フリーウェイの戦士

 

 

 

 

 

ドライバー作成&運行前点検 --Freeway Fighter--

 

 よいこのみんな、元気かな~・・・(手を耳に当てて返事待ち)・・・!!

 『Livre dont vous etes le herosの新シリーズが始まるよ~♪

 FFシリーズ第13作目『フリーウェイの戦士』(Freeway Fighterです!!

 

 今回の冒険の舞台は、2023年の荒廃したアメリカ。殺人ウィルスによって廃墟と化した世界です。重武装の改造車ダッジ・インターセプターを操り、ニュー・ホープの町を救うのだ!そう、それはまさに・・・マッド・マーックス!!(←意味不明)

 著者はおなじみI.リビングストン。もう、設定とか、どう考えても僚友S.ジャクソン(米)が作ったCAR WARSを意識しまくってんだけど、そこはそれ、泣ける文章で数々の漢どもの心臓と腹筋を鷲掴みにしたイアンですから、奴の仕掛けたデストラップがどこで炸裂するか、みものだぜぇ。

 さらに訳者は・・・おおっ!GURPSや混沌の渦を訳した佐脇洋平氏だった!社会思想社の英断です。この本から初めてゲーム関係者を翻訳に起用おぉぉ!!(゜∀゜) 

 

 コホン、落ち着け。それではキャラクター作成から。

 このGamebookにおける“君”は、ダッジ・インターセプターを操るドライバーだ。他のFFシリーズの能力値の決め方と違い、原体力点は2d6+12ではなく、2d6+24になります。つまりはそれだけ体力勝負・・・((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル

 当ブログ『Livre dont vous etes le heros』(君が英雄になれる本)では、主人公が能力値を決める際はハウスルールにしてまして、サイコロを4回振って出目をそれぞれの能力値に割り振るやり方にしています。

 というわけで・・・はうあっ!・・・4,3,4,5か・・・。

 今回、リビングストンなんだよなあ・・・奴の著作は・・・けっこう運試しあるんだよなあ・・・。

 よし、こうしよう。技術点に4、運点に5の出目を割り振るぜ。体力点は4,3なので、彼の能力値はこうなりました。

 

 【原技術点10/原体力点31/原運点11

 

 彼の名は・・・うーん、アメリカが舞台だから・・・リッキー・スチュワートという名前にしよう。なんとなくレーサーっぽい名前でしょ、ね?(^v^)

 元は“弾丸リコ”(Rico the Bulletなんつってブイブイ言わせていた命知らずのインディパイロットだ。だけど文明崩壊しちゃったから、今は落ちぶれた飲んだくれの28歳の男。しかし、彼の目はまだ濁ってはいない。まるで飢狼のように・・・栄光のレースの続きを・・・

 おお、燃えるかぁ?燃えちゃうのかぁ??(≧∇≦)b

 

 コホン、落ち着け。落ち着けってば!!

 さて、次に愛車であるダッジ・インターセプターの能力値を決めよう。このGameboookにおける車の能力値は2つ。武装の威力を示す火力点(1d6+6、そして装甲の強度を示す装甲点(2d6+24だ。これらは人間と同じように、最初に決めた原火力点、原装甲点を超えることは決してない。

 ではこれもサイコロ3個割り振り方式で・・・はあっ!4,3,4か・・・(なんだか今回の出目はいやにフツーだよな)・・・ダッジ・インターセプターの能力値はこうなった。

 

 【原火力点10 原装甲点31

 

 さて、このダッジ・インターセプターは、戦闘用に改造されて様々な特殊ウェポンを装備している。それは以下の通りだ。おおー、なんとなくボンドカーみたいだね。

 

 ○機関銃(基本武装。全方位射撃可能。弾切れすることはない)

 ○ロケットランチャー(敵を一撃で破壊) ・・・4

 ○まきびし投射器(後方のタイヤをパンクさせる) ・・・3回分

 ○オイル噴霧器(後方の車をスリップさせる) ・・・2回分

 

 冒険中に使っちゃうとなくなる消耗品タイプもあるので注意だな。それからスペアタイヤが2と、予備のガソリン燃料は・・・あら、さ、最初は1缶のみ!( ゚Д゚)

 そうか。北斗の拳みたいな文明崩壊世界だからな。ガソリンなんて、そりゃものごっつい貴重品ってわけか。エンスト起こしたらBADENDなわけね。荒廃した北米大陸のどこでガソリンを手に入れるかが、今回の生死を分けるな・・・。

 

(注;ルール説明の部分ではスペアタイヤの個数は特に書いてないのですが、キャラクターシートにスペアタイヤのイラストが2つなので、そうしました)

 

 それでは戦闘システムの解説だ。前回の「宇宙の暗殺者」に引き続き、ちょっといつものFFシリーズとは違うのです。

 

【格闘戦】これは拳や野球バットやナイフによる近接戦闘。Fighting Fantasy戦闘の基本である2d6+技術点=攻撃点の比べ合いなんだけど、与えるダメージは素手なら1点、他の武器なら文中の指示に準じる。そしてどっちかの体力点が6点減少した時点で、負けた方は気絶してしまう。それが主人公側だったら、そ、即ゲームオーバー!?

 き つ い っ す 。 ((n;‘Д‘))η

 

【射撃戦】これは銃による戦闘だな。主人公はリボルバーを一丁持っているんだな(弾丸の心配はしなくてよい)。射撃戦も格闘戦と同じく攻撃点の比べ合いになるが、与えるダメージは双方ともに1d6になる。そして、体力点が0になった時点で射殺。ハゲタカの餌食となる。

 や、やっぱ、 き つ い っ す 。 ((n;‘Д‘))η

 

【車輌戦】これは戦闘車輌同士のガチンコ勝負だと思ってくれい。これは人間の戦闘と同じように2d6+火力点=攻撃点の比べ合いだよ。そしてこの比べ合いに勝ったら、装甲点に1d6ダメージを与える。車輌の装甲点が0になるとその車は破壊だ。なお、ダッジ・インターセプターならば、ロケットランチャーを1発使用すれば、その時点で敵の車体を即座に破壊、勝利できるらしい。そして中にいたドライバーは、乗っていた車がおシャカになったら、もろともに丸焦げだ。脱出判定なんかあるもんか。なんつったってマッド・マーックスだからな。え?ということは、車輌戦にドライバーの技術点は全く関係ないってことになるのか!! 

 め ち ゃ く ち ゃ き つ い っ す 。 ((n;‘Д‘))η

 

 ええい!ヒーローならば文句をブチブチ言うでない!最後に主人公の持ち物。

 まずは治療薬が10個。これは1回投与するごとに体力点を4点回復する。今までの食料ルールと同じだな。

 それからお金だ。この世界の基本通貨はクレジット(略称;Crdで統一されている。スタート時の所持金は200Crdだけど通貨なんてあんまり信用されてなくて、治療薬で物々交換というケースもあるみたいだ。

 

(注:なので今回は、通貨代わりにもなるということで、食料5個制のハウスルールはとりません)

 

 ・・・というわけで、運行前点検はOKOKですね??

 弾丸リコのノンストップ・ドライブが、始まるぜっ!

 

 Ladies and Gentlemens, START YOUR ENGINE!!

 

(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)

 

※えー、ここまで書いて長くなったので、タイタン世界の紹介は、今回もお休みです。

 どうかご了承のほどを・・・(><)

 

 

 

都会の灯の中、華やかな暮らしの中で・・・ --Freeway Fighter--

 

【技術点10/10 体力点31/31 運点11/11】 【火力点10/10 装甲点31/31

 

 維持するものがなくなったとき、あらゆるものは信じられないほどのスピードで崩壊していく。

 まるでマイアミのオーバルコースで吹っ飛んだ、ポール・ダナの車体のように。

 

 Are you ready for the new sensation?

  Well, here's the shot heard 'round the world.

  All you backroom boys salute when her flag unfurls...

 

 2022821は平穏な一日になるはずだった。北米大陸の電気は家庭消費の90%、工業消費の70%までがクリーンな太陽光発電に変わっていた。農業革命によってアフリカの飢餓は過去のものになろうとしていた。週休4日制がヨーロッパの標準労働形態になり、中東ではイラク大統領とイスラエル首相が笑顔で握手しつつ相互和平協定を結び、アジアでは北京株式市場が史上最大取引額を更新し、シドニーではイングランド対アメリカのW杯決勝が催されるはずだった(ついでに言えば、俺はこの3日前、ミシガンで今季トップとなる4勝目を上げていた)。

 そして数時間後、文明は崩壊した。

 

 Well, guess who's back in circulation?

  Now, I don't know what you may have heard

  but what I need right now's the original goodtime girl...

 

 この日の午後、ニューヨークで原因不明の疫病が発生した。致死性の人食いバクテリアは瞬間的に全米へ広まり、この1日で人口の53%が失われた。海外各国の防疫処置も空しく、疫病は4日間で世界を一周し、そのあとに残されたのは、地球総人口85%に及ぶ死体の山だった。

 疫病発生の原因はわからない。というか、わかる者がもう生き残っていない。それはバイオテロであったのか、化学戦用に保管された毒ガスが事故で漏れ出したのか、はたまた宇宙からの未知の細菌によるものだったのか、そんなことは、もう、どうでもよい。

 そこにあった事実は、人類が築き上げた文明が瞬時にして無に帰してしまったということ。そして未だなお、残り15%が生きていたということ。その15%は、なぜ自分が生き残ったのかわからなかったが、とにかく、それからもなお、生きようとした。

 

 She's a vision from coast to coast, sea to shining sea.

  Hey, sister, you're perfect host...

 

 だが、食料不足から大都市は見捨てられ、世界規模の(いや、隣町規模でも)コンピュータネットワークシステムは崩壊していた。治安?何だそれは??食べられるものか???いまや世界は暴力が支配していた。略奪、暴行、破壊・・・。人々は一つの缶詰をめぐって殺し合いすら躊躇しなかった。

 そしていつしか、世界は2種類の人間に分かれていた。秩序を好み、小さな町に集まって、自給自足の生活を始めた者と、集団を組織して荒野を徘徊し、無防備な町や旅人に襲撃を企む者、この2つに。

 前者は町の外周に防御壁を築き、ならず者の流入を食い止めようとした。そして後者は捨て置いてあった車やバイクをジャンクパーツで改造し、その防壁をぶち破るに足る凶悪な戦闘車両軍団を組織していた。

 

 Show me your bright lights and your city rights, all right.

  I'm talkin' 'bout the Yankee Rose.

  Bright lights and your city rights, all right...

 

評議員a「リッキー・・・。リッキー!リッキー・スチュアート!!!」

リコ「んあ・・・?」

 

 ソファでうつぶせになって寝ていた俺の上半身が、屈強な男2人によって抱え上げられた。真っ暗な穴倉の中で、半分壊れかけのスピーカーから雑音交じりのシャウトYankee Roseが聞こえてくる。文明崩壊の日に持ち出されたCDプレーヤーの中には、運よくこの1枚だけが入っていた。だから酒場では、この歌以外の音楽が流されることはない。

 ああそうか。ここは現実だ。ニュー・ホープの町にある唯一の酒場。夢の中じゃない。そう気づくまでちょっと時間がかかった。いや、ひょっとしたらこの現実が、悪夢なのかもしれないが。ああそうか、あの破滅の日から、今日でまる3年か・・・。

 

 I'm talkin' 'bout it!!

 

評議員b「やかましい、店主、この音楽を止めてくれ!!」

 

 ぶちっ。静寂が戻る。

 

 俺の名はリッキー・スチュアート。

 文明崩壊前はインディ・カーのパイロットだった。だけどまあ、このご時勢じゃあ、あんな石油と電気を大量消費する娯楽レースなんて開催されるはずもない。

 幸い、身体は生まれつき頑丈だったし、人食いバクテリアにも冒されなかった。だから酒場の用心棒などしながら、細々と飲んだくれながら暮らしている。どうしてこの町に流れ着いたかというと、文明崩壊前、ミネソタの穀倉地帯に立地していたニュー・ホープには小麦の備蓄が相当あったからだ。そのおかげでとりあえず食料には事欠かない。だから酒場なんて贅沢な施設も存在している。このあたりじゃあ人口3,000人を抱えている地域最大の都市なのだ。

 さて、そんな町のお偉いさんが、文明崩壊以後、存在意味がなくなった俺に何の用だ???

 

 洗面台で俺の顔に冷水を叩きつけつつ、彼らは興奮気味に話し始める。

 我が町、ニュー・ホープのはるか南にサン・アングロという町がある。ここはかつての製油所を要塞化した町だ。不幸なことに(そしてニュー・ホープにとっては幸運なことに)サン・アングロでは食料が不足がちであり、穀物の種を運んでいけば、交換に1万リットルの石油を提供してくれるという。

 1万リットルの石油!!・・・俺はここでやっと眠気から覚めた。夢のような話だ。これだけあれば、十分な数の発電ユニットや農業プラントを稼動させることができる。

 だが、唯一の問題は、ニュー・ホープからサン・アングロまでは広大な無法地帯が広がっていることだ。そこではもちろん、全世界の例に漏れず、カー・ギャングどもが跳梁跋扈している地域だ。奴らの襲撃をかわしつつ、ときには撃退しながら、最短時間で目的地サン・アングロにたどり着けるドライビング・テクニックを持つ人物。ニュー・ホープ評議会はこの町に住む全住民の文明崩壊前の経歴を調査し・・・

 すなわち、俺に白羽の矢を立てたわけだ。

 

 ニュー・ホープの評議会は、現状で施せる限りの最高科学力を、俺を乗せるべき1台の車に投入した。無線機はもちろん、機関銃、ロケット・ランチャー、拡声器、鉄びし投射器、オイル噴霧器などが取り付けられ、窓は防弾ガラスで、車体は厚い装甲で覆われた高速戦闘車両。その車の名は・・・ダッジ・インターセプターという。

 俺は整備ドッグに連れて行かれ、その新車のシートに座らされた。

 真新しい革の匂い。ハンドルを握る。コクピットの視界。そう、ここだ。文明崩壊前に俺が「生」を感じ、喜びに震えた栄光のポジション。今でも耳に残る観客の賞賛の嵐、まばゆく光り輝く記者のフラッシュ。頭に載せた月桂冠と、飛び散るシャンパンの泡。

 都会の灯の中、華やかな暮らしの中で・・・

 俺はあの時、英雄だった。命知らずの“弾丸リコ”(Rico the Bulletだった。

 

評議員a「リッキー・・・いや、弾丸リコ、君の力が必要なんだよ」

評議員b「もちろん生命のリスクはある。だが、拒否した場合、我々は君を非協力者として追放免状を発行しなければならない」

リッキー「あー・・・」

評議員a2つに1つだよ、スチュアートくん」

評議員b「報酬の話か?サン・アングロに到達した時点で・・・」

リッキー「ここらへんに・・・」(とんとん、とコンソールを叩く)

評議員a&b「???」

リッキー「カーオーディオをつけてくれないか?」(ニヤリと笑う)

 

 Bright lights and your city rights...

 

 

 

一瞬の運命の交錯 --Freeway Fighter--

 

【技術点10/10 体力点31/31 運点11/11】 【火力点10/10 装甲点31/31

 

 ぎいっ・・・ガシィィィィイン・・・!

 鋼鉄のゲートが開く。後ろでは評議会員たちが敬礼を送ってくれている。俺はゆっくりとアクセルを踏み出し、ダッジ・インターセプターを荒野に滑り込ませた。

 ニュー・ホープの防御壁から外に出たのは、実に1年ぶりだ。俺はフロントガラス越しに広がる廃墟を目の当たりにして、今さらながらに人食いバクテリアの猛威を痛感していた。

 建物は瓦礫の山と化し、道路のあちこちに放置された車は錆びた鉄の塊となっている。あらゆるところに雑草が生い茂り、野犬の群れが我が物顔でうろついている。

 15kmほどダッジ・インターセプターを走らせたところで、ふとエンジンを切ることにしてみた。すると現れたのは・・・

 

 静寂だ。死のような静寂だ。

 

 あの病原菌はたった一つだけいい仕事をしてくれていた。人食いバクテリアの犠牲になった者は、骨まで分解されて、何も残さずあっという間に土に還るのだ。だからよく、災害や戦争で出てくるような、どろどろに腐った死体のことは考えなくてもいい。

 そんな潔癖症の殺人バクテリアも、今はもう、地球にいない。なぜだかよくわからんが、文明崩壊の日からちょうど1年後に、世界のどこからも消えうせていた。突然に。

 だから今、衛生面だけを考えるなら、少なくとも地上は安全だ。あのときのように突然筋肉がゴムのようになり、紫色のうっ血した身体になって、呼吸しているだけで2分以内に死に至るようなことはない。

 久しぶりに見る突き抜けるほどの青空。煙草が美味そうだ。つい外を歩いてみたい誘惑に駆られたが、無意味な危険を犯す必要はないと思いとどまる。そう、病原菌のことだけを考えるなら、地上はもう安全だ。だが、他の要素においては、この無法地帯が安全で・・・(バズン!)・・・あるわけがない!

 

 静寂を破り、突然聞こえてきたのは散弾銃の発射音だ。

 まだ出発したばかりだっていうのに、突然襲撃されてはたまったもんじゃない。俺は車を降り、リボルバーを構えつつ、銃声がした方を偵察しにいく。崩れかけた建物の壁に寄りかかり、ゆっくりと歩く。狭い路地に差し掛かったとき・・・声が降り注いできた。

 

???「ようし、それ以上動くなよ。もし動けば身体に風穴が開くぞ。どこから来たのか、話してもらおうか?」

 

 廃墟となった周りの建物のどこかから、散弾銃で俺は狙われているらしい。相手の姿は見えない・・・ちっ、しくじったな。町ん中でぬくぬく暮らしていた報いだ。勘が鈍っていた。

 だが待てよ、もし相手がならず者なら、この時点で俺は不意撃ちされて胴体が吹っ飛んでいるはずだ。そうされなかったと言うことは、奴は話の通じる相手じゃないか???

 そう考えて俺は、ゆっくりとリボルバーを地面に置き、両手を上にして大きく叫ぶ。

 

リッキー「ニュー・ホープの町からやってきたリッキー・スチュワート。見ての通り丸腰だ。あんたの生活の邪魔はしないよ・・・」

???「ニュー・ホープだって!俺が行こうとしている町じゃないか!!」

 

 廃墟の陰から散弾銃を構えて出てきたのは、厳しい目つきをした40歳くらいの男だ。笑顔を浮かべてはいるが、ぴったりと銃口を俺に向けている態度と、ところどころ焼け焦げた衣服が、今までの苦難を物語っている。

 彼の名はジョンソンという。食糧が豊かなニュー・ホープの噂を聞き、家族を連れてそこを目指していた。ところが一週間前、彼のステーション・ワゴンはカー・ギャングどもに襲われ、妻と息子は惨殺されてしまったのだ。何とか逃げて生きのびた彼は、ニュー・ホープまでの残りの行程をとぼとぼ歩いて、やっとここまでたどり着いた。さっきの銃声は、スーパー・マーケットで缶詰をあさっていたときに、襲い掛かってきた野犬を追い払うために1発ぶっ放したんだそうだ。

 まあ、このご時勢じゃよくある話だ。この世界で生き残っている者は、誰彼ともなくそんな苦労話は一つ二つ持っているもんだ。だがそれでも同情の対象であることに変わりはない。

 

リッキー「大変だったな。あんたの元の職業は?」

ジョンソン「建築技師だ。ニュー・ホープまではあとどれくらいだい?」

リッキー「あと15kmだ、がんばんな」

ジョンソン「俺は町に受け入れてもらえるかな?」

リッキー「問題ないさ。技術を持つ者は貴重だからな、どこの町でも」

ジョンソン「ああ、あんた・・・」

 

 なんだいきなり?ジョンソンは呆けたように口を開き、わなわな震えている。

 

ジョンソン「本当だ。本当にリッキー・スチュアートだったんだな・・・」

リッキー「ああ、そう言ってるだろ?」

ジョンソン「弾丸リコ。よく覚えているよ。息子があんたのファンでね。ラグナセカのサーキットまで連れて見に行ったよ」

リッキー「そりゃあ、どうも・・・」

 

 今さらあのときの俺を思い出されてもなあ。俺はバツが悪くなってうつむく。

 それから視線を戻すと・・・驚いたことに、ジョンソンはひざまづいていた。ポタ、ポタ、と大きな水滴が雑草の生えたアスファルトに落ちる。

 

ジョンソン「あんたのサインが入ったホンダの帽子を・・・大事に・・・」

リッキー「おい・・・おい・・・」

ジョンソン「うう・・・ううう・・・ううううう・・・」

 

 そのあとはあふれる嗚咽で、彼の言葉は声にならなかった。もう少しでニュー・ホープにたどり着く安堵感、愛する妻子を失った悲しみ、人食いバクテリアへの怒り、カー・ギャングどもに対する憎しみ。そして、俺を見た瞬間に思い出した、幸せだった頃の追憶・・・。

 そうした感情がごちゃ混ぜになって押し寄せ、彼の心の堤防は決壊したのだ。妻子を失ってい以来、生きることだけを突き詰めていた獣から、ここで急に人間の感情を取り戻したのだ。

 ただ、顔を抑えて、ジョンソンは静かに泣いている。泣き続けている。

 俺は立ったまま煙草をふかし、箱の残りを彼の足元に放り投げた。心が落ち着いたのか、路面の縁石に腰掛け、煙草を吸い始めるジョンソン。冴え渡った青空の下で、俺らは黙って煙草をすぱすぱ吹かし、とうとう箱を空にする。

 そういや最後の一箱だったな。これでサン・アングロまで俺は禁煙しなきゃならない。

 ・・・まあ、いいか。

 やがてどちらからともなく、幸運を祈り、俺らはお互いに別々の行くべき方向に戻ることにする。

 

ジョンソン「弾丸リコと話をした、なんてな。息子が聞いたら喜んだだろうな」

リッキー「よせやい。なんなら記念写真も撮ろうか?」

ジョンソン「は・・・はは・・・(急に真顔になり)・・・ここから8kmほど行った先に“ジョーのガソリンスタンド”という店がある。だがそこには寄りつかないほうがいい。ガソリンスタンドとは名ばかりで、立ち寄った者から持ち物をふんだくっている」

リッキー「・・・!!! 貴重な情報を助かるよ」

ジョンソン「俺の知っていることはそれくらいだ。グッド・ラック」

リッキー「ああ、あんたもな。グッド・ラック」

 

 俺はジョンソンに礼を述べ、ダッジ・インターセプターに戻る。イグニッションキーをひねると、再び頼もしいエンジン音が響く。そしてタイヤをきしませて発進した。

 

 一瞬の運命の交錯。その余韻を残しつつ・・・

 

 

 

『ジョーのガソリンスタンド』にて --Freeway Fighter--

 

【技術点10/10 体力点31/31 運点11/11】 【火力点10/10 装甲点31/31

 

 廃墟の中を引き続き運転していく。

 文明崩壊前、ニュー・ホープの町が人口40,000人を数えて華やかりし頃は、ここらへんも「街」だった。しかし今はもちろん、ご多聞の例に漏れずゴーストタウンと化している。道に無造作に転がっている車の残骸や倒木がいかにも無残だ。

 やがて前方に、南北に走るハイウェイが見えてきた。ハイウェイの交差点には・・・あれか・・・『ジョーのガソリンスタンド』という大看板がある。

 すでに俺は、元建築技師のジョンソンからあそこが罠だという情報は得ている。しかしサン・アングロまで到達するには、予備のガソリンがポリタンク1缶だと絶望的に足りない。

 仕掛けた罠を逆に踏み潰してやるか・・・。

 俺はこのガソリンスタンドへの進入路に入り、ダッジ・インターセプターを停車させた。

 するとまあ、Tシャツにジーンズという出で立ちをした、肉感系のブロンド女が、さわやかな色気を振りまきながら俺の車に近寄ってくるじゃないか。

 

ブロンドの女「ハイ♪何かご用かしら?」

リッキー「あー・・・」

ブロンドの女「何よ?あたしの顔に何か付いてる?」

リッキー「ちょっと意外だったんでね。こんなきれいな娘が、こんな汚い場所にいるとは・・・」

ブロンドの女「ふふ♪お上手ね」(ウィンク)

リッキー「給油できるかい。クレッドなら支払える」

ブロンドの女「オクタン価96でいい?給油口を開けたいからキーを貸してくれる?」

 

 ちょっと可愛い女とはいえ、このご時勢、他人に車のキーを預けるほど俺はバカじゃない。「いや、だったら俺が開けるよ」と、ドアを開けて降りたときだ。

 視界の隅、給油機の陰に人影があった。スキンヘッドの男だ。手にかなてこを持っている。

 ハハ、やっぱりな。情報どおりだ・・・。

 俺が気配を察すると、さっきまで媚を売っていた女の顔が豹変し、眉根が見る見るうちに険しくなった。「クソッタレ!どうしてもう少し待てないのよ!!」と相棒に毒づき、つばを吐く。なかなか見事な悪党ぶりだ。思わず苦笑してしまう。

 その薄笑いを見て、彼女の相棒は「ヘラヘラしてんじゃねえ!!」と、かなてこで給油機を思いっきり叩き、威嚇してきた。

 

ブロンドの女「・・・まあいいわ、さあ優男さん、車のカギと金をよこしな!」

スキンヘッドの男「痛い目に遭いたくなければ、下手な真似はしないことだ・・・」

リッキー「下手な真似ってのは・・・こういうことかい!?」

スキンヘッドの男「・・・うおっ!!」

 

 俺は隠し持っていたナイフで男に切りつける。ダテに酒場の用心棒をやっていたんじゃないぜ!

 まさか抵抗にあうとは思ってもみなかったのか、暴漢はあたふたと対応するしかない。女も俺の素早い応戦に不意を打たれ、立ちすくんでいる。

 さあ格闘戦だ。俺のナイフも、奴のかなてこも、1回の命中ごとに体力点-2のダメージを与える。ということは3回勝利した時点で体力点-6で、相手を気絶させられるわけだ。

 

【暴漢 技術点7 体力点10】 (格闘戦)

1R (暴漢/13)(リッキー/18) 暴漢/体力点-2

2R (暴漢/12)(リッキー/17) 暴漢/体力点-2

3R (暴漢/9)(リッキー/18) 暴漢/体力点-2 ←Knock Out!!

 

 スピードに馴れた俺の目にとっては、奴の動きは鈍すぎる!あっという間にナイフでめった刺しにしてやった。男は血をダクダクと流しつつ、地面にうずくまって倒れた。俺は止めに蹴りを入れて奴の意識をなくす。おそらく全治23ヶ月ってところだろうな。

 ブロロロロロ・・・キイイッ!!

 ここで車が急発進する音が聞こえた。ブロンドの女は相棒が敗れ去ったのを見るなり、慌てて自分の車に飛び乗り、タイヤの焦げる匂いを残してハイウェイに去っていってしまったのだ。どうする?後を追うか?

 

 いや、いいや・・・。色気より、ガソリンだ・・・。

 

 俺は肩をすくめると、無人となった『ジョーのガソリンスタンド』を家捜しする。

 だが、役に立ちそうな物は何もなかった。事務室も調べてみるが、いずれも埃が高く積もっている。あの2人はここで暮らしているんじゃなく、ときどき立ち寄っては「カモ」が飛び込んでくるのを待ち受けていたんだ。まったくジョンソンの忠告は正しかったわけだ。とんだ無駄足だったぜ!

 唯一使えそうなのは、修理場の地面に転がっていた太い鉄のチェーンだ。俺はこいつをダッジ・インターセプターに積むと、再び出発するべく車に乗り込む。

 エンジンが再びうなりを上げた。すると、地面に転がっていたスキンヘッドの男が「うう・・・」と呻いて身じろぐ。

 

 安心しな。

 轢き殺したりしないよ。

 まあでも、この建物の上で目を光らせているカラスがいるわけだから・・・

 すぐ身体を動かせるようにならないと、あんた、ヤバイぜ?

 

 俺はくくっと人の悪い笑みを浮かべると、アクセルを踏んでガソリンスタンドの廃墟から発車した。ニュー・ホープの勢力圏内を離れ、車をハイウェイに乗せる。

 いよいよここからは未知の荒野だ!

 

 

 

ニュー・ホープのトップが拉致された --Freeway Fighter--

 

【技術点10/10 体力点31/31 運点11/11】 【火力点10/10 装甲点31/31

 

 ハイウェイは広く、かなりのスピードを出すことができる。

 こんな時代になってただ一つ良くなったことといえば、交通違反や渋滞を気にする必要がなくなったことだ。よし、今のうちにサン・アングロまでの距離を稼いでおこう。俺は鼻歌交じりでアクセルを踏み込み、ダッジ・インターセプターを加速させた。

 170・・・180・・・190km/hまで揺れ上がる速度計。だがそんな快適なトラブルもおしまいだ。俺は速度を落とさざるを得なくなる。

 

 なぜなら、対向車線から分厚い装甲を着けた赤いシボレーが近づいてきたからだ。屋根の上には機銃座が取り付けてあり、一人の屈強そうな男が座っている。

 こいつは横向きになりハイウェイ上の進路を塞ぐと、ガガガガ・・・!機銃座からいきなり威嚇射撃をしてきた!!

 この赤いシボレーがハイウェイパトロールでないことは明らかだ。おそらく群れをはぐれたアウトローなのだろう。彼の縄張りの中に、俺のピカピカの新車がやってきたとしたら・・・そりゃあ襲われるわな。

 俺は急ハンドルを切ってジグザグ走行を開始する。さあ車輌戦だ。これから始まることに比べれば、スピード違反で捕まるのも悪くはなかったかもな。やれやれ・・・!!

 

【赤いシボレー 火力点8 装甲点15】 (車輌戦)

1R (赤いシボレー/13)(インターセプター/17) 赤いシボレー/装甲点-4

2R (赤いシボレー/16)(インターセプター/21) 赤いシボレー/装甲点-6

3R (赤いシボレー/13)(インターセプター/20) 赤いシボレー/装甲点-1

4R (赤いシボレー/18)(インターセプター/19) 赤いシボレー/装甲点-4 ←Destroy!!

 

 ダダダダダ・・・バズウウン!この車と俺の相性は最高だぜ!

 さすがニュー・ホープの技術力の粋を集めたダッジ・インターセプターだ。俺の剃刀のようなハンドル捌きにも、しっかりタイヤが反応してくれる。そして敵はこの旋回についてこれず、一方的に射撃を受け、あっという間に蜂の巣となった。そして2,3秒くすぶった後に・・・バアアアン!!赤いシボレーはガソリンが引火して大爆発を遂げる。

 ハイウェイ上に巻き上がる黒い煙。残骸をあさって役に立つアイテムも手に入れたいところだが、いかんせん炎が激しすぎて近寄れない。

 火炎が収まるのを待っている暇はない。とにかくサン・アングロへ急がなくては。俺はこの場を後にして、ハイウェイを先に進む。バックミラーにチラッと映ったのは、紅蓮の中に焼き焦げて消し炭のようになった機銃座の男。

 悪く思うなよ、ちょっと間違えば、俺がああなったのかもしれない・・・。

 

 そのとき、雑音混じりに無線機から連絡が入ってきた。コールサインを確認、ブルーシャンパン・・・間違いない。ニューホープからの連絡だ。俺はチューニングを合わせる。

 

評議会員「こちらブルーシャンパン。跳ね馬の様子はどうだ?」

リッキー「こちらホワイトカクテル。至って良好。すげぇ走りだ、感謝してる」

評議会員「それは何より。戦闘は?」

リッキー「シボレーを撃破、こっちは無傷、まだいける」

評議会員「OK、こっちは大騒ぎだったんだ・・・実はな・・・」

 

 無線で緊急連絡してきたのはニュー・ホープの評議会員の連中だった。声が切羽詰っている。

 彼らの話によれば、つい先ほど、バイクに乗ったカー・ギャングどもがニュー・ホープの町を攻撃してきたのだ。彼らはすぐに撃退されたが、戦闘で8人が死亡し、しかも評議会委員長のベンジャミン・シンクレアが拉致されてしまった。

 それは・・・まずいな・・・。

 俺は舌打ちする。シンクレア30歳くらいの青年実業家で、文明崩壊前はFBIに勤務していたとも噂される、とにかく頭が切れる男だ。

 評議会委員長(=つまりは町長)に就任してから、農作業プラントの復旧や治安の整備など、精力的に活動を行ってきた。サン・アングロとの取引をまとめたのも、彼だ。ニュー・ホープをここまで発展させた第一人者がいなくなるのは、町にとってあまりにも痛い損失だ・・・。

 

リッキー「さっきのシボレーかな?」

評議会員「いや、敵の装備は戦闘バイクだった。違うだろう」

リッキー「任務変更で彼を探せってか?それは・・・」

 

 難しい。予備のガソリンが1缶しかないのだ。

 

評議会員「わかっている。たぶん敵のアジトから発信されたであろう、彼の最後のメッセージを伝えておく・・・“燃料を無駄にせず、私にかまうな。一刻も早くサン・アングロに行け。ただし、君の任務がギャングどもに知られた可能性もある。警戒を密にせよ”・・・以上だ」

 

 なんとまあ現実に即した指示だ。彼らしい判断だな。

 

評議会員「とにかく知らせておく。ホワイトカクテル。捜索と救出はこっちに任せろ。」

リッキー「メッセージを確認。見つかるといいなブルーシャンパン。彼はこの町にとって必要・・・

 

 無線出力がフェードアウトする。

 おっとぉ!どうやらタンク内の燃料が底をついたらしい。ダッジ・インターセプターは高性能な反面、燃費が極端に悪いのだ。

 俺は車を停めて、予備のガソリンをタンクに移し変える。エネルギーが慢性的に不足しているニュー・ホープでは、ガソリン一滴が血の一滴に相当する。そんな中で、なけなしでかき集めた最後のガソリン1缶だ。

 俺は地図を広げる。ここまで稼いだ距離は・・・約250kmか。サン・アングロまではまだまだ遠い。つまりは、どこかで燃料を現地調達しなければならない。

 できなければ?俺は荒野で野垂れ死に。ここにある穀物の種子が届かないサン・アングロも、その見返りで石油が届かないニュー・ホープも、双方ともに滅亡だ・・・。

 暗い未来を想像しつつ、ため息をつきながら給油作業を終えると、俺は再びダッジ・インターセプターを発進させた。

 

 そしてハイウェイを数km進むと・・・S##t!! なんだこりゃあ!

 疫病発生時に大きな事故があったのだろうか。ハイウェイが無数の車によって埋められ、団子状態にふんづまってやがる。

 これでは先に進むことは不可能だ。残る選択肢としては、いちばん近くのインターチェンジに引き返し、ハイウェイを降りて一般道を進むしかない。俺はUターンして来た道を引き返す。ちっ、無駄な燃料を食った!

 

 インターチェンジからは道が東西に伸びている。うーん、道路標識はないのか。

 どっちも手がかりがないのなら、ひとまず東へ針路をとってみよう。

 なあに、道は必ずどこかにつながっているんだ。何とかなるだろうさ。

 

 

 

救急車のブービートラップ --Freeway Fighter--

 

【技術点10/10 体力点31/31 運点11/11】 【火力点10/10 装甲点31/31

 

 おや?

 ダッジ・インターセプターを走らせる俺は、ふと、道の右端に停められた一台の救急車を見つけた。誰も乗っておらず、まだ新車だ。ひょっとしたらあの中に治療薬が残されているかもしれない。そんな淡い期待を抱きながら、俺は車を降りてこの救急車に注意深く近づく。

 運転席は空っぽだった。だがボンネットは暖かいな。さっきまで走っていたのか?後部のドアはカギがかかっていない。よし、開けて・・・バズウウウウンン!!

 両開きのドアを開けた俺は、きらめく閃光と激しい爆音に呑み込まれる。

 やられた!ブービートラップだ!

 仕掛けてあった手榴弾の破片がドス!まともに腹に入った。くそっ、体力点に1d6・・・6点のダメージ!

 俺は激痛で立っていることができず、血まみれになって草むらに横たわる・・・。

 

 救急車の中には誰もいないが、おそらく、こんな間抜けな俺を捕まえに、罠を仕掛けた奴が爆音を聞きつけてやってくるだろう。だが、身体が思うように動かず、平衡感覚も狂ってる!よろよろとふらつく足では、とてもすぐにインターセプターには近づけそうにない。

 苦痛に呻いているそのうちに、この場に近づいてくる足音が聞こえてきた。くっ、こんなコンディションじゃとても・・・!

 俺はとりあえず救急車の下に転がり込んで隠れる。そして脇腹の痛みをこらえながら、リボルバーをぎゅっと握りしめるのだった。

 ぜえ・・・はあ・・・。呼吸が荒い。これじゃあ。絶対気づかれるだろうな・・・。

 

追いはぎ「おい、俺様が血の跡に気づかないと思うか?武器を捨てて、両手を上げて車の下から、出な!!」

 

 突然、声が聞こえてくる。

 この時代、男の言う通りにしたらどうなるか、わかりきっている。荒野で身ぐるみはがされて地獄行きだ。かといってこのまま隠れ続けることはできない。

 まだ戦えるかリッキー・スチュアート?負傷したのは左脇腹か。右足は?動く。左足、動く。右腕、異常なし。左手、若干火傷あり、だが神経はある。

 だったら・・・ゴーだ!!

 俺は救急車の下からぱっと転がり出て、声がした方向に当てずっぽうでリボルバーを乱射してみた。その付近にある大きな岩の陰がきらっと光った。銃光だ!覆面を被った一人の男がいるの確認する。奴も拳銃で俺に撃ち返してきたのだ。

 ハッ、あそこにいたのか。決して遠すぎる距離じゃないぜ。

 奴の弾丸を避けつつ、とっさに救急車で遮蔽をとりつつ、ガチャリ。俺はリボルバーの弾倉を入れ替える。黙って殺られるかよっ!!

 生死を賭けた一対一の射撃戦だ。しかし俺は怪我を負っているのでハンデがある。この戦闘だけ技術点-1で挑まなければならない。しかも、この戦闘で2回負傷したら、原技術点が-1されてしまうのだ!

 

【追いはぎ 技術点8 体力点12】 (射撃戦)

1R (追いはぎ/13)(リッキー/16) 追いはぎ/体力点-5

2R (追いはぎ/12)(リッキー/14) 追いはぎ/体力点-1

3R (追いはぎ/15)(リッキー/19) 追いはぎ/体力点-3

4R (追いはぎ/15)(リッキー/14) リッキー/体力点-3

5R (追いはぎ/15)(リッキー/18) 追いはぎ/体力点-4 ←Kill!!

 

 そこだ! ・・・チュインン!バスッ!! 「ぐあああああ!」

 荒野にならず者の悲鳴が響く。俺の弾丸は奴の心臓を貫通したのだ。よろよろと23歩動いた後、狡猾な追いはぎはドサッと地面に倒れた。

 ぜえ、はあ。このクソッタレが・・・。

 俺はわき腹を押さえながら追いはぎに近づき、死体のポケットを探った。中にあったのは150Crdと、格闘戦の際に拳にはめるブラスナックルだ。俺はそれらを自分のポケットに入れ、しばしその場にへたり込む。ち、ちょっと休憩だ・・・。

 

 雲ひとつない快晴の光の下、俺の傍らには追いはぎの死体がある。

 口から吐いた血で汚れた覆面をとってみた。そいつは俺と同じくらいの年恰好をしたアジア系の男だった。断末魔でもがき苦しんだ苦悶の形相をしている。こいつは文明崩壊前、このアメリカで、どんな人生を歩んできたんだろうな・・・。

 そんなことを考えながら、歩く元気が出てきたので、ゆっくりとダッジ・インターセプターまで戻り、まずは脇腹の治療をすることにした。

 幸運なことに、火傷は負ったが内臓は損傷していない。

 ブービートラップとその後に続く射撃戦で、体力点は-9されてしまった。くそ。射撃戦のダメージは1d6だから、けっこうデカイぞ。だが今回の戦闘で2回以上負傷しなかったので原技術点マイナスは避けられたのは御の字だ。

 治療薬を2つ消費して体力点に+8する。残りは8個か。もちろんあの、ブービートラップが仕掛けられていた救急車には、治療薬は置いてなかった・・・。

 まだまだ先は長いんだ。もっと注意深くならなければ、治療薬などあっという間になくなっちまう。

 

 俺はため息をついてから・・・気を取り直し、ダッジ・インターセプターのキーを回す。

 そして再び東に向かうのだった。

 

 

 

戦闘バイク集団に遭遇 --Freeway Fighter--

 

【技術点10/10 体力点30/31 運点11/11】 【火力点10/10 装甲点31/31

 

 思わぬ時間を食ったので先を急ぐことにする。

 一般道をきっちり100マイル/hで東に飛ばしていくと、道路標識がちらりと目に入った。まもなく南に分かれる道があるようだ。サン・アングロはここから南にあるわけだから、もちろん俺は右折して正しい方向に向かうことにする。

 すると川に差しかかった。架かっているのはいかにも危なっかしそうな木造橋だ。そして橋の脇には「私有地につき進入禁止」(Private Property KEEP OUT!!)という警告の標識がある。

 警告を無視するか?それとも引き返すか?

 引き返すのはガソリンの無駄になってしまうが、あの橋は全くもって怖い。俺のドライバーとしての直感がそう告げる。ダッジ・インターセプターは装甲を施した車ゆえ、自重がかなりあるのだ。さらにはこの先は私有地と言うことで、その主人はとても来訪者を快く受け入れるタイプとは思えない。標識に掲げられたドクロマークがそれを如実に物語っている。

 しょうがない、引き返すか・・・俺は舌打ちしながらUターンし、さっきの三叉路まで戻って右折する。さっきと同じ東に向かうことになったわけだ。

 

 道幅はかなり広く、邪魔な障害物もない。さっきのタイムロスを挽回すべくダッジ・インターセプターを駆り立てる俺。ふふふ、昔を思い出すな。もっともレーサーだったあの時は、テール・トゥ・ノーズで後続のライバル車たちを引き連れていたもんだが。

 だが、そんな快適なドライブも長くは続かない。

 道の真ん中にひっくり返った車とトラックが転がっていたからだ。まるでこの場に障害物として“意図的に配置された”感じも・・・なくはない。どうする?

 

 (1)障害物をロケットランチャーで破壊するか?

 (2)障害物を迂回して進んで行くか?

 (3)引き返して別の道を探すか?

 

 もうガソリンを無駄にはできない。よって(3)は論外。吹っ飛ばすか、迂回するか・・・。

 もしこれがカー・ギャングどもの仕業ならば、俺だったら・・・うん、道を外れた迂回地点にも地雷とかを仕掛けておく。絶対そうする。だったら一気にぶっ壊して先に行こう!

 俺は(1)を選択し、ハンドルの横に付いた赤いボタンを押した。シュバッ!軽い振動とともに、天井に備え付けられたロケットランチャーが発射される・・・ドガアアアン!!そして大爆発が起こった!

 もうもうと沸き起こる爆炎が収まると、障害物の陰も形もない。効果的だったが、これでロケットランチャーは残り3発になってしまった。

 おっと?残骸の陰から2人乗りの戦闘バイク1台現れ、東に向かって一目散に逃走していくぞ?バイクに乗った男たちは革の防弾服を着込み、後部席の男は俺の車に向かってピストルで威嚇射撃してくる。

 どうやらここに罠をしかけたカーギャングだったか。それとも、もっと大きな一味の斥候だったのかな?無視して放っておいてもいいんだが・・・いや、俺のアドレナリンが沸々と滾る。売られたケンカは買ってやろう!

 

 俺はアクセルを吹き上げて奴らを追跡する。所詮は2輪車、しかも2人乗りだから積載量オーバーだ。チューンナップしたダッジ・インターセプターを振り切れるはずもない。追いつかれる寸前、観念した戦闘バイクは方向転換して、俺の方に相対してきた。ライトの上に取り付けられた12.7mm機関銃が火を噴く。バカめ!そんな貧弱な武装でっ!!

 

【戦闘バイク 火力点6 装甲点9】 (車輌戦)

1R (戦闘バイク/18)(インターセプター/19) 戦闘バイク/装甲点-1

2R (戦闘バイク/17)(インターセプター/17) Draw

3R (戦闘バイク/11)(インターセプター/13) 戦闘バイク/装甲点-5

4R (戦闘バイク/14)(インターセプター/19) 戦闘バイク/装甲点-3 ←Destroy!!

 

 敵の細かい機動にひやひやしたが、結局は火力の差だ。ダッジ・インターセプター搭載の20mmマウザー機関砲は敵に命中弾を叩き込み、戦闘バイクは爆発、炎上した。そこから投げ出されるカーギャング2人。何か情報が手に入るかもしれん。俺は車を降りて奴らのもとに駆け寄った。

 操縦者は首の骨があり得ない方向に曲がっていて即死だが、後部座席から撃ってきたガッツのある男は微かながら息がある。奴はかすれた声で俺に捨て台詞を吐く。

 

後部座席の男「おぼえときな。“でぶっちょジャックと息子たち”は、仲間を殺した者を・・・容赦しな・・・い・・・ぜ・・・」

 

 そこまで言ったら命の炎が尽きたらしい。がっくりと動かなくなる。

 俺はさっきのニュー・ホープとの交信内容を思い出す。先ほど俺たちの町を襲ったカーギャングどもも、主武装は戦闘バイクの集団じゃなかったか?

 そんなことを考えつつ、奴らの死体とバイクの残骸を探る。男どもは特に何も携帯していなかったが、戦闘バイクの側面に荷物ケースがある。俺はリボルバーを発射して留め金をぶち壊し、手っ取り早く蓋を取り去ってみた。

 ヒョウ♪(口笛) 中に保管されていたのは手錠地図、それに200crdだ。

 俺は手錠とクレッドをポケットに入れ、地図を調べてみる。ニュー・ホープに赤い丸印がつけられていた。やっぱりな!ふざけた名前の「でぶっちょジャックと息子たち」(Fat Guy Jack & his Son)・・・こいつらはニュー・ホープを襲った一味だ!!

 さらに地図を見ると現在地点から南東にロックビルという町があり、そこにも赤丸がつけられていた。どうやらここが戦闘バイク集団の根拠地らしい。

 しかしまあ、次から次へと、ならず者が出て来るなあ・・・

 そう愚痴をこぼしながらダッジ・インターセプターに戻って点検を行った俺は、ふと気づく。

 うーん、足回りがこれじゃあスピードは出ない。ありがたいことに車軸は無事だが、ここまでの戦闘でタイヤがボロボロになっちまってるな。急いでスペアタイヤを取り付けることにしよう。

 ・・・よし!装着完了!!(スペアタイヤの残りはあと1つ)

 そうしてから俺は再び東に向かう。

 

 やがて東西に走る道路と、南へのあぜ道がつながる三叉路に着いた。道路標識によると、南の道の先にはこう書いてある・・・Rockbill(ロックビル)・・・

 その町は戦闘バイク集団の根拠地のはずだ。とすると、拉致された評議会委員長のシンクレアも、ここに?空振りの可能性もある。だがどうせサン・アングロも南にあるんだ。

 行きがけの駄賃で叩き潰してやるか!!

 インディ時代の俺の弱点は血の気が多いことだった。だけど今は、そのことを諌めて手綱をかけるスポンサーもいないのさ。だから俺はアクセルを踏み、待ち構えている「でぶっちょジャックと息子たち」の縄張りに・・・突っ込んで行く!!

 

 

 

政治家シンクレアを俺なりのやり方で救出 --Freeway Fighter--

 

【技術点10/10 体力点30/31 運点11/11】 【火力点10/10 装甲点31/31

 

 あぜ道はでこぼこで乾燥していた。ちっ、こんなに後輪から砂埃が立ったら、1マイル先からでも標的になるな。

 だが、ロックビルに行く気はこれっぽっちも失せない。これから始まるであろう戦いを前にして、俺の全身は心地よいほどゾクゾクしている。命ぎりぎりの綱渡りの快感。俺は悪魔に誘惑されているんだ、そうに違いない・・・

 そう思いながらロックビルに近づいて行くと、はるか向こうで何かがピカリと光った。

 俺は直感する。バズーカ!!

 ダッジ・インターセプターに急制動をかける。ここで運試しは吉・・・ズゴォッ!!対戦車砲弾は幸いにも命中せず、左の地面に着弾した。フロントボディに土砂がどさあっと降りかかる。

 ナメた真似をしやがって!俺は怒りに任せてアクセルを踏み込み、バズーカが発射された地点に向かって突進した。岩陰から2人の男が姿を現し、オフロードバイクに乗って逃げて行く。あいつらも「でぶっちょジャックと息子たち」だな、追いついて泥を吐かせてやる!

 

 だが、さっきの舗装路と違い、凸凹の激しいオフロードでは分が悪い。俺の車は少しずつ引き離されていく。やがて前方に家並みが見えてきた。

 あれが戦闘バイク集団の拠点、ロックビルの町に違いない。オフロードバイクは家と家の間に入り込み、見えなくなってしまった・・・。

 俺は車を徐行させ、様々なミラーで注意深く周囲を警戒しつつ、市街路に進入する。

 パン!パン!パン!いちばん近くの農家からだろうか、さっそくダッジ・インターセプターに向かって銃を撃ってくる命知らずな悪党がいやがる。うっとおしいな・・・。

 俺はダッジ・インターセプターを加速させる。そしてS字型に蛇行して敵の射撃をかわしながら、その農家に搭載機関砲で反撃する。

 ガガガガガガ・・・!ここで技術点チェックは成功。敵の弾を見事に回避し、俺は農家の1階に20mm機関砲をぶち込んだ。バン!ボン!バン!あっという間に農家の壁は穴だらけになった。様々な物が爆裂し、家の中は滅茶苦茶になったようだ。あれじゃあ中の人間も・・・いや待て、最上階の窓!ロケット砲の発射光!!

 

 ピカッ!・・・シュガァァァァァァァ・・・ドガアアアン!

 クソッタレ、なかなかガッツのある奴らじゃねえか!

 

 農家の2階から撃ち下ろしてきたのは、またもやバズーカの砲弾だ。俺は急いでハンドルを左に切る。運試しは・・・吉。砲弾は20mほど外れて着弾し、車体は大きな衝撃を受けたが、とりあえず無傷だ。ふう!

 だが右前輪が砲弾の破片を受けてまたパンクだ。これから先、ダッジ・インターセプターの位置を移動させることはできない。そして敵のバズーカ部隊は、俺の車に止めを刺すべく2射目を準備している。これじゃあ埒が明かない。何となくナンバー・テン(最悪)な状況じゃないか?

 また1発無駄になるが・・・しょうがない。手っ取り早くケリをつけてやろう。

 くたばれっ!!

 俺は再びハンドルの横に付いた赤いボタンを押した。農家に向けて本日2発目のロケットランチャーを発射したのだ。こんな動かない目標に命中させるのは赤ん坊にだってできる。ロケットは見事に農家を直撃し・・・大音響とともに・・・

 

 戦闘バイク集団「でぶっちょジャックと息子たち」のアジトを根こそぎ吹っ飛ばす!!

 

 レンガや木の破片、それにオートバイの残骸、さらには人間の手足や臓物を天空高く撒き散らしながら、敵の根拠地は跡形もなく消し飛んだ。

 俺は急いで外に降り、パンク修理剤で右前輪タイヤを補修する。そしてまた車内に戻った。機関砲のボタンに指をかけながら、ゆっくりと・・・くすぶっている農家の跡地横に停車した。

 車のエンジンを切ってウィンドウを下げる。グジュグジュにひん曲がった農家の梁が墓標のように突っ立ち、そこにカー・ギャングどもの死体がモズのはやにえのように突き刺さっている。白燐弾ってのは凄いもんだな。どうやら生存者はないようだ・・・。

 いや待て、微かに何か、声が聞こえるぞ???

 

???「・・・おーい・・・おーい・・・」

 

 農家には地下室があったのだ。鉄の両扉で頑丈に密閉されていたから、地上構造物が吹き飛んだとしても、この中にいた奴は無事だったらしい。

 俺はリボルバーを構えつつ、そこに近寄った。ガチャアン!扉のロックを外して、両扉を開ける。地下室に幽閉されていた者が陽光の下にさらされて姿を見せた・・・黒い長髪を後ろで束ねた、30歳くらいのハンサムな青年だ。にっこり笑うと白い歯がキラーんと光るのが印象的な、いかにも人好きのする顔立ち・・・なんだ、あんたか!?

 ニュー・ホープ評議会委員長、ベンジャミン・シンクレアだ!!

 

シンクレア「ふうう、久しぶりの太陽だ。弾丸リコ、まったく君ならではの荒っぽい救出だな!!」

リッキー「運がよかったなシンクレア。地下室にいなかったら今頃・・・(梁に突き刺さった死体を親指で示す)・・・ああなってたぜ。アハハ!」

シンクレア「ハハハ!首領のジャックに感謝しなきゃいかん」

リッキー「太っちょジャックが要求した、あんたの身代金はいくらだったんだ?」

シンクレア「聞いて驚くなよ、30万クレッドだってさ」

リッキー「それだけ?」

シンクレア「そう、たったそれだけだ。政治家の命の値段なんて、そんなもんさ♪」

2「あっははははは!!!」

 

 俺とシンクレアは、お互いハイタッチを交わしつつ、戦闘を生き残った男だけが味わえる爽快な哄笑を高らかに響かせる。ニュー・ホープの最重要人物である彼を救出できたことにより、この俺は運点+1だ。

 ドライブもここでハッピーエンドになればいいのだが、残念ながらそうはいかない。お互いにまだまだやるべきことはたくさんあるのだ。

 シンクレアはダッジ・インターセプターの無線機でニュー・ホープと連絡をとり(「弾丸リコに追加報酬を忘れないでくれ!」とまで言ってくれた)、カー・ギャングどもが保有していた無傷のハーレー・ダビッドソンを見つけ、それに跨って自分の町に戻ることになった。

 

リッキー「・・・おいおい、大丈夫かい?」

シンクレア「私を見くびるなよ。文明崩壊後の政治家は、何だってできるのだ!」

 

 ブゥン、ブゥン、ブロロロロロロ・・・♪

 軽快な音を響かせながら、シンクレアは見事なライダーテクニックを披露する。そして俺に礼を述べると、物凄いスピードで北に向かって走り去っていった。あの腕前なら、もう敵に捕まる心配はなさそうだ。

 かっ飛び政治家さんか。ほほう、こりゃあ大したもんだ。あはははは!!

 あーあ、行っちまった。さて、俺もサン・アングロへの旅を再開するとしようか。

 だがその前に、ちょっとロックビルの町中を偵察してみよう。ひょっとしたら役に立つ物が転がっているかもしれないぞ・・・。

 

 

 

カントリー・ロードと呪われたドライブイン --Freeway Fighter--

 

【技術点10/10 体力点30/31 運点10/11】 【火力点10/10 装甲点31/31

 

 俺はロックビルの町を少しあさり回ることにする。

 吹き飛ばした農家の近くに、割と金持ちが住んでいたと思われる邸宅があった。もちろん家主は人食いバクテリアで死んでしまい、今は無人だ。

 きいっ。俺はそこの玄関を開けてみた。正面には2つのドアが左右に並んでいたので、まずは左のドアを開けてみる。

 んんっ?部屋にはつい先ほどまで誰かがいた形跡がある。テーブルの上に飲みさしのコーヒーが置かれているのだ。そうか、ここも戦闘バイク集団「でぶっちょジャックと息子たち」の居住スペースだったんだな。パンクの修理でもしていたんだろう。バイクの前輪とタイヤのチューブが放り出されている。床には工具箱もあって、整備に使えそうなペンチを手に入れた。俺はほくほくしながらそれをポケットに突っ込み、今度は右のドアを開けることにした。

 バィィィン!痛あっ!!こっち側の部屋で出迎えてくれたのは、正面に仕掛けられたボウガンの罠だ。鋭い矢が俺の方に突き刺さり、1d6・・・1点の体力点ダメージを受ける。

 ふう、かすり傷で助かった。俺は冷や汗を流しつつこの部屋を捜索するが、埃だらけの部屋にはガラクタしかない。ちっ無駄足だったか。この落胆感のおかげで運点-1だ。

 

 俺はこの邸宅を後にして、ロックビルの町中で次に気になった地点である、雑貨屋の廃墟に向かう。こっちはまだカー・ギャングどもに荒らされてなかったらしく、いろいろな物が転がっている・・・ほうらあった。

 ポークスパムの缶詰だ!俺は嬉々として缶を開け、およそ数ヶ月ぶりの肉食を味わう。美味い!文明崩壊前は何でもない食物だったのに、今はなんでこんなに美味いんだろう!!ここで俺は体力点+2だ。

 それからさらに、缶詰とは比べ物にならないくらい貴重な品物もある。なんと、ポリタンクに入ったガソリンもあるじゃないか!俺は急いでそれをダッジ・インターセプターの中に運び込む。これで予備の燃料は何とかなった。

 よし、もう十分だ。この町を出発しよう!

 

 俺はロックビルを離れ、でこぼこ道を南に向かってひた走る。すると目の前に、東西に走る舗装路に突き当たった。東西どっちを見ても車や人影は見えないので、今度は西に進んでみようか・・・。

 おおっと、すると今度は、南北に走る道に突き当る。この場合の選択肢は1つしかない。すなわちサン・アングロのある方角だ。俺は左折して南に進むことになる。

 

 俺は荒れ果てた小麦畑を突っ切って行く。

 昔は黄金色の豊穣を誇っていたマザー・カントリーだったのだろう。しかし今は雑草だらけの荒れ野原だ。赤錆に覆われたコンバイントラクターのスクラップを見つけ、なんとも言えない寂寥を覚える。

 

 Country roads, take me home,

  To the place I belong

  West Virginia, mountain momma,

  Take me home, country roads...

 

 キンコン!キンコン!

 昔のカントリーミュージックを口ずさんでドライビングしていた俺は、コクピットの警告音で現実に引き戻された。ここで燃料切れだ。暢気に歌ってる場合じゃなかったな。俺は照れ笑いしつつ車を降り、さっきの雑貨屋で手に入れていたガソリンを注ぎ込む。

 しかしまあ、大飯ぐらいの車だぜ。地図で残り距離を算出すると・・・こりゃあサン・アングロまでにもう1回くらい給油が必要になるな。手持ちの金が550Crdか。それなりに小金持ちって額だが、はたして文明崩壊前のように、気前よく売ってくれる場所があるかどうか・・・。

 

 そんなことを考えていたら、じきに夕方となってしまった。

 

 グレート・プレーリーに沈む夕陽は壮大な赤さで俺の視界を染める。今日はそれなりにいろんなことがあって大変な一日だったな。さて、これからどうしよう?

 交代ドライバーがいない以上、徹夜運行は危険だ。明日も戦いの日常だろうから、俺はここで休息をとらなければ。やっぱり車の中で眠った方が安全なのか・・・だがそれも「ここでカモが寝ているぞ、襲ってくれ」と言わんばかりだし、やっぱり身体を伸ばしてリラックスできる方がいいんだ・・・おっ!

 俺は古ぼけたドライブインを見つけた。

 駐車場にはスクラップの車が何台か停められている。おそらく大崩壊前からここにあるんだろう。この中にダッジ・インターセプターを紛らせておけば、盗まれて持ってかれる心配も少ないかな。もちろんキーロックは厳重にかけておくぜ。

 このドライブインの中に誰もいないのを確認してから、裏口から2階にあがる。粉々になった皿やカップが床に散乱し、備品も壊れまくってめぼしい物は何もないが、おあつらえ向きのベッドがあった!

 もう外は真っ暗だ。ロックビルから持ってきたポークスパムの缶詰の残りを平らげ、俺は夕食を手っ取り早く済ますと、ごろんと横になった。リボルバーを枕の下にしのばせ、睡魔に自分の身を任せる・・・zzzzz・・・

 

 (ここで1d6を振れだと?結果は5だった。そうなると・・・)

 

 明くる日、かんかん照りの朝の光で目が覚めた。

 頭はスッキリ気分は爽快。体力点+3だが、体力点はもう原点なのでこれ以上は増えない。俺は階段を降り、裏口から外に出ようとして・・・目に入った光景に慄然とした。

 

 うす汚れた白衣をまとった1人の男が、俺の車にガソリンをぶちまけている!!!

 

 なんだって、ちょっと待てえっ!!

 

 

 

狂える者たちの荒野 --Freeway Fighter--

 

【技術点10/10 体力点31/31 運点9/11】 【火力点10/10 装甲点31/31

 

狂人「空気を汚す鉄の馬に、神はお怒りじゃーーー!」

リッキー「ば・・・か・・・やろうっ!!」

 

 奴はブツブツと何かつぶやきながらマッチを取り出し、火をつけた!そして奴の目の前には、ガソリンまみれのダッジ・インターセプターがある。

 もはや考える時間も、制止の叫びを上げる暇もない。俺はこの男に突進する。

 男は完全に狂っていて「退廃的な過去の産物に裁きを!神の手により清浄なる大地に戻すのじゃ!」などたわごとをほざいている。

 そして火のついたマッチを・・・ダッジ・インターセプターの方に放り投げ・・・ここで技術点チェック!成功!!

 俺はスローイングの直前に飛びかかり、男を地面に引きずり倒した。そして狂人の手からマッチをもぎ取る!すんでのところでダッジ・インターセプターは助かった!!

 「神の裁きを!神の裁きをおおお!」狂人は涎を垂らしながらわめき続ける。そして俺が腕の力を一瞬緩めた隙に束縛から逃れ、脱兎のごとく逃走してしまった。

 どうする?奴を追うか???

 いや、無視しよう。情けないことだが、俺は安堵のあまりへなへなと腰が崩れ、そこから動けないでいたのだ。ふうう、危ないところだった。もう少しで何もかも失うところだった・・・。

 この幸運に運点+1だ。自然回帰派の狂信者か・・・噂には聞いていたが・・・。悪意のない分、ある意味カー・ギャングどもよりタチの悪い相手だ。気をつけないとな。

 俺はダッジ・インターセプターにかけられたガソリンが十分に揮発するのを待ってから、呪われたドライブインを後にする。

 この戦慄のおかげで目はバッチリと覚めた。さあ、今日もサバイバルだぜ!

 

 朝の陽光で照らされるミズーリの荒野は、宗教絵画のように荘厳な風景だ。

 その中を俺はダッジ・インターセプターを駆り立てて南に進む。ここ数年は狭苦しいニュー・ホープの居酒屋が俺の世界だった。だから今、こうして伸び伸びと外を走るのは、本当に気持ちがいい。心が洗われるようだ!

 そんな感じで有頂天になってドライブしていた俺は、迫り来る危険に全く気づかない。

 そう、いつの間にか俺は地雷原に入り込んでいた。

 

 (1d6を振り、出目は1だった。すると・・・)

 

 ゴガアアッ!!

 突如として激しい振動が俺を襲う。このときやっと俺は地雷を踏んだ!と理解した。だが後の祭りだ。ダッジ・インターセプターは大きくバウンドし、道路の外に弾き飛ばされる。俺はハンドルを抑え、横転しないようにステアリングするのが精一杯だ。

 ここで2d6・・・9点も装甲点が吹き飛んだっ!!

 まだエンジンは動くか?早いとこ、ならず者がやってくる前に体勢を立て直して・・・ブルルル・・・バスッ、バスッ・・・だめだ。運試しは凶。いくらイグニションしても、アクセルを踏んでも、エンジンはかからない!

 俺は車を降りてボンネットを開けてみる。燃料パイプがキャブレターから外れていたんだ。俺は間に合わせの補修作業を行い、車に戻ろうとする。そのとき・・・

 

 ざりっ

 

 足音を背後に聞いた。気配を感じた俺はぱっと振り返る。

 そこにいたのは、おいおい、ちょっと待てよ・・・。ブーツにテンガロンハット、口に葉巻をくわえた時代遅れのカウボーイスタイルの男だ。そいつは大口径の拳銃--おそらくマグナム--を俺にぴったり向けて、苦みばしった声でこう告げるのだった。

 

カウボーイ「抜きな!」

 

 ああそうか、こいつも狂人だ。

 西部劇に魅せられたマニアの男。地雷を仕掛けて俺のようなカモを止まらせ、拳銃捌きを見せつけるのを無上の楽しみとしているんだ。だけどスピードに魅せられて、この大西部を車でひた走る俺だって、十分狂人の部類じゃないか?命をカット&ペーストしている点において、奴とどこが違う?

 そう、この世界で生き残った奴は、みんな狂っているんだ。

 フ・・・フフフ・・・。俺が浮かべたそんな皮肉な笑みを、決闘了承の合図と受け取ったのだろう。カウボーイのマグナムがいきなり火を噴いた!荒野の射撃戦が開始される。

 残念ながら西部劇をあまり知らない俺は、リボルバーの早抜きに手間取ってしまう。そのため最初の戦闘ラウンドは技術点-2だ。そしてこの戦闘で2回以上怪我を負うと、原技術点が-1されちまう!!

 

【無法者 技術点9 体力点12】 (射撃戦)

1R (無法者/14)(リッキー/15) 無法者/体力点-4

2R (無法者/17)(リッキー/17) Draw

3R (無法者/17)(リッキー/18) 無法者/体力点-2

4R (無法者/18)(リッキー/12) リッキー/体力点-3

5R (無法者/16)(リッキー/17) 無法者/体力点-1

6R (無法者/12)(リッキー/17) 無法者/体力点-5 ←Kill!!

 

 狂える者同士の決闘は、紙一重で俺の勝ちだった。俺のファイナルショットを眉間にくらい、カウボーイは地面にドサッと倒れる。「まさか俺が負けるとは!」そんな驚きの表情を浮かべながら、奴はせっかく生き延びた命を無駄に浪費して、あの世に行った・・・。

 ひゅううううう・・・カサカサカサ・・・

 荒野に吹く埃まみれの風と、コロコロ転がるタングルウィード。彼にとってみれば望みどおりの終焉の地かもしれないが・・・俺にとっては奴の道楽につき合わされ・・・あまりに痛い損害を負った!

 今回の地雷でダッジ・インターセプターのシャーシに大穴が開いちまった。とりあえず応急補修をしたので走行に支障はないが、いずれ大掛かりなメンテナンスが必要になるな。それに俺も怪我を負ったし・・・いてててて・・・

 あ、ちょっと待て、せっかくだから奴の使っていたマグナムを持っていってやれ。こいつの銃は俺のリボルバーよりもはるかに強力だから、これから俺は射撃戦の際に技術点+1のボーナスがつく。

 それがわずかばかりの慰めだ。さあ、南への旅を再開しよう。

 

 

 

ブリッツ・レース(1) --Freeway Fighter--

 

【技術点10/10 体力点28/31 運点9/11】 【火力点10/10 装甲点22/31

 

 太陽がギラギラと照りつける。今日も暑い1日になりそうだ。

 数km南下したところで三叉路に出た。南北の道から東への道が突き出ている。道草を食っている暇はないな。俺はそのまま南に向かう。

 はるか南に広大な砂漠地帯が見えてきた。もうそろそろ緑の草を眺めるのも終わりかな・・・

 そう考えながら真っ直ぐ南に向かっていると、西に向かう砂利道が分かれている三叉路に着いた。砂利道にはタイヤの跡がついている。それもけっこう最近のものだ。このまま南に向かってもいいんだけど、砂漠地帯に入ってからのガソリンが不安だ。

 おそらく西はカーギャングどもの巣窟だろうが、上手くいけば・・・。淡い期待を抱きつつ、俺は賭けに乗ることにした。西にダッジ・インターセプターを向ける。

 

 目の前に現れたのは木のゲートだった。有刺鉄線が巻かれており、1人の上半身裸の刺青男が座っている。奴は手にしたアサルトライフルで油断なく俺の車を狙いながら、しわがれ声でこう言ってきた。

 

刺青男「見たことのない顔だな。どこのグループの者だ?」

リッキー「ブラック・ラッツさ」

 

 俺はとっさに嘘をつく。大丈夫だとは思うが・・・?

 

刺青男「聞かねえ名だな」

リッキー「新興組織だからな。リーダーの名は・・・」

刺青男「もういい、もういい!俺たちは誰の挑戦でも受けてたつぜ。真っ直ぐ行けば家の焼け跡のところにみんな集まっているはずだ」

リッキー「いや、別に殴りこみにきたわけじゃなくて」

刺青男「わかってるって。5分もすれば今日の最初のレースが始まるよ。今日の賞品は豪華だぜ、せいぜい楽しみな」

 

 にやりと笑いを浮かべると、男は下っ端に命じてゲートを開ける。俺はダッジ・インターセプターをゆっくり進ませていった。レース・・・賞金・・・???

 家の焼け跡に近づくと、そこには俺のと同じような戦闘改造車が4台並んでいた。周りでくっちゃべっていた数人の男がダッジ・インターセプターに視線を集中する。

 ああ、そういうことか・・・。

 俺は車を停めて男どもに近づいた。つまりここでは、カーギャングどもによる腕比べのレースが開催されているってわけだ。顔に傷跡がある小柄な男が愛想笑いをしながら近寄ってきた。

 

小男「新顔かい?ブリッツ・レースは初めてなんだな?」

リッキー「ああ。あんたの名は?」

小男「カーマ・セウマーだ。俺のフォードは速いぜ。覚えとくんだな」

リッキー「ああ、そりゃどうも(気のない握手)・・・ところでレギュレーションは?」

カーマ「なに、簡単なことさ。俺たちのうち誰かを選んで、11で競走する。挑戦料はたった200Crd。そしてもし勝てば、ポリタンクいっぱいのガソリンが手に入る!」

 

 それを聞いた瞬間、俺は背中がゾクゾクする。とりあえず今回は見学だけにしておくか?

 まさか!俺はレーサーなんだぜ!!

 だから200クレッドを奴の足元に投げつける。そして「乗った!相手はあんたにしよう!」と大見得を切るのだ。そう、病気なんだ。俺は病気なのさ・・・だから少々道草を食うのは許してくれ、ニュー・ホープの諸君!!

 さて、周りの荒くれ者から感嘆の口笛があがる。200Crdを拾い集めたカーマは、自分の車の黄色いフォードに乗り込み、車体を俺の横につけた。

 

カーマ「この俺様、“ブロンコ・セウマー”に挑戦するとは、おめでたい野郎だぜ!」

リッキー「ブロンコ?かませ馬の間違いじゃねえのか?」(また周りからヒュー!と奇声があがる)

カーマ「さあ、車に乗りな。この道を真っ直ぐ行くと、8kmほどで白い家に着く。そこが折り返し点だ。ゴールはここさ。言っておくが、ブリッツ・レースではどんなことをしてもかまわないんだぜ」

リッキー「やっちまってもいいんだな?」(にらむ)

カーマ(ちょっとびびる)「あ、ああ。だが、銃とロケットランチャーは使うなよ」

 

 周りの男がダッジ・インターセプターの機関砲とロケットランチャーの発射口に、手際よく赤い封印テープを貼り付けていった。

 不満そうな顔の演技をしながら、その陰で俺は内心ほくそ笑んでいた。へへっ。車輌戦闘を考えなくていい純粋のドライビングなら、まさに文明崩壊前の俺の仕事場じゃねえか。

 俺のダッジ・インターセプターと、カーマ・セウマーの黄色いフォードは、ともに地面に白ペンキで描かれた「START」のラインに並ぶ。

 周りの野次馬どもは絶好調だ。酒や女、その他欲望に忠実な物をそれぞれ手にして、このレースを観戦するために集まってきた。賭けの屋台もある。どっちかというと俺が不利な賭け率みたいだが・・・どこを見てるんだお前ら。

 こんなイカレタ三流冒険者の名前のようなレース、俺が勝つに決まってるさ。インディ・パイロットをなめるなよ!

 

 ブォン、ブォン、ブルルルルルルル・・・

 お互いが威嚇してアイドリング音を上げていく。それはまるで角突き合わせてケンカをする牡牛どもの咆哮にも似ているが、レースに集中する俺の耳には何も聞こえてこない。そう、この集中力だ・・・。ブルーシグナル直前の、この視界・・・。久しぶりに味わったぜ。

 今、この瞬間、俺は生きている!!

 やがて一人の若い女性が2台の車の真ん中、やや前に立った。うれしいことに、身体を覆う布より、素肌の面積の方が広い、セクシーなフォキシー・ガールだ。彼女は白いタオルを手にしている。そして俺らにバッチリとウィンクしてから・・・タオルをさっと上に放り投げた!

 

 それがスタートの合図だ。

 

 俺とカーマはシャーシをぶち破らんばかりにアクセルを踏み込む。後輪が空転して砂埃を上げるが、やがてクラッチがつながれて猛スピードで急発進した。

 ここで技術点チェックは・・・成功!

 俺の反射神経に勝てるドライバーは、この世界のどこにもいやしない。それと同じく、ダッジ・インターセプターの加速性能に勝てる車も、この世界のどこにも存在しない。

 だから先に立ったのは俺の方だ。フォードの前を抑え、ぐんぐん引き離しにかか・・・いや、おかしい、引き離せないぞ?いや、むしろ、バックミラーに映るフォードがどんどん大きくなってくる。

 なぜだ?・・・俺は瞬時に理解した。カーマの操る黄色いフォードの側面に排気筒が飛び出ている。スーパーターボチャージャーか!! 

 フォードはまったくスピードを緩めず、後ろから突き当たってきやがる。なるほど、それはありなわけね・・・ガコォン!俺は飛び上がるような衝撃を加えられ、車体が左に大きく流れる。だが運試しは吉。俺は必死にカウンターステアをあてて、コースアウトを免れた。

 だがカーマは、後ろから執拗に何回もラミングを仕掛けてくる。ガコッ!ガコッ!くっそ、しつこいオカマ野郎だ。女に嫌われるぞ!!

 ・・・なんて冗談飛ばしてる場合じゃない。衝撃を受けるたびに俺の運転技術でしのいでいるが、このままじゃいずれコースアウトになっちまう。

 

 (1)加速してフォードを振り切る

 (2)ブレーキを踏んでフォードに先行を譲る

 

 そりゃあ、お前、俺は・・・“弾丸リコ”さっ!!

 (1)に決まってるだろ。俺はアクセルを踏み続け、速度計の針が振り切れるまで、ダッジ・インターセプターを吹っ飛ばす!!

 

 

 

ブリッツ・レース(2) --Freeway Fighter--

 

【技術点10/10 体力点28/31 運点8/11】 【火力点10/10 装甲点22/31

 

 トルクの悲鳴を聞きながら、俺はさらにアクセルを踏み込む。

 排気管から火花が出んばかりに吼え狂うダッジ・インターセプター。こんなに燃料消費したら、ブリッツ・レースに勝利してガソリンもらったとしても、収支係数はトントンだなあ。ましてや負けたりなんかしたら・・・なんてことは全く考えていない。

 このとき俺は完全にレースに集中していた。黄色いフォードの先に走ることしか考えていなかったのだ。なぜなら、スピードに魅せられた狂人だから。

 だが・・・頭に血が上っている俺でも、後塵のフォードがスーパーターボチャージャーを停止させ、意図的にスピードを落として、ある程度車間距離を空けたことに気づく。

 なんだ?何をやる気だ?やがて空きビンの蓋を開けるような、間抜けな音が響いた。

 

 ボンっ・・・しゅるしゅるしゅる・・・ドォオオオオン!!

 

 いきなりダッジ・インターセプターの前面に黒いものが落下して突き刺さる。そして爆裂。大きく開いた穴ぼこ。俺は慌ててハンドルを切り、その穴に嵌るのを回避した。

 おいおい待てよ、迫撃砲じゃねえか!!

 あのフォードには武装も付けていたのか!

 あんな物騒なものを使用するなんてレギュレーション違反・・・いや違う、このレースは「機関砲とロケットランチャーは禁止」であって、「迫撃砲は禁止」ではないのだ。ちゃんと奴の車をチェックしておかなかった俺が間抜けなだけだ。

 ボンッ・・・また撃ってきた!!

 ダッジ・インターセプターは戦車じゃない。いや、戦車だって上面装甲はいちばん弱いところだ。こんな砲弾が当たったらたまったもんじゃない。俺は舌打ちしてブレーキを踏み、予想される着弾点から距離を開けた。

 ドォオオオオン!・・・ガシイイッ!

 最初の音は着弾の爆発音、そして続く金属が削られる音は、後ろからフォードに追突された音だ。これで俺のダッジ・インターセプターは装甲点-2

 あーあー、わかったよ。先に行きな!!

 俺はさらにスピードを緩めて、カーマ・セウマー操る黄色いフォードに先行を許す。

 なに、まだ折り返し点も過ぎていない。抜き返すチャンスはきっと来るさ。

 

 コースは緩やかな、だらだらカーブに差し掛かった。ここだ!

 今度はこっちがお返しとばかりに、猛烈な追突を仕掛ける・・・だが・・・くそ!凹んだのはこっちのフロントバンパーだ!!

 奴のフォードは前後部に鋼鉄の緩衝器を装備していたのだ。さすがブリッツ・レースのチャンピオンだ。その用意周到さに舌を巻く。ダッジ・インターセプターはまたもや装甲点-2だ!

 うーん、どうもまずいな。

 機関砲は使えない、ロケットランチャーもダメ、さらに追突でも勝ち目はないわけだ。とするとアレを使うしかないか。だがアレを使うには、前に回らなきゃならん。

 俺はそう判断すると、アクセルを踏み込み、オーバーテイクにかかる。コースは緩いカーブの連続で、敵はスーパーターボチャージャーで吹っ飛ばすのが危険なはず。だったらここでテクニックの勝負だ!!

 

 カーマ・セウマーは俺に抜かれまいとして、右に左に蛇行し始める。ジェット・ストリームをつかまえつつ、獲物に襲い掛かるヘビのように一瞬の隙を探す俺・・・そして技術点チェックは成功。

 左を抜くと見せかけて、右!!

 完全に相手は意表をつかれ、なすすべもなく俺の追い抜きを許した。バックミラーには悔しさで歯ぎしりしているカーマが見える。ハハハ、お前のクセはバレてるんだよ!

 そしてこれだ。くらえ!

 俺はダッシュボードに並ぶボタンのうち1つを押す。ダッジ・インターセプターの秘密装備、鉄びし投射器だ。

 コロン・・・カプセルが放り出され、フォードの前に転がっていく。

 運試しは吉。鉄びしは地面いっぱいに広がり、そのうち1つが後続車の左前輪に突き刺さった!とたんにガクンとバランスを崩すフォード。パンクとはいかないまでも、奴のスピードを落とさせることに成功したのだ。

 そしてその隙に俺はリードを広げる。迫撃砲の射程距離から抜け出たぞ!!

 

 やがてコースは折り返し点である白い家にたどり着いた。ブレーキを踏みしめ、ギアをローに叩き込み、ハンドルを左に切りつつ瞬時にアクセルを踏む。ドリフトで砂埃を上げながらダッジ・インターセプターは180度回頭して、ゴールに向かう。

 後ろのフォードも同じように見事なUターンだ。ぴったりと後方についてくる。そしてスーパーターボチャージャー!

 あっという間にサイド・バイ・サイドで並ばれた。あれだけ苦労して抜いても、追いつかれるのは一瞬か・・・あーあもう、やってらんねえな・・・

 ガシン!ガッシイイン!

 ・・・なんてため息ついてる場合じゃない。奴は横から猛烈に仕掛けてきた。ぶちかましだ!!俺はハンドルを抑えて衝撃に耐える。そしてフォードの機動に対抗して、こちらからもカウンターで仕掛ける。

 ここは車輌戦になるが、武器を使わないぶつかり合いのため、ダメージの1d6から2が引かれる。ダッジ・インターセプターをなめるなよ!

 

【フォード 火力点8 装甲点16】 (車輌戦)

1R (フォード/16)(インターセプター/18) フォード/装甲点-4

2R (フォード/12)(インターセプター/15) フォード/装甲点-1

3R (フォード/17)(インターセプター/16) インターセプター/装甲点-1

4R (フォード/13)(インターセプター/18) フォード/装甲点-1

 

 ガキ!ゴン!ドカッ!!

 お互いにフレームを削りながら火花を散らす。だが、この戦闘は4ラウンドでおしまいだ。お互いに相手の車を見る暇もなくなり、自分の車のコントロールに集中する。

 

 なぜなら、コースの先に見えてきたものは・・・

 

 

 

ブリッツ・レース(3) --Freeway Fighter--

 

【技術点10/10 体力点28/31 運点7/11】 【火力点10/10 装甲点17/31

 

 ゴールまであと約1km

 そこに現れたのは、川に架かる小さな石橋だ。小さい?ああ、十分小さい。なんたって幅は車1台分しかないんだから!!!

 そしてダッジ・インターセプターと黄色いフォードは、サイド・バイ・サイドでこの石橋に肉薄していく。この地点まで来て先行されたら、抜き返すのは難しい。ギュイイインンン!だからどっちもアクセルを緩めない。意地の張り合いだ。ギュイイイインン!!このままだと2台とも石橋の手前で衝突する。ギュイイイインン!!どちらが先に道を譲るか、チキン・レースだ!!

 ここで1d6を振り、俺の技術点10に足す。出目は414だ。そしてまた1d6を振り、今度は敵ドライバーのカーマ・セウマーの技術点8に足す。出目は6で結果は14。同じ値ということは、俺の数値の方が奴以上となるわけだから・・・それは・・・

 

 (石橋まであと30m・・・25m・・・20m・・・)

 

 ここで俺とカーマは、お互いにチラッと横を向いて表情を観察しあう。奇妙なことに、このときアイコンタクトが通った。恐怖に引きつった顔の敵ドライバー。対して俺は、にやりと凄みのある笑みを浮かべていた。さあ、こいよ、一緒に死のうぜ!!

 

 (15m・・・10m・・・9876543!!!!)

 

カーマ「う、う、うわあああああああ!!!」

 

 根負けしたのは敵の方だった。つまりは、俺の方が肝っ玉が据わっていたわけだ。奴が恐慌して急ブレーキをかけるのを尻目に、俺は石橋を突っ切って渡る。ハハハッ、チキン野郎はハンドルを外しな!!

 

 ゴールは目前だ。後は逃げ切るだけ。

 だが、敵も勝負をあきらめていない。そう、またバカの一つ覚えでスーパーターボチャージャーを使ってきたのだ。

 ゴオオオオオオオオ!まるで地面すれすれに飛ぶロケットのように側面排気筒から火を噴いて突っ込んでくるフォード。あっという間にダッジ・インターセプターのテール・トゥ・ノーズまで最接近する。

 ゴールまであと200m!

 癪に障るが敵の加速性能の方が明らかに上だ。このままでは並ばれてしまう。そして並ばれたら、あっという間に抜き去られてしまうだろう。それを防ぐにはブロックするしかない。

 俺は小刻みにハンドルを震わせる。バックミラーを注視して、後ろのカーマ・セウマーの動きを探る。奴はどっちからオーバーテイクにかかるんだ?右か?左か???

 ゴールまであと100m!!

 どっちだ!?どっちから来る!!??

 ゴールまであと50m!!!

 ここで俺は(ちらっと自分の股間を見て)左に車を寄せる!

 敵もちょうど左にハンドルを切ろうとしていた。俺のヤマ勘から来るハンドル捌きを受けたダッジ・インターセプターは、その機先を制して、見事ブロックに成功する(どうして股間を見たのかって?いやそれはまあアレだ、よい子はパパに聞いてくれ。わりと正確なんだぜ?)。

 

 ゴール!!!!

 

 ブリッツ・レースに勝ったのは俺だ。わずかの差で勝利の栄誉に授かり運点に+1される。そしてならず者の怒号や悲鳴、さらには賞賛の嵐の中を突っ切って、スタート地点にダッジ・インターセプターを停めた。

 ふうう!この感覚は久しぶりだ!!

 俺は生と死の境目を渡りきった充実感に浸る。そして興奮した観客に囲まれながら、車を降りた。敗北した黄色いフォードも車を停めており、中から恨めしそうな目をしたドライバーが、ドアをばたんと閉めて大股で歩み去る。

 「礼儀を知らない奴だな!」ならず者の1人が言う。「もっとも、あいつが負けるのは初めて見たけどよ!!」彼の背中にグサグサと突き刺さる嘲笑と侮蔑。カーマ・セウマーは身体を小さくしてそれに耐えるしかない。

 ま、敗者ってのはそういうもんだ・・・。

 

 そして勝者の俺は、スタートフラッグを振った美女から、賞品としてポリタンク入りのガソリンを贈呈されるのだった。頬にキスつきで。シャンパンと月桂冠は、このご時勢では手に入らないが、それでもなかなかにいい気分だな。

 だがな、リッキー・スチュアート。浮かれてもいられないぞ。そう、ここはカー・ギャングどもの巣窟であることをすぐに思い出す。

 俺は愛想笑いを浮かべながらポリタンクを受け取り、ダッジ・インターセプターの後部座席にしまう。それからさっさとずらかろうとレースで受けたダメージを調べていたのだが、ここでスタート担当の女狐がやってきた・・・。

 

美女「ねえ。次のレースまで30分ほどあるの。木陰に座って話でもしない?」

リッキー「ほう、そりゃいいな」

美女「でしょ・・・30分あればじゅうぶんよ・・・」(自分の唇をなめる)

リッキー「だけど俺は本物しか運転したくないんだ」(彼女の顔も見ずに運行前点検)

美女「なぁに、それ、どういう意味?」

リッキー(彼女の胸をポィンと指す)「アンタのその胸は“不法改造”だろ。年取ると垂れてくるから気をつけな。さあそこをどいてくれ、以上」

美女「キィー!このイ◎ポ野郎!!!」

 

 俺の悪態に図星を突かれた女は、ダッジ・インターセプターに砂を蹴り上げてズカズカと去って行った。ちょっと惜しかったかな?30分くらい・・・いやだめだ、今は任務優先だ。

 ところがここで、誰かが俺の肩を叩く。振り返ると、ゲートのところで見張りをしていた刺青男だ。「お前、どこのグループの者だと言った?」奴の声には明らかに棘がこもっているぞ。さて、俺はさっきなんと言ったっけ???

 

 (1)ブラック・キャッツか?

 (2)ブラック・ラッツか?

 (3)ブラック・バッツか?

 

 俺は背中の蔭でブラス・ナックルを拳にはめ、慎重に、一語ずつ区切って答える。

 背筋に冷や汗をかきながら。 

 

リッキー「・・・ブラック・ラッツさ、忘れたのかい?」

刺青男(ニカッと笑い)「そう言えばそうだったな。聞き慣れない名前なもんで、もう一度確かめておこうと思ったんだ」

リッキー「・・・(そっとブラス・ナックルを外す)・・・」

刺青男「俺はみんなのところに行くよ。じゃあ、またいつか会おう」

 

 こうして刺青男も去っていった。

 俺はほっとため息をつき、ダッジ・インターセプターのキーを回す。装甲点にダメージを受けたものの、まだまだ上々な吹き上がりだ。まるでブリッツ・レースの勝利を誇るようなブーストの轟き。

 ふふふ、悪くはないぜ。

 さあ出発だ。カー・ギャングどものレース場を後にして三叉路に戻り、再び南に向かって進むのだ。

 

 

 

ピートの整備場とガラガラヘビ --Freeway Fighter--

 

【技術点10/10 体力点28/31 運点8/11】 【火力点10/10 装甲点17/31

 

 サン・アングロに向けて南にひた走る俺の視線は、ある1枚の手書きの看板で止まった。

 『ピートがあなたの車をより速くします。南に1kmだと?

 ・・・しばらく走ると、左手に石造りの建物が見えてきた。そこにはトタン屋根の作業場もあり、たしかに立札にはこう書かれていた。

 

 <火の玉ピートの整備場>

 

 若干胡散臭さも感じるが、さっきのブリッツ・レースでダッジ・インターセプターの弱点もわかっている。俺は敷地の中に車を停め、クラクションを鳴らした。

 作業場から背の高い、青白い顔をした60歳くらいの男が出てくる。彼は油まみれの青いつなぎを身に着け、カンサスシティ・ロイヤルズの野球帽を被っている。たぶん彼がピートなんだろう。

 男は俺を一睨みしてから、つかつかとダッジ・インターセプターに歩み寄り、ボンネットの埃を指でなぞりながらこう言ってきた。

ピート「いい車だ。かなりのスピードが出るだろうな」

リッキー「はは、そうかい?」

ピート「だが、この老いぼれピートに触らせれば、もっと速くなるぞ。エンジン整備にかけては、わしの右に出る者はおらんからな。クレッドでも薬でも大歓迎だよ!」

 

 俺はここでピンと来てヤマをかけてみる。ひょっとして・・・

 

リッキー「カーマ・セウマーの黄色いフォード・・・」

ピート「ああ、奴の車にスーパーターボチャージャーを装着したのは、このわしよ。なんだい、あんたも付けてほしいのか?」

リッキー「ぜひ頼む!」

ピート「OKOK、料金は100クレッドと、あといくらか薬もほしいな!」

 

 俺は100Crdと治療薬2を彼に渡した。さっきのレースで苦戦した原因、それはダッジ・インターセプターの加速性能が劣っていたことにある。車に備わっているスピードばかりは、俺のテクニックで底上げできないからな。だが、これで鬼に金棒だ!

 ピートは頑固肌の職人、一人で仕事するのが好きそうだ。俺はおとなしく建物の日陰に腰を降ろし、作業を目で追う。老いぼれてはいるが、しっかりした手の動き・・・俺だって信用できるメカニックの目利きくらいできる。彼の腕は超一流だ!!

 最新鋭車を整備できて心底楽しそうなピートの口笛が聞こえてくる。そのメロディにのっかってしまい、さらにはさっきの激闘の疲れもあって、俺はついウトウトしてしまった。

 ・・・2時間後、彼がボンネットをバタンと閉める音で目を覚ます。「これでよし、もう転がしてもいいぞ!」ピートは高らかにそう宣言した。

 俺はダッジ・インターセプターに乗り込み、思い切ってアクセルを吹かす。うわあ、すごいいい音じゃねえか!出足が以前とは大違いだ!!俺はピートに親指を上げ、満足なことを伝える。ピートも人差し指を帽子にやってからピッとはじき、気障な敬礼で返した。

 こうして俺のダッジ・インタセプターにスーパーターボチャージャーが取り付けられた。運点に+1だ。

 サンキュー・ピート!これでもう、何人たりとも俺の前を走らせないぜ!

 

 火の玉ピートの整備場を過ぎると、枯れ草の塊が所々に転がる、岩だらけの茶色い荒地に入ってきた。いよいよここからはオクラホマだ。石油1万リットルが待っているサン・アングロまでは・・・ええっと・・・

 地図を脇に広げながら運転していると、沙漠の北端に着いた。もちろん南に進み続けると沙漠地帯に突入する。だが東にも道があって、こっちは沙漠の縁に沿って走る格好になる。どうしよう、最短ルートは過酷な自然環境下にあるわけだが・・・。

 さっきのブリッツ・レースの賞品、予備のガソリンはある。だが道草食ったおかげで、時間はけっこう無駄にしている。

 よし!俺は思い切ってそのまま南の沙漠に突入してみることにした。

 

 もはや生物すらも見当たらない、火星のように赤茶けた大地。

 そこにか細く伸びる、南へのアスファルトの一本線・・・

 その道を、俺はダッジ・インターセプターでひたすらぶっ飛ばす。こんな過酷な環境下では、他に動く物を見つけることの方が難しい。そしてさっき取り付けたばかりのスーパーターボチャージャーは、ものすごいスピードをを与えてくれる!

 だがここで俺は、1台の車の残骸が道を外れてひっくり返っているのを見つけた。

 キキイッ!ブレーキをかけて車を停める。俺と同じ旅人を乗せていたのだろうか?何か使えるものがないか調べてみることにして、この残骸に近づいてみることにした。

 腹を見せた廃車のうち、スペアタイヤとして十分活用できそうなタイヤが1つある。俺は遠慮なくこいつを失敬して自分の車に積み込んだ。

 それから車内も調べてみようか・・・ガラガラガラ・・・ん?なんだこの異音は?

 

 ぞっとする。

 

 車の中で巣を作っていたのはガラガラヘビだ!!

 うわあっ!!俺はとっさにドアを閉めようとするがもう遅い。キシャー!俺の左腕に怒り狂ったガラガラヘビが噛みついてきた!

 俺は慌ててガラガラヘビを振りほどいて地面に投げ捨てる。だが腕に残ったのは2つの赤黒い痕・・・ああ、毒だ!深々と牙を埋め込まれた!!

 急いでダッジ・インターセプターに戻って治療薬の包みを取り出す。震える手で蛇毒の血清を注射して傷口を包帯で巻いた。だが命はかろうじて助かったものの、治療薬を1個消費しても体力点は回復しない。それどころか技術点1と体力点2を失う・・・ええい、ちくしょうめ!!

 俺はしばらく体を休め、再び廃車の方に戻って行く。そしてガラガラヘビをマグナムで撃ち殺してから、改めて車内を探索した。だが、中にあって使えそうなのは、小物入れにあったゴムホースだけだった・・・

 俺はふらつく足で自分の車に乗る。F##K!!

 余計な欲をかいたおかげでひどい目に遭った。腕はまだかなり痛むが、そうぐずぐずしてもいられない。俺は南に向かって車を発進させる。

 治療薬は・・・残り5個か・・・。

 

 

 

あんな死に方はしたくない・・・ --Freeway Fighter--

 

【技術点9/10 体力点26/31 運点9/11】 【火力点10/10 装甲点17/31

 

 厄介な奴らが来たな。

 ずきずき痛む左腕をかばいながら運転している俺は、バックミラーを見て舌打ちする。1台のサイドカー付きバイクが後方から迫ってきたのだ。

 ひょっこり横に飛び出たサイドカーには機関銃が取り付けられている。フルフェイスヘルメットを被ったカー・ギャングの2人組は、まるで手傷を負って弱っている鹿を狙うコヨーテのように、こっちを耽々と狙っている。

 装着したばかりのスーパーターボチャージャーで引き離せないか?

 いやだめだ!タイミングが悪いことにFUELランプが点滅し始めた。おそらく噴射中に燃料切れを起こすだろう。この局面では使えない。とすると・・・

 ガガガガガガ・・・!!!

 俺が対応策を考える暇もなく、後方のサイドカー付きバイクは発砲してきた!

 キン、キン、キィン・・・致命弾はないものの、ダッジ・インターセプターのリアボディがしこたま削られた。せっかちな奴らだぜ!装甲点-1だ。

 フルフェイスヘルメットを被ったカー・ギャングどもは、いかにもへらへら笑っていそうに頭を動かしている。やばいな、リアトランクにはニュー・ホープ評議会から預かった、貴重な作物種子が収納されてるんだ。穴でも開けられてこぼれ出したら、どうして俺がこんな南までやってきたのか、全て意味がなくなっちまう。長引く戦闘はしたくないところだ。じゃあ、こうしてやるか!

 俺はわざと減速する。「どうやら観念したらしいぞ」と勝手に判断して、サイドカー付きバイクは車間距離を詰めてきた。そうだ、もっと寄ってこい、もっと・・・

 ここだ!

 俺は絶妙のタイミングで、ダッシュボードに備え付けてあった青いボタンを押した。すると・・・ブシュー!!猛烈な勢いで後部からオイルが噴出される。そう、俺はダッジ・インターセプターの秘密装備「オイル噴射器」1回分使用したのだ。

 不意を打たれたカーギャングの2人組のヘルメットに、真っ黒なオイルがびしゃあっと降り注ぐ。突然視界を奪われた運転手の方は、慌てふためいてハンドルを急に切る。

 だが、それが命取りだ。ぶちまけられたオイルによって滑りやすくなった路面で、そんな急旋回したら、無事であるわけが・・・キキイイイ!・・・ズウウウウウンン!!

 読みどおり!俺は小さくガッツポーズを作る。後方のサイドカー付きバイクはスリップをおこして転倒しやがった!

 そして、曲がりなりにもお互いに100km/h超はスピードを出していたんだ。ギギギギ・・・バイクのフレームが路面を転がった際に摩擦で火花が散り、それがオイルに引火して・・・ピカッ!ズガアアアンン!哀れなカー・ギャングどもは愛車ごと木っ端微塵に吹き飛ぶのだった。

 へへっ、間抜けな野郎どもだぜ・・・。

 俺は薄笑いを浮かべつつ、ダッジー・インターセプターでこの場を走り去る。

 

 キンコン!キンコン!キンコン!

 悪魔のチャイムが車内に鳴り響く。あーっと、ちょうどここで、燃料切れかよ。ブリッツ・レースで思いのほか燃料を消費していたのだ。

 ブツブツ言いながらカンカン照りのド真ん中で、俺はブリッツ・レースでもらった賞品のガソリンをダッジ・インターセプターに給油した。

 自分も水筒でちょっと喉を潤し、持ってきた地図で現在地を確かめる。この沙漠地帯を抜ければ、いよいよテキサスだ。そしてテキサスに入れば、目的地のサン・アングロまでもう少しだ。

 だがどう計測しても・・・燃料が足りない・・・。

 どうやっても、もう一度ガソリンを手に入れる必要がある。しかし、しかしだ。こんな砂嵐が巻き起こっている沙漠のどこに、そんな貴重品が転がっているんだ???

 まあ、先のことを心配してもしかたがない。金は250Crd残っているんだ。どこかで手に入れる機会もあるはずだ・・・そうさ俺は“弾丸リコ”だ。鉄砲玉なら鉄砲玉らしく、行くところまで行こうじゃないか。

 小休憩を利用して俺は治療薬1つ呑み込んでから(体力点+4)、再びダッジ・インターセプターを走り出させる。目指すは一本道に沿って・・・南だ!

 

 おっと?

 相変わらず沙漠の中を突っ切っていると、道路の脇に1台のパトカーの廃車が見えてきた。どうやらガス欠を起こして打ち捨てられたようだ。中には人っ子一人おらず、役に立ちそうな部品も全て持ってかれてる。

 うーん、あれじゃあ、わざわざ調べる必要もないな。

 さっきみたいにガラガラヘビに襲われてはたまらない。俺はこのシャーシだけとなったパトカーをスルーして、さらに南へ向かう。

 

 次に遭遇したのは・・・

 道を塞いでいる変わった造りのゴテゴテした車だ。小型トラックを改造したものなのだろうか。タイヤの車軸には巨大な鉄のトゲが取り付けられ、まるでローマ時代の戦車のようだ。

 荷台には、剣闘士風の兜を被った上半身裸のマッチョマンが、手にしたアサルトライフルで空中に威嚇射撃してきた。

 誰がどう見ても間違いない。「止まれ!持ち物を根こそぎここに置いてきな!」そんなことを言いたいのだろう。カー・ギャングの改造戦車は俺のダッジ・インターセプターに向かって突進してくる。どうやら車輌戦以外に選択肢はないようだな。

 

【戦車 火力点9 装甲点15】 (車輌戦)

 

 火力点も、装甲点も、けっこう互角だ。激しい戦いになることが予想される・・・冗談じゃない、こんなクレイジーどもに付き合ってられるか!

 俺はロケットランチャーを発射して手っ取り早く始末することに決めた。ロケットは残り1発だけになるが、装甲点も低下しているし、やむをえん!

 シュゴッ!シューーーーーーー・・・

 糸を引くように対戦車砲弾が奴らの車に突き刺さる。その一瞬あとに・・・ドガアアアッツ!!

 今まさに戦おうとしていた改造戦車は爆発炎上した!!

 

 ズゴオオオッ・・・

 黒煙を噴き上げながら燃え盛るカー・ギャングの戦車、および彼らの肉体。

 荷台に載っていたあの威勢のいいマッチョマンは、生きながら炎に焼かれ、突っ立ったまま黒焦げになっている。死してなお、俺を睨みつけているかのようだ。

 俺は沸き起こる火炎を迂回して、ダッジ・インターセプターを再加速させ、急いでここを離れて沙漠の中を猛スピードで駆け抜けていった。

 

 「あんな死に方はしたくない・・・」

 

 そんな思いを胸に抱きながら。

 

 

 

譲れない値段 --Freeway Fighter--

 

【技術点9/10 体力点30/31 運点9/11】 【火力点10/10 装甲点16/31

 

 そろそろサン・アングロと連絡がとれるだろうか。そう思って無線機を作動させてみるが、聞こえてくるのは雑音ばかり。だが、いつでもキャッチできるようにスイッチはつけっ放しにしておこう。

 さらに15kmほど南下すると、東に道が分かれる三叉路に着いた。東への道には看板がかかっていて『エンジンと車体の修理はこちら→』と書いてある。

 ヨーホー!これこそ俺が求めていたものだ!!

 俺は激戦に次ぐ激戦であちこちが凹み始めたダッジ・インターセプターを、迷わず東に走らせる。

 

 沙漠の真ん中に、小さな白い建物が見えてきた。

 まだまだ走れそうなものからボロボロの物まで、たくさんの車がまわりに停められている。そしてその乱雑なスクラップ置場の中で、一人の男が黙々とドアの溶接をしていた。

 俺はクラクションを鳴らす。だがアセチレン・バーナーの音は大きすぎて、それに気づかないようだ。 仕方なく俺は車を降り、男の目に見えるところまで近づいていった。

 車体部品の要塞のいちばん奥に待ち構えていたのは、上半身を機械油まみれのTシャツで覆っている30代の屈強そうな男だった。修理屋はようやく俺に気づくと、バーナーの火を消し、微笑んでこう言ってきた。

 

修理屋「わざわざこんなクソ暑いところで修理屋なんて、自分でも馬鹿げていると思うよ!まあ、俺には他に能がないし、ここにはけっこう客も多いんだ。俺は仕事をして生きていければいいし、みんなもそれを知っているから放っておいてくれる。金さえ出してもらえりゃあ誰の車だって事情を聞かずに修理するよ!」

 

 まさに俺にとってうってつけの修理屋だ!

 嬉々として俺はダッジ・インターセプターを見てもらう。コンコン、とかなてこでシャーシを叩いて確かめた修理屋は、200Crdの報酬を求めてきた。

 俺の財布の中身は250Crdあるので、もちろん支払う。財布の中身を気にしてたって、死んじまえばそれまでだ。あ、領収書書いてくれ。宛名は空白でいいから。

 カン!コン!ガン!・・・ウイィィンン!!・・・キイイイイン!!!・・・

 様々な金属音を立てながら、慣れた手つきで修理屋は俺の車に無骨な装甲板を溶接して取り付けていく。見た目は不恰好になったが、ちゃんと空力抵抗は考えてあるから大したもんだ。ダッジ・インターセプターの装甲点が+10された!! 

 200Crdの価値はある買い物だった!

 俺は修理屋と握手してから、道なりに東へ向けて出発する。

 

 さて、なぜ西に引き返し、さっきの三叉路に戻らなかったか?それはさっきの三叉路を南に行くと、かなりの確率で道の行く先は、砂丘地帯に埋もれていそうだったからだ。

 だが、こっちもこっちで、ちょっと厄介だぞ・・・俺は車を停める。

 前方に小高い丘があり、丘の下にトンネルが通っている。ところが、トンネルの入り口は1台のバスによって完全に塞がれているのだ。

 俺は頭をかきながら車を降り、どうしたもんかなと歩いてバスに近づいていく。もちろんマグナムを片手に持ちながら・・・いきなり、バスの運転席のドアが開いた!!

 追いはぎかっ?!俺は銃で応戦しようとするが・・・ガァン!!威嚇射撃をされてわかる。どうみても、奴の射撃術の方が一枚上手だ。

 話を聞くしかあるまい・・・。

 中から出てきたのは、怪傑ゾロのような黒いアイマスクをした男だ。事務的な口調でこう告げてくる。

アイマスクの男「トンネルを通りたければ200クレッド置いていくんだ。さもなくばこの私とピストルで決闘だ」

リッキー「あいにく俺の財布にはもう50クレッドしかない。まけられるか?」

アイマスクの男「誰にだってプライドはあるだろう?」

リッキー「そうだな・・・」

 

 200クレッドというのは、命をやりとりをするにあたって彼が定めた最低のラインだ。それを侵食することは許されないこと。そんな妥協をするくらいなら、死んだ方がまし。くだらないことかもしれないが交渉の余地はない。このどこかしら狂った世界で正気を保つには、男たちは自分の存在意義をかけて譲れない部分を持っている。

 つまりは、そういうことだ。俺は奴に片手袋を投げつけた。

 

アイマスクの男「フフフ・・・君が決闘を選択してくれてよかった!私は今、200クレッドをもらう以上に、事の成り行きをとても楽しんでいる!」

リッキー「あんたイカレてるぜ?まあそのノリは嫌いじゃないがな・・・」

 

 決闘の手順は粛々と進む。

 男がバスの後部からマホガニー製の箱を持ってきた。箱の中には古色蒼然たるフリントロック銃が2丁入っている。世が世ならオークションで10万ドルはするだろう。

 男はどっちでも好きな方を選べと言う。俺は右側を選び、手の中で異常がないか確かめる。そしてお互いに背中をつけて立ち、10歩進んで振り返り、互いに撃ち合うのだ。

 これは1ラウンドのみの射撃戦というルールで表される・・・しまった!じゃあかっこつけずに自分のマグナムを使えば技術点+1だったじゃないか!

 しかし後の祭りだ。もうここから待ったはない。

 俺らは大きく息を吸い、声に出して10歩を数えて、振り返る。

 アイマスクをした男のピストルが、ピタリと俺の方に向けられている。

 2丁のフリントロック銃が同時に火を噴いた!!

 

【決闘者 技術点9 体力点9】 (射撃戦)

1R (決闘者/17)(リッキー/19) 決闘者/体力点-5

 

 俺の右頬を鉛の球体が擦る。そして俺が放った同じ球体は、敵の左腕を貫通した!

 アイマスクの男はその場にうずくまる。そして自分の敗北が信じられない表情で、俺を上目遣いで見上げながらこう言う。

 

アイマスクの男「止めを・・・刺すのか・・・?」

リッキー「それは決闘の作法にないな」

アイマスクの男「 ・・・ ・・・ ・・・ 」

リッキー「あんたの命はあんたしだいだ。勝利者の要求に従い、バスをどかせろ」

アイマスクの男「くくく・・・。君のような礼儀をわきまえた男と、正式なしきたりに則って決闘ができたのは、実に光栄だ・・・」

 

 苦痛にもかかわらず、男は相変わらず平板な口調だった。

 そして決闘の後も粛々と進む。男は自分のバスをどかして道を広げると、ご親切に「落石に注意しろ!」とまで警告をくれる。俺はこの風変わりな男にお礼の意味でクラクションを1つ鳴らしてからトンネルに入っていった。

 

 トンネルを抜けると、峡谷の底の曲がりくねった道路だ。

 あのアイマスクの男の警告どおり、注意深くゆっくりと進んで行く・・・

 突然ガラガラガラと巨大な岩が降ってきた!

 ブレーキ!

 ふうううう、幸いにも道路は完全に塞がれなかった。

 俺はまだまだ旅を続けられる・・・

 

 

 

レオナルドの居場所 --Freeway Fighter--

 

【技術点9/10 体力点30/31 運点9/11】 【火力点10/10 装甲点26/31

 

 レオナルド・デュロック。

 かつてはニューヨーク・メッツのショートストッパーで、100万ドルプレイヤーだった男。だが派手な私生活のおかげで、始終危ない噂が付きまとっていた。マフィアのニューイヤーパーティに出席していたとか、離婚調停で年俸の半分持ってかれたとか、ステロイドを投与していたとか、その他にもいろいろ・・・。

 金と女の話題には事欠かない、そんな球界の問題児に八百長賭博の噂が立ったのは必然かもしれない。心無い三流ジャーナリズムによって社会から抹殺されかかったとき、レオナルドはどうしたか?

 レーサーに転身した。俺と同じインディ・パイロットに。

 そして腹の立つことに、奴の反射神経の鋭さと、鍛え抜かれたスタミナは本物だった。彼は2022年のシーズン(そう、文明崩壊直前のシーズン)で今季3勝しており、ドライバーズポイントで俺の2点下まで迫ってきていた。

 「メジャーでバット振り回していた頃はよかったよ。こんな車遊びなんて・・・!」

 それが口癖だった。あいつの鼻にかけた態度は気に入らなかったが、ある種自暴自棄な、命を捨てるような運転の度胸は誰もが認めていた。俺以外、こいつの前に走る奴はいなかったのも、また事実だ。

 そんなレオナルドが、今、俺の目の前にいる。

 

 峡谷を抜けると、いつの間にやら南に向かう平坦な一本道だった。

 まもなく道路が2台の車で塞がれた地点に着き、そこで俺はカー・ギャングの集団に包囲されてしまったのだ。

 絶体絶命といったところで「ここを通りたければ、俺らのヘッドに勝つんだな!」と、荒くれ者の一人が告げる。そうして彼らの中からE型ジャガーが颯爽と現れて、パワーウィンドウが下がって現れた運転席に、奴はいた。俺のインディ時代の最後のライバルが。

 

レオナルド「あんたか!リッキー!!」

 

 昔のままの派手な服装、オーバーな抑揚の口調、いつの間にかモンタナのオーバルコースに戻ってしまったのか、そんな錯覚すら覚える。

 

リッキー「レオナルド・・・生きてたのか!?」

レオナルド「まあいろいろあってな。今は民兵組織のリーダーだ」

 

 民兵組織だと?よく言うぜ!!!

 とりあえず俺は情に訴えかけてみた。

 

リッキー「なあ、昔のよしみだ、ここを通して・・・」

レオナルド「そうしたらどうなると思う?」

 

 レオナルドの顔は笑っているが、目は笑っていない。それも昔のままだ。誰もを敵に回していた頃の一匹狼。あの目だ。世界の全てに楯突いていた頃の。

 カー・ギャングが散弾銃を空中にぶっ放す。「スタートの合図はこれでいいかい?ヘッド!」下卑なだみ声でヘラヘラ笑いつつ。

 カー・ギャングどもの世界だっていろいろ苦労があるもんだ。非情でなければ乱暴者をまとめきれない。ボスが威厳を見せつけないと、いずれ部下に寝首をかかれる。

 威厳とは、すなわち自分の車で相手を負かすのを、手下に見せつけることだ。

 それが文明崩壊後に彼が見つけた、唯一の居場所なのだ。

 

リッキー「・・・そうか。周りが変わったんだな。あんたは変わってないのに」

レオナルド「ああ。もう戻れない。俺も、あんたも、この世界も」

リッキー「だけど俺らはアクセルを踏み続ける。因果な商売だな」

レオナルド「まったくだ。ところで、お前はどこに行くところだったんだ?」

リッキー「サン・アングロ。ニュー・ホープの奴らに頼まれてね」

レオナルド「積荷を全部置いていけば・・・」

リッキー「いや、それはできない」(きっぱりと)

レオナルド「・・・じゃあ、やろうか」

リッキー「ああ」

 

 俺とレオナルドは自分の苦労話をするほど野暮じゃない。レーサー同士、あとは無言でスタートラインに車を並ばせるだけだ。ルールは簡単、この一本道をただ駆け抜け、3.5マイル先にあるゴールラインを先に割った奴が勝利。それだけ。

 レギュレーションを誤解しようのない、単純なドラッグ・レースだ。だが、お互いの込み入った事情に飽き飽きしていたので、ちょうどいい単純さかもな。

 お互いアイドリングで存分に威嚇しあった後に、レオナルドの手下がスタートフラッグを振る。

 Here We GO!!!

 

 ※ルール的には、このレースはお互いに1d6を振って出目を足していき、

  先に24に達した方が勝利となります。

  ただしダッジ・インターセプターにスーパーターボチャージャーが

  装着されているため、ダイスの目に+1ボーナスがあります。

  両方同時であれば、レオナルドのE型ジャガーの勝利です。

 

 【E型ジャガー】3 【ダッジ・インターセプター】7

 【E型ジャガー】4 【ダッジ・インターセプター】12

 【E型ジャガー】7 【ダッジ・インターセプター】18

 【E型ジャガー】8 【ダッジ・インターセプター】20

 【E型ジャガー】14 【ダッジ・インターセプター】22

 【E型ジャガー】20 【ダッジ・インターセプター】26 ←Ricky WIN!!

 

 砂埃を吹き上げて先にゴールへたどり着いたのは、俺のダッジ・インターセプター!!

 

 だが俺はスピードを落とさず走り続ける。

 レオナルドは昔のレオナルドではないし、レースに勝ったからといって、すんなり通してもらえるとは限らない。だからそのまま走り続けて、一目散にここから逃走する。

 バックミラーで確かめると、俺に遅れてゴールインしたレオナルドのE型ジャガーは停まり・・・いや、停まらされた。

 手下どもが車を囲み、リーダーが引きずり出されたのだ。怒り狂う奴らの手には鉄パイプやその他もろもろの凶器が握られている。

 下克上の瞬間だ。

 もうリーダーのやり方では金品を巻き上げられない。とすれば、ここのカー・ギャング組織は、今度は他のやり方で生きる術を探すことになる。

 もっと野蛮な、血と暴力を存分に振るう“スマートじゃない”やり方で。

 

 そこにレオナルド・デュロックの・・・居場所はない。

 

 

 

テキサス娘を拾い上げる --Freeway Fighter--

 

【技術点9/10 体力点30/31 運点9/11】 【火力点10/10 装甲点26/31

 

 しばらく走り続けていると、ぽつんとトレーラーが道路脇に停められていた。

 もう何回も同じパターンで痛い目に遭っているからな・・・

 無視しようとも思ったが、もしあの車の中に使えそうな物もあるかな?微かな望みを抱いて、俺は十分に周りを警戒しながらそのトレーラーに忍び寄る。

 ブービートラップは仕掛けられてなさそうだな。荷台は空っぽ。座席にも使えそうな物はない。エンジン周りで取り外せそうな部品はあるかな?俺は車体をコンコンと叩いてみる・・・ちゃぷん。ちょっと待て今の音は?

 タンクが空じゃない!ガソリンが入っている!!

 俺は急いで自分の車からゴムホース(ガラガラヘビの毒牙と引き換えに手に入れた戦利品だ)と空ポリタンクを持ってくる。あとはサイフォンの原理で・・・ドクドクドク・・・俺はポリタンク1杯分のガソリンを手に入れた!

 

 そして、危ないところだった!

 ここから数10km南に走り、元テキサス州に入ったところで、ダッジ・インターセプターは燃料切れを起こしてしまったのだ。

 もしあのトレーラーを調べていなければ、荒野の真ん中でジ・エンドだった・・・。

 俺は給油しながらつくづく幸運の女神の微笑みに感謝する。運点+1だ。

 ああそうだ。ついでに応急整備もしておこう。目的地のサン・アングロまでもう少しだが油断は禁物だ。

 プラグや潤滑油、キャブレターを点検して・・・この応急整備でダッジ・インターセプターは装甲点+2される。全くたいしたもんだな。あれだけ荒っぽい運転をしてきたのに、まだまだこの跳ね馬は元気そうだ。

 エンジン駆動部は異常なし。さあ、南に向かおう!!

 

 テキサスの赤茶色の荒野の中、一条の真っ黒なアスファルトはどこまでも南に続いている。地面からは陽炎が立ち上っており、車内は蒸し風呂状態だ。窓を開けたら敵の狙撃が危険だし、クーラーをつけようか。

 相変わらず無線機からはザーっという雑音しか入らない。

 おかしいな。地図を見れば完全に受信エリア圏内のはずなのだ。なぜいまだにサン・アングロからのメッセージを受信できないんだ???

 ここで俺はハッと思い至った。サン・アングロが電波を発していないとしたら?

 なぜそんなことを? ・・・何者かに傍受されるのを恐れて。

 誰を恐れている? ・・・それはつまり、町に危害を及ぼす組織だ。

 

 【結論】サン・アングロは、ならず者どもの襲撃にさらされている可能性が高い。 

 明確な解を引き出せたそのとき、同じくらいわかりやすい状況証拠が現れた。

 前方の道外れに、黒煙を噴き上げておしゃかになったスポーツカーが見えてきたのだ。おいおいちょっと待てよ、なんとV8エンジン搭載のコルベットだ!

 そして、その近くの岩にもたれかかっているのは、1人の若い女。

 ほっそりと上品そうな体つきで、黒い整備用オーバーウォールに身を包み、目が覚めるようなブロンドだ。だが、きれいな顔に似合わず、一撃で俺の身体に風穴が開きそうな大口径のショットガンを構えている。

 彼女は俺に気づくと、道路の前に立ちはだかった。そして「停まりなさい!」と警告の叫びを発すると、散弾銃をジャコッ・・・とセットする。

 あんなのにフロントガラスを割られてはたまらない。俺は車を停めるしかなかった。

 以前の「ジョーのガソリンスタンド」の例もある。係わり合いにならない方が得策だな。きれいな薔薇には棘が絶対あるはずだ、と、隠している方の手でマグナムを握りしめる。

 

ブロンド女「南に行くのね?どこでもかまわないから乗せてくれないかしら?もっとも、あんたがさっきの連中でないなら、だけど」

リッキー「ヒッチハイクをお願いするなら・・・」

 

 俺はいつでも急発進してこの女を置き去りにできるよう、アクセルにそっと足を添える。

 

リッキー「・・・もっとやりようがあるだろう?悪いがお嬢さんを乗っけて人助けしてる余裕はない。今日中にサン・アングロへ着きたいんだ」

ブロンド女「サン・アングロですって!!」

 

 ここで突然、とげとげしかった彼女の表情が変わった。「じゃあ、あなたはニュー・ホープからの使いの人ね!」そして俺の許しを得る暇もなく、開いた窓からいきなり車内に潜り込む。おいおい、ちょっと待てよ、ダッシュボードのスイッチに触るな・・・!!

 有無を言わさず助手席に乗り込んだ娘は、自分はアンバーだと自己紹介した。フルネームはアンバー・マッキンタイア。彼女はサン・アングロ評議会の命令を受け、ダッジ・インターセプターを迎えに出たパトロール要員1人だったのだ。

 

アンバー「ダッジ・インターセプターを見て期待はしていたのだけれど、あなたがその人だと知って、本当にうれしいわ!」

リッキー「へえ、そりゃどうも。じゃあさっそく道案内してくれるか?」

アンバー「ただ、一つだけ問題があるのよ・・・」

 

 さっきまで太陽のような笑顔であっけらかんと笑っていたアンバーは、急にまつげを伏せる。

 やっぱりな。あのコルベットは事故で“壊れた”んじゃない。誰かに“壊された”んだ。

 

リッキー「大体想像はつくよ。サン・アングロはならず者に包囲されているわけだ」

アンバー「ええ、2日前からね。奴らは私たちを皆殺しにして、石油を根こそぎ奪おうとしているわ」

リッキー「皆殺しとはまた大げさな・・・それこそ軍隊並みの兵器でないと・・・」

アンバー「奴らのリーダーはアニマルという凶悪犯罪者よ」

 

 俺は驚きのあまり、キイッと車を停めた。

 噂は聞いたことがある。というか、文明崩壊後の北米大陸に住む者なら、赤ん坊だって知っている。それは誰もが恐れる名前だ。北米最大規模のカー・ギャング。

 助手席のテキサス娘は、そおっと、うかがうように上目遣いで俺の顔色を見る。

 首領のアニマルをトップとし、鉄の規律で文明崩壊後のアメリカを荒らしまわる残虐武装集団。奴らの通った後は死体と屑鉄しか残らない。その名も・・・

 『呪いの野犬(Curse Dogs)』

 よりにもよってあいつらが、ゴール地点に・・・!!

 今や彼らに気づかれずにサン・アングロに出入りするのは全く不可能であり、強行突破は自殺行為である。だとしたらどうする?

 アンバーは自分に言い聞かせるように、きっぱりと決意を述べた。

 

アンバー「夜中に彼らのキャンプに侵入するのよ。車やバイクを動けないように細工するの。他に方法はないわ。『呪いの野犬』どもに石油を奪われるくらいなら、私たちは製油所とともに死を選ぶわ」

 

 そいつぁちょっと待てよ・・・おっと、ここで運試しは・・・12だと?凶だ。

 ドガガガガガガ!!いきなりダッジ・インターセプターの車体が衝撃に襲われる。二連装の機銃か何かで撃たれた振動だ。

 砂埃を巻き上げ、前方から武装ジープが猛スピードで迫ってくる。アンバーが叫んだ。

 

アンバー「奴らよ!」

 

 

 

俺は外で寝た方がいいかな? --Freeway Fighter--

 

【技術点9/10 体力点30/31 運点9/11】 【火力点10/10 装甲点28/31

 

 俺はダッジ・インターセプターをその場でスピンさせ、敵のジープに相対した。ロケットランチャーを使うか?いや、まだ早い。これはオードブルに過ぎないんだからな。一撃必殺武器は、もっと強敵のためにとっておくべきだろう。俺は助手席のアンバーに「ベルトを締めろ!」と怒鳴ってから戦闘機動に入る。さあ、機関砲をくらえ!

 

【ジープ 火力点9 装甲点14】 (車輌戦)

1R (ジープ/16)(インターセプター/16) Draw

2R (ジープ/17)(インターセプター/21) ジープ/装甲点-6

3R (ジープ/14)(インターセプター/17) ジープ/装甲点-3

4R (ジープ/17)(インターセプター/18) ジープ/装甲点-1

5R (ジープ/13)(インターセプター/18) ジープ/装甲点-2

6R (ジープ/19)(インターセプター/19) Draw

7R (ジープ/16)(インターセプター/17) ジープ/装甲点-4 ←Destroy!!

 

 オフロードらしいすばしっこい走りにてこずったものの、大した損害もなく、俺は「呪いの野犬」の斥候部隊を片付けた。事前に整備しといてよかったぜ。アンバーのはしゃいだ声が聞こえる。

 

アンバー「なんてすごい車なの!これなら奴らと相手できる!!」

リッキー「ちょっと待てよ。『呪いの野犬』の撃滅なんて、それは俺の仕事じゃないぞ・・・」

 

 まるでレールに沿ったような運命の成り行きに、いささか焦りを覚えて抗弁する。冗談じゃない、誰だって--あの最悪の文明崩壊を生き延びた--自分の命は惜しいんだ。わかるだろう?

 だが彼女は俺の腕をぎゅうっとつかんで睨み返してくる。

 

アンバー「まだわからないの?」

リッキー「なに?」

アンバー「私の町サン・アングロは、あいつらに封鎖されているの。あなたが作物種子を届けたければ、あいつらを倒すしかないのよ!」

リッキー「こっそり囲みを突破してサン・アングロに忍び込むことはできないのか?」

アンバー「それで作物種子と石油1万リットルを交換して、あなたはその、石油を満載したタンクローラーをどうするつもり?」

リッキー「あっ・・・」

 

 俺は言葉に詰まる。確かに今のダッジ・インターセプターのスピードなら、奴らの封鎖線を突っ切ることもできそうだ。俺はそれだけの運転ができる自信もある。

 しかし問題はその後。

 ニュー・ホープが待ち望む石油1万リットルは、この車では運べない。巨大なタンクローラーで運搬しなければならない。

 だが『呪いの野犬』が町の外で待ち構えている以上、サン・アングロを出発して、そんなバカでかい車を見逃してくれるわけがない。俺の運転技量をもってしても、鈍重なタンクローラーでは・・・

 悔しいが、テキサス娘の方が利口だ。

 

アンバー「今ならまだ戦力は集中途上だわ。奴らを潰すチャンスは今しかないの、わかる?」

リッキー「ああ。たしかにそうだ」

アンバー「それに・・・」

リッキー「それに・・・なんだ、おい、ちょっと待てよ!!」

 

 アンバーはいきなり整備用オーバーウォールをもそもそと脱ぎだした!

 おいおい、さすがの俺もいきなりでうろたえる。だが下着姿になった彼女が見せた物は、自分のオーバーウォールの裏側にびっしりと縫い付けられた・・・

 

アンバー「それに私は、破壊工作用の道具も持ってる!」

リッキー「高性能爆薬!ニュー・ホープでは1500クレッドはするぞ!あんた、こんなにたくさん、どこで?」

アンバー「サン・アングロには旧合衆国軍の基地もあったから、パトロール隊は全員これだけ装備しているわ。美味しいプディングにたかってくるハエどもを吹き飛ばすためにね」

リッキー「大したもんだ・・・」

 

 俺はプランを修正する。北米最凶のカー・ギャング集団にたった1台で殴りこむのは無謀でしかない。だが、これだけの爆発物があれば、たしかに何とかなるかもしれない・・・

 

アンバー「お願いよリッキー。力を貸して。これはあなたの町のためにもなることなの」

リッキー「わかった、わかったよ!」

 

 俺は両手を上げて降参のゼスチャーをした。まったくテキサスの女ときたら!

 

リッキー「一枚乗るよ、でっかい肝っ玉だぜ、あんた」

アンバー「元インディ・パイロットのあなたにそこまで言われるなんて、ほんとうれしいわ!!」(太陽のように破顔一笑)

 

 おまけに男のオダテ方まで知ってやがる。やれやれ、悔しいが完全に相手のほうが上手だな。

 さあ、そうとなれば話は早い。

 俺は付近の地理に詳しいアンバーの指示に従い、ダッジ・インターセプターを道路から見えない位置まで走らせる。岩陰に車を停め、エンジンを切った。

 ここで夜まで待つのだ。奴らのアジトに侵入して車に爆弾を仕掛けるのは、完全に暗くなってからだ。あと5時間くらいか・・・

 

アンバー「仮眠をとっておくといいわ。その前に、これを飲んで力をつけましょう」

 

 とか言いつつ、アンバーは着直したオーバーウォールのポケットをごそごそする。

 だが運試しはだった。「あら!」アンバーはいきなりクスクス笑い出す。彼女が言うには、精力増強剤はポケットの大きな穴からどこかに落ちてしまったのだ。

 

アンバー「しょうがないわね、さっさと寝ましょう」

リッキー「精力増強剤って・・・あのなあ!」

アンバー(まったく聞き耳もたず)「ねえこの車、毛布ある?ああ、あった!」

リッキー「 ・・・ ・・・ ・・・ 」

アンバー「・・・なによいきなりジロジロ見て?」

 

 負けっぱなしは癪に障る。ちょっと反撃してやれ。

 

リッキー「俺は外で寝た方がいいかな?」

アンバー「あら!私の知ってるリッキー・スチュアートは、とても紳士だったわ」

リッキー「今は文明崩壊後だぜ。俺がどう変わったか、わからんぞ?」

アンバー「でも私は知ってるわ。5年前・・・テキサスで・・・」

リッキー「5年前?俺がレース初めて3年目のとき???」

アンバー「フォートワースのサーキット、予選終了後のファンイベントで、あなたはとても素敵な対応をしてくれたわ。まぶしい笑顔でやさしく握手。まだ中学生のアンバーお嬢ちゃんにサインしてくれた後、なんて言ってくれたっけ?」

リッキー「す、すまんが覚えてないな」

アンバー「確か“ママの言う事聞いて素敵なレディになるんだよ”とかなんとか・・・」(ぺちゃくちゃぺちゃくちゃ・・・)

 

 はいはい、わかったよ。完全に地雷を踏んだので、俺はこれ以上深入りしないことにした。

 そして彼女に背を向けて毛布にくるまり、雑音を遮断する。

 5時間後は・・・戦場だ・・・。

 

 

 

サウンド・オブ・サイレンス --Freeway Fighter--

 

【技術点9/10 体力点30/31 運点8/11】 【火力点10/10 装甲点28/31

 

Hello darkness, my old friend

 I've come to talk with you again

 Because a vision softly creeping

 Left its seeds while I was sleeping

 And the vision that was planted in my brain 

 Still remains・・・

 

 何だ?大昔に流行ったメロディが聞こえる???

 きっかり5時間後に俺は目が覚めた。歌っていたのは助手席にいたアンバーだった。フロントガラスを隔てて漆黒の闇夜に向かい、小じんまりと座って低い声で歌っている。俺は彼女の後を継いで口ずさんだ。

 

リッキー「・・・within the Sound of Silence・・・」

アンバー(ハッとして)「あ、あらリッキー、起きたの?」

 

 慌てた様子なのは、起きているのが一人になって急に不安が襲ってきたところを、見られたくなかったんだろう。俺と違って戦いの場数を踏んでいないから、たぶん緊張で眠れなかったにちがいない。その証拠に両目が充血している。

 だがそれを気にかけて、さらに萎縮させるほどバカじゃない。

 戦ってもらわねば、彼女にも。

 俺たちは持ち物をリュックサックに詰め、『呪いの野犬』のキャンプに向かう。

 空には満月が昇っており足元はよく見える。打ち合わせも終わっているし、これ以上無駄話をすることもない。だからこの付近一帯を支配する音は、砂を踏みしめる自分たちの足音だけ。それ以外には何も聞こえない。

 まさしくサウンド・オブ・サイレンスだ・・・

 

 お互い無言のまま真っ直ぐ東に1時間ほど向かうと、前方の丘に焚き木の炎が見えてきた。アンバーがそっとささやく・・・「連中は丘の上のテントで休んでいるわ。車もあそこにあるはずよ」・・・無言でうなづく俺。

 俺とアンバーは匍匐前進でなだらかな丘をじりじりと登る。丘の上にたどり着くと、焚き火の周囲に何人かの男どもがいて、酒を飲みながらバカ話をしていた。少し離れたところに有刺鉄線が張られており、その中に彼らの戦闘車両が駐車されている。俺はハンドサインでアンバーに合図を送る。うなずくアンバー。そして2人ともそちらのフェンスの方に向かう・・・。

 見張りだ!

 予期しない方向から突然現れた人影に反射して、俺はパッと岩陰に身を隠した。だがアンバーは不慣れなので小石を蹴飛ばしてしまった。あっと悲鳴を上げそうになって、彼女は自分で自分の口を押さえる。

 カラコロと誰にでも聞こえる音が闇夜のしじまに響き渡る!!

 ・・・だが運試しはだ。タイミングよく焚き火を囲んだ男たちがどっと笑ったおかげで、この音は見張りに聞こえなかった。ほっと胸をなでおろし、彼が歩み去るのを十分に待ってから、俺らはフェンスにたどり着くことができた。

 

 ここには『呪いの野犬』の戦闘車両のうち、8台が停められている。サン・アングロを封鎖している先発隊のものだ。

 しかし有刺鉄線はかなり密に廻らされており、隙間を潜り抜けるのは難しそうではある。だったら、そうか、こいつを使えばいいんだ・・・

 俺は胸ポケットからペンチを取り出す。以前、ロックビルの空き家で見つけて手に入れたアイテムだ。そいつを使ってパチ、パチ、と針金を切り、十分な大きさを開けた。

 こうして俺とアンバーは難なく駐車場の中に入れた。

 ここまできたら、やることは一つだ。アンバーはリュックの中から高性能爆薬を取り出し、俺がしっかりわかるように、無言でゆっくり車のエンジン下部に取り付ける。そして俺を見る。OK?と目が訴えている。

 OKOK! さっさと半分よこせ、手伝ってやるよ。俺も一緒に高性能爆薬を取り付けて時限信管をセットする・・・

 さあこれで全部の車に仕掛け終わったぞ。さっさとずらかれ!

 作業を終えた俺らは急いで駐車場を離れて丘を這い降りる。そして十分離れたところで立ち上がり、あとは一気にダッジ・インターセプターまでダッシュだ!そのとき!!

 

 ドズウウウウウウン!!

 

 腹の底に響くような爆発音が聞こえてきた。さらには荒くれ野郎どもの罵声も!

 

 ドズウンンン!・・・ドズウウウンン!・・・

 

 立て続けに聞こえてくる爆発音。2つ、3つ、4つ・・・しかし、音は7つで止まった。

 

アンバー1つ不発だわ!」

 

 アンバーが悔しそうに叫ぶ。次に聞こえたのは、威嚇するかのようなクラクションの音だ。振り返ると炎の中から、二条のヘッドライトの明かりが走り出てきた。生き残った1台が俺らに迫ってくるのだ!追いつかれたらあの車の機関銃で木っ端微塵だぞ!

 走れ!!走れ!!!

 俺とアンバーは必死で闇の荒野を駆け抜ける。ここで『現在の体力点は10点以上あるか?』だと?・・・それは大丈夫!

 何とか俺らはあの車に捕捉される前に、ダッジ・インターセプターを停めていた場所までたどり着いた。拡声器を通じて夜空に怒声が響いてくる。

 

カー・ギャング「止まれ!アニマル様からは誰も逃げられんぞ!!」

 

 腐ったアヒルのようなダミ声は何度も繰り返され、徐々に近づいてくる。確実に俺らの跡を追跡できているようだ。

 そして俺がダッジ・インターセプターに乗り込み、ハンドルを握った瞬間・・・

 

 追っ手の車が姿を現した!

 

 

 

ラムが突き刺さった! --Freeway Fighter--

 

【技術点9/10 体力点30/31 運点7/11】 【火力点10/10 装甲点28/31

 

 どうやらあの車に搭乗しているのは首領のアニマルのようだ。急いでエンジンをかけ、分厚い装甲を誇る車に立ち向かう。ヘッドライトに照らされたのは、前部に尖がったラム(衝角)を取り付けたステーション・ワゴンだ。

 しかもそのラムの横には機関砲がありドガガガガ・・・!!情け容赦なく火を噴いてくる。

 俺は急ハンドルを切って火線を回避した。クソ!あまりに至近距離なのでロケットランチャーは使えない。何とかこの場をしのげ!

 

【ステーション・ワゴン 火力点10 装甲点19】 (車輌戦)

1R (ワゴン/15)(インターセプター/22) ワゴン/装甲点-2

2R (ワゴン/18)(インターセプター/21) ワゴン/装甲点-3

3R (ワゴン/18)(インターセプター/12) インターセプター/装甲点-2

 

 まるで馬上の槍騎士の決闘のように、ぐるぐると回りつつ、近づいては離れながら機関砲を撃ち合う俺とアニマル。だが俺の方が運転技術は一枚上手だ、もう一発、機関砲をくらえ!!

 

アンバー「だめ、避けて!」

リッキー「なにいぃ!」

 

 俺が射撃に移ろうとして、一瞬車を停止させたのを、アニマルは見逃さなかった。

 グオオオン!突然、ステーション・ワゴンは砂埃を上げて特攻を仕掛けてくる。長さ5mはあろうかという凶悪な衝角で俺のインターセプターを串刺しにするつもりなのだ。

 キイイイイ!俺は射撃ボタンを押すのを取りやめ、鋭くハンドルを切る。奴の進行方向から外れようとするが・・・間に合うかっ?

 

 (ここで技術点チェックは成功!)

 

 運転席のドア目がけて突っ込んできたステーション・ワゴンは、俺の機動のおかげでほんのわずか狙いが狂った。

 

アンバー「キャアアアアア!」

リッキー「口閉じろ、舌噛むぞっ!!」

 

 次の瞬間、ガアアァァァン!大きな音とともにダッジ・インターセプターが大きく揺らぐ。ガクンガクンと鞭打ちになる寸前まで脳みそが揺さぶられる。

 莫大なエネルギーの鉄塊は、わずか1m外れた後部座席に衝突したのだ。「ガハハハハ!」と猛り狂った笑いを拡声器で流すアニマル。だが・・・

 ブロロロ・・・ブロロロロロ・・・!!!

 ステーション・ワゴンは、バックしてもう一度衝突を仕掛けようとするが、動かせない!ダッジ・インターセプターに密着したままだ。ラムは俺の車にあまりにも深く突き刺さったため、抜けなくなってしまったのだ!!

 「ちいっ!この間抜け車があっ!」アニマルのイラついた声が聞こえる。

 

リッキー「アンバー、大丈夫か?」

アンバー「え、ええ。ちょっとクラクラするけど・・・これからどうするの?」

リッキー「さあな、相手の出方次第だ・・・」

 

 アニマルも、俺も、動けない。千日手の睨み合いだ。俺たちは固唾を呑んで相手の言葉を待つ・・・。

 やがてアニマルは車を降りた。周りには生き残っている4人の手下も率いている。

 その牡牛のような体は怒りに震えているのがヘッドライトを通して確認できた。彼は顔にホッケーマスクをはめており表情はわからない。だが、たぶん人間離れした容貌なんだろうな。あの恐ろしい声からすると・・・

アニマル「さっさと出て来い、俺とサシで勝負しようじゃねえか!それともこの場で蜂の巣になるか、貴様の道は2つに1つだぜ!!」

 

 そう、ここで、11の決闘か、全員での射撃戦か、俺の選べる道は2つに1つだ。

 

 (1)決闘を選ぶか?

 (2)射撃戦を選ぶか?

 

リッキー「やれやれだな」

アンバー「ど、どうするの?」

リッキー「ま、アクション映画なら、ヒーローはボスと決闘するストーリーなんだろうがな・・・」

 

 これは映画じゃない。

 文明崩壊後は落ちぶれて酒場の用心棒暮らしをしていて、それなりに拳には自信がある。だが、あのターミネーターのようなアニマルとサシで殴り合って勝てるとは思えない。

 俺はホルスターにしまっていたマグナムを引き抜く。こいつを使えば射撃戦時に技術点+1なんだ。射撃戦の方が奴を確実に倒せる・・・かもしれない・・・。

 

リッキー「俺がドアを開けて転がり出たら、あんたは正反対の方向へ逃げろ」

アンバー「何言ってるのよ!あなたは十字砲火でチーズみたいに穴だらけになるわ!!」

リッキー「だけどあの筋肉男とのタイマンよりかは、チャンスがあるぜ?」

アンバー「・・・もっとチャンスを上げられるわ」

リッキー「なんだって?」

 

 アンバーは散弾銃をジャキッと構え、引きつった笑みを浮かべて、こう言い放った。

 

アンバー「あたしが半分引き受けるの」

リッキー「おいおい、正気かい?」

アンバー「・・・本気」

 

 緊迫した一瞬の視線の交錯。そして、やっぱり、ここでも俺が負けた。

 

リッキー「・・・わかった」

アンバー「どうすればいい?」

リッキー「ルールは簡単。右半分の2人は君に任せた。さあ行くぞ!」

 

 Let's MOVE!!

 俺は左フロントドアから、アンバーは右フロントドアから、お互いに反対方向へ飛び出した!

 すると4人の手下が構えていたサブマシンガンが、待ってましたと言わんばかりに、いっせいに射撃を開始する!!

 

 

 

野獣を倒した魔法のスパナ --Freeway Fighter--

 

【技術点9/10 体力点30/31 運点7/11】 【火力点10/10 装甲点26/31

 

 左フロントドアからパッと飛び出すよう・・・に見せかけて、俺は開いたドアを遮蔽にしつつ、ダッジ・インターセプターを取り囲むように接近していたカー・ギャングの左半分2名を相手にする。1人はサブマシンガンを乱射している屈強そうな男、もう1人はリボルバーを構えた中年女だ。

 この射撃戦は12になる。つまり、敵はそれぞれ射撃してくるが、俺の方は攻撃力が勝っていたとしても、1名だけしか傷つけられないのだ。そして2回以上ダメージを負うと技術点-1になる。けっこうきついペナルティだが・・・

 戦わねば生き残れない。まずは手ごわそうな中年女からだ!!

 

【呪いの野犬1 技術点7 体力点13】 (射撃戦)

【呪いの野犬2 技術点8 体力点14】 (射撃戦)

1R 呪いの野犬2を指定 (呪いの野犬1/15)(呪いの野犬2/14)(リッキー/18

   呪いの野犬2/体力点-3

2R 呪いの野犬2を指定 (呪いの野犬1/15)(呪いの野犬2/10)(リッキー/19

   呪いの野犬2/体力点-5

3R 呪いの野犬2を指定 (呪いの野犬1/13)(呪いの野犬2/16)(リッキー/22

   呪いの野犬2/体力点-6 ←Kill!!

 

 バスン!バスン!バスン!

 俺は3連続で手っ取り早く女の胸にマグナム弾を叩き込む。頬に蝶のタトゥーを刻んでいた女ギャングは、ぐんにゃりとその場で崩折れてしまった。

 それから間髪入れずジャララッとシリンダーに銃弾を補充する。残ったもう1人も、速やかに地獄へ墜としてやるために!!

 

4R (呪いの野犬1/14)(リッキー/18) 呪いの野犬1/体力点-2

5R (呪いの野犬1/17)(リッキー/17) Draw

6R (呪いの野犬1/18)(リッキー/16) リッキー/体力点-6

7R (呪いの野犬1/14)(リッキー/16) 呪いの野犬1/体力点-1

8R (呪いの野犬1/16)(リッキー/18) 呪いの野犬1/体力点-5

9R (呪いの野犬1/11)(リッキー/17) 呪いの野犬1/体力点-5 ←Kill!!

 

 左脚に1発の銃創を受けたが、俺の方が修羅場を潜り慣れていた。情け容赦なくサブマシンガンの男にも的確に射撃を命中させて、奴を絶命させる。

 そしてそれと同時に、アンバーのショットガンがドォォォン!と鳴り響く、その後に続くのは断末魔のうめき声。彼女もまた、右半分のカー・ギャング2名を永遠の眠りに送り込んだのだ。

 なるほどね、これだけ暗い夜なら、狙いをつけなくてもある程度命中が期待できるショットガンの方が、有利なわけだ。

 彼女は俺のピュー♪という感嘆の口笛に気づき、視線を向けて笑顔でVサインを送ろうと・・・して、驚きの表情に変わる!!

 

アンバー「リッキー、後ろ!」

リッキー「え・・・!!」

 

 ガツーン!!

 いきなり、ハンマーで殴られたような衝撃が後頭部に走る。俺は地面に叩き伏せられた。何がなにやらわからないままに大きくて重い塊がのしかかってくる!

 

アニマル「よくも俺の女を!もう許さねええぞおおお!」

 

 月の光を浴びる雄牛のような肉体。アニマルだ!奴は射撃戦の間、ダッジ・インターセプターの上面装甲に飛び乗り、じっと襲い掛かる機会を覗っていたのだ。

 『呪いの野犬』のヘッドを勤める上半身裸の筋肉男は、ホッケーマスクを被り、膝まで届くブーツ、そして革の手袋をはめた生粋のストリート・ファイターだ。

 たぶん俺が撃ち殺した中年女が愛人だったんだろう。怒りに任せてギリギリギリ・・・と俺の首をへし折ろうと羽交い絞めにしてくる。必死に身体をよじって逃れようとするが、まるでプレス機に挟まれみたいにびくともしねえ。

 なんて力だ!息ができない!!体力点-2だ。

 

リッキー「ぐ・・・は・・・!」

アニマル「今すぐ楽にしてやるぜェ!」

アンバー「待ってて、今、助けるから!」(がしゃっとショットガンを構える)

リッキー「バカヤロウ!俺ごと吹っ飛ばす気か!!」

 

 血相を変える俺。アンバーは間違いに気づき、すぐにダッジ・インターセプターの車内をあさって、何か他の手段を探し始めた・・・がさごそ・・・そしてなにやら光る物を手にして戻ってきたぞ。

 そう、それだ、スパナ!奴の頭を思いっきりぶん殴れ!

 ここでランダムに1d6を振る。結果の出目は1だ。すると・・・ガキン☆

 頭に衝撃が走る。なんと俺の方が体力点2を失った。アニマルは俺の頭をアンバーの下に動かしたのだ。だから巻き添えで彼女が振り下ろしたスパナをモロにくらってしまった。俺は頭から鮮血を流しながらギロッと彼女を睨む。

 

リッキー「・・・て、め、え!」

アンバー「ごめん!今度はちゃんと当てるから!!」

 

 もう1回、1d6だ。結果の出目は4。今度は・・・

 ゴキイィィン!!

 さっきよりも、もっとすさまじい音が響く。そして俺を締め上げていた鬼のような力がすうっと消えていった。アニマルはスパナの直撃を受けてぐったりとなってしまったのだ。

 

リッキー「ゴホッ、ゲホッ・・・」

アンバー「リッキー、大丈夫???」

リッキー「つ・・・みに・・・」

アンバー「え?」

リッキー「俺の積荷は無事か、って聞いてるんだ!!」

アンバー(気迫に押されて)「あぁ、はいはい、無事だわ、大丈夫よーー!!」

リッキー「ふううううう・・・」(へなへなと大の字になって寝っ転がる)

 

 ステーション・ワゴンのラムは際どいところでリアトランクをかすっていた。俺が運んできた作物種子は危ないところで無事だったのだ。それはよかった、なによりだ・・・。

 そしてここからは後始末。

 アンバーはテキパキと鉄の鎖でアニマルを縛り上げ、さらに手錠をかける。どっちも俺が今回のドライブで手に入れていたアイテムだ。手足の自由を完全に奪ってから、奴を俺の車の後部座席に放り込んだ。サン・アングロで処刑するために。

 ダッジ・インターセプターをどうにかステーション・ワゴンから引き離したときには、すでに東の空は白んでいた。

 俺は暖かい朝の日差しを浴びながら、南に車を走らせる。もうサン・アングロまで・・・邪魔するものは何も存在しない!

 

 

 

サン・アングロ到着!しかし・・・ --Freeway Fighter--

 

【技術点9/10 体力点20/31 運点7/11】 【火力点10/10 装甲点26/31

 

 こうして俺はついにサン・アングロへとたどり着いた。

 

 鋼鉄のゲートが重々しく開き、最後まで油断せず、ゆっくりとダッジ・インターセプターを進める。そこに待ち受けていたのは・・・驚くほどたくさんの住民だ。

 彼らは俺を熱狂して迎え入れてくれた!!

 文明崩壊後の今は、重さが砂金と同等ともいえる作物種子が厳重に引き渡される。そしてそのあとは盛大な歓迎会、さらには人々に頼まれてのスピーチ・・・

 

リッキー「あー、どうも、なんていうか・・・」

住民たち「リッキー!リッキー!」

住民たち「これで今年の冬は飢えに怯えないですむ!」

住民たち「アニマルをこっちに運べ、『呪いの野犬』の首領を吊るし上げろ!!」

アニマル「よせええ・・・やめろおおおおお!!!」

リッキー「お、おいおい、リンチはちょっと」

 (がき!どごっ!ぐしゃ!・・・そして晒された生首)

住民たち「ありがとう!あんたは町の英雄だ!」

 

 あー、まあ、いいか・・・。

 数々の歓声と羨望のまなざし。レースから離れてすっかり忘れていたな、こういう照れくささは。

 こうしていろいろな歓待を受け、人々に外の様子を聞かせるうちに、あっというまに1日が過ぎてしまった。

 英雄として手厚くもてなされた俺は、できうる限りの治療と、いちばん快適な部屋でゆっくり熟睡できるボーナスも与えられた。技術点+1に体力点+4だ。

 俺は全てのストレスから解放されて、眠る。ゆっくりと安らかに。今度は石油1万リットルをタンクローリーに載せてニュー・ホープに運ばねばならないが、そんなことも忘れて・・・ZZZZ・・・

 

 ドキュウウン!!

 

 銃声だ!

 そして翌朝、惰眠をむさぼっていた俺は部屋で飛び起きた。建物を出る。サン・アングロの街路は煙が立ち込めて騒然としていた。

 ちょうどよいタイミングで、ショットガンを手にして緊張した面持ちのアンバーが通りかかった。俺は呼び止めて何が起こったのか聞いてみる。

 

アンバー「『呪いの野犬』の残党よ!町を襲撃してきたの!!」

 

 俺は舌打ちする。

 やはり、やりすぎだったんだ。

 リンチで殺害して外門に掲げられた首領のアニマルの生首が、不必要に奴らを刺激してしまったのだ。復讐の念に駆られたカー・ギャングが外壁に押し寄せてきている。奴は思いのほか手下に慕われていた、というわけか。

 俺は防御壁の上に立ち、外の様子を覗う。ドゴオン!バガアアンン!カー・ギャングどもはひっきりなしに外壁を射撃して突破口を開けようとしている。拳銃弾、ライフル弾、そしてロケット砲弾・・・ありとあらゆる武器を駆使しているが、さすが製油所があるサン・アングロ。俺のいたニュー・ホープよりも構造は堅固だ。

 これなら何とか持ちこたえられそう、と思った矢先、俺は奴らが走らせている1台の車に目を留めた。

 それはゲート目指して突っ込んでくる。何の変哲も武装もない、ただの小型トラック。だが、その荷台に満載されている1ダースほどのドラム缶に書かれた字は・・・

 ニトログリセリン・・・だと!!

 「止めろ、あの車を、止めろーっ!!」俺はマグナムを引き抜き、射撃する。

 俺の警告の叫びで襲撃者が採った戦法を理解したサン・アングロの警備隊も、次々と手持ちの火器で小型トラックを射撃する。バンバンバン!ガスッ!!運転席が十字砲火を浴びて真っ赤な鮮血で染まる。しかし絶命した運転手はそのままアクセルを踏みつづけ・・・

 

 ぴかっ・・・ズガアアアアンンン!!!!

 

 とっさに口を開けていなければ鼓膜が破れていたに違いない。それだけの大音響とともに、鋼鉄のゲートは木っ端微塵の破片となって吹き飛ばされた!

 そしてようやく開いた突破口に、わらわらわらと『呪いの野犬』の残党どもが殺到する!

 怒号、悲鳴、略奪の雄たけび、その他もろもろの、ありとあらゆる悪いこと。俺はそれを防御壁の上から眺めつつ、次にどうすればいいか考えるしかない。

 今やサン・アングロは完全な市街戦状態になっている。どうする?どうすればいい??

 

リッキー「後退しろ、建物の中に入って反撃するんだ!!」

 

 技術点チェックは成功!俺がとっさに発した指示に、住民たちがパッと振り向く。

 しーん・・・一瞬生じた空白の間・・・ここに・・・

 「みんな、リッキーの言う通りにするのよ!!」と、すかさずアンバーが入り込んだ!

 これで住民の大半は、何がなにやらわからぬまま、牧羊犬に追われる羊のように、近くにある建物になだれ込んでいく。

 よし、うまくいった、ここからだ!

 徐々にではあるが、戦闘秩序が整いつつある。

 アンバーをはじめとしたサン・アングロの警備隊が、建築物を遮蔽として反撃を開始する。もちろん、俺もそれに加担して23人片付けた。

 こうなれば人数の多い方、すなわち俺らの方が有利だ。一つ一つ、敵がこしらえた拠点を潰していけばいい。

 だが、激しい銃撃戦が展開される中、モヒカン頭の黒人のカー・ギャングが群れを離れて、1台のタンクローリーに走り寄るのを確認する。

 あのタンクローリーは、俺がニュー・ホープに乗って帰るはずのものだ!

 俺は男に向けてマグナムを乱射するも、奴はジグザグに走って回避しつつ、タンクローリーの運転席までたどり着いてしまった。

 このままではタンクローリーが、ニュー・ホープの希望が、持ち去られてしまう!!

 

リッキー「アンバー、援護しろ!!」

 

 俺は降り注ぐ銃弾の嵐の中、タンクローリーに向かって突進した!

 

 

 

さらば、ダッジ・インターセプター --Freeway Fighter--

 

【技術点10/10 体力点24/31 運点7/11】 【火力点10/10 装甲点26/31

 

 俺はできる限り頭を低くしてタンクローリーに向かう。キイン!キイン!コンクリートの地面に跳弾の音が響く。だが俺は幸運にも無傷で弾丸の雨を潜り抜けた。

 だが間に合うかどうか微妙なところだ。すでにタンクローリーのエンジンはアイドリングを始めている。俺がパッとドアの取っ手に飛びつくと、すでに運転席にいたモヒカン頭の黒人カー・ギャングは、銃を抜こうとしている!

 だが、奴の技術点は6だ。俺よりも低い!!

 至近距離にある銃口に怯むことなく、俺はとっさに奴の腕を逆手にとり、関節を容赦なく締め上げた。ボキリ。鈍い音とともに腕はあり得ない方向に曲がり、拳銃がカランと地面に落とされる。

 「ぐあああああ!」たまらずモヒカン頭は悲鳴を上げる。ほらほら、やんちゃはおしまいだ。早いとこ車から降りろ!

 俺は襟首をつかみ、運転席から男を引きずり出す。ドサッと地面に投げ飛ばされ、よろよろと立ち上がるカー・ギャング。しかしタンクローリーから離れることになったこいつは・・・バン!バン!バン!バン!・・・サン・アングロの警備隊の威嚇射撃を受け、速やかに両手を上げて降参した。

 

モヒカン頭「た、助けてくれ、命だけは!」

リッキー「そいつはアンタの行い次第だ。仲間にも降伏するように伝えろ!」

アンバー「サン・アングロは、何者にも屈しない!」

モヒカン頭「わ、わかったよう・・・」

 

 どうやらこいつは「呪いの野犬」の残党の中でもリーダー格だったらしい。こいつが捕虜になったのを見て、他の襲撃者どもも攻撃をやめ、じわじわと後退し始める。そして最後は散り散りになって街中から引き上げて行くのだった。そして・・・

 

 <<<歓声!>>>

 

 サン・アングロの住民が俺の周りに群がり、口々に感謝の言葉を述べる。俺は英雄扱いだ。なかなか居心地のいいことになった。ここで暮らすのもいいかな・・・。

 いやだめだ。ニュー・ホープの連中が、ここにある石油1万リットルを待ちわびている。プロなら最後まで仕事をやり遂げないとな。

 次の襲撃がこないうちに、俺は早々にこの町を離れることを町長に告げた。

 

町長「それはまた急な・・・」

リッキー「申し訳ない。ですが、腹を空かせた雛鳥たちが待っているんでね」

町長「ニュー・ホープの?」

リッキー「ええ。しょうもないやつらですが、渡り鳥の俺を受け入れてくれた、巣ですから」

町長「・・・グッド・ラック」

リッキー「・・・ありがとう」

 

 俺はにっこりと笑う。このレースをスタートして、始めてリラックスして笑顔を作れたような気がする。そしてさっそく、タンクローリーに乗り込んだ。

 バスン、バスン、バルルルルルル・・・

 腹の底から響くような低いアイドリング音。久しぶりに大型車を動かすが、まあ扱えないわけじゃない。今までのダッジ・インターセプターのように身軽にはいかないがな。

 ・・・って、ああ、そうだ!!

 

 あの車、どうしよう!?

 

 ここまで俺と苦楽を共にしてきた戦友、ダッジ・インターセプターは、ぽつーんと駐車場の片隅にある。なんだか「捨てられちゃうの?」と心細そうに尋ねているような気がした。

 すると、俺の視線に気がついたアンバーが・・・とさっ。タンクローリーが動き出さないうちに、フロントドアにとっつかまる。

 そして開いた窓から、けたたましいアイドリング音に負けず劣らずの金切り声で、こう叫ぶのだった。

 

アンバー「あたしが乗りこなすわ!」

リッキー「なんだって?」

アンバー「いいでしょ、キーをちょうだい!!」

リッキー「じゃじゃ馬が跳ね馬を乗りこなすのか?」

アンバー「あなたみたいになりたいの!」

 

 ははは、そこまで言われちゃな!

 最後の最後まで、彼女には勝てなかった。俺は観念するとダッジ・インターセプターのキーを彼女に手渡す。そして、パン!パン!パァン!と、ハイタッチ!

 

アンバー「あんた、嫌いじゃなかったわ・・・」

リッキー「ああ、俺もだ。あばよ!」

 

 グロロロロロロ・・・

 身軽に飛び降りたアンバーを確認し、住民の歓声をバックにしつつ、俺はアクセルを踏んだ。石油を満載したタンクローリーは、巨象のようにゆっくりと動き出す。

 感傷的なことは嫌いな俺も、思わず窓から顔を出して親指を上げる。アンバーが、やっぱり太陽のような笑顔で、千切れんばかりに手を振っていた。

 さらば、サン・アングロ!さらば、ダッジ・インターセプター!!

 

 おお!なかなかの加速じゃないか。

 サン・アングロの町長が貸し出してくれたタンクローリーは、しっかりと整備されていて好調なエンジン音を発している。あっという間に沙漠の北端まで到達し、ここで護衛車と別れた。

 さあ、また一人旅だ。

 だけど、ここに来るまでしっかりしたチャートシートを作っていたから、行きと違って帰路は楽なもんだ。危ないところは迂回して、そうでないところは、真っ直ぐ北へ。ひたすらニュー・ホープ目指して走り抜ければいい。

 そして何よりもうれしいことは、ガソリンの心配が要らないということだ!

 

 こうして何事も起こらないまま、俺は1日中ドライブを楽しむ。

 だが、すでに日は暮れた。どこかで睡眠をとる必要があるな・・・。

 そう考えているうちに、以前、危うくダッジ・インターセプターに火をつけられそうになった、呪われたドライブインが見えてくる。

 二度と同じ間違いはしないぞ。俺はしっかりとその場所を記録していたので、迷うことなく通過。そのときチラッと見たが、あの狂信者の爺さんはまだ生きていた。

 んん?何やってんだ?

 今度はネズミたちに芸を仕込んでいるみたいだが・・・?

 まあ、いいか。そこから数km離れた地点で、俺は運転席で仮眠をとることにしたのだった。

 

 

 

ハエを轢き潰す --Freeway Fighter--

 

【技術点10/10 体力点24/31 運点7/11】 【火力点-/- 装甲点-/-】

 

 俺は神経を尖らせたまま、車内で仮眠をとる。

 ついでに治療薬も1個消費して体力点+4手榴弾トラップに引っかかっただの、ガラガラヘビに噛まれただの、スパナでぶん殴られただの、いろいろあった俺の身体も、ニュー・ホープまでこれで何とかもちそうだ。やれやれだぜ!

 あくる朝、日の出とともに俺は出発する。相変わらず快調な唸りを上げるタンクローリー。うまくいけば明日にはニュー・ホープだ。

 だが・・・1時間ほど走ったところで・・・やっぱり来やがったか・・・

 

 半ば覚悟はしていたことだ。

 サイドミラーが2台の戦闘用バイクを映し出したのだ。もちろん、ニュー・ホープのものでも、サン・アングロのものでもない。純粋に・・・敵だ。まるで自分も機械の一部になったかのように、タンクローラーに備え付けられた、機銃の発射安全スイッチをOFFにする。

 腐った果物にたかるハエの如く、バイクは蛇行しながらも距離を詰めてきた。カー・ギャングどもは両方とも片手でクロスボウを構えている。

 このタンクローリーの武装は無線操作型の回転機銃だ。こいつで威嚇射撃して追っ払うか?いや、無駄だろう。なんたって俺が運んでいるのは、何百万クレッドの価値がつくくらいの貴重な石油1万リットル。あきらめてくれるとは思えない。

 だったら・・・そうだ、もう少し・・・もっと・・・近づいて来い!!

 俺は舌なめずりをして奴らを待ち構える。

 

 ブォン!ブォン!ブロロロ・・・!!!

 ついに戦闘距離に達した瞬間、2台の戦闘用バイクは左右に分かれ、タンクローリーの横に並んで走るフォーメーションをとる。

 そしてそれぞれが、タンクローリーの前輪にクロスボウを射ってきやがった!

 ダダダダダダ!奴らが射撃のため無防備に直進した瞬間を逃さず、俺は左の戦闘用バイクに回転機銃の一撃を見舞った。技術点チェックの出目は4、成功だ!

 機銃掃射を浴びてバイクの運転手は即死する。左側のバイクは道路脇の樹木に激突して炎上した!

 だが、彼も無駄に死んだわけではない。

 絶命間際に放ったクロスボウボルトは、タンクローリーの前輪を貫いていたのだ。

 がくん!ガク、ガク、ガガガガ・・・!!

 まずい!パンクしたタイヤに引きずられ、タンクローリーは大きく蛇行し始める。

 くそ!横転だけは、横転だけは避けないと!爆発炎上したらお陀仏だ!!

 俺はパニックで急ハンドルを切ることなく、必死にブレーキを調節して、何とかこの場を乗り切った。どうにか体勢を立て直し、道路上でタンクローリーを停めることに成功する。

 しかしこれ以上は走り続けられない。スペアタイヤをはめ込みにいきたいところだが・・・

 後方には、バイクに乗っていたもう1人のカー・ギャングがいる。奴もバイクを停め、機銃を警戒しつつ一定の距離を開けて、俺が出てくるのを待っている・・・

 

カー・ギャング「さあ、早く出て来い!!」

 

 顔を出したところで、クロスボウで射抜かれるのがオチだ。無視。

 

カー・ギャング「じゃあ、決闘はどうだ?ガソリンは勝った方のものだ!!」

 

 バカかこいつは?そんなことをして俺に何の得があるんだ???

 俺は奴の申し出をことごとく無視して、運転席で神経を研ぎ澄ましてじっと待機することにした。こうなったら根くらべだ。

 じりじりとグレート・プレーリーの太陽が俺たちを照らす。

 10分、20分、30分・・・。くそ、喉が乾いた。早いところあきらめやがれ!!

 (カツン)待て、何だ今の音は??

 (カツン、コツン・・・)俺はサイドミラーをチェックするが、敵の姿が見えない。逃げた?いやちがう、奴はこっそり移動したんだ。

 タンクローリーの上に!!!

 俺は急いでドアを開けマグナムを手にしてタンクローリーの貯蔵室の上に登る。そこにいたのはクロスボウを構えたカー・ギャング!俺が顔を出した瞬間、

 シュバッ!運試しは凶!ドスッ!

 俺の肩にクロスボウボルトが突き刺さった。ダメージは1d6・・・体力点-3かよ。くそ、しかも肩の腱が切れちまった。もうマグナムで狙いをつけられない。

 だが俺にはこの足が残っている。奴が二の矢をつがえるまでに何とかたどり着け!

 

カー・ギャング「くそ、止まれ、貴様!!」

リッキー「うおああああああ!!!」

 

 俺は獣のような雄叫びを上げてカー・ギャングの元に突進する。

 ここで1d6して出目は6。これに怪我の分のペナルティで-1、それに俺の技術点10を加えて、結果は15だ。カー・ギャングも同じように1d6して出目は5。これに奴の技術点7を加えて、結果は12。俺の方が高い。と、いうことは・・・

 こっちが一枚上手だったということさ!!

 パッと身体を入れ替え、バコン!左ストレートをお見舞いしてやった。カーギャングは地面まで突き落とされてノックアウト。背中から落とされて、腰の骨をしたたかに打って動けなくなった。

 この隙に俺は運転席に戻ってキーを回す。エンジンが再び唸りを上げる。タイヤがパンクしていても、10mくらいなら位置を動かせるはずだ・・・アーメン、主の恵みを!!

 地面でノビていたカーギャングは、次に俺が何をするのかを知って、青ざめる。「よ、よせ、やめろ!ぎゃあああああっ!」だが下半身は動かせず、腕をバタバタ動かすだけだ!!

 ぐきっ がきゃ どしゃっ 

 嫌な音を立てながら、全重量20tの巨大タンクローリーは、ゆっくりと前進する。この文明崩壊後の世界に巣食うハエを轢き潰しつつ。ゆっくりと・・・

 

 あとはもう大丈夫だな?

 安全が完全確保されたのを確認してから車を降りる。ふう、これでやっと前輪のパンクの修理ができた。それからさっさと車に乗り込み、ニュー・ホープを目指す旅を再開する。

 

 北へ。ひたすら北へ。

 

 それからの旅は平穏で、一度だけ強盗が襲ってきたが、機銃で追い払う。

 

 北へ。ひたすら北へ。

 

 『帰りの旅の途中でネズミに噛まれたか?』  いや、それはなかった。

 

 北へ、北へ、北へ・・・

 

 ・・・ ・・・ ・・・ !!

 

 見えた!ゴールだ!!

 

 

 

380!そして栄光のチェッカーフラッグ --Freeway Fighter--

 

【技術点10/10 体力点24/31 運点7/11】 【火力点-/- 装甲点-/-】

 

 まったく、誰が用意したんだ、チェッカーフラッグなんて??

 

 重々しくニュー・ホープのゲートが開き、ゆっくりと俺の運転するタンクローリーは町の中に入り込んだ。すでにサン・アングロからの通信で、俺がガソリン1万リットルとともに到着するという連絡は入っている。だからニュー・ホープの連中も、用意周到にお出迎えってわけだ。

 ひらひら舞い散る紙ふぶきや、次々と鳴らされるクラッカー。YOU WIN! RICO!!と書かれた横断幕。そして町民たちの笑顔、笑顔、笑顔・・・

 評議会委員長のベンジャミン・シンクレアのやることに抜かりはない。俺の命がけの旅を素敵なイベントに仕上げて、「市民よ、団結しよう」という腹積もりだ。

 さすが政治家。俺は皮肉めいた笑みを浮かべてタンクローリーを降り、シンクレアとがっちり握手する。

 

リッキー「サン・アングロからの石油1万リットル、確かに渡したぜ」

シンクレア「君は英雄だ、弾丸リコ!」

 

 うわやめろ。熱っぽい抱擁をしてきやがった。

 

シンクレア「持ち帰ってくれた石油は、文明の再興に大きな役割を果たすだろう!!」 

リッキー「(小声で)・・・これであんた、次期の評議会選挙も楽勝だな」

シンクレア「(同じく小声で)・・・少ない元手で大きな利益、これも政治さ」

 

 歓迎セレモニーは絶好調だ。

 ここで青空に飛ばされる鳩と風船。それから指揮者がタクトを振り、ニュー・ホープの市民みんなが合唱曲を歌い始める。俺は知らないが昔はやった歌をアレンジしたらしい。今日という日を記念して、新しく市歌に制定したんだそうだ。

 

 The miles go by  Like water under the bridge

  Reach for tomorrow  With the new sunrise

  The road before us  Leading to what we need

  Right from the start  Follow our hearts

  Giving more than we receive...

 

リッキー「なんて歌だ、これ?」

シンクレアIN THIS COUNTRYだ。1990年代にはやっていた」

 

 'Cause in this country Our hearts are open

  We are free to try again  When we see

  What will be  Again we believe...

 

 なぜならこの国では、俺たちは心を開いた仲間なんだ。

 再び挑戦するのは自由だ。何をすればいいかわかったとき、きっとまた信じ合える か・・・

 

 高らかにエンドレスで響き渡る歌声。

 どこまでも広がる青い空を見上げて、俺は今回のレースを思い出していた。様々な出来事がダッジ・インターセプターに襲い掛かったが、まあ、何とか、生き延びたな。

 ふううううう・・・

 今、俺は生きている!

 そんなことを確認した深呼吸。それから・・・あっ・・・っと。

 ポケットを探り、今、いちばん必要なものがないことに気づいた。

 

リッキー「なあ、誰か、タバコ持ってないか???」

 

【後日談】

 

 こうして俺の活躍により、ニューホープに将来の希望たる石油1万リットルが供給され、生産活動は力強く再開された(そんくらい、自慢してもいいだろう?)。

 評議会委員長のベンジャミン・シンクレアは圧倒的得票差で再任を果たし、彼の卓越した手腕によって、やがてこの町はアメリカ中西部の一大都市として発展していくのだが、まあ、それは俺と関係ないことだ。

 あと、そうだ、これはちょっと俺に関係あること。なんと“俺らの町の”シンクレアは、サン・アングロのアンバー・マッキンタイア嬢と婚約を交わした。

 俺が命がけで通商ルートを開通させてから、ますますつながりが深くなった2つの町の友好のかけはし”ということらしいが・・・どう見ても政略結婚だな。ありゃ。政治家も大変だ。夜な夜な寝室でスパナで殴られないよう、祈るばかりだ。

 それから時が流れて・・・。

 シンクレアとアンバーの三男坊が立派な男に育ったらしく、人類最初の統合政体である地球連邦の初代大統領に就任したりもするんだけど、まあ、それは蛇足だ。

 え?俺は、この後どうなったかって???

 

(ブロロロロ・・・と低く響き渡るエンジンのアイドリング音)

(ガレージでいなないているのは、銀色に輝くスポーツセダン型の改造車)

(フロントバンパーには「ダッジ・インターセプターⅡ」と、プレートが貼ってある)

(そしてヘルメットを抱えてコクピットに乗り込んだ男は・・・?)

 

リッキー「すげえ吹き上がりだ。燃費も向上されてる!」

シンクレア「また君の出番だ“弾丸リコ”!」

リッキー「わかってるって」

シンクレア「我々にはあの町で採取される濃縮ウランが必要なんだ!」

リッキー「ロサンジェルスまで一っ飛びだろ?」

シンクレア「頼む!」

リッキー「・・・♪」(黙って親指を上げ、アクセルを踏む)

 

 路面から火花が上がり、ロケットスタート!!!

 

(華やかにテーマ曲のYankee Roseがかかり、そしてエンドクレジット)

 

CAST

Ricky Stewart

Amber McIntyre

Benjamin Sinclair

Leonardo Du Roc

Johnson Rohan

Carma "Bronco" Thelmer

Animal, and other Roughnecks

Fireball PeatCameo appearance

 

Written by Ian Livingstone Penguin Books Ltd.

Harmondsworth, Middlesex, England 1985

 

Arrenged by Mccoy12345

Yokohama, Japan 2007

 

 

 

 Bright lights and your city rights...

 

 

 

【特別編『フリーウェイの戦士』はこれでおしまいです】

【次回は久々にファンタジー『恐怖の神殿』です。ブリッツ・イズ・バーーック!?】