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その2
ベアトリーチェの謎の悲劇、闇夜の工房襲撃者、アネット嬢の見事なる左フック、
そして、技術の集大成たるハリーの馬車完成と、大競争“グレート・アスレチック”のデッドヒートについて
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そんなわけで翌日の朝、いったんジャラージ邸に全員集まり、昨日1日間の活動の情報交換をした。
ハリーにはみんな関わりのあることだし、走るAHOに見るAHO。同じAHOなら走らにゃソンソン、ということで
全員一致の大乗り気でグレート・アスレチックへのハリー協力が決まった。それに、優勝賞金は1人10,000オーブだっていうじゃないか!
(プラス、カジノでファーザラードが賭けてきた分。がっぽり入れば5,000オーブ)
それから大図書館に忍び込み、まだ捕まっていない盗賊の行方も気にかかる・・・
あと、剣闘士トーナメントに出場する暗黒の女剣士フローリン卿って、どう見てもそれはお姉さんだろ?(笑)
それから・・・ティリオン「実は俺、結婚しようと思うんだ」・・・って、ええ! 実はかくかくしかじか実家から縁談が来ていて、
よくよく考えたら持参金10万オーブあればアーンスト奪回の傭兵隊だって組織できそうだし・・・
えーそれって何かちょっと不純では、と露骨に顔をしかめたクレリックのリーンの他は、まあ本人の問題だからなあ、と不介入。
「よし、じゃあさっそく承諾の返事をしに彼女のところへ・・・」とティリオンが腰を浮かしかけたところ、父クロニンから伝書鳩がやってきた。
べあとりーちぇ嬢ガ急死シタ。 ヨッテ縁談ハ、トリヤメ。 喪服ニ着替エロ。 スグニ来イ。
というお手紙。はいー?どーなってんのー?(;´Д`)
そんなわけで、今日もグレイホークの1日は、波乱含みでスタートです!
まずはティリオンから。大使館公邸群(12)に駆けつけると、今まさに、縁談相手だったベアトリーチェの葬儀の真っ最中だった。
え?こんな急に?? 疑う間もなく、棺は出棺され、しずしずと館を出て行く。何でも遺体は彼女の故郷キーオランドのドーリン英公爵領に戻されて、火葬されるとのことだった。
父クロニン、息子に気の毒そうに語りかける。「いやーすまなかったのう、“ウチの息子、縁談を承諾しました”と言ったら急に心臓麻痺を起こして・・・よっぽどうれしかったのだなあ」
続いてベアトリーチェ側の親族「なじみのあるセカンフォース家との婚儀を、それはそれは楽しみにしていました。大変恐縮ですが持参金はなしということで、その代わりといっては何ですが彼女の形見を・・・」
と、渡されたのは遺髪。「結婚するのに指輪は無いのか」とティリオンの問いに、遺髪を丸めて指輪にしようとしたので、ティリオンは止めさせました(死者の遺物をアクセサリーにするのは、マジで冒涜です)。
というわけで、10万オーブの代わりに、これだけ。その金髪を見て、ティリオン、ここでハッと思い出した。
まだ幼き日、キーオランドで3歳の頃、よく遊びに行っては「おばさんのお婿さんになるー!」と特に慕っていた貴婦人がいたことを。
その人は、その頃、確か35歳くらいだった。確か父と恋仲だったという噂もあったはずだ。
(若き日の父とベアトリーチェの間には恋があった。しかし公爵の娘が子爵の息子と恋に落ちても、結婚は難しい。
子爵の娘が公爵の息子に見初められるならともかく、爵位が離れた者同士は、親が認めなかった。そしてベアトリーチェは、父への面影を追いかけて独身を貫いた)
優秀な長男次男に比べ、半ば期待はずれで見捨てられた三男坊といった扱いで、やんちゃ小僧だったティリオンの面倒をよく見ていた貴婦人のおばさん。
そうだあの名は・・・ベアトリーチェといった・・・。その約束を真に受けていたのか? それとも、命の火が尽きる寸前に、孤独な彼女は、彼に何かを託したかったのか・・・
「・・・だのに私は・・・利用しようとした・・・すまない・・・」さすがにへこみ、呆然とするティリオン。
その横に、くぅーんと慰めるように近づいてきた四足の獣がいた。ティリオン「これは・・・犬? いや、狼か!」
ベアトリーチェの親族は答える。「ええ、最近はベアトリーチェが唯一心を許していた飼ウルフでした。私どもの誰にもなつきませんし、もしよろしければ・・・」
「お前は一人ぼっちなのだな、よし、ローンと名づけよう。私についてくるがいい」とティリオン。
ウルフのローンは、わう! と一声、承諾した。こうしてティリオンはシューティングスターに続く「動物の相棒」を得たのだった。
そして残された疑念。なぜ彼女の葬儀はこんな性急に行われたのか? なぜ遺体はここで葬らないのか?
(自分の記憶が確かならば)彼女は美しい女性であったはずなのに肖像画はどうしてあそこまで醜く描かれていたのか?
いやその前に、なぜ、遺品が遺髪しかないのか?
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※これらは全て、リプレイ本編ではなく、外伝にて明らかにされるでしょう。
(たぶんやる機会があったら、ですが)それまでお楽しみに!(^v^)ノ
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さて話を戻して・・・
馬車競争グレート・アスレチックに出るには、主催の両替商ギルド(43)で出走登録をしなければならない。
ティリオンは婚約者の葬儀に行き、ドネルガはハリーの馬車改造の手伝いに行き、
アレクとリーンは本当にお姉さんかどうか、フリーシティ闘技場(70)へ確認しに行ったので、その役目は必然的にファーザラードが請け負った。
そこでは事務的なギルド員が、はいここにサインして、はいここの窓口に行って、とテキパキと処理している。
彼は無愛想にぎろりとファーザラードを睨み「・・・それで、外国人街代表の馬車は、登録名は何にしますか?」
あ、どうしよう。決めてなかった。えーとえーと・・・と優柔不断に悩むファーザラード。うじうじしていると、後ろから・・・
「いつまで待たせるのかな? 早くしてくれないかね!」といらいらした声が。あ!どら息子のゴードンだ!
「これはこれはゴードン様、グレート・アスレチックの出走申し込みなら、こちらから出向きましたのに!」と、
手の平を返すようにギルドの事務員、ファーザラードを押しのけて、彼を先に通す。
「ふふーん、失礼、ま、登録させてもらおうかな、我が栄えある“ゴールデンドラゴン号”を!」
ゴールデンドラゴン号は、グレート・アスレチックを三連覇している馬車チームだ。まあ、彼がいろいろな手段を使うからだけどね。
さらさらさらっと、サインするゴードン。ここで言わなくていいことを言っちゃうのがファーザラード。
「当日見てろよ。うちの“イエローエトランゼ号”が、お前達の馬車なんてやっつけてやるからな!!」
と、適当に自分達の馬車名を決めてしまいつつ、啖呵を売る。羽ペンを走らせていたゴードン、ぴたっと止まる。「今、何て言った?」
ファーザラード「ひひ、ひい、こいつです、このイタチがいったんです!」カース「馬鹿、俺じゃねーよ!他人のせいにすんなよ!」
そうしてギルドの建物から退散しようとするファーザラードの前に、しゅたーん、しゅたーんと、2人のアサッシンが降り立った!
南方アメディオ・ジャングル出身の黒人でお互いそっくりの双子が、無言でファーザラードの行く手をふさぐ。その身のこなしの俊敏さは、まるで黒豹を連想させる。
ゴードン「まあ、今日は乱暴をよしておこう。僕は機嫌がいいからね。実は明日、アネット君とデートなのさ♪」
なにー、お前、25歳くらいの年で、13歳のアネットを手ごめにしようというのかあー。
まあ確かにアネットをゲットすれば地位も名誉も手に入るのだが、それ以外に何か、彼に暗い情念が渦巻いているような・・・
ゴードン「さあ行きますよ、レオン、レロン!」この護衛のアサッシン2人は、レオンとレロンという名らしい。ファルシオンを柄に戻し、すたすたと主人に付き従って姿を消した。
ファーザラード「ふいー。」カース「もう少しで首ちょんぱだったぜ・・・」
フリーシティ闘技場(70)に向かったアレクとリーン。しかし、無駄足だった。
剣闘士トーナメントに出場する者は、八百長防止のため、1週間前から外部の者と面会することは禁じられているのだ。
元冒険者であったのだろう、屈強な10Lvファイターくらいの係員が「お引き取りください」と、彼女達を突っぱねる。
まあ、ここまで厳重に面会禁止ということであれば、図書館に忍び込んだローグもフローリン卿(=フレイヤなのか?)と会えないだろうし・・・
というわけで、彼女達がぶらぶらとメインストリートを歩いて帰っていると、アレクとリーンを探していたアネットに遭遇。
アネットはAHOに何か相談したかったらしい。何でも、自分へ一方的に求愛しているゴードンというやくざなどら息子が、
グレート・アスレチックの貴重な情報を教えるから、明日、僕とお会いしないか、という申し出をしてきたそうだ。
彼女はゴードンの誘いに対し、私がハリーの何かお役に立てるのなら・・・と承諾してしまった。
しかし後になって、やっぱり怖くなって、AHOに相談してきたというわけだ。「そりゃあ、危ないですよ・・・」とたしなめるリーン。
「だが、敵がどんな手を使ってくるのか、見極めるチャンスでもあります。私達も一緒に護衛についていきましょう」とアレク。
手だれの冒険者のAHOがついてくるなら安心だ。ぱあっと顔が明るくなるアネットだった。
そうして彼女達は打ち合わせをした。旧公共浴場跡地(60)という廃墟で、明日の午後、その秘密情報は彼から教えられるらしい・・・
その頃ドネルガは、ハリーいっしょに、ボッシュの馬車工房で行き詰っていた。むむむ・・・
どうしてもこの車体の曲線を接合するには、炉の火力が足らんのだ。しかしここで妥協すると、
まさに絶妙なバランスで組み立てられたハリーの設計が、全て無に帰してしまう。
「何か・・・何かこう・・・突き抜けるものが・・・」と2人して悶々としていたところに、ファーザラードが帰ってきた。
イエローエトランゼ号とかいう、何だかとってつけたような出走登録名を聞いて、がくーんとなる2人。
ドネルガ「なんちゅーセンスのない名前だ!」ファーザラード「だってええええええ!」
「あーあ、このネームプレート、無駄になっちゃった・・・」と車名を書いた真鍮板を捨てようとするハリー。
そこには“亜麻色の髪の乙女号”と刻まれていた。ほお、亜麻色の髪の乙女・・・アネットのことかあ・・・と冷やかすドネルガ。
赤面するハリー「い、いや、そんなんじゃないよ! それよりも、ドネルガさん、火力!」
おおそうだった。魔法で火力を増やしたいのだ。それなら・・・とファーザラード、呪文を唱えてバーニング・ハンド!
こうしてファーザラードの溶接により、ハリーの馬車は完成に一歩近づいた。
呪文を活用して作られた先進的な流線型フォルムにより、他の馬車よりも結果は期待できそうだぞ!
一方、ティリオン、ベアトリーチェの精神的ショックはあるものの、それに浸る時間的余裕はあまりにも少ない。
情報収集のため午後は盗賊ギルドへ。その入り口は旧市街大会館(117)という一見廃墟のような大講堂だ。
フラネス中の情報中心地たるグレイホークの、さらに情報の集約地点である。
すでに今までの冒険のティリオンの武勇談は知れ渡っていた。なので余計な自己紹介などはいらなかった。
盗賊ギルドの長はティリオンからオーブをいただきつつ、これまで得た情報を話す。
もちろん、彼がここに来て何を尋ねていったのかも、それを知りたい奴には、料金をもらって話すつもりだ。
ギルド長「相手がどんな邪悪な奴であろうともな・・・それが商売っていうものさ・・・」ティリオン「ああ、まあいいだろう」
大図書館に忍び込んだ盗賊については、ギルドの息がかかっていない奴だったそうだ。つまり、無認可のローグね。
こちらもそんなハンパ者は放っておけない。粛清するため追っ手を差し向けているのだが、
地下水路(グレイホークには縦横無尽の地下下水道が走っている)に逃れられてしまい、消息をつかめないそうだ。
剣闘士トーナメントに参加するフローリン卿については、完全ノーマークだった。
「あんな虚仮おどし、しょっちゅうくるぜフリーシティには!」と一笑に付している。フレイヤの偽装は完璧だ。
そしてグレート・アスレチックには盗賊ギルドも出走するってさ。その名も“レッド・スコルピオン号”
だけど勝敗はどうでもよく真剣に優勝は狙っていない。現在の街の支配者がローグのネロフ=ギャスギャルなので、弟分として義理の顔見世ということ。
むしろこの大イベントで観客の財布の紐が緩むほうが、盗賊ギルドとして都合がいいとのことだ。
最後に、ゴードンについて。奴はワルだ。異常な性癖もある。だがまあ、かわいいチンピラだ、との人物評価。
アネットに求愛しているのは周知の事実で、いつも付きまとっては振られているらしい。
それくらいの情報を得て、必要なだけの情報料を払い、ティリオンは盗賊ギルドを後にした。
とりあえずフリーシティ闘技場の見張りは厳密にしておいてくれ、暗黒の女剣士フローリンは只者じゃないんだ、と言い残して。
さて2日目の夕方。英雄達は誰が言うでもなく、ボッシュの工房の周りに集まった。ハリーとその馬車の護衛のためだ。
これは冒険者としての勘である。そろそろ、ゴードンは、ハリーの馬車作りを妨害しに来るはずだ。
ゴードンは、愛するアネットが自分に思いを寄せない原因(つまりハリーの存在)が、だんだんわかってきているはず。
それに、ティリオンもファーザラードも彼にケンカ売っちゃったんだもん(笑)。
かん、こん、かん、こん、張り詰めた雰囲気のまま、鍛冶場でハリーとボッシュの槌音が響く。
やがて日が暮れて夜になるが、そこら中に点けられたランタンのため工房の敷地内は明るい。
ひたひたひた、と小柄なおじいさんが門に近寄ってきた。気づくアレク「誰か!そこで止まりなさい!」
その爺さんは、白い布をかぶせたお盆を両手で捧げ持っている。「夜なべしてがんばるハリーちゃんとボッシュに、差し入れを持ってきたのさあ」
口では近所の友人らしく親愛さをアピールしているが、どうもうそ臭い。アレク「いいから、近寄ってはいけません!」
爺さん「ひどいねえ・・・せっかく美味しい果物を持ってきたのに」アレク「私が届けますから、そこに出しなさい。なぜ出せないのですか?」と押し問答をする。
うううう・・・とウルフのローンが唸る。正門でもめている隙に、裏口の塀からするするする、とローグが入り込んできたのだ! 総勢5人!
ティリオン「敵だ!ボッシュ、ハリー。伏せろ!」 門の爺さん、ちいっと舌打ちすると、盆の上の白布をどける。中から出てきたのは、毒を塗ったライトクロスボウだ!
びしゅ! 正面、至近距離のアレクに打ち込まれる。しかし立ちすくみ状態のACに届かなかった。
がちぃん! その毒矢は、アレクの鎧のいちばん厚い部分の装甲に跳ね返される。アレクが反撃するも、攻撃ロールは惜しくも外れ。
爺さんに化けたローグは夜の街へすたこらと逃げていった。「くっ!」追おうとしたアレクだが、ここは工房の安全確保が先だ。踏みとどまった。
裏庭の方では、≪速射≫を最大限に利用したティリオンが、“誓いの弓”で一人ひとり確実に仕留めていっていた。
これではお目当てのハリーとボッシュまで近づけない。想定外だ・・・と襲撃ローグたち、目配せして襲撃目標の変更を決める。
彼らのうちの一人が、びしっ! 毒矢を打ち込んだ先は、ハリーの馬車を引く予定だった、ボッシュ工房なけなしのヘヴィ・ホース、アオだ!
「ああ! アオ!!」ハリーの悲鳴が響く。ぶひひーん、と悲鳴を上げると、へなへなとその場に屈みこむアオ。頑健セーヴに失敗して毒が回ったらしい。
おのれー、と、ドネルガが霜降りの槌で逃げ遅れたローグの頭を叩き割り、ファーザラードはウェブで1人のローグを捕虜にすることに成功した。
だが、彼らは最低限の仕事は果たしたわけだ。リーンが急いでニュートラライズ・ポイズンとレッサー・レストレーションをかけて治すも、
アオに「ニンゲンコワイ、ユミデボクヲイジメル、コワイ!イタイ!」というトラウマを与えてしまった。これではレース本番は怯えて役に立ちそうにない。
グレート・アスレチックのレギュレーションでは、馬車の馬は2頭立て。1頭はアレクの乗騎シルバーソードとして、
もう1頭は元から工房で馬車を引いていた、このアオを考えていた。だが白紙に戻して、新しい馬を探すしかない・・・。
捕虜にしたローグをいろいろ尋問しながら、夜が明ける。やはり彼らはゴードン傘下の者だった。何かと邪魔なハリーを、ゴードンは始末したかったらしい。
レースを明日に控えた明朝、どやどやどやと、警護隊がボッシュの工房にやってきた。
同行しているのは、街の評議会員であるアネットの兄ウィリアムと、彼に訴えたゴードンである。
ゴードン、いけしゃあしゃあと「奴らです!ヤツラがこいつを雇って、僕の屋敷を襲撃したんだ、おいこら、ネタは上がっているぞ!!」
そして1人の屍骸をどさっと英雄達の前に放り投げた。その人物は、アレクに矢を射掛けて逃げていった爺さんに変装したローグだ。
ふーん、そう来たか・・・。任務に失敗した手下を粛清したわけね。ドネルガ「何を言うか、こっちにも証人はおるぞ!」
どさっとファーザラードがウェブで仕留めたローグを引きずり出す。
するとゴードンは「ふ、そんなローグ、知らん!お前らの狂言だ。私を落としいれようとも、そうはいかんぞ!」
アレク、冷静に言う。「なぜ彼がローグだとわかったのです? 私達はまだ一言も彼が賊だと言ってませんよ?」
ゴードン、窮地に陥った。そして口角泡を飛ばす。「ややややかましい! とにかく君達はタイーホだ。そうでしょう、ウィリアム殿。」
ウィリアム、ゴードンにうんざりしながら「とりあえず警護隊詰所で君達の事情聴取をしなければならない」と言った。
ええー!兄さんもグルかよー。しかし、そのあと小声でウィリアムはフォロー。
「(ひそひそ)堪忍してくれ、奴は一級市民で、君達は一昨日来たばかりの旅人だ。ドラゴングループは納税上の“お得意さん”で、
この街の有力な財源をなくすわけにはいかんのだ。なに、どっちが悪いか私にはわかってるから、無罪放免ですぐ終わるよ。」とウィンク。
ここで抵抗しても厄介事が増幅するだけだ。その言葉を信じて、いちおうはお縄につく英雄達。
その姿を、心配そうに見つめていたアネットもいた。「ごめんなさいお兄様が。アレクさん、私、あなたはそんなことしないって、信じていますことよ・・・」
アレク「ええ大丈夫、私もあなたのお兄さんを信じてますので、すぐ戻れるはずです。それより・・・AHOなしで、絶対に動いてはいけませんよ。いいですね」
紳士のウィリアム=ウェインライトは約束を破ったりはしない。事情聴取は名前を聞いただけで、もうおしまい。
はいはい。警護隊もどっちが悪いかわかっている。ただ、誰もゴードンには手出しできないだけだ。
というか、明日のレースに“ブルーサンダー号”で出走するスピード狂のウィリアムも、今日は仕事どころじゃないのだ。(笑)
だけどゴードンの妨害工作により、レース前日の貴重な半日が無駄になってしまった。むかつくなあ。
急いでハリーの手助けのため、ボッシュ工房に戻るドネルガ。ファーザラードは最後の情報収集で街中へ。
アレクとリーンのAHO、そして用心のためティリオンも、アネットとゴードンの秘密の会合場所へ護衛として赴くことになった。
まずはファーザラード。とにかく馬を手に入れられるところを見つけたいし、それに大図書館に忍び込んだ盗賊の行方も追いたい。
だけど盗賊ギルドは専門外だし、どこで情報を得ようか・・・以前、門番から得た地図を見て、キラーン! こ、ここだ!
というわけでスラム街にある乞食組合(100)のところにやってきました。ここは公園のような空き地で、
日中からホームレスがぷわぷわ、何をするでもなくベンチに座ってヒマを持て余している。
ファーザラードが近づくとわらわらと群がり、気弱なエルフから身ぐるみはがして持っていこうとするが、乞食の頭に止められた。
「すまなかったね、ヤツラはまだ若くて、乞食の流儀がわかってないんだ。」
ひげなのか髪なのかわからないボサボサの毛が顔を覆っている小柄な老人は、杖を手に、びっこをひきひき、彼に穏やかな口調で話しかけた。
ファーザラードは、ここでなけなしの1プレート貨幣を、彼に渡す。周りからおおー!と上がる歓声。
彼らにとっては生涯賃金くらいに匹敵する収入だろう。何でも話してくれた。
まず、地下水道に逃げた、大図書館に忍び込んだ盗賊のこと。同じく地下に住んでいる乞食仲間の話では、どうもフリーシティ闘技場の地下へ行ったらしい。
それでは、そこの出場者(例えばそこにいるであろうフレイヤなど)と接触するようなことは?
いや、それはできない。なぜならトーナメント出場者は、独房のようなところに入れられて、熟練したファイターの係員の監視の下、誰にも会えないからだ。
うーむ・・・じゃあ、その盗賊は、どういう目的でそこに忍び込んだのか・・・地下水道の目撃者の話によると、宝のような物は、何も持っていなかった。
「たぶん、その地下禁書室で、何かの本を見て、内容を覚えたのだろうね。この街ではね、情報が、いちばんのお宝なのだよ。お若いの。」と乞食頭。
「あー、僕はエルフだからたぶんあなたよりも年上だと思いますが・・・あ、あと、馬を探してるんです。レースに出られるくらいの屈強な馬。知りませんか?」
ファーザラードの問いかけに、乞食頭は何でもお見通しだ、というように、頭をふりふり・・・「あんたほどのウィザードのレベルなら・・・」
勘が鈍いファーザラード「???」と首を傾げるばかり。肩に乗っていたカースが見かねて助け舟を出す。「持ってんだろうが、変身呪文を、よう!」
そうか! ポリモーフ! 持続時間は7分だが、レースがスタートしてから終了するまで、十分な時間だ!
ファーザラード、カースの肩を叩く。ポン!「君だ!君しかいない!」 カースはびっくり「ええ!オレなのー!」
いや、頭のいいカースじゃないとできないんだよ、ね、頼むよ・・・男気あふれるイタチのカースの弱点は、ノセラレやすいことだ。「しょ、しょうがねえなあ!」
にっこりうなずく乞食頭。「レース当日は、応援しとるからねぇ、がんばりなよ」
さて、AHOの2人アレクとリーン、そしてティリオンは、アネットと待ち合わせをして、秘密の会合場所である旧公共浴場跡地(60)へ。
いつでも逃げられるよう、アネットを乗騎のシルバーソード号に乗せ、アレクとリーンはその両隣を護衛する。
さらに念を入れて、見えないところから、ティリオンがひっそりと周りを伺うことにした。
昔は公共浴場であったが、移転した跡に廃墟となったここは、人さびしい無人地帯だ。
そこに、(悪趣味なけばけばしい色で)着飾ったゴードンが、花束を片手に、そわそわと待ち構えていた。
白馬に乗ってしゃなりしゃなりと現れたアネットを見ると、どことなく下卑な、いやみったらしいお辞儀をする。
「これはこれは、白馬に乗った王子というのはよく聞きますが、白馬に乗ったお姫様というのは、お珍しい。」とゴードン。
「誤解してほしくありませんわ! これはデートではなく、私は取引に来たのです。き、今日は何の御用ですの?」と、やや緊張した面持ちでアネット。
ふふふ・・・と含み笑いをして、ゴードンは切り出す。「今度の馬車競争、我がゴールデンドラゴン号、負けてあげましょう。」
何だって? 「あなたのお気に入りのハリーとかいう下賎な眼鏡小僧に、勝ちを譲ってもよろしい。だがその代わりに・・・」
アネット「その代わりに? 何がお望みなのかしら? 場合によっては聞いてあげてもよろしくてよ!」
ゴードン「僕のお嫁さんになりなさい」と舌なめずり。ぞぞぞー!
アネットの付き添いで、今まで見た中でいちばん醜い男性の表情を見たAHOの2人は、共に【判断力】判定に成功する。
25歳の男が、13歳の娘に・・・ロリだ、こいつ、真性のロリだ・・・
「噂には聞いてましたが、まさか本当にこんな人がいるとは!」と、リーンが低く呻く(笑)。
ゴードン「さあ、どうするのかな? お兄ちゃんといっしょになれば、なんでもわがまま、聞いてあげるよーう!」と近寄ってきた!
(ティリオン、ここで、建物の陰に潜んでいたアサッシン2人組を<視認>判定で発見し、アレクに合図を送る)
アネット、困ってアレクを見る。アレクはこう答えた。「アネット殿、あなたは今朝、私を信じました。同じように、ハリーのことも信じてあげたら、いかがかしら?」
(「そうそう、そうですわよ。」とリーン、こっそりと後ろ手で、ブラスナックルをアネットに渡す)
腹を決めたアネットはこう言う。「お金持ちの素敵なゴードン様、私の返事をお聞かせいたしますわ。」そして2、3歩、ゴードンに近づく。
もじもじと、顔は恥じらいの表情、両手は後ろに組んだまま。こ、これは、背伸びしてキスをしてくれる直前の仕草。「おお!じゃあ僕の求愛を・・・」
どばきぃぃぃ!言い終わらないうちに、なよなよしたこの男は、首から上が吹っ飛んだかのような衝撃をいきなり食らった。
アネットの気合のこもった、左フックが不意打ちでジャストミートしたのだ。顎骨を粉砕され、身体ごと吹き飛んで、ごろんごろんと、
あしたのジョーのホセメンドーサの如く2回転し、どごんと廃墟の壁に頭から突っ込んだゴードン。
「・・・!」ここで建物の陰に潜んでいたアサッシンのレオンとレロンが、主人の護衛のためAHOの前に姿を現した。戦闘ポーズで一触即発だ!
剣と盾を構えるアレク。ティリオンも“誓いの弓”を引き絞る。リーンも呪文準備・・・しかし・・・
レロン、相棒のレオンの肩をぽんぽんと叩いた。あら?・・・やべえ・・・ゴードン様・・・ピクリとも動かないぞ・・・(笑)
アサッシンの2人は、ともに顔を見合って小さくうなずくと、ゴードンを担いでしゅん、とすばやく退散した。主人の手当てを優先したのだ。
こうして交渉は決裂しました。さあ、ハリーには絶対勝ってもらわなくちゃ!
「レースコースが発表されたよ!」 ここはボッシュの工房。ハリーが、張り切って“グレート・アスレチック”の大会本部が発表したコース図面を持ってきた。
詳しいルールは割愛しますが、要するに、○しるしのチェックポイントで<騎乗>or<職能(御者)>or<動物使い>判定を行い、
いろんなペナルティを加えた上で、最終達成値順に順位を決めていく。で、最後のチェックポイントで1位かつ馬車HPが0点以下でなければ、優勝だと。
ファーザラードとアレク、リーン、ティリオンも戻ってきた。いろいろな議論の末に、馬車特性は一点特化型ではなく、バランス型のポイント割り振りとした。
この前のファーザラードがバーニング・ハンズ溶接工法を施したことにより、我らがイエローエトランゼ号には若干のアドバンテージがある。
他の馬車が10ポイントを【加速】【旋回】【頑強】に割り振るのに対して、12ポイントを割り振れる!
あとは、この加速、旋回、頑強、全てがバランスよく要求されるコースで、どれだけメイン騎手のアレクがベストを尽くすかだ。
なお、搭乗員は最大5名までなので(それ以下の場合は同じ数の砂袋を載せる)、英雄達は全員乗り込むことにした。
あのゴードンの野郎がどんな妨害をしてくるかわからないからだ。馬も(変身した)カースとシルバーソードの2頭立てで、信頼できる。
よし、準備万端、明日はがんばろう!
ぽん、ぽん、と花火が打ちあがる。いよいよ今日はグレート・アスレチック!
中央市場(91)の特設観覧席には、グレイホーク市長のネロフ・ギャスギャルを初め、評議会のメンバーがずらっと並ぶ。
(顔に包帯を巻いた)ゴードンや、心配そうにハリーを見つめるアネット、そして“八者の円”の一員ジャラージ、ティリオンの父クロニンもいる。
各自緊張の面持ちの中、栄冠を競う馬車5台が入ってきた。
レギュレーション変更や対戦相手の棄権など、疑惑がありながらも前回まで3連覇。ドラゴングループ所属のゴールデンドラゴン号!(馬車特性:バランス 御者能力:並)
レースのメインスポンサーであるウィリアム=ウェインライト(別名“スピード卿”)自ら鞭を握るブルーサンダー号!(馬車特性:【加速】重視 御者能力:高)
真っ赤な車体は災いのしるし。巻き添え事故に気をつけろ。今年は何周もつのか盗賊ギルド所属のレッドスコーピオン号!(馬車特性:【旋回】重視 御者能力:並)
これもまた信仰の試練。神の威信に賭けて負けられないぞ。善の神を信じる教会諸宗派所属のジ・アローナ・オブ・グリーン号!(馬車特性:【頑健】重視 御者能力:並)
そして・・・ぎりぎり参加が間に合った!外国人街所属のイエローエトランゼ号!(馬車特性:バランス重視 御者能力:アレクの出目による)
それぞれがゲートに入る。さあ、緊張の一瞬・・・ギャスギャル市長が旗を振った。がしゃん!ゲートが上がってスタート!
沿道の大歓声の中、それぞれの馬車がグレイホークを疾走していく。
ポリモーフで変身したカースとシルバーソード号が牽引するイエローエトランゼ号は息もぴったし。2〜3位をキープしつつ、一周目を通過。
「行けー」ピットクルーで必死に応援するハリーとボッシュ。「がんばってくださいませ、ですわ!」とアネットも貴賓席で応援。
それを苦々しく嫉妬の目で見つめるゴードン。まだ何か企んでいるかも・・・?
レースは団子状態。ヘアピンカーブやシケインなどでは【旋回】重視のレッドスコーピオン号が、メインストレッチなどの直進区間ではブルーサンダー号が
一気に飛び出るものの、その次のポイントですぐに馬群に巻き込まれる。がつがつと削られる馬車HP。
やがて、するするする・・・2周目の途中で馬車の【頑健】が不足したのが災いしたか、レッドスコーピオン号が、リタイヤ!
(DMの技能判定演算能力がオーバーフローを起こした、という説あり)。
勝敗はこの時点で4台に絞られた。いよいよファイナルラップの3周目。
トップ争いはジ・アローナ・オブ・グリーン号と我らがイエローエトランゼ号。そして車体がボロボロになりながらもブルーサンダー号。
最後にやや遅れてゴールデンドラゴン号だ。焦って側近に何事か叫んでいるゴードン。「な、何とかしろ、僕の馬車が負けてはいけないんだああ!」
ここでイベントです。「1位の馬車がクラッシュ!最終順位へ繰り下げ」
ついにやったー。ゴードンとの裏取引により、わざとジ・アローナ・オブ・グリーン号、事故を起こす。
ゴードン「ふ、ふふ、どうだ、思い知ったか!」しかしこの馬車は【頑健】があるので、まだまだ丈夫。
またイベントです。「青ボタンを操縦席で見つける。」・・・押してみる? ああ、もちろんよ!
すると、ぱかっと引き出しが開いて、中からとても痛そうな鞭が現れた。ハリー「今だ、それを使えー!」
ばしいっ! カース悲鳴を上げる「イテエエエエエエエエ!」
ぎゅーん、と、イエローエトランゼ号の速度が上がる。3周目の大詰めを迎えて、ついにトップに躍り出た!
ハリー「行けー、僕の馬車ー!」ボッシュ「頼む・・・ドネルガ・・・勝ってくれ・・・!」アネット「お願い、アレクさん、がんばって!」
ゴードン「僕が、僕が負けるはずがないぃぃぃぃぃ!」ウィリアム「くそ、車体強度が・・・届かんかっ!」
最終ポイント、メインストレッチをこのまま逃げ切れれば!
==========以下、競馬実況風にお届けします==========
さあファイナルラップ、荷馬車運行所の最終コーナーを抜けて、ああっと土埃が舞ってきた見えてきた。
先頭は何とイエローエトランゼ、ボッシュ工房所属、設計者ハリーのイエローエトランゼ。
その後ろにジ・アローナ・オブ・グリーン、そしてブルーサンダー。ブルーサンダーはちょっと苦しそうだ、
そしてグーンと離れてゴールデンドラゴン。3連覇のゴールデンドラゴン遅れています、これはもう届かない。
優勝争いは3台、いや、2台だ、どうもウェインライト卿のブルーサンダーのスピードが上がらない。
ずるずる遅れていく、下がっていきます。車軸が外れたようだ。これは苦しい。【頑健】軽視が裏目に出たか。
必死に逃げるイエローエトランゼ。来るのかイエローエトランゼ。しかしジ・アローナ・オブ・グリーンも必死に食い下がる。
ああっと、ぐっと伸びて距離が詰まる。ジ・アローナ・オブ・グリーン、すごい追い込みだ。
今まで貯めていた豊富なスタミナを、ここで一気に大放出、ジ・アローナ・オブ・グリーン、神の名に賭けて気合を見せる。
さあ新公共浴場前を通過した。残るポイントは最終の黒の大門だけだ。
この声が聞こえるか、すごい大歓声だ。運命の分かれ道、与えられる優勝杯は1つしかない。
どちらかが負け、どちらかが勝つ。イエローエトランゼか、ジ・アローナ・オブ・グリーンか。
もぉーのすごーいデッドヒートだ。詰まる、詰まる、距離が詰まった。もうほとんど横一線だ。
イエローエトランゼの騎手アレク、最後の鞭を振るう。あっちょっと出た、イエローエトランゼの馬がわずかに出た。
まさに阿吽の呼吸。人馬一体とはこのことだ。来たのか、来たのか、今馬車がゴールを通過!
来たのは・・・イエローエトランゼ! 首の差ながら、イエローエトランゼ!
なんと大穴、外国人街所属の馬車が、史上初の“グレート・アスレッチック”制覇!
イエローエトランゼ、驚きの、初優勝!!!!
※最後のポイント「黒の大門」での技能判定達成値は、いろいろ修正を加えた後で、
最終的にイエローエトランゼが29。ジ・アローナ・オブ・グリーンが28。でした。
(ホント惜しかったので3回ほど計算チェックを繰り返しましたが)僅差で英雄達の優勝でした。