---------------------------------------------------------------------------------

その3

“恐れと炎の目”との死闘、シューティングスターの気高き死、栄光戦士団の玉砕、

そして、(くろがね)(しろがね)に変わる瞬間と、父と娘の見えざる絆について

---------------------------------------------------------------------------------

 

・・・かくして副官の蛇女は屠ったが、肝心の“絶望の谷”の主、バルリットはどこにいるのか?

それはクケエエエエ!という鳥の鳴き声が教えてくれた。ここから北東の方角の上空で、馴染み深い鷲が旋回している。

「あ、あれはシューティングスターですわ!」とリーン。ラディガストからまた父の伝言を託されてここまでやってきたのだ。

しかし「きゃあ、危ない!」とリーンが悲鳴を上げる。彼を狙うように、下から対空砲火のごとく火球がばぼーん!と打ち上がった!

あそこか! ≪石工の勘≫を持つドワーフのドネルガは、たぶんその地点に繋がるであろう、

青き池の裏側から伸びる隠された秘密の通路を見つけた!

 

(ここでちょっとマスターシーン)ラディガスト城内、当主ベリシカの御前会議にて*********************

ここはラディガスト城の御前会議。

アーンスト伯国の当主である妙齢の女性、ベリシカ伯爵が座って、負傷した伝令兵の報告を聞いている。

その周りには他の貴族達、そしてもちろん、栄光戦士団長であるロベルト=スターファインもいる。

「アートンサメイ河が敵に堰き止められたとな!」胆力の無い貴族の一人が悲鳴を上げた。

「これから雨季に入り、十分な水量でラディガストの濠となってくれるはずではないか!」「そんな量の土嚢がどこにあるというのだ!」

負傷した伝令兵、息絶え絶えになりながらも報告する。

「あ、アイウーズ軍の別働隊が・・・ジェドブリッジ北方の開拓村群を根こそぎ襲撃し・・・虐殺された無辜の民の数、数千人が犠牲に・・・

 トリホルーン、ケイウッド、シャンタス、リラスタ、コートネイ・・・これらの開拓村が全て壊滅です。人間という人間は全て殺され、

 死体は根こそぎアートンサメイ河上流に投げ入れられ、即席の土嚢と化してございます!!」

(「では、マリアンヌもか?」と聞くロベルト。英雄達に馴染みの深いマリアンヌ村だけは無事だった。

 ちょっとだけいい知らせであるが、ここの村人は第2話に出てきたマイアヘン地下神殿遺跡に逃げ延びたのである)

慄然とする貴族達。顔面蒼白である。「そこまでするか・・・」パニックとなりオロオロすること以外できないアーンスト伯国の重臣達。

ただロベルト隊長だけは、目を閉じてこれらの報告を落ち着いて聞いている。

攻囲している邪悪なるアイウーズ帝国軍の陣営からは、角笛、そして太鼓の音が聞こえ出した。突撃の合図だ。

城の窓の外には、上流における数千死体の“堰き止め”により劇的なまでに水量の減ったアートンサメイ河。

もう、ラディガスト市を守るものはない。そして圧倒的な数のオーク兵の群れが、この街の城壁に押し寄せてくる。

「しくじった・・・このベリシカとあろう者が、わずか4年の泰平にうつつを抜かし、奴らの邪悪さを見誤っておったわ!」

拳を握り締め、頭を抱えるベリシカ伯。敗北だ。ラディガスト市は陥落するのだ。そしてこの国も・・・

「殿はラディガスト市の民を引き連れ、宮廷をハイ・マードレスまで遷都なされるがよろしい、かと」

浮き足立つ宮廷に、凛とした、全てを決意した武人の声が響く。リーンの父、ロベルトだ。

「我ら栄光戦士団、このラディガストに立てこもり、後詰を見事守り抜いて進ぜましょう」と言って彼は騎士の礼をとった。

聡明な君主ベリシカは全てを悟って、はっと彼を見た。ロベルトは捨て駒となるのだ。

君主と宮廷、そして民衆がここから逃げて後方の街に避難する貴重な時間を稼ぐために。

誇り高き戦士ロベルト=スターファインは決意した。誰かがやらなければ、この国は滅ぶしかないのである。

そしてアーンスト伯国を防衛するための栄光戦士団こそ、これ以上の適任はないからして、

「ロベルト・・・お主・・・。死ぬな・・・死ぬでないぞ・・・」厚き忠義に触れ、こう言うのが精一杯のベリシカ伯爵であった。

「御意!」

武人として本懐を果たす笑みを浮かべるロベルト。その懐には一通の手紙が・・・

****************************************************

 

その後、ロベルトの愛鷲シューティングスターが三たび英雄達の元にやってきた。リーンに向けた、父ロベルトの手紙を足に結んで。

 

<お手紙E>を参照

 

これはまるで・・・嫌な予感を感じて、顔面蒼白になるリーン。震える声で「アレクさん、父は、大丈夫ですよね・・・」

嘘をつけないパラディンは押し黙るしかない。リーン、次はドネルガに尋ねる。「父は、大丈夫ですよね?」

ドネルガ、頭をぽりぽり掻くしかない。リーン、だんだん涙声になる「何ですかみなさん、黙っちゃって、もう!」

と、急いで手紙をしたため、シューティングスターの足に結ぶ。

「さあ、これを父上のもとへ・・・なぜ? なぜ飛び立たないの? シューティングスター!

鷲は、視線をリーンから反らし、所在なさげにその場にたたずんでいる。

ああもう、現実を言うしかない。その嫌な役目をティリオンが引き受けた。

「シューティングスターが手紙を届けられないということは、君の父のロベルト団長は、ラディガストの戦場で戦死した可能性が高い。」

「ええ、わかっています・・・」【判断力】の高いリーンだから、それはもうわかっているのだ。受け入れられなかっただけだ。

「そして我々はこれから、“恐れと炎の目”に立ち向かわなければならない」

「ええ、わかっています。がんばります!」 闘志を燃やすリーン。そうだ、父の望みはここで悲歎に暮れてへたばることではない!

シューティングスターもクケェェェェェェェェェー!と高らかに雄たけびを上げた。

ティリオン「お前も来るのか、シューティングスター?」 イーグルはご主人様の弔い合戦だ、江戸の敵を長崎で討つぜ! とばかりに、

レンジャーであるティリオンの肩に飛び乗った。そう、ティリオンはここで確かに「動物の相棒」を得たのだった。

 

決意も新たに、池の裏側に隠された通路に入っていく英雄達。

行き着いた先は、小さな空間の盆地だった。南の端には一辺1フィートのきれいに磨かれた金属の立方体があり、

それは禍々しく黒光りしている。この金属の立方体のちょうど真上から岩清水がササアーっと降り注いでおり、

清らかな真水は、立方体の上に垂れた瞬間に、猛毒の邪水として変質する。

そしてこの邪水は岩盤を浸透して、湧き水となって、スピリット・ナーガの棲んでいた青き池に貯蔵されているのだ。

これこそが、“絶望の谷”から流れ出る鉱毒水の正体である。

では、その元凶たる金属の立方体を変質させたのは、いったい何であるのか? 

この立方体を、邪悪なる視線で睨み続けている者が、この小さな空間の北の端にいる・・・

それは、病的な赤い目で立方体を凝視し続けている。この者こそが鉄塊を穢しているのだ。その病的な視線で!

石造りの椅子に座した、骸骨の姿をした恐るべきアンデッド、“恐れと炎の目”バルリット=ゲンダークロスである!

ぎらん、と赤い目がアレク他英雄達を睨みつける。だが、彼が持っているのは赤い左目のみで、右の眼窩は空だ。

4年前に聖戦騎士団を率いたグレイ=クロフォードが、何とか“恐れ”の目の方を失わせたのだ)

そいつは、カタカタカタと顎骨を震わせながら、自分の宮廷に入ってきた英雄達を認めた。

「その鎧は・・・聖戦騎士団! はっはははは、尻尾を巻いて逃げ帰ったヤツラがまだ残っていたとは!」

アレク、臆せず名乗る。「グレイ=クロフォードの娘、アレク=カイン=クロフォードです!」

小娘剣士に何ができる、といった風情で、侮っているバルリット。

「くはははは・・・お前の父にくり抜かれた左目の仇を討たせてもらおう。お前はここで死ぬ、または父のように退却するしかないのだ!」

「笑わせるな、たった一人で何ができるのか、バルリット。私には心強い“仲間”がいるのだ」とアレク。

「“仲間”? “仲間”だと? 何だそれは? 何の力にもならぬわ!」バルリットの赤い目がらんらんと光る。

もはや爆発寸前というまでに輝いている。こうして“絶望の谷”における最後の戦いが始まった。

 

イニシアチブで先手を取ったのはティリオン。ここぞとばかりに“誓いの弓”を取り出し、あの文言を唱える。

すみやかに敵をば打ちて取りつべし するとボウがこう応える。 われに背く者に迅き死をば与えん

びしゅっ!と骸骨の身体に突き刺さるアロー。しかも≪速射≫で2発連続である。ダメージ減少5/殴打があるとはいえ、20ダメージ強を被るバルリット。

「む!誓いの弓をなぜ貴様が? ならば容赦すまいぞ!」と、バルリットは本気モードになる。

ファーザラードはヘイストを唱えてみんなをスピードアップ!

そしてここでバルリットの番。彼は石の椅子から立ち上がる。きゅいいいいーーん、と嫌な魔法の充填音、

そして赤い“炎”の目がカッ!と輝く。強烈な熱火球が英雄達の上空に炸裂する!

5d6[]ダメージ&5d6[腐敗]ダメージの≪擬似呪文能力腐敗化≫されたファイアボール

ジャラジャラとダイスが振られて、総計44ポイント。反応セーヴ難易度13で半減できる。

ティリオンは≪身かわし≫でセーヴ成功ノーダメージ。同じくカース君も。ドネルガは有り余るhpなので44hp削られても戦意旺盛。「どっせえいい!」

アレクはあらかじめかかっていたレジスト・エナジー10ダメージ軽減)もあり、シルバーソード号もセーヴ共有のおかげで耐え切った。

やばいのは・・・ファーザラード! 反応セーヴに成功したものの、残りhp1桁「ぎゃーあちいー!」

「ちい!このドジがぁ!」と呻く使い魔のカース(カース君が主人に与える反応セーヴ+2ボーナスのおかげで生き残ったようなものだ・・・)

そして、リーン! 彼女はhp満タンで28。そして反応セーヴ13に成功するには1d2010以上の出目を出さなくてはならない!

(ああ! だめ! よけきれない! ・・・死ぬ!) 

彼女がそう思った瞬間である。クケエェェェー! 彼女の背後から、何かの動物が突進し、カギ爪でどすんと、か弱いクレリックを押し倒した!

「あっ!」強制的に伏せることになったリーン(反応セーヴ成功扱い。これで何とか生き延びた)。

どがあああああああああん! 彼女の頭上で火球が炸裂し、背中で肉の焼ける匂いがする。そして全員が叫ぶ。

犠牲となって、邪悪な炎に包まれた、気高き鷲の名前を。

「シューティングスター!」

(↑これはイメージ映像)

※イーグルは1d8+1HDなので、反応セーヴに成功したって、死にます。なのでこんなイベントシーンを作ったのです。

 

「シューティングスターを・・・父さんの鷲を・・・よくも、よくもー!」とリーン、珍しく反撃の攻撃魔法。怒りのシアリング・ライト!

アンデッドなので6d6ダメージの聖なる光線を浴び、これはたまらぬ、とイセリアル・ジョーントで非実体化するバルリット。一時退却する腹づもりだ。

しかし、アレクがその前に立ちはだかる。自らパラディン呪文のブレス・ウェポンを降りかけた、父の形見のグレートソードを両手に持って。

「逃がさない!父の雪辱を、今、ここで晴らす!」 ≪悪を討つ一撃≫が、この邪悪な魔術師のアンデッドに命中する!

「おーのーれーにーんーげーんーごーとーきーにー!」

身の毛もよだつ咆哮とともに、“恐れと炎の目”バルリットは成敗される。その姿は塵のように消えた・・・。

 

かくて戦いは終わり、“絶望の谷”は解放された。黒焦げになった、もはや物言わぬシューティングスター。

「流れ星のようにわずかな間だったが、お前は・・・俺の立派な相棒だったよ。」

気難しいながらも忠義に溢れたイーグルの形見として、彼の羽根を何本か抜き取り、それで矢ばねを作った。

そしてティリオンはその矢を天高く打ち上げるのだった。気高き魂が天上に昇るように、と。

そして残された金属の立方体。汚染させていた者(バルリット)は除去されたが、まだ、その禍々しい黒光りは健在だ。

ドネルガは<鑑定>判定に成功。まるでプルトニウムみたいな放射性汚染物質のように、その金属は身体に[腐敗]ダメージを与えてしまうことがわかる。

「ううむ、これをどうすればいいのか・・・」考え込むドワーフ。そのとき、彼はある言葉を思い出した。

リーンの父ロベルトが娘にあてた手紙(<お手紙C>参照)に書いてあった一文だ。

穢れたる鉄(くろがね)は 誇り高きドワーフの手により 輝ける銀(しろがね)に変わる

「おお、そうか!」ぽん、と頭を叩くドネルガ。彼らしく、単純かつ明快に、結論に至る。

「わしは、この仕事に誇りを持っているではないか!」そして何の造作も無く、ひょいっと、安置している場所から両手でつかんだ。

すると不思議なことに1立方フィートの金属塊は、見る見るうちによこしまな黒さが消えうせ、白く光り輝く銀に変わった。

いや、普通の銀じゃない。この物質は・・・ミスリルだ!

常識を超える量の希少金属を手にして、驚愕したドネルガはその場にへたり込むのだった。「こ、腰が抜けた・・・」(笑)

 

「それはおそらく、ダークスレイヤーを鍛えるとき、必ずや役に立つだろう」・・・どこからか深く透き通るような声が響いた。

そのときちょうど、“絶望の谷”における冒険を達成し、一息ついた英雄達の前に、テレポートで魔術師が現れる。

「あ、あなたは!」ファーザラードは一度タングル森のファーダ導師の塔で面識があったので、すぐにその背が高く険しい目付きの老人が誰かわかった。

世界に均衡をもたらす魔術師集団「八者の円」の長、大魔道師モルデンカイネンである。(第3話参照)

彼は挨拶もそこそこに話を切り出した。「君達に、悪い知らせと良い知らせがある、どちらから聞きたいか?」

 

(ここでちょっとマスターシーン)陥落寸前のラディガスト城、栄光戦士団の防衛陣地にて***************

ずずーん!バゴーン! 次々と投石、そして魔法の炎や稲妻により、崩壊していくラディガストの塔や城壁。

その中で固まるように、戦士達が身を寄せ合っている。玉砕寸前の防衛陣地に立てこもるのは、

リーンの父、ロベルト=スターファインと、彼の配下「栄光」戦士団である。

汗と埃、そして返り血にまみれた鎧を着たファイターが一人、ロベルトの下に駆け寄ってきた。

ジェドブリッジの酒場、“太ったビヤ樽亭”でドネルガと喧嘩していた大男、ジョンだ。

絶望的な状況にもかかわらず、古参兵の彼はいつもと同じく、明るく団長のロベルトに報告した。「栄光戦士団、集結完了しました!」

ロベルト、いぶかしげに「“希望者”だけラディガストに残れと命じたはずだぞ? ここにいるのは・・・全員ではないか」

ジョンはにへらっと笑みを浮かべる。「団長だけ置いて逃げるなんて、そんなこっぱずかしいこと、できませんってば!」

ゲラゲラゲラと笑う栄光戦士団の兵士達。まるで勝ち戦のように士気が高い。

困ったもんだ、とばかりに苦笑するロベルト。ジョンに向かい「すまんな、とうとうお前を、パラディンにできなかった・・・」

ジョンは照れる「よしてくださいよ、あんなに窮屈じゃ酒場で喧嘩もできねえ・・・と、それは?」

歴戦の勇士は目ざとく、ロベルト団長の懐から外れて地面に落ちそうになっていた紙切れを指摘した。

「んん・・・これか?」もう何も隠すことは無いだろう。娘リーンから届いた手紙(<お手紙D>参照)を、まるで自慢するように、彼は開いて見せた。

「実は、私の娘が初恋をしたらしい。今度会う時があったら、相談にのってほしいそうだ(ちょっと赤面)。」

「ひょ〜♪ そいつはめでてぇ話じゃないですか!」「まったく、何を話せばいいやら・・・」

眼下に広がる何千、何万というオークやアンデッドの軍勢など関係なく、のんきに会話するオジサン2人。

「こりゃあ、ぜってえ生き残らねえとなあ! おい、お前ら、リーン嬢ちゃんのノロケ話聞きてぇなら、死んでる場合じゃねえぞ!」

うぉー!鬨(とき)の声を上げる栄光戦士団のファイター達。そんな馬鹿野郎ども(ほめ言葉)を温かい目で見て、剣を掲げつつロベルトは命令した。

「歌え! 栄光戦士団の歌を! 俺たちの歌だ!」

 

(笑顔で、野太く、彼らは歌う) ♪ いざ歌え踊れよ 戦士を讃え いざ誉れ讃えよ われらの盾を・・・ ♪

 

一方、こちらは圧倒的優勢なアイウーズ帝国軍。フレイヤと副官のビホルダーが、ロベルト率いる最後の抵抗拠点を潰そうとしている。

「あそこだけ妙に抵抗が頑強ビホ。」歌っているファイター(栄光戦士団)の一団を指して、ため息をつくビホルダー。

「一騎討ちを要求しているのか・・・よろしい、誘いにのってやろう」かつかつかつと、進み出るフレイヤ。

「ちちちょっとフレイヤ様、今さら行かないでも勝ち戦ビホよ。無理に出なくとも・・・」慌てて止めるビホルダーだが、

この女性のブラックガードは口の端をわずかに上げた。(とてもめずらしいことに)彼女は笑っているのだ。

「今までつまらない戦さだったが、楽しみが、今、できたのだ・・・それともお前、私が負けるとでも?」

ぶんぶんぶん。首(ってどこ?)を横に振るビホルダー。「あうーしょーがないビホねー」

そして大軍勢から一人突出してきたフレイヤを認めて、ロベルト=スターファインも一騎打ちの口上を朗々と述べる。

正々堂々と、勝負! 10,000のアイウーズ帝国軍と、50のアーンスト伯国軍が固唾を呑んで見守る中、

アレクの姉と、リーンの父の、1対1の死闘が始まる! (・・・ここでカットアウト)

****************************************************

 

というわけで・・・

モルデンカイネンの持ってきた悪い知らせ。

→開拓民が虐殺され、その死体でアートンサメイ河が堰き止められ、濠を失ったラディガストは陥落した。

  栄光戦士団は玉砕し、ロベルト団長は生死わからず行方不明。

  アートンサメイ河流域は堰き止められた死体により腐敗した水が氾濫し、疫病の巣窟となりかけている。

モルデンカイネンの持ってきた良い知らせ。

→アーンスト伯国の宮廷は、栄光戦士団の貴重な犠牲のおかげでハイ・マードレスまで逃げのびた。

  そして、アレクの姉フレイヤは、今回の開拓村民の虐殺には直接関与していなかった。

  むしろ非効率的だと異を唱えて疎んじられ、ラディガスト陥落後にアイウーズ軍の指揮官職を罷免された。

「いや、むしろ最後は、悪い知らせかもな・・・」と眉根を寄せるモルデンカイネン。

彼女はまた闇に紛れ、アイウーズ帝国の秘密工作を担当することになったのだという。

おそらく次に向かうのは・・・十中八、九、“秩序にして悪を鎮める礎石”が眠るグレイホーク市に間違いない。

「君達も、急いでグレイホークに向かうがいい。さもないとフレイヤに先を越されて手遅れになってしまうぞ。

 私は今回の件について“奴ら”に聞きたいことがあるので、ちょっと九層地獄バートルまで行ってくることにした

まるで隣の町に買出しに行くように、さらっとモルデンカイネンは言ってのける。

「いや、しかしグレイホークでは、あなたを訪ねる予定だったのだ。大図書館での調査のために・・・どうすればいいのか?」

と、途方に暮れてティリオンが尋ねる。モルデンカイネンは、プレイン・シフトの呪文を唱えつつ、こう答えるのだった。

ジャラージ=サラヴァリアンを探すがいい。私の弟子の魔法使いで、グレイホークに住んでいる。きっと君達の力になってくれるだろう」

そしてきらきら輝きながら、この大魔道師は外方次元界へと消えていった・・・

 

“恐れと炎の目”バルリットは塵に還り、徐々に立ちこめていた濃密な霧が晴れていく。

爽やかな初夏の青空が“絶望の谷”の上空に広がっていく。

おそらく谷の入り口にあった砦の廃墟では、聖戦騎士団の残されたゴースト達が、歓喜しつつ天界へ昇華している頃だろう。

鉱毒の水も汚染の元凶が取り除かれ、もう大丈夫になるはずだ(完全に元に戻るには、まだちょっと時間がかかるだろうが)。

アレクは、父の形見のグレートソードを、以前英雄達を一晩安全に過ごさせてくれた、

サンクチュアリがかかっていた支谷にある、名も無い騎士が残したマイアヘン神像の下に捧げた。

「父さん、あなたの雪辱を果たしました・・・これからも見ていてください・・・娘をお守りください・・・」と祈りを捧げるパラディン。

“絶望の谷”は、やがてこのマイアヘンの祠を中心として、勇猛なるシールド・ランド君主カタリーナによって浄化され、

いずれ“希望の谷”とその名が変わるだろう。語り継がれる英雄達の勲詩(いさおし)とともに。

 

そしてカタリーナ殿下の命により、最速の軍船がクリットウォールを出航する。英雄達を乗せて。

彼らは次なる目的地へと向かう。そこはフラネス一の大都会、自由都市グレイホーク!

光と闇の姉妹、フレイヤとアレクはこの街で再び出会うのか? 

モルデンカイネンの弟子、魔術師ジャラージは、大図書館でどんな真実を教えてくれるのか?

そして・・・この街に眠る“秩序にして悪を鎮める礎石”を守り抜くことが、果たして英雄達はできるのだろうか?

 

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

 

・・・というところで、ロビン=ザ=バレルエスケープのお話は、とりあえずここでいったん中断でーす。

さあ、美味しいおやつの時間だよー・・・って、アラ! 何でみんな泣いてるのっっっ???

ああ、そうか、シューティングスターがかわいそうだったんだね。火だるまになって撃墜されちゃったところね。

(泣いている子を抱っこして)よしよーし、これはお話だからね。まあしょうがないよね、10d6ダメージのファイアボールだもんね。

いやあシスター、すいませんでしたねえ。こんなに動物好きの子供たちとは思いもしませんでした・・・

 

 

〜 4つめのお話 おしまい 〜

 

トップに戻る