D&D3.5キャンペーン第3話
「力の大樹」
(2005/05/14 フォート・マッコイにて)
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その1
遁走魔術師の荒野爆走、リーンとアレクの保存食準備、ファーダ導師の詰問と強制転移、
そして、タングル森に迫り寄る悪の軍隊と、力の樹の立ち枯れについて
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これはフラネスの大地に生きた5人の英雄の物語だ(・・・ったけど、この前1人逃げた)。
彼等は雄々しく戦い、勝利の歓喜に酔い、莫大な報酬を得たが、ときには苦い敗北にまみれ、人生の回り道もした。
そんな生々しい冒険者達の勲であるからこそ、人々に愛され続け、今もなおドワーフの王宮とかでは、客人として招かれたバードがよく謡っている。
その冒険者達の名前は、と問われるならば・・・
失踪した父の跡を次ぎ、滅した騎士団の再興を託された少女、アレク=カイン=クロフォード
(女性の人間、秩序なる善、ファイター1Lvパラディン4Lv)
キーオランドから来た貴族、太古スエル人の末裔、古の帝国が残した遺産と滅亡の真実を求める探検家、ティリオン=セカンフォース
(男性の人間、混沌なる善、ローグ2Lvレンジャー3Lv)
タングル森の心柔らかなエルフ(“弱虫エルフ”の雅語)、師匠が命じるままに人間の世界で精神修養をすることになった、ファーザラード
(男性のエルフ、真なる中立、ウィザード5Lv)
一本気の若き職工ドワーフ、驚異の武器を鍛えることを望む、ドネルガ=バーブン
(男性のドワーフ、混沌なる善、ファイター3Lvバーバリアン2Lv)
ペイロア神の敬虔な信徒であり、名誉ある戦士団長ロベルトを父にもつ頭脳聡明なる娘、リーン=スターファイン
(女性の人間、中立なる善、クレリック5Lv、※NPC)
彼等が前の冒険において、黒騎士フレイヤと邂逅し、ファーザラードが士気崩壊して仲間から離脱したところから話は始まる――
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冒険者としての修行をあきらめ、すたこらさっさと故郷のタングル森へと帰るファーザラード。
リフト峡谷をかすめるように、ジェドブリッジからまっすぐ北西に陸路を進むのだが、
しかしそこは山賊王国と呼ばれている、野盗が巣窟・徘徊している危険地帯の原野であった。
一人とぼとぼ歩いていたファーザラードを、旅の仲間に引き入れてくれた隊商があっという間に全滅したところから、今回のお話はホットスタートする!
焼き払ってぼろぼろにした馬車を蹴飛ばし、ひげ面の山賊団の頭は、唾を吐き出してつぶやいた。
「ちっ、しけた商人だぜ、10ノーブルしかねえや。」「お頭、確かこの馬車には、エルフの魔法使いがいたはずですぜ」
お頭、邪悪な笑みを浮かべて「エルフの魔法使いだとおおおお? そいつは金になるじゃねえええかああ!」
インビジビリティを自身にかけて透明になって隠れていたファーザラードは、キャーと逃げ出し、ずるっところぶ。(笑)
音のしたところを山賊どもは振り返り、「あそこだ、追えー!」「ひ、い、ひいいいいいい!」 (軽快な音楽のBGMスタート!)
「お頭あ、足跡がどんどん遠くなってきますぜ!」「ちきしょう、思ったより足が速いなあ。よしお前ら、馬に乗れ、馬に!」
だかだかだかだか・・・「お頭あ、俺達、透明なあいつに追い抜いちまったんじゃ?」「しまった、おい、馬から下りろ!」
とことことことこ・・・「お頭あ、俺達、透明なあいつに引き離されちまったんじゃ?」「うおー、じゃあ、どうすりゃあいいってんだよお!」
などと間抜けな掛け合いをしている山賊団を尻目に、なんとか襲撃現場から逃げ出せたファーザラード。
しかし無我夢中でたどり着いた先は・・・「ここ、どこなんだろ?」
どん どん どん どん どん(←太鼓の音) ぷあおーーーぷあおーーー(←角笛の音) 「※+*><¥!!!」(←正体不明の叫び声)
ホ ブ ゴ ブ リ ン の 集落だー! (BGMはまだまだ続いている)
今度はホブゴブリンの集団に追いかけられるファーザラード、真横から狼とかもバウバウと襲ってきたりなんかして
「ぎゃあああーーーーたぁぁあすぅぅうううけえぇぇぇてええええぇぇぇ!!」と必死に未開の荒野を逃げ回る。
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そのさまを上空から冷ややかに眺めている、ジャイアントイーグル(らしき怪物)に騎乗した黒騎士フレイヤとビホルダー。
「フレイヤ様、ホブゴブリンがエルフを追っかけてるみたいビホ?」「・・・無視だ。今は任務を優先する」「わかったビホ」
(↑今日はフレイヤさん、出番これだけです)
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逃げる逃げるファーザラード、追いかける追いかけるホブゴブリン。
どうやら、お抱え先のボスであるアイウーズ軍が「エルフの魔術師を捕らえた奴には褒美を出すぞ!」と触れ回っているらしい。
なので、今回は特にしつこい。横から別の部族のホブゴブリンもやってきた。
「おう、何やってんだ」「エルフ狩りよ!」「俺達も混ぜろ!」「だめだだめだ、獲物を横取りするな!」「何だとケチ!」「ケチとは何だコノヤロー!」「やるかてめえ!」
・・・ホブゴブリンの部族間で仲間割れが始まった!(笑) チャンスだファーザラード! もう少しだ、森が見えてきた!
走れ走れ! 峡谷にかかった吊橋をとおり森に入る! ホブゴブリンはここから先にやってこない! とうちゃくー!!!
まあ、そんなこんなでエルフの魔術師は、故郷のタングル森に着いたのでした。「きゅう〜(バタン!)」
そのとき偶然にも他の4人の英雄、ティリオン、アレク、ドネルガ、リーンもまた、タングル森を目指していた。
前回のマリエンヌ地下神殿で見つけた手がかり、悪の封印施設3箇所のうちの一つ、
中立にして悪を封印しているところがタングル森であり、そこに行き、悪が迫りくれば守らなければと考えたからだ。
彼らはアートンサメイ河をのんびり遡るコースをとることに決め、レッドスパン近辺からタングル森に入ることにした。
川船の船長ウォーレンは気のいい人物で、現在リフトクレイグ軍とハローン軍(どちらもアイウーズ帝国に加担する山賊勢力だが、お互い仲は悪い)
の両方から攻め立てられているハーフエルフの村落、タングル村に補給物資をひそかに届けている、立派な男である。
タングル村に物資を届けるという彼の依頼と引き換えに、格安料金でここまで乗ってきた英雄達は、船を降り川を離れ、タングル森の中に入る。
おや? リーンのバッグパックからなにやら甘い匂いがするのだが・・・?
「りんごの砂糖漬けです。疲れたときに食べようと、皆さんの分たくさん作ってきました。エヘン!」とリーン得意そうに言う。
(初めてマリエンヌ村を離れて冒険することになるので、彼女はちょっと張り切っているのだ)
実はアレクも見よう見まねで砂糖漬けをちょっと作ってたのだが、これはちょっと・・・りんごがどす黒く変色している・・・うう・・・
さて、程なくすると、足元に矢が突き刺さる。タングル村の守備兵達が彼らを見つけたのだ。
当然のごとく素性わからぬ英雄達に対して警戒しており、まずは村のまとめ役であるファーダ導師に面会していただこうとのこと。
この2週間前も、鷲に乗った黒騎士と一つ目の怪物が、上空を通過したらしい。(アレク、それは姉のフレイヤだと直感し、顔がちょっと暗くなる)
それ以来、どうも村の様子がおかしいのだ。病気が流行ったり、悪天候が続いたり、悪のクレリックがうろついたりしている・・・
彼らの警戒の元、英雄達はタングル森に入っていった。
さてその頃、一足先にタングル村に到着していたファーザラードは、ファーダ導師の塔に向かっていた。
あいも変わらず好奇の目で見られている。実は、タングル村に純正なエルフは彼しかいないのである。
他はみなハーフエルフか人間である。そんな孤立気味の彼を成人間近まで普通に分け隔てなく育ててくれたのが師匠ファーダなのだが・・・
どうも来客中でドアを開けてくれないようだ。しかたなく、塔の玄関の扉前で、ぽつねんと体育座りをして待つ、一人ぽっちのファーザラード。
そのうち3時間もした頃だろうか、背後でバタンと扉が開いた。ドジっぽく押し出される。
「おお、これは失敬」中から出てきたのは、背が高く銀髪をオールバックにした50歳くらいの壮年男性と、
太って陽気そうで食いしん坊らしく、たえず口をもぐもぐしている30歳後半の男性の二人組みである。
二人ともぱっと見て、ウィザードだと識別できる。背の高い方が言った。「君は、ファーダの弟子かね?」
「は、はあい、ファーザラードです・・・」厳しい目に威圧されながら、おどおどとファーザラードは答える。
「そうか、君が・・・あのエルフの・・・私はモルデンカイネンだ。師匠を待たせて悪かったね」紳士的に背の高い方、挨拶する。
「ぼ、ぼ、僕は、オットー、なんだな」どもりながら太った方もご挨拶。
モルデンカイネンって、あの大魔法使いの・・・!(PHB291p.あたりを参照)
だがそんなファーザラードの畏敬の念も無視して、オットーとなにやら話し込むモルデンカイネン。
「それではオットー、私は一足先にグレイホークに戻る」「う、うん、僕も、すぐ戻る、んだな」そしてシュン!シュン!・・・と2人とも、テレポートで消えてしまった
いきなりの出来事に首をかしげながらも、師匠のファーダ導師に再会するファーザラード。
ファーダ導師は、灰色のローブを身にまとい、もうすぐ100歳に達しようかという男性のハーフエルフ(ウィザード12Lvドルイド3Lv)。
自分を厳しく律し、高潔かつ無欲な人物である。問題は、その厳しさを他人にも求めてしまうということだ。
弟子にお茶を勧めながら、まずは静かに「なぜ、修行を途中でやめて戻ってきた。あと9年残っておろう?」
その圧倒的な存在感にガクガクとひざが震えながら、あることないこと、ファーザラードは弁解する。
「ええっと、タングル森にとんでもないことが・・・そ、そう、怪物! 凶悪なモンスターがやってくるのを知って、
これは修行の旅以上に大切なことだと思いまして、師匠の身に何かあったらと(どーたらこーたら)・・・」
「ほほう。わしの身に・・・」ファーダ導師はクリスタルボールをコツンと叩いた。
すると、さっきのモルデンカイネンやオットーと交わした会談の声が流れてくる。タングル森にある、悪を封じる礎石「力の樹」についての会話だ。
その話の内容から、ファーザラードの弁解は誇張及び婉曲表現が多分に含まれていることがわかった(笑)。
「タングル森にせまっとる危険など、百も承知じゃ!」その裂帛の気合に、思わずごろんごろんといすから転がるファーザラード。「ひゃああ!」
立ち上がり、ずん、ずん、と縮こまった弟子に迫るファーダ導師。目は獲物を見つけた猛禽類のごとく鋭く、背は天井を突き抜けんばかりの威圧感だ。
「正直に言え、修行の旅から、逃げ帰ってきたんじゃろう!」「ははひぃぃぃ。そうですううぅうう。ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
意外なことに、兎のように怯えてひれ伏す不肖の弟子の傍に座り、ファーダ導師は目線の高さで語りかけた。優しく諭す(懐柔する?)ように。
「心柔らかきエルフ、我輩の一番弟子、ファーザラードよ。お前は、ここで役目を果たす必要がある」
「え・・・その役目とは・・・あれ?・・・何だか・・・???」
ファーザラードはだんだん眠くなっていくー!(笑) どうやらお茶に何か一服盛られていたようだ。
ファーザラードを強制的にテレポートでどっかに送った後、ほとんど間を空けずに、残りの英雄4人がファーダ導師の塔を訪ねてきた。
「やれやれ、どうも今日はお客の多い日じゃわい。して、何の用かな?」と出迎える老魔術師。
英雄達が聞きたいことは一つ、タングル森で守られているという“中立にして悪を封印するもの”のことだ。
具体的には何のことか? また、ここまでのハーフエルフの皆さんの証言を元にすれば、
いろいろこの森に嫌なことが起こっているというし、それに危機が迫っているのではないだろうか。
「我々は黒のオベリスクを失ってしまった。もうこれ以上、後手に回るわけには行かないのだ」と、ティリオン、正直に話す。
包み隠さない正直さに感心し、ファーダ導師は席を立ち、森の中央にあるこんもりした木立を指した。
「彼の地は“古の森(いにしえのもり)”という。そこは我らにとって聖域であり、この森を啓いた太古エルフの墓所でもある。
その中央に、タングル森にはじめて生えた大樹があるのだ。それを“力の樹”と我らは呼ぶ。
この樹こそ、悪を遠ざけ、タングル森の生物達に活力をもたらしてくれる存在なのだ。おぬし達が探している封印の一つと言えよう。」
「ならばそれが・・・枯れかかっているということですか?」とアレク。ファーダ導師は憂いのこもった目を向けた。
「うむ。つい2週間前に、鷲に乗った黒騎士と一つ目の怪物が、“力の樹”の上を通った。そのときに何か“黒い物”をぽとりと落としていった
それからじゃ、力の樹が発する清新な魔力が消え、邪悪な波動が古の森全体を覆っておる・・・」
「よっし、それじゃあ話は簡単じゃわい。わしらがその落し物の正体を確かめてくるとしよう!」
ドネルガ、とてもフランクにバンバン!とファーダ導師の背中を叩く。その行いに手がぶるぶる震えているぞお師匠様。ひゃあー。どうかカエルに変えられませんように・・・
「ま、まあ、お主はドワーフじゃからの、多少の無作法は大目に見よう・・・(ほーっ、と安堵の息をつく他の3人)
わしもさっき帰ってきたばかりの弟子、ファーザラードをかの森へ調査に向かわせたところじゃ」
ファーザラードだって? 驚く4人。ファーダも驚き返す。「???ファーザラードを知っておるのか?」
事情を話す英雄達、かくかくしかじか・・・、てなわけで、彼はもともと我々の仲間だったんです。
「そうか・・・お主たちが、きゃつの修行先で一緒に冒険していた仲間か・・・いや、すまん!」正直に頭を下げる老魔術師。
「太古のエルフ王族の全うな血筋でありながら、昔っから弱気の虫で・・・少しは逞しくなるだろうと修行の旅に出したらこのザマじゃ。いろいろと迷惑をかけたのう」
太古エルフの王族ぅー! あの泣き虫エルフがー? びっくりする英雄達4人。
「いえいえそんなことはありませんよ、」「彼の魔法は我々を何度も救ってくれた。」とアレクとティリオンがフォロー。
「それよりもお主、ファーザラードをたった一人で、そんな危険な森に送ったのか? 死んだらどうするんだ!」
いろいろパーティの中でファーザラードの面倒見てきたドネルガ、心配のあまり感情が暴走してファーダ導師に食ってかかった。すると逆ギレする老魔術師。
「獅子は千尋の谷にわが子を突き落とぉす!」その裂帛の気合に、思わずごろんごろんといすから転がるドネルガ。「どわああ!」
(いやでも、ファーザラードはどう見てもライオンの子供じゃないだろ、どっちかというとウサギとかネズミとかそんな感じだろ、とみんな思ったが)
そしてさっきと同じく(笑)、つかつかと歩み寄り、ファーダ導師は目線の高さで語りかけた。優しく諭す(懐柔する?)ように。
「もし旅の仲間の身を案じるならば、ぜひとも助けにいってやってくれ。」そして一人ひとりを見回した。
「キーオランドの太古スエル人の末裔ティリオン、高潔なる聖戦騎士団長クロフォード卿の正当なる後継者アレク、
アーンストの守護者ロベルトが誇る聡明なる娘リーン、そして心厚きドワーフの鍛冶職人ドネルガよ。
おぬしらが集いも集って、この森にやってきたということは、これもまた森の女神アローナの導きにほかならん。」
彼は英雄達の素性を全て見抜いていた。何でも知っているのだ。壁に打ち付けられた魔法の印。
そう、彼はフラネスの大地の均衡を守る高名なる魔術師集団「八者の円」の会員なのだ(モルデンカイネンとオットーも彼の同志である)。
かくして“力の樹”にどんな異変が起こっているのか、確かめるため古の森に行くことにした英雄達。
さらにはタングル森を狙っているハローン国からは悪の司祭が、リフトクレイグからはホブゴブリン軍が、
力の樹の善の魔力が弱った隙に、聖域であるこの森へ踏み込んだらしい。彼らの動向も厄介だ。
あとそれから、先に強制転移されて(たぶん)一人ぽっちでベソかいているファーザラードも助けてあげよう。
ファーダ導師の塔から、古の森ではクリスタルボールで行ける。これはテレポートの魔法がかかっているので一瞬に着く。
しかし2つ問題がある。一つは、出る先がランダムだということ。そしてもう一つは、一度に2人しか運べないということ。
というわけで回復魔法等も考慮し、ドネルガ=リーンとアレク=ティリオンの2組に分かれる。
こうして中立にして悪を封じている太古エルフの墳墓へと向かう英雄達。時にCY592年、群羊月6日のことであった・・・