った。

 太っちょのオーナー、ポーキーに本日の宿泊料50クレジットを支払い(現在所持金2100)、他には何のサービスも頼まず、先ほどの戦闘で痛めた脇腹を手当てしてからベッドに潜り込む。

 黙々と休息をとって体力点4点回復。

 そしてリフレッシュして次の日の朝を迎えた。さあ、今日こそレジスタンスのリーダー、ザカリアス教授からパスワードを聞き出す必要がある!

 

 モノレールに乗って再び大学施設に入り、きっかり午前11時、芸術学部棟にあるザカリアス教授の部屋、239号室のドアをノックする。

 だが・・・誰も出てこない・・・

 何分か待つが、ドアの向こうは沈黙したままだ。

 嫌な予感がする。やがて私の耳に届いてきたのは・・・バタバタバタ・・・尻尾をひきずるアルカディア人独特の足音・・・

 そして学生たちの悲鳴と、フェーザー銃の射撃音!

 情動感知機で女王コンピュータから指令を受けている奴らは、見事な統制行動で大学内に展開していた。瞬く間に芸術学部棟でも校舎のそこかしこから黒煙が上がり始める。

 私のいるフロアに帝国警備兵の一団が統制のとれた足取りでやってきた。奴らは抵抗組織の一員だったらしい学生活動家に手錠と猿ぐつわをはめ、引っ立てている様子だ。ここに至って初めて、私は事の推移を理解した。

 

 < 一斉摘発だ!! >

 

 とすると、教授の部屋の前に突っ立ていては危険だ。私は天井にある通風口に素早く隠れ、トカゲ人どもが廊下を通り過ぎるのをやり過ごすことにした。

 しかしそこの狭苦しいジェラルミン筒の中には先客がいた。

 メヒタ!私が口を開きかけようとした瞬間・・・「シッ!」彼女は私の口を押さえる。

 

ケイト「・・・!」

メヒタ「静かに。ザカリアス教授は逮捕されたわ」

ケイト「いつ?」

メヒタ「1時間半前」

 

 バタバタバタ・・・下に見える廊下を帝国警備兵が通り過ぎる・・・

 私とメヒタは安全を確認してから、しゅたっと通風口から降り立った。そして部屋内に入る。

 なるほど、ザカリアス教授のいた239号室の中はひどく雑然としていた。原稿や書物がいたるところに散らばっている。

 老人であるザカリアスなのに、相当抵抗した様子が痛々しいまでにわかる。それもそうだ。帝国治安部に反乱分子として検挙されたら、生き永らえて釈放される確率はゼロに等しいのだから・・・。

 

ケイト「君はなんでここに?」

メヒタ「教授はあなたが来ることを知ってた。だから逮捕間際に、奴らが239号室のドアを蹴破る直前、同志である私に伝えていったわ」

ケイト「どんなことを?」

メヒタ「部屋の中にパスワードに関する手がかりを置いた、って。それをあなたに伝えるよう、教授は私に最後の任務を託した。だから今までここに隠れていたの」

ケイト「ならば君は任務完了だ。早急に撤退しろ」

メヒタ「ええそうするわ。それじゃ!」

ケイト「教授の遺志を継ぐのだ。生きろ。死ぬのはいつでもできる!」

メヒタ「あなたこそ!無事でいて!!」

 

 メヒタは駆け足でこの場を去り、混乱したキャンパスのさなかへ姿を消した。生きて再びお互い会えるかどうか、それは私の才覚と彼女の幸運次第だな・・・。

 さて、教授の部屋だ。私に残された時間は少ない。帝国警備兵がここに再びやってくるまでに、彼の遺したメッセージ、アルカディオン帝国の女王コンピュータ室に侵入するためのパスワード、その断片を探さねば!

 

 

 デスクの上にある本をばらばらとめくる。それから引き出しの中もチェック。ペン立てをぶちまけて底を確認する・・・だめだ、それらしき情報は見つからない!

 私はガサガサと部屋内の物品をかき回すも、彼の記した文書類はすべて押収されてしまっているようだ。もはやすでに手遅れか?

 早く、早く、見つけないと・・・

 ええい、気ばかり焦っても仕方がない。深呼吸しろ、落ち着くんだ!

 ふと、机の上にある一冊の書物に目が止まった。

 

 

 【2100-2200年紀における人類の宇宙展開】

 表題の<2100-2200>の数字部分が、はっきり赤インクでなぞられている。

 そうか、パスワードの3桁の数字とは、これか!!

 「そこまでだ、動くな、テロリストめ!!」

 ZAP!!

 

 歓喜の直後の絶望。

 私が正解を確信して拳を握り締めたのと、背後のドアが開いたのが、ほぼ同時だった。

 間髪置かず、足もとにフェーザー光線の威嚇射撃が撃ち込まれる。そっと振り返ると、そこには銃を構えた帝国警備兵の一分隊がいたのだった。

 くっ、タイムオーバーか・・・

 

 敵はアルカディオン帝国兵10人。

 抵抗して1人を斬り裂いても、残りの9人が容赦なく私を蜂の巣にするだろう。ここは大人しく両手を上げるしかない・・・

 アルカディア人の警備兵たちは馴れた手順で私を後ろ手に縛り上げ、電子手錠をセットする。私の肉体は完全に拘束され、自殺防止用の猿ぐつわまではめられた。

 持ち物はすべて取り上げられてしまったが、幸いにも服飾品に偽装していたマネーベルトは無事だったので、所持金は保持しておける。しかし唯一の武装、私の心の友とも言えるレーザー剣は押収されてしまった。

 かくして私は帝国治安部当局へ連行されていく。その行く末は・・・

 

 

 

(ラディクス編・5) 裏切れば生、貫き通せば死 --Rebel Planet--

 

【技術点11/11 体力点15/18 運点10/12

 

警備兵隊長「二等種族のメスめ、起きろ!」

 

 ビシイッ!

 アルカディア人は拷問に鞭を使わない。なぜならば尻尾がその代わりとなるからだということを、捜査当局に捕縛されて、初めて知った。頬に衝撃が走り脳髄が揺さぶられる。後ろ手で縛られて椅子に座らされた私は、何度目かの失神状態から目覚めた。

 ここはどこだ?ああそうだ・・・

 ここはアルカディオン帝国治安部の捜査当局だ。衣服と腰に隠し持っているマネーベルト以外は何もかも取り上げられ、丸腰となって殴られ続ける私の前に、2人のアルカディオン人がいる。聴取(そして拷問)担当の帝国警備兵隊長、そして即時裁判担当の基地司令官だ。

 そう、アルカディオン帝国の統治下において、二等種族の我々地球人は、法廷で裁判を受ける権利がない。即時裁判によって罪状が確定して断定処分される。要するに野良犬や野良猫と同じ命の軽さなわけだ。

 南アルカディア人の基地司令官は矢継ぎ早に質問をぶつけてくる。そして私が完全黙秘すると、今度は聴取担当の警備兵隊長が尻尾を振りまわして威嚇する。まったく容赦のないコンビネーションだ・・・

 地球から来た商人が、教授の研究室で何をしていた?なぜおまえはレーザー剣を保有している?ラディクスの地下組織について何を知っている?SAROSの詳細な活動状況は?

 話せ!!ビシイ!ビシイ!ビシイ!

 

ケイト「 ・・・ 」

警備兵隊長「何だ、聞こえないぞ!!」(ビシイ!)

ケイト「殺せ」

 

 私はぷっ、と奴の顔に唾を吐く。「き、貴様アア!!」警備兵隊長は逆上し、フェーザー銃を私のこめかみに押し当てた。そうだ、それで終わりにしてくれ。

 こうして私の任務は終わった。と、思ったのだが・・・

 

基地司令官「待て。女王コンピュータからの指令を、私の情動感知機がキャッチした」

警備兵隊長「はっ。我らの聖母は、何と?」

基地司令官「慈悲深きアルカディオンに仇なすSAROSのテロリストめ、君は死罪だ」

ケイト「わかっている。今すぐ殺せ。その意気地がないのなら、私が自ら命を絶つ!」

基地司令官「まったく地球人という奴は・・・ザカリアスといい、お前といい・・・そう死に急ぐな」

ケイト「???」

基地司令官「よいか、この星の地下組織について知っていることを話せば減刑しよう。これは君らの言葉でいう“司法取引”というやつだぞ。どうする?」

 

 裏切れば生、貫き通せば死、か。

 そうか、そういうことならば・・・

 私には地球人類すべてを救う任務がある・・・

 だからここで死ぬわけにはいかない・・・

 すまぬ同志よ!!

 

 断腸の思いで私は血まみれの口を開く。

 惑星ラディクスに入星してからの諜報活動を自白することにした。もちろん女王コンピュータ室に入るためのパスワードを探していたなんて最重要機密は明かさない。

 だがザカリアス教授がレジスタンスのリーダーだったことなど、奴らにとって当面の至近距離に当たる情報は、捜査当局を満足させられるだけの量を慎重に選択して話す。

 「餌をぶら下げられたら、急に命が惜しくなったと見えるな?」警備兵隊長は私の変節を嘲笑しつつ調書を取る。貴重な情報なので彼の昇進も間違いないのだろう、彼の眼は興奮で赤く輝いているのだった。

 く、悔しい・・・この屈辱、決して忘れはせぬぞ!

 そして翌日。私の情報をチェックした基地司令官が戻ってくる。奴は傲然とこう告げた。

 

基地司令官「いいだろう地球人。お前の判決は、確実な死から、“死の可能性”に減刑されたよ」

 

 私は拘束を解かれる。だが、未だ釈放されたわけではないみたいだ。警備兵たちは厳重に私を監視している。ちょっとでも抵抗する気配を見せれば、即座に殺されてしまうだろう。

 私は警備兵たちに引きずられ、ある部屋に移動させられる。そこにはドアが2あった。

 

基地司令官「一方はレーザー射撃実験場につながっている。つまり自動的に銃殺だな」

ケイト「もう一方は?」

基地司令官「闘技場につながっている」

ケイト「闘技場、だと?」

基地司令官「うむ、われわれは闘技が大好きでな。よく犯罪者をそのドアから送り込むのだ」

ケイト「 ・・・ ・・・ ・・・ 」

基地司令官「もしお前が我々の闘技に・・・その・・・参加してだな、2頭の獣を倒すことができれば、お前を宇宙船に送り届けてやろう」

 

 つまり裏切りの報酬として、私は死刑囚から、奴らの娯楽欲求を満足させるグラディエイターに転職できたわけだ。もちろんその前に間違ったドアを選び、銃殺処分になる可能性もあるわけだけれども。

 

基地司令官「さあどちらを選ぶ?右のドアか?左のドアか?」

ケイト「左のドアを開けられたい」

 

 まったくの当てずっぽうで、何の根拠もない。だが先に進まねばならぬなら、先に進もう。私は意を決して左手のドアの前に立つ。

 ドアが開くと、その向こうは陰気臭い通路になっていた。基地司令官はにやりと笑ってから私を通路に押しやり、バタンとドアを閉める。

 あたりは暗くなったが、真っ暗ではない。はるか前方に光源がある。

 

 あれはレーザー射撃実験の光なのか?破滅への道なのか?

 それともあれは闘技場の明かりか?希望の光なのだろうか?

 

 どちらにせよ、進まねば、わかるまい。

 私は一歩ずつ歩いていく・・・

 

 

 

(ラディクス編・6) 狂乱の闘技場(1 --Rebel Planet--

 

【技術点11/11 体力点15/18 運点10/12

 

 通路を奥に進むにつれ、闇は次第に薄れていった。注意深く目を配るが、もちろん脱出口など見当たらない。そして巨大な格子のはまった突き当りにたどり着いたのだった。

 格子をぶち破ろうとタックルしてみるも、肩を痛めただけだ(体力点-1・・・やむを得ん。ここに座り込もう。

 やがて宵闇が降りて星が瞬き始める。地球はどの星だろう?壁にもたれかかり空を見上げながら、私は目を閉じた。先ほどの拷問でくたびれきった体を少しでも休ませておくのだ。

 数時間後、事態が進展する。

 1人のアルカディア人がニヤニヤしながら格子の向こうに立った。そいつは私をさんざん尻尾でぶん殴った、あの帝国警備兵隊長ではないか!

 

警備兵隊長「するとお前は、我々の闘技ゲームで、腕前を披露してくれることにしたわけだ。この扉は闘技場に続いている。今夜ここで過ごせ。夜が明けたら闘技のはじまりだ」

 

 私の選んだドアは正しかったようだ(運点+1)。理不尽な死を免れ、思わずほうっと息を吐く。だが私の命はまだトカゲ人どもの掌中にある。生き延びるためには、闘技場で襲いかかる化け物を蹴散らさねばならない・・・

 翌朝。石床の上、底冷えで目が覚める。

 だがわずかながら体力は回復していた(体力点+3)。ようやくガラガラ・・・と格子が上がり、あのにっくき警備兵隊長が一杯の薄いスープを持ってきた。奴は今日の闘技の主催責任者なのだろう、軍服の上に記念のバッジをつけている。

 

警備兵隊長「あまり弱っていると、戦いが面白くないからな。ケヒヒヒ!」

ケイト「食っておけと?」

警備兵隊長「そうだ、ザカリアス教授は今朝がた処刑した。奴の後継者であるメヒタ・スナイプスの逮捕も時間の問題だ。あとはお前が今日、闘技場で基地司令官を楽しませてくれれば、俺の市民等級昇格は間違いなしだ!!」

 

 そう言って唾を吐きかけ、下卑た笑いで私を見下ろすと、完全に油断しきって私にくるりと背を向けた。手錠も足かせもはめられた地球人風情が、何ができるかといった様子だ。

 私はゆらりと立ち上がる。奴はさんざん私を侮辱し、サムライの誇りを傷つけた。

 その報いを受けさせてやる・・・

 

ケイト「おい、貴様」

警備兵隊長「なに・・・うぉっ!!」

 

 私は奴に飛びかかった。そうだ、素手戦闘だ!

 完全に不意を打ったので1d6、出目は5。ちっ暗殺術は不発か。

 ならばと私は背後に回り、奴が助けを呼ばないよう口をふさぐ。薄闇の控室の中で暗闘が始まる!!

 

【警備兵 技術点7 体力点8】 

1R (警備兵/17)(ケイト/14) ケイト/体力点-2

 「馬鹿めが、貴様もザカリアスのように処刑してやる!」

 私は奴のサーベルを太ももに受けてしまう。だが・・・

2R (警備兵/14)(ケイト/14) Draw

 奴の顎の下へ、私は手錠の鎖を巻くことに成功した。

 地球人を見くびるなよ、ならば味あわせてやろう。

3R (警備兵/14)(ケイト/19) 1d66 即死 ←KiLL!!

 私は一瞬にしてゴキ!と、奴の首の骨を折る!!

 どうだ。貴様ごとき仕留めるのに、武器など要らぬわ!!!

 

 拷問で私を苦しめた警備兵隊長は、まさかいきなり死ぬとは考えていなかったのだろう。苦痛よりも驚きを湛えた表情で屍骸と化した。

 私はその図体をひきずって排水溝に投げ込んだ。これなら発見されるまで相当の時間がかかるはずだ。そして奴が手にして振るっていたサーベルを自分のものにして、精神を統一してから闘技場に入る・・・

 

 では、ここがそうなのだな?

 通路を抜けたそこは、広々と砂が敷き詰められた円形のスペースだ。強烈な陽光、ぐるりと取り囲んだアルカディア人の歓声、薄青いラディクスの砂の臭い。アリーナの周りには高い柵がめぐらされている。私の入ってきた扉が自動的に閉まる。もう頼るものは自分の力しかない。

 真向かいの扉が開いた。

 私に続いてアリーナに登場したのは・・・恐ろしげな異星生物!

 身体を覆う真紅のうろこ、首は亀のように伸縮式で、頭部はライオンのようで、口からはチロチロと蛇のような舌で私を威嚇している。戦闘力はもとより、なるべくグロテスクな外見を備えるよう入念に品種交配を繰り返したアルカディオン帝国の軍用獣、ラフォドームだ!!

 私は先ほどの警備兵隊長から奪ったサーベルを構え、迎撃の姿勢をとる(注:そのため素手戦闘にはなりません)。アルカディオン人たちの熱狂が最高潮となる。戦いが始まった!

 

【ラフォドーム 技術点7 体力点12】 

1R (ラフォドーム/12)(ケイト/17) ラフォドーム/体力点-2

2R (ラフォドーム/14)(ケイト/16) ラフォドーム/体力点-2

3R (ラフォドーム/18)(ケイト/20) ラフォドーム/体力点-2

4R (ラフォドーム/16)(ケイト/16) Draw

5R (ラフォドーム/11)(ケイト/20) ラフォドーム/体力点-2

6R (ラフォドーム/16)(ケイト/18) ラフォドーム/体力点-2

7R (ラフォドーム/19)(ケイト/19) Draw

8R (ラフォドーム/16)(ケイト/18) ラフォドーム/体力点-2 ←KiLL!!

 

 恐ろしい外見を有していたとしても、相手が怯まなければ、意味はない!

 私は素早い足さばきでうまく立ち回り、急所急所にサーベルを突き立て、ラフォドームの肉体を深くえぐって、斬る!斬る!切り刻む!!

 私を捕捉しようと半狂乱に首を動かし続け、その結果緑色の血液をおびただしく噴出し、やがて失血で体力を失ったラフォドームは、どすんと地面に倒れて動かなくなった。

 私は息を整えて顔に着いた返り血をぬぐう。まずは1匹目を始末した。さて、お次は?

 「やるな、地球人の戦士よ!!」

 群衆は狂喜して私をはやし立てる。

 「だが今度はどうだ??」

 ほとんど息つくヒマもなく向いの扉が開き、またもや凶暴な異星生物が、私の眼前に現れた!

 

 

 

(ラディクス編・7) 狂乱の闘技場(2 --Rebel Planet--

 

【技術点11/11 体力点15/18 運点11/12

 

 ガラガラガラ・・・格子が上がり、次の相手が姿を現す。

 今度は脚が6本、それぞれに長い鉤爪を備え、分厚い革を覆っているのは短い棘のような剛毛の異星生物だ。でかい!自重300kgはある!!

 スカブロック!スカブロック!スカブロック!

 観客が熱狂して恐るべき巨獣の名を叫ぶ。こいつは初めて目にする生物だ。弱点などまったくわからない。なので私はサーベルについた血を振り払い、小刻みなフットワークで奴との距離を縮め、戦闘に入る!!

 

【スカブロック 技術点8 体力点14】 

1R (スカブロック/14)(ケイト/14) Draw

 ガシーン!なっ、こいつ、外皮が固い!!

2R (スカブロック/16)(ケイト/21) スカブロック/体力点-2

 ならば棘だらけの胴体ではなく、頭ならどうだ!

3R (スカブロック/13)(ケイト/15) スカブロック/体力点-2

 私は奴の顔に回り、目、耳、鼻を次々と切りつける。

4R (スカブロック/19)(ケイト/18) ケイト/体力点-2

 しかし奴の鉤爪が!ザシュ!致命的な一撃は交わしたが、胸からにじみ出る血。

5R (スカブロック/13)(ケイト/18) スカブロック/体力点-2

 すかさず反撃した後に間合いを取る。奴は後ろ足を蹴りあげ砂煙を立てた。くるぞ!!

6R (スカブロック/20)(ケイト/21) スカブロック/体力点-2

 渾身の突進をひらりとかわし、マタドールのように剣を脊髄に突き刺した!

7R (スカブロック/14)(ケイト/16) スカブロック/体力点-2

 これで勝負ありだ。奴は完全に戦意を喪失した。

8R (スカブロック/14)(ケイト/15) スカブロック/体力点-2

 縮こまり悲鳴を上げる獣に、私は・・・

9R (スカブロック/15)(ケイト/21) スカブロック/体力点-2

 情け容赦なく止めを刺す!!

 

 死闘を制したのは、私だ!

 粘つく緑色の血を噴き出し、ぴく、ぴく、と痙攣しているスカブロック。係員がずるずるとその死骸を引きずり出す。

 私は深呼吸して呼吸を整えた。それから昂然と頭を上げ、闘技場を取り囲んで坐しているアルカディア人たちを睨む。「約束は守ってもらう!」そう叫ぶと片手を上げ、親指を天に向けた。

 ちょっとやり過ぎか・・・いや、この興奮状態ならば・・・一瞬の静寂・・・

 そして、観客が総立ちで私を讃えた!ラフォドームにスカブロック、帝国の誇る戦闘怪獣2匹を続けざまに破るとは、この闘技場始まって以来の壮挙だったらしい。奴らはみな触角を震わせて感動している。

 

基地司令官「見事な戦いぶりだ、地球人!お前は皆を存分に楽しませてくれた!!」

 

 幸運だったのは、このラディクスに駐屯しているのが、粗暴な北アルカディア人でも、規律がすべての中央アルカディア人でもなく、芸術を愛する南アルカディア人だったということだ。感受性の鋭い彼らは、私の戦いぶりにいたく感激し、最初に交わした約束を守ってくれた。

 

 すなわち私は釈放されて宇宙港まで戻ることができたのだ。

 

メインコンピュータ「御帰還できて何よりです。本気で心配していました」

 

 サクラ号のメインコンピュータが私を歓迎してくれる。

 だが・・・「ありがとう。さっそく出発しよう」・・・私の気分は晴れない。確かにパスワードの3分の1を入手できたし、こうして五体満足で次の目的地のハルマリス星系へ向かうことができる。

 しかしそれは、この星のレジスタンス組織と引き換えに拾った命だ。私がやむなく選んだ司法取引の情報提供により、今ごろ彼らは大打撃を受けていることだろう。結果として私はザカリアスやメヒタを裏切ったわけだ・・・

 これ以上この星で恥をさらしたくはない。それに、闘技場で私が闇に葬った警備兵隊長の遺骸が発見されたら、今度こそ面倒なことになる。さっさと離昇するのがいちばんだ。

 

メインコンピュータ「離昇まであと10分・・・おっと、ケイトさん。通信が入ってきました」

ケイト「誰だ今さら?」

メインコンピュータ「地球人の星間商人、セン・ニューソーサ宛て・・・はて、そんな登録名はこの船のメモリユニットにありませんね。スパム通信でしょうか?」

ケイト「・・・!!!いや待て、つないでくれ」

 

 メインブリッジのスピーカーに響いてきたのは、雑音まみれのか細い声だった。だがその声音は凛々しく元気だ。若々しい希望にあふれている。

 

通信の声「こちらキャンパスのお友達。聞こえますか?地球からやってきた素敵なお姉さん?」

 

 メヒタの声だ。無事だったか!!

 この通信が傍受されている危険もあるのに、よくもまあ人を食ったことを・・・。

 私は慎重に言葉を選んで応答するが、自然と口元が緩んでいるのが自分でも感じる。

 

ケイト「こちら星間商人、ちなみに名前はセンではない。本名は明かせないのだが」

メヒタの声「わかっているわ。あんなセンスの悪い偽名、聞いたことないもの」

ケイト「生きていて何よりだ。私は・・・その・・・君らに対して・・・」

メヒタの声「わかってる。そうするしかなかったんでしょ」

ケイト「すまぬ」

メヒタの声「大丈夫よ。私は無事。それに仲間もそれなりに残ったわ」

ケイト「私が再びラディクスを訪れることがあったら、借りは返す」

メヒタの声「ほんとに?楽しみにしているわ♪まずはデートね♪♪」

 

 からかってるのか、それとも本気なのか・・・確かめることはできなかった。唐突に通信の向こうからZAPZAPZAPと銃声が響いてきたから。

 そして「ちょっと今とりこんでいるから!じゃあね!!」プツっ、と通信が切れる。

 なんだかちょっと心配な気もするが、私にできることは、自分の宇宙船サクラ号を無事リフトオフさせて惑星ラディクスの大気圏外に出すことだけだ。そしてワープ・イン。

 

メインコンピュータ「大丈夫ですかね?」

ケイト「たぶん・・・な。彼女はうまく生き延びるだろう。根拠はないがそう感じる」

メインコンピュータ「女の友情というやつですか?それとも愛情??」

ケイト「メインコンピュータくん!」

メインコンピュータ「はっ、もうしわけありません、ご主人さま」

ケイト「君も少し、あの星の頽廃に毒されたようだな!失敬!!」

 

 私はメインブリッジから引き上げて自分の船室に戻り、闘技場でこしらえた傷だらけの身体を手当てする。

 そしてベッドに潜って久方ぶりのリラックスした睡眠をとることにした。

 さあ、次は惑星ハルマリスだ・・・

 

 

 

(ハルマリス編・1) 緊迫の宇宙港 --Rebel Planet--

 

【技術点11/11 体力点13/18 運点11/12

 

 ハルマリス星系に向かう途上、私は現在の体力点の半分の点数(つまり6点)回復する。これで原点に戻った!休養十分だ!!

 だが先のラディクス星系で拘束された折に、レーザー剣を没収されている。さらに携行品の赤外線ゴーグルとジリディウム張りのブレスレッドも失った。幸い所持金は2100クレジット残っているし、予備の反重力パックもあるので携行品を再び6個まで貯めることはできる。しかし武器がないのはやはり・・・腰回りが落ち着かない・・・。

 

 そんなこんなでそわそわしているうちに、惑星ハルマリスへ到着した。

 ここは旧銀河連邦領の最辺境(=アルカディオン帝国の最前線)にあり、環境の苛酷な惑星だ。地形は荒涼、陸地は山岳が多くを占め、活火山も多い。日中はひどく暑いのに、太陽が地平線に消えて3つの月が上ると、一転して凄まじく寒くなる。

 また自転速度が高いせいか重力が大きく、この惑星に滞在中は強制的に技術点-1のペナルティを負ってしまう。とすると、やはりどこかでレーザー剣を入手することが必要か・・・。

 さて、兄のマサト・サワムラが事前にくれた調査レポートを読むと、ここに駐屯しているのはほとんどが中央アルカディア人だ。旧銀河連邦の植民地時代は科学研究が中心だったので、頭脳・支配階級の彼らが引き継ぐのは当然と言えよう。そして地下組織のリーダーは、彼または彼女が農耕ステーションの助手の一人である、ということくらいしかわかっていない。

 さすがにアルカディオン帝国本土に近付いてきただけある。敏腕の兄でもこれ以上は情報封鎖のカーテンが厚かったようだ。

 

 私は例の如く星間商人に扮してサクラ号を宇宙港に着陸させるが、惑星ハルマリスには税関はなく、予想していた面倒も少なかった。

 擬装目的の積荷を下ろした時に、「翌日に乗客が乗船するので宇宙港で待機しておくように」と管制室から指令が入ってきたくらいだ。

 乗客だって?

 任務遂行のため厄介払いしたいところだが、拒否するのは怪しい船であると叫ぶようなものなので、了承せざるを得ない。

 まあいい、今日中にあらかた目星をつけてしまおう。

 

 今は昼下がりで日没まであと4時間。レジスタンスのリーダーが潜伏しているという、農耕ステーションはどの地点だ???

 宇宙港にはグレイの制服を着ている職員と、ブルーの制服を着ている地球人の職員がいた。私はすぐ近くを通りかかったグレイの方の職員に尋ねてみる。もちろん星間商人に扮して、穀物種子の買付けを装いながらだ。

 グレイの制服を着たそいつは清掃・保守要員だった。彼の言葉によると、農耕ステーションは宇宙港の北東、約10kmのところにあるという。しかしもうすぐ日没で、この星の低温下の地表でそこまで歩くのは自殺行為だとも付け加えてくれた。

 よし、次は武器だ。あくまでも馴れ馴れしさを装いつつ・・・「なあ、同じ地球人のよしみだ、教えておくれよ。どこかで武器を手に入れるつてがあれば・・・」

 そこまで話したところで、彼は血相を変えてすたすたと離れていく!面倒には関わりたくないのが見え見え。ふむ、アルカディア人の統制は相当厳しいと見える。

 だが剣を入手できないと、技術点はトータル-3で戦闘に臨むことになる(注:ハウスルールで素手戦闘は技術点-2にしています)。それはやはり避けたいところだ。

 では今度は・・・あいつならどうだ?

 私は宇宙港のロビーにたむろしていた、タフで自信がありそうな、一見して荒くれ者の荷揚げ人のような地球人男性に目星をつけた。あの男ならそれなりに腹も据わっているだろう。

 私はそいつが一人で宇宙港ロビーを歩き始めたところを見計らって、こっそりと歩み寄る。男は案の定、不審な目を私に向けてきた。

 

荒くれ男「何なんだお前は?」

ケイト「なにを聞いても驚きを顔に出すなよ」

荒くれ男「「なに・・・!」

ケイト(彼にだけ聞こえる声で)「実は、レーザー剣が欲しい。手を貸してくれるか?」

荒くれ男「・・・」(無言でカツカツと歩を進める)

 

 荒くれ男と私は、緊張関係を維持しつつ、無言で数十秒並んで歩く・・・

 やがて人影もまばらな宇宙港ロビーの片隅までやってきて・・・

 奴は、ぴたっと止まって、言った。

 

荒くれ男「俺には無理だ。だが、力になれそうな奴は知っている。一緒に来るといい」

 

 そして我々はさらにいくつもの角を折れ曲がり、数えきれないくらいの階段を上り下りして、宇宙港西ウィングの屋上にぽつんと存在しているプレハブユニットのところまできた。

 どう見ても怪しげな雰囲気だ・・・。

 だがここまで来て引き返すほど、SAROSのエージェントは臆病者ではない。私は泰然自若のまま、悠然と男の後について建物の中へと入る。

 

 ドアの向こうは木枠や箱が積み重ねられていた。その間の狭い通路を通って、私はアゴのがっしりした人間の前に連れていかれた。

 いかにも密輸商人の頭目といった風情のそいつは、顔もあげずにデスクに座ったまま「何事だ?」と尋ねてくる。

 そこで私を案内してきた男が、ボソボソと奴に耳打ちし、闇商人はにんまりと笑った。

 

闇商人「ああ、剣なら売ってやれるぜ。旧連邦軍の備品倉庫にあった。最高品質だ」

ケイト「いくらだ?」

闇商人「ちぃとばかし値が張るぜ。1000クレジット」

ケイト「・・・!」

闇商人「払えるか、勇ましい姉ちゃん?」

 

 ニタニタしながら、机の上にごろんと中空の筒を投げ出す闇商人。

 日頃から手に携えてきた私が見間違えることはない。こいつは本物だ。私が喉から手が出るほど欲しいレーザー剣だ。

 しかし価格が1000クレジットとはあまりに法外な値段・・・むむむ・・・。

 

 

 

(ハルマリス編・2) 狼と野良犬 --Rebel Planet--

 

【技術点10/11 体力点18/18 運点11/12

 

 やんぬるかな。背に腹は代えられぬ。

 私はマネーベルトから100クレジットのキャッシュスティックを10本、闇商人の机に置く。すなわち1000クレジットを支払い、レーザー剣を手に入れた(現在所持金1100)。

 再び腰に頼もしい武器を吊るすことができ、安堵して一つ大きな息を吐く私。そしてくるっと向きを変えて奴らのアジトを出ようとする。

 ところが背後で、闇商人がパチリと指を鳴らす音が聞こえた。そしてそれを合図にして、ドアの前に、ここまで案内してくれた荒くれ男が行く手を遮る。

 

ケイト「取引は終わったはずだが、何のつもりだ?」

闇商人「帰る前に、何を企んでいるのか教えてもらおうか。わしも一口乗りたくてな」

ケイト「余計な詮索は無用」

闇商人「では、しかるべきところに通報しよう。そして俺たちは報奨金を受け取る」

 

 闇商人は携帯端末を取り出し“しかるべきところ”を呼び出そうとする。おそらくアルカディオン帝国の治安部だろう。この売星者の犬コロどもが!!

 

闇商人「さあ、タレこみされたくなければ、もう1000クレジットだ」

ケイト「やめておけ。この武器を手に入れた今、私を・・・」

 

 ZASH!!

 私は居合抜きでドアの前にいた荒くれ男を一刀両断、唐竹割りにする。

 奴は悲鳴を上げる暇もなく血飛沫とともに屑折れた。

 そして私は闇商人に向き直って言葉を続ける。

 

ケイト「・・・止められる者はいない」

闇商人「き、きさまあ!!」

 

 先ほどの余裕あるニヤツキはどこへやら、今や大変な相手を敵に回したと悟った闇商人は、必死の形相で腰から禁制品のニードルガンを引き抜く。だがこの距離は刀剣の迎撃範囲だ。私の方が速い!

 

【闇商人 技術点6 体力点10】 

1R (闇商人/14)(ケイト/18) 闇商人/体力点-2

2R (闇商人/10)(ケイト/18) 闇商人/体力点-2

3R (闇商人/13)(ケイト/19) 闇商人/体力点-2

4R (闇商人/14)(ケイト/15) 闇商人/体力点-2

5R (闇商人/13)(ケイト/16) 闇商人/体力点-2 ←KiLL!!

 

 そう、私が狼だとすれば、こいつはただの野良犬にすぎない。

 瞬速の剣技で圧倒して、私は可及的速やかに戦闘を終わらせた。

 しかし、闇商人が断末魔の呻きを上げて木枠に倒れたとき、その残骸が空調ユニットとぶつかり、したたかな衝撃を与えてしまう。故障寸前のおんぼろ機械はスパークを発し・・・

 ぼうっ!発火した!

 たちまち木枠が燃え上がり、奴らのアジトであるプレハブユニットは、そこかしこが火の海となってしまう。

 

ケイト「・・・まずい!」

 

 火勢はどんどん強くなる。慌てふためいてアジトから逃走する手下ども。私も愚図愚図してられぬ。脱出だ!

 本来ならここには官給品の横流しでいろいろ役立つアイテムがあるはずだったのだが、1つの品物をひっつかむ余裕しかなかった。それは・・・(1d6を振り出目は1。奇数でした)・・・個人用のジェット飛翔装置だ。持った感じは軽く、燃料はあまり入っていないようだが、ともかく私はそれを持って燃え盛る建物の窓を蹴破り、外に出る。

 

 宇宙港内に火災サイレンが鳴り響き、統括するアルカディア人の警備兵が続々とこちらにやってきた。まずい、まずいぞ。これほど不審者の存在を示すわかりやすいサインはない。

 このままでは捕まる!!

 私は脱兎のごとく火災現場から逃走した。だがどうやって外に出る?

 宇宙港の周囲は高い金網のフェンスで取り巻かれ、東西に1つずつある主要ゲートには警備兵が詰めている。

 私は先ほど手に入れたジェット飛翔装置を背負う。燃料がないかもしれないが、南無三だ!イグニッションレバーを引き上げろ!!

 SHBAAAAAAAA!! 噴射音が周囲に響き渡り、私の身体はふわっと宙に浮く。そして高さ10mのフェンスを飛び越え・・・ぷす、ぷす・・・「なに?」・・・ジェットが止まった。

 燃料が切れたのだ!!私の身体は真っ逆さまに落下していく!!!

 ここで運試しは吉。

 ・・・とさっ。

 幸い私が落ちた地面は柔らかい砂地の上、怪我はしなかった。

 

 とにかく宇宙港の外側に出たのだ。

 私はもう用済みとなったジェット飛翔装置を廃棄し、着陸地点からさっさと走り去る。

 ZAP!!ZAP!! 私の背後、フェンスの向こうからアルカディア人の警備兵が射撃してくるが、これはジグザグに走って回避できる。当たるものか!

 やがて充分な距離が開いた。奴らは射撃をやめ、宇宙港の施設の中へと戻っていく。

 なぜ追跡隊を出さない?

 私は不思議に思ったが、宇宙港から逃走して1時間ほど経ったとき、そのわけを知る。

 惑星ハルマリスに・・・

 

 凍てつく夜がやってきたのだ。

 私一人など、自然に始末できるくらいの。

 

 

 

(ハルマリス編・3) 荒野の果て --Rebel Planet--

 

【技術点10/11 体力点18/18 運点10/12

 

 私はレジスタンスのリーダーがいると目される農耕ステーションに向け、徒歩で出発する。

 だが日没後、惑星ハルマリスの地表温度は急降下し、いまやマイナス10℃。宇宙船サクラ号に耐寒服を取りに戻れず、しまったと思った時には後の祭り。真夜中にかけてこれからもっと下がるだろう。軽装のレザースーツでは凍死確実だ。

 さしあたっての優先事項は、寒さをしのげる場所を見つけることだが・・・。

 

 宇宙港から北東にある農耕ステーション目指して、寒さに震えながらまずは東の方角へ、峻嶮な山岳地帯を登っていく。左手は断崖、右手は岩だらけの山肌の道だ。

 やがて右側に2つの洞窟を確認した。どちらもかなり深く、絶好のビバーク地点になりそうだ。足元から地面がえぐられた右の洞窟にしようか、それとも棘だらけのサボテンのような植物が密生している左の洞窟に入ろうか?

 ・・・左だな。見たところ右の洞窟は地滑りしていて、崩落の危険性が高い。

 私は左の洞窟に入るため断崖にへばりついて登っていく。だがここで手につかんだ岩が崩れて、私はバランスを失った!

 運試しは凶!ドスン!サボテンの上に尻餅をついてしまい、痛みに呻く。体力点-2だ・・・くそ!レザースーツなんて大っきらいだ!!

 悪態をつきながらよろよろとサボテンの洞窟に入り、体温が低下した身体をさすりながら奥に進んでいくと、やがて硫黄の臭いがしてきた。ただしそれは中毒を起こすほどではない。

 いい兆候だ。惑星の火山活動によりわずかな蒸気が洞窟内に充満している。とすれば、ここなら氷点下に下がらないはずだ。

 私は人ひとりが座れるくらいの窪みを見つけ、座って休息をとる。食料を持ってきてないため回復できる体力点はわずか1点のみだが、それでも極寒の一夜を耐えしのぐことができた。

 

 明朝、太陽が昇り始める。

 気温が十分に上昇したのを確認してから、私は洞窟の外に出て旅を再開する。目指す方角はもちろん北東、農耕ステーションにつながる道だ。

 だがその石ころだらけの街道は二股に枝分かれしていた。右か左か?

 油断なく周囲を見回すも、標識も何もない荒野だ。手がかりもないし、当てずっぽうに左の方を選んで歩き続けることにする。

 1時間ほど山岳地帯の登り道を歩き、ふう!今度は陽射しが強くなってきた!!

 砂漠のような惑星だなここは。しかも高重力下なので足取りも重くなってきている。少し岩陰で休息をとるとしよう(体力点+1)。そして息を落ち着かせてぼんやり空を眺めていると・・・

 

 クキャアアという鳴き声がする。

 巨大な鳥がはるか頭上の絶壁に舞い降りてきたのだ。

 あの鳥はハルマリスの原住生物ロックバザードだ。寒さをしのぐため首と頭を豊富な羽根の中に埋め込むことができ、見たところはフワフワした円いボールのようなかわいらしい生き物。しかし実は危険な肉食生物でもある。

 くちばしに何かキラッと光る物をくわえていたようだが?

 気になった私は断崖を登り、彼らの巣に近づいていく・・・クキャアアア!!・・・そして亀裂から飛び出したロックバザードの手荒い襲撃を受けた!!

 うわあ!崖から突き落とされそうになり、あわてて脚で岩を挟む。それから片手でレーザー剣を抜き、岩肌にへばりついて応戦だ。

 この戦闘では1回でも負けることは許されない。もし負けたらその時点で即死だ。ロックバザードの巨体に弾き飛ばされ、はるか下に滑落して首の骨を折ってしまうのだ!!

 

【ロックバザード 技術点6 体力点8】 

1R (ロックバザード/11)(ケイト/16) ロックバザード/体力点-2

2R (ロックバザード/10)(ケイト/20) ロックバザード/体力点-2

3R (ロックバザード/13)(ケイト/19) ロックバザード/体力点-2

4R (ロックバザード/10)(ケイト/18) ロックバザード/体力点-2 ←KiLL!!

 

 危ない体勢で冷や汗をかいたが、注意深く身体のバランスを入れ替えつつ、何とかこの巨大な原住生物を撃退した。

 ロックバザードの屍骸は、弾むゴムボールのように崖下へ落下していく。もう大丈夫か・・・?

 それからやっと巣穴にたどり着くと、さらに2つの亀裂があった。とりあえず私に近い右の裂け目から調べてみよう。

 手を突っ込んでみると、出てくる出てくる・・・奴の集めたコレクションが!!

 まずは180クレジット相当のキャッシュスティック。これはマネーベルトに収めておこう(現在所持金1280)。それから精神探査機壊れたスパイミサイル、これらは反重力パックに収容だ。それから・・・なんだこれは・・・?

 最後に見つかったのは木製の杖だった。不思議なことに、7種類の金属の帯が交互に取り巻いている。長すぎて反重力パックには入らない。なのでこれを持っていくとすると、崖を下りる際、片手がふさがってしまい危険が増すな。置いていくべきか?

 だが、杖からは微かな・・・なんというか・・・オーラが感じられる。それは「ぜひ持って行け」と促しているような・・・ううむ・・・

 よし!持っていこう!!

 私は直感に従い、その杖を持って崖を下りることにする。だがそれは結構な難行苦行だ。ここで本文によると・・・『鋸歯ネズミに噛まれたことがあるか?』・・・いやそれはない。

 ならば運試し、結果は吉だ。私は足を踏み外すことなく、そして杖を落とすこともなく、無事に崖を下りて山道に戻ることができた。やれやれだ。

 さて、相当な道草をしてしまった。先を急がねば!

 

 農耕ステーションに繋がる道は、ほどなくして分岐点に差しかかる。私は左に曲がる方を選び、さらに2kmほどまっすぐ続く道を歩いていくと・・・なに?

 突然「それ」が現れた。ゴシゴシと私は眼をこする。この星の過酷な環境と、極限の緊張状態が、私に幻覚を見させているのだろうか?

 いや違う。「それ」は確かに存在していた。

 「それ」は、私の目の前、道の中央に立ちはだかっている。

 だがいったい、こいつは何だ???

 

 

 

(ハルマリス編・4) 未知との遭遇・・・ズプラランを知らないか? --Rebel Planet--

 

【技術点10/11 体力点18/18 運点8/12

 

 私から1m手前にいる「それ」は、地面から垂直に立っている光の棒だった(それはいわゆる、モノリスというやつか?)。

 敵意を持っているようには見えない。しかしとにかく異質なので、対応判断が難しい。頭脳のキャパシティを超えた私が立ち尽くしていると・・・

 

光の棒「地球人よ、ズプラランはどこだ?」

 

 金属的な虚ろに響く声音で話しかけてきた!

 ということは、こいつは一種のロボットということなのか?しかし、もしこれが科学の産物だとしたら、地球人やアルカディア人の知識を超えた何かに違いない。

 どうも私の任務には関係なさそうな遭遇だ。攻撃して排除した方がいいのだろうか?

 いや待て、奴の戦闘力がまったくわからぬ。ここは慎重に様子を見よう。そう逡巡しているうちに「ズプラランだ。持っておらぬのか?」光り輝く直方体は繰り返し語りかけてきた。

 ずぷ・・・らら・・・ん・・・?

 兄マサトの記した調査レポートでは、惑星ハルマリスにそんな単語が存在することは書いてなかった。いったいそれは何だ?何を求めているのだ??

 私は先ほどのロックバザードの巣穴で入手した精神探査機を取り出し、奴の思考を読み取ろうとする。もし何の反応も返ってこなければ、この光る棒は単なる機械製品ということだから・・・

 ZAP!!奴は強烈な熱線を放ってきた!BOM!!

 私は慌てて手を放す。精神探査機は熱線が直撃し、地上に落ちて溶けてしまった!

 いやはや、攻撃しなくてよかった。もしそうしていたら、私も今ごろは・・・

 だが事態が完全に解決したわけではない。彼(または彼女?)が求める“ずぷららん”とやらを保有してないならば、次に私もこうなる運命なのか?

 待てよ、もしかしてこれのことか?

 私は同じくロックバザードの巣穴で入手した、使途不明の木製の杖を差し出してみる。

 

ケイト「これがズプラランか?」

光の棒「そう、それだ!」

 

 彼が言うズプララン--すなわち木製の杖--は、神のみぞ知る方法でいきなり私の手から離れ、ふわふわと漂って光の棒の前に浮かぶ。

 それからやがて・・・不気味な静寂の中で・・・棒と杖がすごい早さで振動しだした!!

 ズプラランにとってそれは強烈なスピンだが、私が先ほど大事に持ってきたおかげで、杖には傷一つない。なので回転共鳴震動に耐え抜き、やがて両者の動きが止まった。

 直後にブーンという音が聞こえたのは、きっと光の棒の笑い声なのかもしれぬ。

 

光の棒「これで私は力を得た」

ケイト「それは何よりだ。じゃ、私はこれで!」

 

 もうこれ以上、ここにいると発狂しそうだ!私は足早に去ろうとする。だがこいつは・・・

 

光の棒「この力を与えてくれた礼に、一つ願いをかなえてやろう。そののち、私は銀河系に帰らねばならん。私が行けない闇の中から、ズプラランを救ってくれた代償は、なにがいい?」

 

 と、語りかけてくるではないか。まったく、時間を無駄にできないのに、なんでこんな意味不明な遭遇に付き合わねばならぬのだ!

 私はうんざりして立ち止まり、半ば自暴自棄に言葉を投げつける。

 

ケイト「じゃあ、私が捜している人物でも、教えてもらおうか?」

光の棒「ああ知っている。誰も影の中の影には気づかない。だから私は、他の者の知らぬ事実を聞くことができる」

ケイト「・・・!」(驚いて向き直る)

光の棒「彼の名はドラド。農耕ステーションで働いている」

 

 予想外の返答に驚愕する。まさか、この星の森羅万象を記録しているとでもいうのか!!

 

光の棒「彼は気づかなかったが、私は、彼が同志に合言葉を託すところを聞いた」

ケイト「合言葉?どんな合言葉だ??」

 

 光の棒は急速に消えかけている。というか、次元転移しようとしている。だが最後に、途切れ途切れになりながらも、この言葉を遺すのだった。

 

光の棒「・・・無情の海・・・」

 

 そして完全に光の棒は消失し、あとには呆然としている私だけが残った。

 果たして私が遭遇したあの直方体は、人智を超越した、おそらくは銀河先史時代のアーティファクトか何かだったのだろうか?

 ・・・クスリと微笑する。

 考えても詮なきことだ。私は考古学者ではない、人類解放の戦士だ。

 ただ今私が入手したのは、惑星ハルマリスのレジスタンスのリーダーの名、そして接触するための合言葉。どちらも喉から手が出るほど渇望していた情報だ。それで充分ではないか。

 貴重な情報を得られたことで運点+2そして私は意気揚々と再び歩き始める・・・

 

 (注:「無情の海」という合言葉を知ったおかげで、ドラドに会ったならば、

  そのときのパラグラフの番号から100を引き、次に進むことができます)

 

 やっと到着した!農耕ステーションだ!!

 荒涼とした峡谷の間を縫って続く道を歩き通すと平野に出て、やっと目的地が姿を現した。

 この過酷な気候で育つかどうかを見極める実験作物の畑が一面に広がり、地球人の作業員--あけすけな言葉で表現するなら“農奴”--たちが手入れをしている。畑の向こうにある建物はアルカディオン帝国軍の耐寒ドームだ。

 畑の周囲に帝国兵の斥候は・・・よし、いない。これ幸いと私は畑にいる人間の誰かに近づこうとする。レジスタンスのリーダー、ドラドを誰か知らぬか尋ねるためだ。

 だが・・・半分ほど行ったところで・・・

 

 QEEENNNN!!

 上空から風を切る爆音が轟いてくる。やってきたのは流線型の武装飛行艇だ。しかもパイロンに火炎照射ユニットをどっさりぶら下げている!!

 

飛行艇からの放送「地球人テロリストよ、宇宙港破壊の容疑で拘束する!止まれ!止まれ!」

 

 そう言われて立ち止まる阿呆がいるか!

 私は隠れ場所を求めて畑の中央に逃走した。だが人間の足と飛行艇の巡航速度では、圧倒的に後者の方が速い。飛行艇は私を追跡して一気に加速すると、いちばん手っとり早いゲリラ殲滅方式を採用した。

 BOW!!・・・火柱が地表に吹き下ろされる!たちまちのうちに周りは火の海だ!

 私は炎上する植物に取り囲まれ、もうもうたる煙で何も見えなくなってしまった。

 さて、この危機的な状況下を、どう切り抜ける???

 

 (1)その場に立って助かるように祈るか?

 (2)炎の輪を突破するか?

 

 

 

(ハルマリス編・5) ついに繋がった9桁のコード --Rebel Planet--

 

【技術点10/11 体力点18/18 運点10/12

 

 もちろん(2)だ。天は自ら助くる者を救く。

 私は煙でボロボロ涙を流して咳こみながら、時にジャンプし、時にジグザグに動いて、燃える作物の中を突っ走る。ここで運試し・・・出目11、凶!!

 哀れな地球人奴隷の燃え焦げた屍骸につまづき、燃える作物の中に突っ込んでしまう。レザースーツの背中に火がついた!私は苦痛に呻きを上げながら地面を転がり、何とか火を消す。だがひどい火傷を負ってしまい体力点-4だ。

 私の目の前にあるのは、つまづいた原因、真黒に炭化した死体・・・たかが私ごときのためにここまで・・・許さないぞ、アルカディオン帝国め!

 大気が乾燥して予想以上に燃え広がってしまったのだろう、憎き飛行艇は煙に巻かれて私の姿を捕捉できないでいる。今のうちに安全に炎を防げる建物の方へ走るか?いや違う、あっちは帝国軍所属の耐寒ドーム施設だ。

 だから私は峡谷に向かって突っ走ることにした。煙の柱はそのすぐそばまで私の姿を隠してくれる。だがいずれ見つかってしまうのが条理。

 QEEEENNN!!

 銀色の飛行艇が猛然と追ってきた。しかし!天運我にあり!!

 DOGOOOOOM!!

 何ということだ。飛行艇は煙のおかげで目測を誤り、峡谷の崖に激突して爆発四散したのだ。いやはや間抜けな奴らよ、それともこれは天罰ということか。とにかくざまあみろだ!

 だが安堵してばかりもいられぬ、私の頭上に飛行艇の燃え盛る残骸が降り注いでくる!

 

 ここで運試し・・・なんてこった、また出目11、凶!!

 ガツーン!とびきり大きい破片が私の頭部を直撃した(体力点-4

 痛いだの熱いだの感じる暇もなく、私の意識は飛び、真っ暗になる・・・

 

 ・・・

   ・・・

     ・・・自分は誰だ?

         ・・・ここはどこだ??

             ・・・いったい何をしているのだ???

 

 ぼんやりした人間の形が、私の上に屈みこんでいる。 

 そこは汚い作業小屋の中で、猛爆撃を生き延びた2人の作業員の男が私を介抱していた。

 「気がついたよ、ドラド」屈みこんでいた若輩の少年が言う。

 「今いく、ミザール」救急キットを携えた40代の男性が答え、私に鎮痛剤を投与した。

 

 ・・・ ・・・ ・・・ ハッ!任務だ!!

 

ケイト(がばっと飛び起きる)「私はどれくらい気を失っていた!?」

ミザール「45分ほどかな。もうじきアルカディア人がやってくるよ」

ドラド「SAROSのエージェントが、こんな僻地の農場に、いったい何の用だ?」

 

 もうグズグズしている時間はない。話を手早く片付けなくては。2人の男のうち、どちらに場を外してもらう?ドラドか?ミザールか?

 そう、ここで私は、あの奇妙キテレツな光る棒の与えた情報を信じることにした。「ドラド、君に話したいことがある」と告げる。ドラドは目くばせし、ミザールを外へと追いやった。これでよし、中にいるのは2人きり。こんなボロ屋に盗聴器など仕掛けてあるはずもない。

 

ケイト「私はすぐに出発しなければならない。だがその前に、アルカディオンの中央コンピュータのコードについて、知っている数字を教えてくれ」

ドラド「それなら身元を確かめさせてもらう。合言葉を言え」

 

 これもまた、あの光る棒の“お告げ”に従うとしよう。すなわち「無情の海」だ。

 

 (ここで現在のパラグラフから100を引いた番号に飛びます。そうすると・・・)

 

 ドラドは無表情に頷いてから「よかろう」と答える。

 うまくいった!しかしその後に彼が続けた言葉は、私の心臓を縮み上がらせるものだった。

 

ドラド「だが実は、俺は数字を知らないんだ」

ケイト「なんだと!!」

ドラド「ま、まあ落ち着け。俺が知っているのは、コード全体が、頭から読んでも終わりから読んでも、同じものだということだけだ。真ん中の数字からは、前へも後ろへも同じ数字の列が続いてるんだよ」

ケイト「 ・・・ ・・・ ・・・ 」

 

 私は静かに惑星トロポスとラディクスにおいて入手した3桁の番号を思い出す。

 101・・・100・・・そして今回の得た情報・・・

 私の脳内に01からなる9桁のコードが組み合わさった!!

 ついに私は、アルカディオン帝国の女王コンピュータルームに侵入できる暗証コードの全体をつかんだのだ(運点+1)。

 

ケイト「ありがとう、そしてすまない。私のために空襲を受けて君たちは・・・アツツ・・・」

ドラド「なあに、どうせトカゲ人どもの農場だ、俺たちは痛くもかゆくもないから気にするな。それより・・・もう立って歩けるのか?」

ケイト「うむ、ここまで来たら一刻も早く任務を遂行せねば。地球のために!」

ドラド「地球のために!!」

 

 私とドラドは固く握手を交わす。

 ほどなくしてミザール少年が小屋の中に戻ってきた。どこから調達してきたのか、宇宙港職員用のグレイの制服を手にしている。そしてさらに、クォンダーの根のエキスを背中の火傷に塗ってくれた。

 

ミザール「お姉さん、この薬、効いてる?」

ケイト「ありがとう、とてもいい気持ちだ」

ドラド(にやにやして)「ミザール、どうした?これもレジスタンスの立派な活動だぞ?」

ミザール(赤面して)「う、うるさいなあ!」

ケイト「・・・???」

 

 真心のこもった治療により体力点+4

 さあ、任務再開だ!私は肩越しに2人に礼を言い、宇宙港に向かって駆けだすのだった。

 

 高重力のため疲れるのが難だったが、行きに比べると平穏無事に宇宙港までたどり着いた。

 私は激務でボロボロになったレザースーツを脱ぎ、ドラドとミザールが調達したグレイの制服に着替える。そして職員のふりをして宇宙港の東ゲートに忍び込むのだが・・・

 警備兵が私を止めた。「宇宙港の外で何をしていたのだ?」と尋問してきたのだ。そこで私はとっさに言い訳を考える。確かグレイの制服は清掃・保守要員だったはずだから・・・

 

ケイト「外に出ているパトロール隊に食料を届けてきたんです」(敬礼!)

警備兵「・・・ふむ。よし、通れ!!」

 

 どうやら信じてもらえたようだ!

 アルカディア人の警備兵がそれ以上うるさいことを言わなかったので、私はいそいそと宇宙港に入り直すことに成功する。

 さあもう長居は無用。さっさとサクラ号の格納庫まで戻ろう。

 そして即、この星を離れるのだ!!

 

 

 

(精神戦闘編・1) ムスカの「故障」 --Rebel Planet--

 

【技術点10/11 体力点14/18 運点9/12

 

 サクラ号に戻ると、ブリッジの中に2人のアルカディア人が侵入していた!

 いきなりか!!!

 

メインコンピュータ「ケイトさん、お客様です!」

 

 臨戦即応体制をとりレーザー剣に指を伸ばした瞬間、サクラ号のメインコンピュータが私の記憶を呼び戻す。ああそうだ、そういえば「乗客」2人連れていけと、ハルマリス入星時に管制室から命令されていたな。

 というわけで、戦いの寸前で鋭い爪を引っ込め、安堵のため息を吐いた。

 彼らは傲慢なことで有名な中央アルカディア人の官僚だ。1人は行政担当の文官、そしてもう1人は技術開発担当の武官。どちらもそれなりに高位な階級に属しているようだ。しかし、まさか私が宇宙港放火事件の真犯人ということに気づかなかったのだろう、そのまま発船許可を出してくれた。

 

 それは幸い、即時離昇せよ!!

 

 次はいよいよ最終目的地、アルカディオン帝国の主星、惑星アルカディオンだ。

 そこに行くまでの間、私の体力点は現在の半分の点数、すなわち7点回復する。それから高重力に苦しめられての技術点-1もここで回復だ。優秀なサクラ号メインコンピュータの自動操縦に切り替え、私はひと心地ついて自室のベッドで横になることができた。

 ふう、やはりここがいちばん落ち着くな。

 しかし心は晴れない。確かに私は兄マサト・サワムラの記した調査レポートの助けもあって、アルカディオンの女王コンピュータ室に侵入するためのコード情報をすべて入手した。だが、そこから先は・・・

 手詰まりなのだ。

 侵入したとして、どうやって女王コンピュータを破壊しようか?

 私が所持している兵器は、腰にさしたレーザー剣のみ。広範囲破壊兵器をどこかで入手しないことには、任務の最終段階で絶望に突き落とされることになる。惑星アルカディオンのどこかで手榴弾、ないしそれ相応の爆破兵器を入手しなければならないが・・・

 

 (コン、コン・・・)

 煩悶して考え込んでいると、私の部屋のドアがノックされた。

 すぐに開けるとそこにいたのは、乗客である中央アルカディア人のうちの片割れ、文官の方だ。呼んだのは自分のくせして、びっくりした表情で突っ立っている。

 

文官「私は・・・その、頭痛がして・・・少なくともここに来たのはそのためだと思う・・・でも・・・」

 

 ・・・? この中央アルカディア人は、いったい何だ?

 いつもの傲慢な口調じゃない。どことなく精神が混乱しているようだ。待てよ。とすれば・・・

 うまくいけば情報収集ができるかも!!

 私は下心を隠して彼を部屋に招き入れた。そしてインターフェロン薬を探すふりをしながら、少しづつ探りを入れる会話をし、なおかつメインコンピュータによる精神鑑定を言葉巧みに誘ってみる。それくらいの誘導尋問なら、SAROSの工作員訓練でお手の物だ!

 

 誘導尋問の結果・・・

 この中央アルカディア人の名は、ムスカといった。

 明らかに精神錯乱状態にあり、友好的な態度が急に敵対的になったりと、感情がころころ変わる。メインコンピュータに組み込んだ医療ソフトの分析によると、どうやら女王コンピュータに直結した脳内の情動感知器が異常をきたしているようなのだ。

 ムスカはハルマリスとアルカディオンの両星系でいくつかの地位を兼任している人物だ。いくつもの仕事のために絶え間なく意思決定をしているうちに、自分の意志がコンピュータの支配から独立し始めたのだろう。なるほど“自己の萌芽”というわけか。

 私にとって思いがけない情報提供者が現れた。運点+1だ。

 さらにアルカディオン帝国の内情を探ろうと質問をしかけるのだが・・・

 ここでまた私の部屋がノックされる。

 「もしかして、私の友人がここにきていないかね?」内心舌打ちする。さっそくもう1人の中央アルカディア人、武官の方に嗅ぎつけられたか。まあいい、惑星アルカディオンに着くまで、もう一度くらいムスカに接触する機会はあるだろう。

 私は部屋の片隅でブツブツ呟いているムスカに、大丈夫だと微笑みかけながらドアを開ける。

 だが、ドアの向こうにいたそいつは・・・!!!

 

武官「彼の秘密を知ってしまったな」

ケイト「なにいっ!?」

 

 ムスカの“友人”は、フェーザー銃を構えて待ち受けていた!

 さあどうする?ムスカはよほどの重要人物で、私は口封じのため、否応なしに殺されてしまうらしい。突然やってきたこの大ピンチを切り抜けなければならないが、いかんせん奴の持つフェーザー銃は至近距離。動けば胴体に風穴が空く。戦闘に突入してまともに渡り合うことは不可能だ。

 ならば別の手段を探すしかない。すなわち・・・交渉だ。

 

ケイト「待て・・・」

武官「いや、待たぬ。お前にはここで死んでもらう」(かちゃり)

ケイト「このリモコンが見えぬのか?」

 

 私はポケットにたまたま入っていた、ガラクタでしかないリチウム電池を取り出し、奴に見せつけた。さあハッタリの時間だ。乾いた唇を舐め、言葉を続ける。

 

ケイト「これは送信スイッチだ。たった今、メインコンピュータに記録したムスカの尋問情報を、即時FTL通信で地球に送ることができる」

武官「ほう・・・?」

ケイト「可能だな、メインコンピュータ君?」

メインコンピュータ「アイ。地球に信号到着までの推定時間は3宇宙時間です」

 

 いいぞメインコンピュータ、もう少し私のウソに付き合え!!

 

ケイト「私を撃ったら絶命する前にスイッチを押すぞ。君たちの情動感知器が異常をきたしていることが、全銀河中に知れ渡る。それでもいいのかな?」

武官「ふむ・・・?」

 

 緊迫した時間が数秒、サクラ号船内を横切る。

 我ながら無茶な交渉だ。生命の与奪権は明らかに向こう側にある。ささやかな抵抗が功を奏すか否か・・・永遠かと思えるような数秒が、じりじりと過ぎる・・・

 やがて判断を女王コンピュータに仰いだアルカディア人の武官は、銃口を下した!

 そしてコンピュータからの指令を受け取ってこう答えるのだった。

 

武官「今、お前を殺すことはたやすい。しかしその代りに、お前をある実験に使ってやろう。勇気あるモルモットというのも、また一興」

 

 とりあえず命は永らえた。しかし・・・

 奴はてきぱきとムスカを私の船室に閉じ込め、その引き換えに私を客室キャビンに連れていく。

 なんとそこには、多数の電極コードがつながれている椅子と、大質量のパワーユニットが鎮座しているではないか(こんなの持ち込んでキャビンを散らかしおって、誰の宇宙船だと思っているのだ。腹立たしい!)。

 

武官「私は“故障した”ムスカをアルカディオンに連れていくところで、向こうに着いたら、ムスカは新型装置を取り付けられる最初のアルカディア人になるところだった。そして・・・」

 

 私はごくりと唾をのむ。殺された方がマシだったかもしれない・・・

 冷酷な声で、中央アルカディア人の武官は、こう宣告した。

 

武官「その最初の地球人になる栄誉を担うのは、お前だ」

 

 

 

(精神戦闘編・2) ZEN --Rebel Planet--

 

【技術点11/11 体力点18/18 運点10/12

 

 「理論上は極めて簡単なのだ」と、得意げにアルカディア人の技術担当武官は開陳する。

 すべてのアルカディア人は中央コンピュータに連結され、その一部となっている。アルカディア人の脳の電気インパルスをこの装置に流し、さらに人間の脳に流せば、人間性はすっかり消去されてアルカディア人の端末となる。そして最後に胸を張って、こう結んだ。

 

武官「人間どもにコンピュータのために働く栄誉が与えられるのだ。アルカディア人の送信者にも、その意志を受けて動く人間にも、痛みは全くない」

 

 ・・・これはどうやら、恐ろしく高度な洗脳装置らしい。恐怖が私の全身を襲う。だがここで無駄な抵抗をしても、奴の持っているフェーザー銃で塵と化すだけだ。戦闘は自重すべきだろう。

 アルカディア人の武官は嬉々として洗脳装置と並列で結ばれたヘッドギアを私の頭に被せる。そしてもう一方のヘッドギアは、自分に取り付けた。

 まさにタコやイカの足がへばりつくような感触。私は歯を食いしばって恐慌を抑えた。唯一のチャンスは、悪魔の実験に協力するふりをすることしかない。

 それに私には心強い味方もいる。「・・・ケイトさん」そう、サクラ号のメインコンピュータだ。

 私が耳に取り付けている、一見お洒落な合成ダイヤモンドのピアス。だがこれは超小型イヤフォンであり、骨伝導で誰にも知られず、メインコンピュータからの秘匿メッセージを受信することができるのだ。

 

メインコンピュータ「まだデッド・エンドではありません。この装置には欠陥があります」

ケイト「・・・(無言でうなずく)・・・」

メインコンピュータ「この装置はアルカディア人の脳にもつながっています。洗脳に抵抗する意志さえ強固なら、こちらから働きかけることにより、逆にアルカディア人を支配できるはずです」

ケイト「わかった。やってみよう」

 

 私は自分にしか聞こえない声量でつぶやいた。助かる望みはここにしかない。アルカディア人は蟻塚の一部として生きることしか知らないので、この武官は私がそんなことを企んでいようとは思ってもいないはずだ。

 

 かくして実験が始まった!!

 アルカディア人の頭部には電極が張り付けられ、そこから伸びたコードは、悪魔の装置を経由して私の頭に張り付けられた電極に続いている。

 私は手枷と足枷で椅子に縛りつけられており、身動きできないまま洗脳情報の奔流が殺到してきた!ここで私の対処は・・・?

 

 (1)心を空白にする

 (2)アルカディア人の意志に抵抗する

 

 (1)だ。落ち着け。心を研ぎ澄ませ。我らは宇宙(そら)の一族。サワムラ家の一員たるもの、決してうろたえるな--そう、これは私の祖父、ホクト・サワムラより学んだ言葉。サムライの家に受け継がれた訓え。

 禅(ZEN)だ。

 丹田に息を集め、すうっと心を一つの場所にとどめる。禅の境地に至ることによって、私の心は泉のように澄み渡り、迷いや恐怖は憑き物ががれるように去っていった。

 この精神戦闘の間、私の技術点は1点高くなる!(しかも原技術点を超えても良い)

 

 ・・・

 ・・・

 ・・・そして気づくと、私は電脳世界の中にいた。

 何と不思議なことか!私の身体はフワフワと浮き上がり、様々な情報が漂う大宇宙の中を、上も下もなく滑空しているようだ。

 この装置は脳の創造的な領域を刺激しているらしい。ここから先は、私の脳内で起こっている出来事であるが、肉体的な戦いとして描写するのがいちばんわかりやすい。

 私は悟る。これから起こる戦いで、どれか1つでも負けたら(つまり体力点が0になったら)、今いる電脳の大海から脱出することは叶わなくなるだろう。それはすなわち、アルカディオンの女王コンピュータの操り人形となってしまうことに他ならない。肉体的に死を迎えたも同然の廃人と化すわけだ。

 

 仮想疑似世界にたゆたう不思議な感覚に慣れたころ・・・

 私の身体は情報の奔流に押されるまま、たくさん部屋のある屋敷にたどり着いた。

 ここで選択肢はない。先へ進まなければ、電脳世界の吹き溜まりとなって身体が朽ち果てるだけだ。私は最初のドアを開ける。

 すると脈絡もなく、いきなり怪物が現れ、私の行く手を遮った!

 私に襲いかかってくる洗脳電波の具現化フォーム、その怪物の形状は、知識の番人スフィンクスだ。

 応戦するため私は腰に吊り下げたレーザー剣を・・・そうか、あるわけがない!これは精神世界の戦闘なのだから!!

(注:ハウスルールにより技術点-2で戦闘です。また、肉体を使用しているわけではないので、一撃必殺拳のルールは使えません。ただし現在は禅の境地で技術点+1されています)

 

【スフィンクス 技術点8 体力点8】 

1R (スフィンクス/18)(ケイト/17) ケイト/体力点-2

2R (スフィンクス/15)(ケイト/18) スフィンクス/体力点-2

3R (スフィンクス/15)(ケイト/15) Draw

4R (スフィンクス/14)(ケイト/15) スフィンクス/体力点-2

5R (スフィンクス/15)(ケイト/17) スフィンクス/体力点-2

6R (スフィンクス/15)(ケイト/21) スフィンクス/体力点-2 ←Deleted!!

 

 なんというべきか・・・。現実世界とは全く違う戦闘に戸惑いながらも、私はスフィンクスを仕留める。突然始まったのと同じように、戦闘は突然終了した。敵は形が崩れて細かな粒子にデリートされていく。そして雲散霧消して電脳空間に溶け込んでいくのだった。

 最初の洗脳波の脅威が去り、私は周囲を確認する。

 この怪物が立ちはだかっていた部屋の中には、巨大なコンピュータ・ディスプレイが載ったテーブルがあった。そのディスプレイは自動でスクロールしながら緑がかった光を放ち、室内をほんのりと照らし出している。そこに映し出されているのは、いったい何の情報なのだろうか?

 好奇心から歩み寄ったところで、私の足が止まった。

 いや、やめておこう。すでに私の脳は十分すぎるほど、アルカディオン帝国の女王コンピュータから導かれる情報の奔流に晒され続けている。これ以上のインプットは私の精神を破壊しかねないからだ。

 私は情報をシャットダウンしてこのワークスペースを通過する。そして次の疑似空間に向かうことにした。

 まるで夢の中の出来事のように、無数の廊下と部屋を通り抜けていく・・・

 

 

 

(精神戦闘編・3) 光栄ある拒絶 --Rebel Planet--

 

【技術点12/11 体力点16/18 運点10/12

 

 意味を失ったかのような時間が過ぎる・・・。

 そしてサイバースケープに漂う私の意識が進入した次のワークスペースは、色とりどりの星が浮かぶ大宇宙を模した疑似空間だった。そこでさっそく私は第二の怪物と遭遇したのだ。

 龍彗星!

 古い銀河の言い伝えによれば、この恐るべきクリーチャーは最も鉱物資源に富んだ惑星の守護神だったという。今は電脳空間における洗脳プログラム記号の具現化フォームにすぎないが、私に襲いかかる敵であることは間違いない。戦闘だ!!

 

【龍彗星 技術点8 体力点12】 

1R (龍彗星/15)(ケイト/17) 龍彗星/体力点-2

2R (龍彗星/15)(ケイト/18) 龍彗星/体力点-2

3R (龍彗星/13)(ケイト/14) 龍彗星/体力点-2

4R (龍彗星/18)(ケイト/20) 龍彗星/体力点-2

5R (龍彗星/15)(ケイト/17) 龍彗星/体力点-2

6R (龍彗星/12)(ケイト/22) 龍彗星/体力点-2 ←Deleted!!

 

 スフィンクスのときに比べ、電脳空間での精神戦闘に慣れてきたようだ。私は落ち着いて自我を保持し、龍彗星の姿をした洗脳プログラムをデリートした。

 ビットに分解されて溶解した龍彗星。奴が守っていた星には宝がうず高く積まれていた。その中には・・・おお!伝説の稀少鉱石であるミナロン結晶もあるではないか。

 これだけの大きさであれば、我らの組織SAROSにおける100年間分の活動資金源に相当するかもしれない。思わずそろりと手がこの宝物に伸びる。これを持っていくか?

 否。

 何を考えているのだと苦笑する。ここは私の脳とアルカディオンの女王コンピュータが繋いでいる仮想疑似空間にすぎない。私が眺めているミナロン結晶も所詮は夢と幻だ。

 私はこのワークスペースを捨て、新たなる電脳の扉を開くのだった。

 

 次に入り込んだ疑似空間は・・・

 うわ!吸い込まれる!!

 突然私の身体は、ある一定方向に対して強制的に転送されてしまう。私に襲いかかってきた次なる洗脳波の刺客は、アメーバのように伸び縮みするブラックホールだ!

 必死に自我を保持して抗い続けるも、この悪意あるブラックホールの攻撃は、吸血ヒルのように私の身体に吸い付き、手足の末端から着々と侵食させていく。それはすなわち、電脳世界における私の構成データ因子がビット分解されていくことに他ならぬ。

 悪意あるプログラムは即座に消去せねば!

 

【吸血ヒル 技術点8 体力点10】 

1R (吸血ヒル/13)(ケイト/17) 吸血ヒル/体力点-2

2R (吸血ヒル/10)(ケイト/22) 吸血ヒル/体力点-2

3R (吸血ヒル/18)(ケイト/13) ケイト/体力点-2

4R (吸血ヒル/16)(ケイト/17) 吸血ヒル/体力点-2

5R (吸血ヒル/15)(ケイト/20) 吸血ヒル/体力点-2 

6R (吸血ヒル/14)(ケイト/18) 吸血ヒル/体力点-2 ←Deleted!!

 

 いかん!この戦いの渦中で、吸血ヒルにのみ込まれた私の右足がビット分解されてしまう。不思議なことに痛みは感じないが、私の構成因子が欠損してしまったことは明らかだ。

 慌てるな自我を保て。サムライの誇りを胸に、心は鏡の如く!よし・・・元に戻った。私は禅の精神で肉体を復元することに成功する。

 吸血ヒルを具現化フォームとした洗脳プログラムの襲撃は去った。奴がいたパラダイムは、鈍く光る機械でいっぱいの部屋だった。真ん中には巨大コンピュータの入力端末がある。そしてそいつは私をデータ認識すると、このようなメッセージを送信してきた。

 

入力端末「人間よ、私は女王コンピュータだ。ここまではなかなかよくやった。褒美としてチャンスを与えてやろう。好きなように私をプログラムしなおすといい」

 

 なんだって!

 想像外の好機に生唾を飲む(あくまでも比喩表現であり、電脳世界内で本当に唾液が分泌されたわけではない)。ここで私が直結した女王コンピュータのプログラミングを修正すれば、トカゲ人どもの帝国は崩壊し、地球は解放される。任務終了だ!

 

 ・・・ ・・・ ・・・ そんなうまい話があるものか。

 

 これは狡猾な罠だ。

 私と女王コンピュータのキャパシティを比較すれば、私が劣るのは明らか。入力端末に接触すればたちまちのうちに意識を上書きされ、以後、女王コンピュータの奴隷と化すだろう。

 なので私は申し出を無視し、このワークスペースも無事に通過した。

 

 そう、これで私は、「知識」「富」「権力」と、女王コンピュータが申し出たものをすべて拒絶したことになる。

 

 不意に周囲が明るくなった。まるで疲れが癒されるような白い光。

 私の心と体は自然と安らいでいく。悪意あるプログラムをすべて排除したので、フィードバックとして快楽の精神波に包み込まれたのだ。

 こらえきれなくなって私は笑い出す。その笑い声はだんだん大きくなる。大きくなり、さらに大きくなり、やがて哄笑となって・・・

 

 悟った。 

 

 私は精神戦闘に勝利したのだ!

 

 

 

(精神戦闘編・4) これぞ戦士の本懐 --Rebel Planet--

 

【技術点11/11 体力点14/18 運点10/12

 

 気付くと私はアルカディア人のいる船室に戻っていた。

 相変わらず椅子に縛りつけられていたが、頭に張り付いた電極パッドは、もう用をなしていない。私の意識ははっきりしている。もうこんなインチキ装置に精神を乗っ取られることはないのだ。

 対面にいるのは、同じく頭にヘッドギアを装着した中央アルカディア人の技術武官。そいつを見やると、私の勝利によって、奴に何かが起こっているようだ。

 

武官「 ・・・ ・・・ ・・・ ??? 」

 

 虚ろな目をして、失った何かを探し求めるように、室内を見回している。私と目が合うと表情が一瞬理解の色を示したが、また下をうつむき不審な動作を繰り返す。

 これは微妙な状況だ。精神崩壊寸前までいっているようだ。とにもかくにも、手枷も足枷も、これ以上縛られているのはまっぴら御免だ。拘束された椅子から私は奴に語りかけた。

 

ケイト「おい、拘束を解け、これを外せ」

武官「いましめを解く?ああもちろんだ。どうして解いていけないわけがある?」

 

 武官はそう呟いたが、いっこうに私に近寄ろうとはせず、ただ室内をぐるぐるうろつき回っている。ええい、たまったものではないな。私は舌打ちし、さらに彼に迫る。

 

ケイト「おい、急げ!」

武官「わ、わ、わ、わかってるりりろりろろえい・・・」

 

 しまった!奴の精神の糸は、完全に切れてしまった!!

 ついにこいつは一切の能動的行為を放棄して“故障”した。船室にいるもう一人のアルカディア人である行政担当文官のムスカと同じく、片隅で膝を抱えて押し黙ってしまう。

 私は天を仰いだ。どうすることもできず、サクラ号のメインコンピュータが遣わしてくれるスチュアード・ロボットが通りかかるのを待つしかない。

 長い間待っていると、件のロボットが食事を持ってやってきた。それまで2人のアルカディア人は、床にへたり込んでじっとしたままだった。メインコンピュータがスチュアード・ロボットの発声機関を使って話しかけてくる。

 

メインコンピュータ「お待たせしましたケイトさん。事態を解決した方がよさそうですか?」

ケイト(むすっとして)「無論だ。」

メインコンピュータ「かしこまりました。何でもおっしゃる通りにいたします」

 

 狂気が充満しているこの部屋において、彼の快活さが、このときほど場違いに思えたことはない!

 ともあれ拘束を解いてもらい、逆にアルカディア人たちを私が今まで座っていた電極椅子に縛りつける。それから食事をとって休息するが、あまりに長い間放置されていたので体力点は2点しか回復できない・・・。

 しかしそれ以上の幸運に私は恵まれた。

 時間はかかったし、尋問は慎重にせざるを得なかったが、次の目的地までは十分すぎる時間があった。そして私は無気力化したアルカディア人の捕虜から、3つの重要情報を聞き出すことができたのだ。

 

◎反乱勢力に利用されないよう、帝国が回収した武器の一部は、アルカディオンの女王コンピュータがあるビルの地下に秘匿されている。

◎その秘密武器庫に入るコードは「110」である。

◎女王コンピュータは3つのメインパーツで構成されており、完全に活動を停止させるには、そのすべてを同時に破壊しなければならない。

 

 十分だ!特に私にとって、喉から手が出るほど欲していた広範囲破壊兵器の場所まで特定できたのは大きい。この幸運の追い風に運点+2を得る。

 

 そして、そうこうしているうちに、ワープアウトだ。

 探査レーダーが直近に存在する惑星重力をコールアウトする。

 来たぞ。あそこに見える星こそが・・・

 侵略者の帝国の主星、私の任務の最終地点、惑星アルカディオンだ。

 私はメインブリッジの自分の席に腰を下し、しばし感慨にふける。

 

メインコンピュータ「ケイトさん、とうとうここまで来ましたね」

ケイト「ああ・・・そうだ、ここまで来た・・・」

メインコンピュータ「いかがされましたか?緊張されてますか?」

ケイト「サクラ号は宇宙港で私を降ろしたら、すぐに自動航行装置をオンにしろ」

メインコンピュータ「ケイトさん」

ケイト「目的地は地球。君の仕事はそれで終わりだ。帰還せよ。以上」

メインコンピュータ「ケイトさん!それはいけません!」

ケイト「わかっているだろう?」

 

 私も、君も、任務を託したSAROSも、調査レポートを渡した兄のマサトも、レジスタンスのリーダーであるベラトリックスも、メヒタも、ドラドも・・・みんながわかっていた。しかし誰も口に出さなかったことだ。

 女王コンピュータを破壊したとしても、破壊できなかったとしても、私の生命はここで絶えるということを。

 1000万を数えるアルカディア人兵士の巣窟に忍び込む1人の地球人。しかもその目標は、帝国の最重要たる中枢防御地点。

 子供でもわかる。生き延びてこの星を出られる確率は、限りなくゼロだ。しかし・・・

 

 これぞ戦士の本懐だ。自らの命で人類世界を救う。

 宇宙(そら)の一族に連なる者として、これほどの有意義かつ痛快な人生があろうか。

 

ケイト「すぐに発進すれば怪しまれずにすむ。本来の船主たる兄の元に戻りたまえ」

メインコンピュータ「人間なら・・・」

ケイト「サクラという名を再び失うのは、私も辛い」

メインコンピュータ「・・・この感情増幅を“悲しい”というのでしょう」

ケイト「メインコンピュータくん、君との旅は、その・・・」

メインコンピュータ「・・・?」

ケイト「楽しかった。ありがとう」

メインコンピュータ「私もです」

 

 その後はともに終始無言だった。やがて私を乗せたサクラ号は、惑星アルカディオンの宇宙港滑走路に、音もなく見事に着陸するのだった。

 

 

 

(アルカディオン編・1) 我らが輝ける帝国の栄えある中心 --Rebel Planet--

 

【技術点11/11 体力点16/18 運点12/12

 

 ついに帝国の主星、惑星アルカディオンに到着した。

 入星の際、身体検査のことを考えて、あの技術開発武官から取り上げたフェーザー銃は持っていかないことにする。そのため宇宙港の税関はスムーズに通過できた。

 これでよし。私は『我らが輝ける帝国の栄えある中心』に朝貢物を届けにきた星間商人だ。よもや中枢の女王コンピュータを破壊しにきた秘密工作員とは感づかれまい。

 精神戦闘で勝利した結果、宇宙船格納庫に密かに荷降ろしした2人のアルカディア人捕虜を見つけられない限りは・・・

 残された時間は1時間半といったところか。愚図愚図してはいられぬ。速やかに任務を遂行せねば!

 

 惑星アルカディオンはオートシステムが極限まで効率化された星で、街角にはほとんど人間(アルカディア人含む)が歩いていない。その中で私は最初に見かけたアルカディア人に声をかけた。

 私は一介の星間商人で、全銀河の秩序を守る帝国に敬意を表し、ジリディウム鉱石を寄付しに来ました。つきましては、中央官庁に詣でたいのですが、どこにあるのでしょうか・・・?

 帝国を崇拝する異邦人を手助けできる誇りに思ったのか、このトカゲ人は熱心かつ詳細に場所を教えてくれる。まさかこんな中枢に敵が侵入するなんて想像の範囲外なのだろう。これはありがたい展開だ。

 私はまっすぐ中央コンピュータのビルに向かうことができた。

 

 いよいよ私の任務も終局に近づいてきた。

 今、私は細長く低い建物の外にいる。この中にアルカディオン人の脳を支配する女王コンピュータが格納されているのだ。

 私は民間人のふりをして正面入口の壁面に備え付けられたパネルに向かう。そこには1枚の液晶ディスプレイと、0」と「1」が刻印された2つのボタンがある。

 さあ、正しいコードを打ち込まねばならない。

 2進法を10進法に直してから、その数と同じ番号のパラグラフに進め!

 

 10進数 256 128 64 32 16 8 4 2 1

 2進数      ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

 

 (手に入れた9桁のコードを2進数の部分に入れていきます。

  1ならば10進法で対応するその数字を足します。0ならば無視します)

 

 100101001・・・ 

 惑星トロポス、ラディクス、ハルマリス。そのそれぞれでで入手したコードの断片を頭の中でつなぎ合わせ、私はパネル上で注意深く10を入力していく。

 

 そして   (プシュー!)   扉が開いた!!  

 

 私は控えの間に侵入すると、背後で扉はすっと閉まり、自動的にロックされる。すると目の前にある次の扉が開き、それを通るとまた別の扉があって・・・

 都合4回それを繰り返す。これもみんな外気温や埃などの異物を締め出すための措置だ。

 周りに警備兵の姿はない。コツ、コツ・・・と、私だけの足跡が中枢区画に響き渡る。ここまでたどり着いた地球人は私が初めてだろう。いや、アルカディア人だって、ここまで来れるのは等級が相当上でないと難しいはずだ。正念場だ。生唾を飲み込む。

 

 前方にコンピュータルームが見える。 

 すぐそばには地下室に下りる階段も見える。

 

 捕虜にしたアルカディア人の情報通り。あれは武器庫に続く道だ!まずは広範囲の破壊兵器を入手しておく必要があるので、私は足を1階から地下に向ける。

 地下室に入る扉は厚さ10cmの耐レーザー処置を施された分厚いものだ。ぶち破っての侵入は絶対不可能。だが扉の傍には小さな入力パネルがある。

 ここのコードは、確か・・・110・・・開いた!

 武器庫は何10mも奥まで伸びており、ここにある兵器だけで革命を始められそうだ。

 だけど残念なことに私には時間がない。性能が確かそうでここから持ち出せるのは、以下の武器のうち2つだけだ。

 

 エルモナイト爆弾の密封チューブ   密着地雷   光子手榴弾

 小型フェーザー銃  赤外線スキャナー

 

 素早く頭を巡らせる。

 まず武器でも何でもない赤外線スキャナーは論外。普通の個人殺傷兵器である小型フェーザー銃も除外。密着地雷は敵が踏みつけないと爆発しないから使いどころが難しい・・・

 よし、消去法でこの2つだ。

 私はエルモナイト爆弾の密封チューブ光子手榴弾を手早く反重力パックに収納する。どちらも役に立ってくれそうだ!

 そしてそれが、さっそく役に立つときがきたのだ。

 武器庫を出て、再びコンピュータルームの階層まで上がった途端に、私はアルカディア人のパトロール隊に出くわしてしまう。

 

パトロール隊「武器庫に侵入者発見!至急応援をA10地区によこせ!!」

 

 奴らは警備本部に応援を要請している。敵の一団の数は約30人ほどだ。レーザー剣で11人斬り伏せて応戦したら時間がかかりすぎ、奴らお得意の統一行動で続々と駆けつけてくる増援部隊に包囲されてしまう。

 結論!時間がない!!一気に潰せ!!!

 私は光子手榴弾のピンを引き抜いて投げつけた。そして自分の身体を階段の陰に隠す!

 

 BAHOOOOMM!!

 

 よもやテロリストがこんな高性能破壊兵器を持っているとは思わなかったのだろう。彼らの防御姿勢はあまりにも無防備であり、光子手榴弾の熱核質量を存分に受け止めてしまった。

 一瞬にしてパトロール隊の全員が光子の塵に変わる。

 そして私が再び1階に出たときには、彼らのいた形跡はほとんどなくなっていた。ただ床に黒いシミが残っているだけだった。

 さらに言えば、女王コンピュータ室につながる最後の防御扉も、同じく破壊されていた。 

 もう遮るものは何もない。私はゆっくりと歩を進め、最終目的地点に到達する・・・

 

 

 

(アルカディオン編・2) サムライ・ガール、ここに在り --Rebel Planet--

 

【技術点11/11 体力点16/18 運点12/12

 

 ついにここまで来た。

 銀河の大半を統治する怪物頭脳に対して、ここは拍子抜けするほど小さな空間だ。三方の壁に沿う形で、表面を無機的な輝きに染めた高さ3mほどの金属の直方体が3つ、等間隔に直立して並んでいる。時折赤いランプが点滅して、それらが現在作動中であることがわかった。

 こいつらが女王コンピュータか!

 しかし感慨に浸っている暇などない。作業を急がなくては。

 私は反重力パックからエルモナイト爆弾の密封チューブを取り出す。これは敏感で強力な兵器だ。空気に触れれば自動的に爆発するのだが、それは密封した円筒の口を切ってからきっかり3分後だ。

 さあ始めよう。以前、サクラ号の船内で捕虜にしたアルカディア人技術武官の情報通り、爆破工作を進めるのだ。

 そう、完全に活動を停止させるには、ここにある3つのメインパーツを同時に破壊しなければならない。

 なので私は密封チューブをきっかり3等分し、それぞれ1つずつを貼りつけた。

 これで・・・よし・・・!

 爆破準備は完ぺきだ。さて、ここにいて結末を見届けたいところだが・・・

 この小さな部屋の中では爆風を免れる場所はない。巻き込まれるのは真っ平御免だ。それにこの破壊工作を確実にするために、3分間、誰もこの場所に入れないよう、私にはまだやることがあるのではないか???

 私は速やかに女王コンピュータ室を退出する。腰からレーザー剣を引き抜き、駆け足で進入したときと逆のルートで幾重もの防御扉を抜け、あの9桁のパスワードを入力したメインゲートを通り過ぎ、建物の外に出た時だ。

 怒り狂ったアルカディア人兵士のお出ましだ!

 

近衛兵「地球人のテロリストめ!!」

 

 ZAP!!ZAP!!ZAP!! ZAP!!ZAP!!ZAP!! ZAP!!ZAP!!ZAP!!

 

 いきなりフェーザー銃の一斉射撃が襲いかかってきた。私は身を翻し、正面入口をカバーとして姿を隠す。

 警告も威嚇も何もない。つまり私が為したことは、それだけ敵システムを切迫した状況に陥らせた、ということか。思わず口元が不敵な笑みで歪む。そして数えた・・・敵は完全武装のアルカディオン帝国近衛兵100・・・いや、200人はいる。

 

近衛兵隊長「マザーからの救難信号!敵は爆破装置を取り付けたらしい。解除班、急げ!!」

 

 私が引っ込んだすきに、爆弾解除班がビル内に突入しようとする。させるか!

 ZASHZASH! 私は豹の如く飛びかかり、その一団をレーザー剣で速やかに仕留めた。そして残りの敵兵に向かって睨みつけ、レーザー剣を目の前で振って見せ・・・ふふっ。ここは大見栄を切らせてもらおうか。

 

ケイト「我はケイト・サワムラ。宇宙(そら)の一族、最後のサムライなり!」

近衛兵「貴様あああ!」

ケイト「小細工無用。死を恐れぬ者より、いざ、参れ!」

近衛兵「速やかに排除しろ、行けえええ!!」

 

 戦さの名乗りとしてはちょっと格好つけすぎか。面映ゆくもあるが、これで貴重な時間が5秒は稼げたはずだ。私はちらりと腕時計を見る。あと2分と11秒!それまで、トカゲ人どもを、一匹足りとも通しはせぬ!通しはせぬ!!

 私は脚を肩幅よりも大きく広げ、腰を落とし両手でレーザー剣を握り、迎撃の姿勢をとる。

 そして息を吸い込み裂帛の気合を放つ。惑星アルカディオンの大気がビリビリと震え、殺到するアルカディオン近衛兵らが、思わず気圧されて立ち止まった。

 己の身体の調子を確認する。体力点は十分ある。技術点と運点も原点だ。よし!

 では、いくとしようか。で や あ あ ああああああ!!!!

 

 私は建物前の階段を長迅跳躍し、敵兵の大集団に斬り込みをかける!

 

 ただ一心に 斬る! 裂く!

 

 突く!        えぐる!

       砕く!         屠る!!

 

近衛兵隊長「ええいっ何をしている!敵は1人だ、早く突破しろ!!」

 

 ・・・70・・・いや、80か?

 そこらへんで仕留めたアルカディオン兵士を数えるのをやめた。それでも私は剣の動きを止めない。私の周りに血まみれの死体が、奇妙な円形のスペースとして積み上がっていく。

 あと1分!だが・・・

 死体を踏み越えてやってきたのは、フェーザー銃を有した近衛兵の縦列!!

 

近衛兵隊長「撃てェ!」  ・・・ZAP

 

 私の脇腹に穴が開く。動きが止まったところに ZAP! ZAP! 2発目、3発目、続けてフェーザー銃の光線が私の身体を貫通する。内臓から喉を通って噴き上がる血反吐をぐっと飲み込み、それを胃の中に戻した。

 それでもなお、じりじり、と、先ほどからさえずっている近衛兵隊長に近寄っていく・・・

 

近衛兵隊長「ひ、ひい!化け物!!」

 

 ZASH そいつの首を刎ねた。そして今ひとたび、吠える!!

 

ケイト「まだまだ!義憤ここに在り!!」

 

 ZASH! ZAP! ZASH! ZAP! ZASH! ZAP! ZASH! ZAP

 

 ・・・ ・・・ ・・・

 

 私の剣の斬撃と敵の銃の射撃が渾然一体となり、視覚も、聴覚も、そして痛覚すらも、薄らいでぼやけていく。悲鳴と、血と、脳漿と、フェーザー銃光線の輝きと、レーザー剣の煌き。

 夢うつつのような時間の中で、しかし私の足、足だけは、地にしっかりと根付いているのがはっきりわかっていた。私は一兵たりとも建物内に侵入させず、未だこの地点を守り続けているのだと認識していた。

 そして、その足は、ついに低く震える地面の動きを感じる。私の仕掛けたエルモナイト爆弾が臨界点に達したのだ。

 

 DOZOOOOOOOOMMM!!!

 

 

 

(エピローグ) 400!そして次の冒険への幕間 --Rebel Planet--

 

【技術点11/11 体力点16/18 運点12/12

 

【至急】SAROS地球総本部より全惑星レジスタンス・リーダーへ【重要】

 惑星アルカディオンに潜入した当組織の秘密工作員が、女王コンピュータに甚大な被害を与えることに成功。現在、アルカディオン帝国統治機構は完全停止している。アルカディア人は一切の自律行動が不可能である模様。各惑星のレジスタンス組織へ通達する。急ぎ全構成員を招集し、可及的速やかに武装蜂起せよ。これは罠ではない、繰り返す、これは擬装通信ではない・・・

 

 各惑星にFTL通信が飛び交う。今こそ圧制への報復を為すべきだと、各地に指令が飛ぶ。

 

at 惑星トロポス) ベラトリックス「やったのね、ケイトさん」

at 惑星ラディクス) メヒタ「ヒュー♪ さすが、やっるじゃなーい!」

at 惑星ハルマリス) ドラド「さあ、ここからは我々の出番だ!全員を集めろ!!」

 

 そして地球では、星々が映る夜空を見上げ、ひとりの男が呟いた。

 

マサト「かわいいキティ、君の勝ちだ・・・」

 

 こうして・・・

 有能なレジスタンス・リーダーたちに率いられ、我々地球人類の反乱は、速やかかつ効果的に実行されていく。兄マサト・サワムラの調査通り、女王コンピュータを破壊されたアルカディオン帝国は統一連携行動がまったくとれなくなり、政治システムは完全機能停止に陥った。アルカディア人の全てが「故障」してしまったのだ。

 かくして銀河連邦を圧政の上に支配していたアルカディオン帝国は、まるで砂上の楼閣のように急速に瓦解していく。

 1宇宙年もかからないうちにアルカディオン帝国軍は旧銀河連邦領内から駆逐され、奴らトカゲ人どもは、母星にひっそりと引きこもることになった。その没落ぶりは、全銀河中のヒューマノイドから軽蔑され、侮辱の対象となるに十分だった。

 こうして、アルカディア解放戦争は我々の勝利に終わった。

 しかし勝利の余韻に浸るも束の間、我々はこのあと数宇宙年に渡る戦後混乱期を経験する。タロス同盟などの中小惑星同盟体や、カロシアン帝国といった辺境軍閥が跳梁跋扈するディアスポラ時代を迎えるのだ(余談だが、そのとき私の愚弟、リュート・サワムラがそれなりの活躍をする)。

 しかしアルカディア人と違い、我々には「意志(Will)」がある。幸福を求め、隣人を愛しみ、二度と過ちを繰り返すまいという「意志」の元に、地球人の文明はやがて力強く復活するだろう。

 

 だがそれはもう少し後の話。

 今は、女王コンピュータ爆破直後の惑星アルカディオンに、話の舞台を戻そう。

 

========================================

 

ケイト「 ・・・ ・・・ ・・・? 」

 

 戦闘は、唐突に、そして一方的に停止した。

 爆発の振動を体で感じた直後、私を包囲してフェーザー銃で狙いをつけていたアルカディオン帝国の近衛兵たちは、皆一斉に銃口を下したのだ。奴らは涎を垂らして口をポカンと開け、ただ突っ立っているだけ。もしくは呆けた表情であたりをキョロキョロ見回すばかりだ。

 攻撃されなければ私も反撃することはない。無駄な体力を消費することはないのだ。奇妙に思いながら、私はレーザー剣をしまう。

 しーんとした、奇妙な静寂が血まみれの空間を包んでいる。

 ここで私は悟った。そうか、やったのだ。

 

 蜂の巣の中心をなす女王コンピュータは破壊された。それとともに、働き蜂どもの意志も消えてしまったのだ。そう、私が捕虜にしたムスカのように・・・

 

ケイト「ならば帰るとするか・・・」

 

 私は一切の能動的行動をとれずに立ち尽くしている兵士の輪を、2つか3つ貫通銃創をこしらえた足で、よろよろとふらつきながらも抜けた。

 誰も私の行動を制止できない。奴らは木偶の棒のように、私に視線を向けることなくただブツブツとつぶやいている。精神が崩壊した群衆の中を、千鳥足で歩く重傷人が1名・・・

 まるでありえないシュールな光景だ。しかしこの身体を走る激痛が、これは現実だと教え続けている。

 私は無力化した敵兵士のフェーザー銃を取り上げ、それを杖代わりにした。

 

ケイト「帰るんだ、地球まで・・・」

 

 出血が止まらない腹部を抑え、片足をひきずり、歩く。

 いや、果たして私は今、歩いているのかどうかもわからなくなってきた。下半身の感覚がないのだ。まるで雲の上に乗っているようだ。身体全体がふわふわしている。

 周りが暗い。もう夜なのか?いや違う。失血によって私の視界はブラックアウト現象を起こしつつ・・・あ・・・る・・・

 げふっ!とうとう口から血を吐いた。

 苦痛が甦り、呻きを上げ、少しだけ意識が戻る。兵士の包囲網は抜けたらしい。無人と化したアルカディア人の街を私はいまだ彷徨っている。

 まだ歩けるかケイト。目指すは宇宙港だ。そこまでいけばなんとかなる。サクラ号は帰ってしまったが、代わりの船を見つけて、この星を出て・・・

 

 そしてその先にある、我らの星、帰るべき、地球・・・

 

 どさっ。

 

 ・・・

 ・・・

 ・・・

 ・・・(あの天井のシミには見覚えがある)・・・

 

 目覚めたら医務室だった。私はベッドに横たわっていた。ここは・・・

 サクラ号の船内じゃないか!!

 

メインコンピュータ「ああよかった!意識が回復しましたね!!」

 

 聞きなれた声。私のかけがえのない友、メインコンピュータ君だ。

 そうか、私は、またしても命を拾ったらしい。

 

メインコンピュータ「宇宙港のゲートに倒れていたんです。私の派遣した無人操縦車両がケイトさんを収容したときには、すでにチアノーゼ症状が出ていました。いやはや素晴らしい生命力です。これは地球人の最高記録ではないでしょうか」

ケイト「いや、待て・・・あツツ・・・」

メインコンピュータ「失血がひどいので動かない方がいいです。自動医療システムの判断によると、まだ絶対安静状態ですよ」

ケイト「どういうことだ。私は命じたはずだ、すぐに地球に戻れ、と」

 

 船主の指令に背く積載コンピュータなんて、聞いたこともない!!

 

メインコンピュータ「ケイトさんの発した時間コマンドは“すぐに”でしたね」

ケイト「その通りだ」

メインコンピュータ「明確な定義が為されていなかったので・・・」

ケイト「何だと?」

メインコンピュータ「・・・私の定義で判断しました。惑星アルカディオンにおける“すぐに”とは、私の推定により1公転周期分、宇宙標準時間に換算すると1宇宙年及び35宇宙日と解釈させていただきました。よって指示通り、その時間が経過するまで自動航行モードを保留しました」

ケイト「・・・(唖然とした表情)・・・」

 

 よくもまあ、いけしゃあしゃあと・・・さすが、兄上の船だ・・・。

 私はうずくまり、クスクスと笑うしかない。だけどその体勢は、くうう!!

 

ケイト「あツツ、腹部の傷が・・・」

メインコンピュータ「あっ、あっ、大丈夫ですか?ケイトさん??」

ケイト「いや心配無用。それで、今、私はどこにいる?」

メインコンピュータ「本船はケイトさんを収容後、速やかに惑星アルカディオンを離昇しました。現在重力圏内を脱し、準ワープ速度まで加速。いつでもジャンプ・インできる状況にあります」

 

 もし彼に表情があるならば、今頃、にっこりと笑っているに違いない。

 サクラ号のメインコンピュータは、朗らかな声で、私に判断を促した。

 

メインコンピュータ「行き先はどちらの星まで?」

ケイト「そうだな・・・」

 

==============   < CUT OUT >  ==============

 

 SAROS工作員ケイト・サワムラと、彼女が搭乗する宇宙船サクラ号の記録は、これ以降存在しない。

 アルカディア解放戦争の第一功績者であるにもかかわらず、彼女に関する資料は、銀河連邦母星の地球においても大部分が逸失している。これはまったく奇妙なことである。

 戦後のディアスポラ時代の混乱に紛れて勃興した地方権力者たちが、彼女の圧倒的な戦闘力、強烈なカリスマ性、若い世代への影響力を脅威と感じ、民衆に英雄視されることを嫌って記録を抹消したとも想定される。

 よって我々銀河史研究班は、彼女の兄マサト・サワムラを始めとしたサワムラ一族の証言などから、解放戦争後の彼女について推察するしかない。

 一説では、惑星ハルマリスで抵抗組織の闘士ドラド・ルキニアスと結婚し、市民革命と階級闘争に生涯を費やしたと言われる。

 またある説では、惑星ラディクスの総合大学に体育教官として赴任し、惰弱な若者に規律と自尊心を熱心に教育し続けたとも言われる。

 こういう説もある。解放戦争後、ベラトリックスを臨時総統とした惑星トロポスにおいて、軍事顧問をして辣腕を振るった戦士が、近接刀剣戦闘の卓越した使い手であったらしい。確かにベラトリックス政権はその後18の星系を支配し、銀河連邦新世代第一政府の首班となるまでに急速な拡張を見せる。その陰に彼女の活躍があったとするならば、それは十分に想定の範囲内である。

 だが我々は、独自の調査により以下の説を採りたい。

 彼女は戦後、実弟リュート・サワムラの居住する農業惑星タロスに移民した。その地で自身の戦闘技術を封印し、開拓農民として慎ましやかな一生を送った。またサクラ号のメインコンピュータ・プログラムは同惑星の工業技術基幹システムに提供・応用された。これにより惑星タロスのロボット工学はある種独特の発展を遂げるわけだが・・・(以下略)<メヒタ・スナイプス著 「宇宙の一族」 より抜粋>

 

 

 

『ロボットコマンドゥ』に続く】

【次はファンタジー編『深海の悪魔』です。前回のラストは絶体絶命だったブリッツ君、はたしてその後、どうなったぁ~???】