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その3

元城代レイザー卿の悶死と、黒のオベリスクの失陥、凶運が降りかかるファーザラード、

そして、騎士団の誇りある鎧を受け継ぎし騎士と、光と闇の邂逅について

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幽霊のオフィーリアの求めに応じるため、レイザー=マクギニスを救おうと、通路を走っていく英雄達。

ティリオンが<捜索>判定に成功し、床に伸びる魔法の線を見つけた。

これは十中八九、トラップマスターの仕掛けたアラームに間違いない。しかし今は悠長に解除しているときではない!

発動覚悟で線を跨ぐ。案の定、きんこん、きんこん、とアラームの発動音が鳴り響く。

焦れる気持ちとは裏腹に、通路は気絶しそうなくらいに長く一直線に伸びている。2分、3分、疾走するも、なかなか次の部屋が見えてこない。

発動音を聞いてか、通路の向こうの部屋では、拷問がペースアップしているようだ。聞き漏れる声が近くなってきた。

声色を聞くと、この地に侵入した「ロルスの花」の隊長は、どうやらフレイヤという女性らしい。毅然とした声が聞こえてくる。

「さあ、聖戦騎士団が探していたダークスレイヤーの手がかりはどこにある!」

レイザーらしき男性の声「知らん、知らぬものは言えぬ! ぐわあああああ!」

陽気な声も聞こえる。どうやら隊長の副官のようだ。「こいつ、本当に知らんようでビホ。アラームも鳴ったし、さっさと殺しちゃいましょうビホ」

ううー、待てー! たったかたったか駆ける英雄達。ようやく。マリエンヌ砦地下2階、最後の部屋が見えてきた!

 

そこは、きれいに楕円形にくりぬかれた竪穴で、上からは地上の明かりが降り注いでいる。

その壁面は見事に磨かれており、ドワーフのドネルガが、その美しさに惚れ惚れするほどだ(今、心に余裕があれば)。

ぱっと見ても、今の技術では不可能な業であり、太古スエルの超古代遺跡に関連があるとわかる。

奥には台座にうやうやしく載かれた、黒色の円柱結晶体。これがどうやら混沌にして悪を封じる太古遺産「黒のオベリスク」だろう。

だが残念ながら、黒のオベリスクの前に禍々しい存在も見える。

部屋の中央には、石の拷問台があり、そこには初老のみずぼらしい男が寝かせられ、縛り付けられていた。

すでに身体には幾多の切り刻まれた跡がある。瀕死の状態だ。

レイザーのすぐ傍には、フルフェイスヘルメットを被り、頭からつま先まで黒い甲冑を着た騎士。邪悪なるブラックガード!

そして、ブラックガードの傍らに控えるのは、球状の身体をして真ん中に一つ目と大きな口があり、

10本の目付き触手を生やしたる異形の怪物・・・ビホルダーだ!

ビホルダー「あーあ、とうとう奴らやってきちゃったビホ。フレイヤ様、どうするビホ?」

黒騎士の隊長「時間切れか・・・ならば、やむをえん!」きらっ、彼女の剣が抜かれ、地上から降り注ぐ光に白刃がきらめく。

レイザー「貴様など恐れん! 殺すなら、さあ、今すぐ殺せ!」

 

「いや、死んじゃだめだ、待ってろレイザーさん!」と部屋に踏み込もうとする英雄達。

すると、彼らをあざ笑うように、デロ・ガーの仕掛けたトラップが発動。<捜索>判定なんかしてる暇、なかったよー!(泣)

天井からザーッと降りる物体。落とし格子だ! ガッシャーン。英雄達は部屋に入る一歩手前の通路で足止めさせられた。

黒騎士は情け容赦なく、慣れた手つきでずぶずぶと、刃を無防備なレイザーの胸に突き立て、とどめの一撃をかます。

ファーザラード、何とか殺戮を邪魔しようとマジックミサイルを彼女に放つ。

しかし、フレイヤかビホルダーか、どっちかが持っていたスペル・ターニング能力によって、まっすぐそれはファーザラードに向きを変えて戻ってきた。

「げふ!」運悪く、最大ダメージが彼に突き刺さる。「もうやだ、逃げるー」と士気崩壊して逃走し始めるエルフのウィザード。

そして彼らが手出しできぬまま、粛々と悲劇は進行していく。

レイザー、断末魔の悲鳴と共に、いまわの際の膂力を振り絞り(ここら辺さすが元パラディンである)、

縛られていた手を伸ばし、黒騎士の兜の顎に指を引っ掛け、そのヘルメットを外した。

邪悪きわまりない黒兜の中から現れたフレイヤの容姿は・・・

アレクそっくりの顔立ちをした、亜麻色に輝く長い髪の、凛とした美しい顔立ちの乙女だった。

 

な ん だ っ て え え え !

い ち ど う ぼ う ぜ ん と す る 。

フレイヤは落とし格子の向こうにいる英雄達を冷たい目で見やり、その中に妹のパラディンを見かけると、多少驚いて「アレクか・・・」と呟いた。

その後、悲しそうな深く青い瞳でレイザーの死を見つめると、つかつかつかと黒のオベリスクに歩み寄り、剣を一閃。

ばしゃ! まるでディスインテグレイトの呪文が命中したかのように、一瞬にして円柱結晶体は粉末と化した。

そして先に浮遊していたビホルダーが垂らしたロープにつかまる。竪穴から脱出する気だ。

しかし、英雄達には止める術がない。フレイヤは去り行く際に、アレクへこう言い放った。

「心に闇を持たぬ妹よ、ダークスレイヤーを探すがよい! 探索の果てに、私は再び現れよう!」

そして高笑いをして上空へ牽引され、ビホルダーと共に姿を消していく(BGMつきで)。

ここまでされて、何もできないのか・・・ティリオン、無念と怒りを感じつつも、冷静に<捜索>判定。

通路にレバーが隠されているのを見つけた。それを引っ張り、がらがらと落とし格子が上がる。罠は解除された。

部屋に飛び込む英雄達。しかし呼吸はしているものの、レイザーはもはやどうやっても助からない。

そして、上空から、足止め要員としてフレイヤが放った配下の魔物がばっさばっさと翼で降りてきた。

超大型サイズの魔獣マンティコラス!

さらに彼女が空中から放り投げた黒い宝石らしいものが2つ、地面に当たると奇怪なことに、

ぶしゅしゅしゅっと煙が飛び出し、人型の黒い影に変わった。2体のシャドウだ!

おそらく、これが今日の最終戦闘になるだろう。気持ちの動揺を抑え、気合を入れ直す英雄達。

 

その頃、通路をすたこら走って逃げ帰っていたファーザラードは、思い出した。

自分の頭の中にディストラプト・アンデッドの呪文を覚えていたことを。

アンデッドのシャドウが2体だって? じゃあ、まだ僕は、戦えるじゃないか!

(ファーザラード、お主は、いつまで逃げ惑っている気だ!)←と、師匠の声が聞こえたような気がして

彼は再び方向転換、戦闘中の残りの4人に合流する。「みんな、戻ってきたよ、シャドウは僕の呪文に任せて・・・」

と言いかけたところで、マンティコラスが尻尾の針を6本射出!

全員に一本ずつ、もちろんファーザラードにも。彼に対する攻撃ロールの出目は運悪く20(クリティカルは免れたが)。

ダメージは10点。これでファーザラードのhpは? 0です。ええ、ちょうどゼロ。

「やっぱり、逃げときゃよかった・・・!」という後悔の言葉を残し、哀れなエルフの魔術師は、満身創痍状態に入ったのだった。(涙)

次にシャドウがアレクに接触攻撃。ひゅうう・・・と【筋力】に1d6ダメージ。これは怖い!

また、お返しに改心の一撃を加えるも、魔法の武器でないゆえに効果なーし。愕然とする英雄達。

だが、前衛のアレクとドネルガはマンティコアで精一杯。ならば、後衛組で何とかしましょう、とリーンがターンアンデッド!

判定結果は? ぎーりーぎーりー・・・シャドウのヒットダイスに届いた。よーし! ペイロアの聖印を掲げるリーンから逃げ離れるシャドウ達。

その際にアレクとドネルガの機会攻撃内を無考慮で通過していくので、難なく邪悪なアンデッドは討ち取られた。

そして次にリーン、シールド・オブ・フェイスをアレクに。「さあ、やっちゃってください!」と激励。

(さらにその後でキュア・モデレット・ウーンズをかけ、やっとこさファーザラード、死地から回復)

「おうっしゃあ!」と、邪魔なシャドウもいなくなったので、まずドネルガが≪激怒≫で突進。わき腹に“霜降りの槌”でしこたま打撃をぶち当てる。

ティリオンも≪得意な敵≫の魔獣に対し、次々と≪速射≫攻撃。

これに対してマンティコラス怒り、今度は尻尾のスパイクを6本、ティリオンに集中射撃!

出目がよければ1d8+2ダメージ×6発なので一気に死に追い込めるが・・・くうーだめだ、2本しか当たらんかった。

これで万事休す。お返しとばかりに、ビシッと、マンティコラスの眉間にティリオンの弓が命中する。

マンティコラスは、どうともんどりうって地面に倒れ、動かなくなった。

 

悪の軍勢は駆逐した。しかしレイザーは・・・今、まさに死ぬところ。超人的な精神力で、英雄達の勝利は見届けることができたが。

「なんという惨めな最期か・・・剥奪されたパラディンの・・・俺に、ふさわしい・・・運命だ・・・」血を吐きながら、全てをあきらめた表情。

アレク「いいえ。あなたは、この黒のオベリスクを、そして妻オフィーリアの墓を、ここまで立派に今まで守り抜いたではありませんか」

ドネルガ「なかなかできることじゃない。大したものだよ」と慰労の言葉をかける心優しき英雄達。

レイザー「パラディンの娘よ、そなたの名は?」「アレク=カイン=クロフォードです。グレイ=クロフォードの娘です。」

この名を聞いた瞬間、レイザーはかっと目を見開き、彼女の腕をつかんだ。

レイザー「騎士団長グレイ=クロフォードの娘、アレクよ、姉を追え、姉のフレイヤ・・・を。

 ・・・そして・・・ダークスレイヤーを・・・彼女に・・・渡しては・・・ならない・・・」

やっぱり姉だったんだー! 恐るべきブラックガードのフレイヤは、アレクの生き別れの姉だったのだ。

気が動転しながらも、アレクは、こくこくと、うなずく。

そして、それが最期の生命力だったのだろう、伝えるべきことを伝えたら、すうと力が抜け、彼は石台に横たわる。体温が急速に冷えていく。

レイザー「話し・・・すぎた・・・もうこの世で・・・私の役割は・・・終わりだ・・・」

リーン「ええ、天上で、オフィーリアさんが待っていますよ(ぐすん)」

レイザー「ああ、オフィーリア・・・彼女に会えるのだね。成仏させてくれたのか・・・彼女を・・・感謝する・・・」

そう言って、安らかな表情を浮かべ、マリエンヌ砦の元城代、元聖戦騎士団員のパラディン、レイザー=マクギニスは労苦に満ちた一生を終えた。

なぜか彼の右手は、黒のオベリスクが載っていた台座を示していた。

そこをティリオンが慎重に開けると、中は空洞になっており、見事な銀色のフルプレートが収まっていたのだった。

マントに縫いこまれた聖戦騎士団の紋章。それは、アレクの最初の記憶、戦に旅立つ父の背中に見たのと同じものであった。

これをつける資格があるのかどうか、少し戸惑うアレクだったが、他4人の勧めにより着用した。

(上から降り注ぐ光の下、銀色の甲冑を身につけたアレクは、とても立派なパラディンに見えた)

そして示されたとおり「わが神マイアヘンよ」とコマンドワードを唱えると、この鎧は不思議なことに普通の衣服に姿形を替えた!

これこそ、レイザーがかつてパラディンであった時に着用していた聖戦騎士団の具足、魔法のフルプレート+1withグラマールなのだ。

しかし今は不思議なことに、新しい持ち主のアレクにぴったりのサイズとなっている。

アレクは父の騎士団の鎧を手に入れた! おそらく、フラネス全土で唯一人の聖戦騎士団員だろう。今のところは。

 

黒のオベリスクの洞窟から上に向けて竪穴が繋がっているので、そこから地上に出る英雄達。

かくしてマリエンヌ砦の探索は終わった・・・いや、まだあきらめきれず、その場に残る男が一人。ティリオンだ。

「このメモに導かれて、人生をかけて探した太古スエルの遺産が・・・粉々か、くそっ!」

だんと、憤懣やるかたない様子で台座に拳を打ちつける。

だが、ここで<捜索>判定に成功。彼の神ファルカンは、まだこの探険家を見捨ててはいなかった。

台座の裏には、びっしりと太古スエル語が刻まれているのを発見したのだ。

 

このオベリスクは、混沌にして悪を鎮定する礎石なり。

同じくして、中立にして悪を鎮めるもの、タングル森にあり。

同じくして、秩序にして悪を鎮めるもの、グレイホークにあり。

善の護り手よ。彼の地も訪ね、悪の封鎖を完璧にせんことを、我らスエルの民は願う。

 

「そうか・・・」彼の旅はまだまだ終わらない。太古スエルの遺産はあと2つあるのだ。

フレイヤが何を狙っているかはわからないが、これらも彼女に破壊させるわけにはいかない。

太古スエルの末裔である自分の、探検家としての誇りにかけて、これらの遺産の在り処を突き止め、そして保護することにしよう。

そしてこれらの情報が敵に見つかることのないよう、泣く泣くティリオンは台座を破壊し、隠匿したのだった。

さしあたって次の目的地は・・・

今回の冒険では11,000コモンしか手に入らなかったので、グレイホークまではちょっと資金が不安だ。

また、グレイホークのような大都市に直接攻撃を仕掛けるとは思えない。むしろ狙われやすく、急を要する場所と言えば・・・

「タングル森だな。」ティリオンは呟き、竪穴から出て、他の仲間と合流したのだった。

 

一方、表情がどんどん暗くなっている人物もいた。

今回、まったく、おいしいところのなかった、エルフのファーザラードである。

太古スエルとか、ダークスレイヤーとか、もう、どうでもいい・・・

ただ、命を大事にして、天寿(エルフのそれはかなり長いのだが)をまっとうしたい・・・

これから先、あんな恐ろしい獣や罠に遭遇するくらいなら・・・

師匠の言いつけにそむいてしまうが、ごめんなさい、僕、もう、いっぱいいっぱいの限界なんですううううぅぅぅぅぅ・・・

全員ホームタウンのジェドブリッジに帰り、宝物の分配も終え、しばらくたったのち。

宿屋「太ったビヤ樽亭」にて、なかなか朝食にファーザラードがやってこない。

心配して仲間達が彼の部屋を開けてみると、こんな1枚の書置きが。

 

故郷に帰ります。探さないでください ファーザラード

 

ドネルガ「そうかあ、しょうがないかなあ・・・」 リーン「かなり無理してましたから・・・」

アレク「彼の故郷って、どこでしたっけ?」 ドネルガ「いや、わしは聞いとらんよ」

ファーザラード本人が話してなかったので、皮肉なことに、誰もあの心柔らかきエルフの出身地がどこか、知っている者はいなかった。

そこにティリオンやってきて、次の冒険の話を始める。

「ファーザラードは残念だったが、本人の意志だ。無理強いはできない。また出会うこともあるさ。

 ところで、我々の次の目的地だが・・・タングル森へ行こうと思うんだ」

その頃、ファーザラードは、一人で荒野を逃走していた。

目指すはただ一つ、ぬくぬくした暖炉と師匠の待つ故郷のタングル森である。あれ?

「もう帰るんだ、冒険はたくさんだぁ。タングル森に帰るんだアー!」

一方、ジェドブリッジの「太ったビヤ樽亭」の中では・・・

「森かあ。自然はいいのう!」(←ドネルガ)「姉の企みを追わねばなりませんね」(←アレク)

「私、そんなに遠くまで行くの、初めてですわ。わくわくします!」(←リーン)「ようし、次はタングル森だあ!」(←ティリオン)

・・・偶然の一致により、彼らの運命はまた近いうちに、かなりの高確率で交錯することになるでしょう。

 

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・・・ですが、あ、そろそろ山賊の皆さんは出撃準備の時間ですか。それではここでいったん中断ですね。

え? 首尾よく襲撃が成功して凱旋してきたら、ぜひ続きを謡ってほしい、ですか?

それはもう、もちろんですとも。ですがせめて、このロビン=ザ=バレルエスケープの足かせを解いてくださいませ・・・

 

〜 2つめのお話 おしまい 〜

 

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