---------------------------------------------------------------------------------

その2

トラップマスターとの知恵比べ、悪意満ちる罠との神経消耗戦、夫の運命を悲嘆する妻の亡霊、

そして、錆を吹く異形の怪物と、デロ・ガーとの火花散る激闘について

---------------------------------------------------------------------------------

 

結局この日は遅くなり、呪文を補充する必要も生じてきたので、英雄達は長官室で一晩を過ごすことにした。

(明朝にワンダリングモンスターでバグベアの残党が出てきたが、叩き潰されたスラギズラクスの屍骸に恐れおののき、英雄達とは遭遇せずに逃亡)

明くる朝、植苗月19日。英雄達はドラウのいた部屋から地下2階へアタックすることにする。

地下1階の残された最後の部屋、西隅のドラウの出現してきた部屋は、特に何も見当たらない。

だがドネルガが≪石工の勘≫で、なにやら南壁がスライディングウォールである。

「ふむ・・・ドワーフの目にかかれば・・・」と、とことこ歩き、手を触れようと目前の壁に意識を集中してしまったところ、足元がおろそかに。

下敷きのマットで落とし穴が隠されていたのを見逃した。ずぼ! 深さ10ftの穴に入り込むドワーフ。

そしてさらに、穴の底に落ちた瞬間、カチンと底に仕掛けてあったスイッチが発動した音がした。

すると、ドコドコドコと、天井にはめてあった敷石が崩落し、穴に嵌ったドネルガの体に降り注ぐ。

これがトラップマスターによる連動罠だ! 「くそ、油断したわい!」悔しがるドネルガ。

敵は探索者心理を読み、巧妙かつ悪意に満ちた罠を地下2階の各所に張っている。

果たして英雄達はくぐり抜けることができるのか?

 

マリエンヌ地下寺院跡 地下2階 ※別ウィンドウで開けること推奨

 

隠された地下への階段を下り、英雄達は地下2階へ下りる。

「とにかく慎重に行こう、俺が先頭に立つ。ドネルガも最前列で、≪石工の勘≫でおかしいところがあったら教えてくれ」

ティリオン緊張の面持ち。仕掛けてある罠を回避しパーティを救うには、自分が何とか発見するしかない。プレッシャーがかかり、自然と手が汗ばむ。

コツコツと10ft棒で足元を叩き、一歩一歩慎重に進むうちに、両扉を潜り抜けて大きな洞窟に出た。

どうやらここはドラウの居住区らしく、前日ドラウを倒したので、今のところ敵はいない。

だが、何かある、絶対何かあるはずだ。ティリオンが<捜索>判定を試みる。南東の壁がいやに不自然に一直線に切り出されているのがわかる。

だがここで「もう帰ろうよう! いいじゃんトラップマスターなんかさー!」緊張感に耐え切れなくなったファーザラードが駄々をこね始めた。

「ええいお主は修行しているんだろう!こっち来てエルフの目で、隠し扉を見つけてみい!」

ドネルガが苛々し、がっとファーザラードをつかんで、南東の不自然な壁の方に立たせた。

そのとき・・・コツン・・・ドネルガの持つ10ft棒の先が壁に当たる・・・グラア・・・壁全体がドネルガとファーザラードの方に倒れてくる!

二重壁のトラップだ!反応セーヴ20!ファーザラード「ひいい!」と悲鳴。何とかよけた。

だがドネルガは頑丈そうな重い石板の下敷きに。ずずうん・・・なんと4d6ダメージで19hpが吹っ飛んだ!

(ファーザラードが失敗したらマイナスhpになっているところでした。ぞーっ・・・)

ここはリーンがキュア・モデレット・ウーンズをかけ、ドネルガのhpを元に戻す。

そして「もうやだー!かえるー!」泣きべそをかくエルフの魔法使いをすかしなだめ、英雄達は更に通路を進む。

 

ドネルガはだんだん思い出してきた。かつてドワーフ族の中で、罠作りの異能ゆえに追放された男の伝説を。

人間とドワーフの混血である忌まわしき“デロ”である彼は、その精巧極まる罠を作り上げる技術ゆえに

ドワーフ達から疎まれ、社会を追放されて地下を徘徊し、闇の勢力の一員に加わったという。そいつの名はデロ・ガー!

(ガー、とはドワーフ語で「〜野郎」「〜な奴」といった侮蔑的意味を持つ接尾語。つまりはデロ野郎という意味名である)

またの名をデロガ・ザ・トラップマスター。見ると、罠にはすべてTMの銘が刻まれている。(笑)

やがて三叉路に出た。何があるのかティリオン、<捜索>判定の出目は低く見つけられずじまい。

覚悟して通路を南に折れると、カシャ!背後からスパイクが射出され、ティリオンの背中を襲う。はぐっ!

ここは三叉路の又すべてに、中心に向かって射出式スパイクが装填されており、

道をどこからどう曲がろうとも、無防備な背中に向けてスパイクが発射される形の罠なのだ。

「くそ!またやられた!」イラつくティリオン。ローグとしてこれほど手のかかる難解なダンジョンは初めてだ。

その焦りもまた、トラップマスターの術中で踊らされている証拠なのだが・・・

 

気を取り直して南に進むとドアがあり、あけるとそこは、墓地であった。

かつての聖戦騎士団員やその家族が埋葬された墓がある。耳を澄ますとシクシクシク・・・と泣き声も。

すわバンシーか、それとの他の邪悪なアンデッドか! 戦闘態勢に入る英雄達。だがそこにいたのは、うら若くきれいな女性のゴーストだった。

英雄達を襲う意図はなく、ただ「あの方はどこにいるのかしら・・・私の夫、レイザーはどこ・・・」と問いかけてくる。

アレクが「失礼して・・・」とディテクトイービルを行うも、反応はない。中立か善の属性だ。

彼女はオフィーリア=マクギニスという元人間のゴースト。レイザーの妻だ。6年前に病死して、ここに埋葬された。

(見ると彼女の墓の上には、3週間ほど前に置かれた未だに新しい花が添えられている。レイザーの手によるものだ)

ところが最愛の夫であるパラディン、城代のレイザー=マクギニスとの麗しい日々忘れがたく、ゴーストとなってしまったのだ。

妻の幽霊を見たレイザーは――職務上ターンアンデッドすべきであったのだが――彼もまた、それをできなかった。

「私は彼の手による成仏を望みました。しかしあの方は、レイザーは、“愛おしいお前を成仏させられるものか”と・・・

 姿だけでもこの世にいてくれと・・・おお、なんと罪深きことを・・・」さめざめと泣くオフィーリア。

なるほど、それで、レイザーはパラディンのクラスを剥奪されてしまったのだ。アンデッドを見逃したがゆえに。

パラディンとして成すべきことを、人の情を優先して放棄してしまったがゆえに。

そして指導者を失ったこの砦は・・・。皮肉な運命の結末にうつむく英雄達。

「ならば、我々が成すべきことは・・・」とアレク。

「ええ、どうかお願いいたします。レイザーはドラウに囚われたのかもしれない。それだけが心残りです」とオフィーリア。

アレク「努力しましょう。必ずやあなたの夫、レイザーを保護することを。」

オフィーリア「ああ、その言葉が聞けたなら、晴れやかに死後の旅へ出かけられましょう!」

そしてリーンによる見事なターンアンデッド(HD2倍以上の達成値)で、オフィーリアは成仏されたのでした。英雄達に苦い思いを残して。

ティリオンは身近にいるパラディンに対し、聞かずにいられなかった。「なあ、アレク、君の愛する者がアンデッドになっていたら、どうする?」

「父がもしそうなったとしたら、正道を正すのみです」若き聖騎士は毅然とした表情で言った。

「わしがアンデッドになったら、さっさと殺すんじゃぞ・・・」とポツリ呟くドネルガ。

それに対し「ああ、わかったよ!」とファーザラードは明るく返事して、ぽかりとドワーフに殴られた。

英雄達は、「ロルスの花」を名乗るドラウ達の捕虜となったレイザーを助け出す目的を見つけて、北に戻る。

 

そして、またトラップマスターとの知恵比べだ。

三叉路を東に折れると、緩やかな下り坂のスロープが延びている。これには全員ピンと来た!(笑)

天井をチェックするティリオン。今度は見つけたぞ。大きな丸石がセットされている。

<装置無力化>判定も成功し、転がらないようにしっかり閉じ込めて罠を封鎖した。

その後、用心深く坂を下りていく英雄達。通路はヘアピンカーブとなっている。

急な曲がり角の先はディーパー・ダークネスのかかった、不規則な幅の下り階段。足を踏み外せと言わんばかりである。

視界も通らないので、ここはhpに余裕のあるドネルガが、腹ばいになって進むことに決定。

胴体にロープを結わえてもらい、なにか作動させてしまったら、直ちに他の4人に引き上げてもらうことにした。

そしてお約束どおり、ドネルガの兜の角にワイヤーらしきものが引っかかる。プツン!

ドネルガ「俺を引き上げろー!」瞬時の判断のおかげで罠による攻撃を回避。床からせり上がるヒンジステーク(棘台)に串刺しにならずにすんだ。

つまりこの罠は、全て連動している。

「大岩が転がる」→「あわてて走って逃げる」→「ヘアピンカーブを曲がる」→「不規則な階段と魔法の暗闇」

→「足を踏み外してすっ転ぶ」→「階段を転げ落ちる」→「階段下のワイヤーを切る」→「ヒンジステーク作動。犠牲者を串刺し!」

総計7コンボからなる連続罠。最初の大石転がりの罠を見落としていたら・・・ぞーっ・・・

なんとねじくれた性格の奴が作るトラップであることか。げんなりする英雄達。さすがに神経が磨り減ってきた。

そして坂を下りて一歩踏み出した瞬間! バタン! また床が前後に開き、隊列の先頭は落とし穴の中に落っこちた!

 

(マスターシーン)トラップマスターの独り言******************************

「ひとつ罠を越えて、さあ行こうと油断したときに、もう一度ひっかからせる。この瞬間がたまらんのだよ・・・ククククク・・・」

*************************************************

 

落とし穴は浅く、ダメージはない。しかし横に地下通路が伸びており、そこからカサカサと向かってくるのは

ラストモンスターだ! 金属の装備品を赤錆に変える、冒険者最大の敵。次から次へと、もう・・・

ドネルガとアレクが地下通路の中で前衛となり、ラストモンスターの進路をふさぐ。

その隙に他の者は穴から抜け出し、後ろから遠隔武器で射撃。だが明かりが届かず、なかなか当たらない。

ドネルガが触手の一撃を受け、長年使ってきた愛着あるドワーブンウォーアクスがぼろぼろになる。でも予備武器でよかった。霜降りの槌でなくて。

そんな状況の中で、前方のドアが開き、ドラウ1個小隊(レイピア下っ端×2、ロングボウ隊長×1)が英雄達を襲撃する。

大混乱の状況となったが、ドネルガの奮戦で弱ったラストモンスターに、ファーザラードがマジックミサイルでとどめ。

ドラウもティリオンの≪速射≫攻撃とアレクのグレートソードで次々と仕留められていった。

そして残ったドラウもファーザラードのウェブにより無力化される。

これで・・・罠は・・・打ち止めかぁー! どんどん来い! 全て外してやるぞ! ヤケクソ気味に闘志を満ちて英雄達は先のドアを開ける。

 

次のドアを開くと、そこは大きな洞窟だった。

天井には縦横にロープが張られており、真ん中にはチェスの乗ったテーブルがある。

そしてテーブルの近くには、垂れ下がった4本のロープと、薄汚い人間とドワーフの混血児、デロのデロ・ガーがいた!

「よくぞ私の罠を突破してここまできたものだ」慇懃無礼に拍手するトラップマスター。「だが、ここでお前らは、私の最後の罠に恐怖することとなる!」

これに対しティリオン「ああ、罠は立派だったさ。だがな、お前の仕掛ける罠は、鞭だけで飴がない! 他人を警戒させるだけの醜い罠だ!」

これはまさにティリオンの言うとおりである。トラップを仕掛ける場合、罠の他に宝を配置しておくことは基礎中の基礎だ。

なぜならば、警戒の後に気を抜くことよりも、欲望に身を焦がす方が油断を招くからだ。鞭だけ打ち続ければ、気を抜くことはあっても油断することはなくなる。

アレクも続いて「あなたは侵入者を撃退するため、引きこもってただ防備を固めるだけ・・・軍師としては、三流ですね。」

「何だと、おのれー!」自分の罠を批評されるのが何より嫌いなデロ・ガー。逆切れして戦闘に突入!

デロ・ガー、自分の下に垂れ下がっているロープを一本引くと、壁が開き、中から炎の小さなエレメンタル×4が飛び出す。マグミンというモンスターだ。

先ほどの戦闘でウェブに絡まれているドラウは何とかなるものの、こいつは厄介。ぺたぺた触ったところが引火してしまうし(近接接触攻撃)

命中を与えたときに頑健セーヴに成功しないと、武器が使い物にならなくなってしまうのだ。

そしてデロ・ガー、さらにロープを引く。「落ちろー!」床に仕掛けてあった落とし穴が開く。しかしそれに嵌ったのは・・・味方のドラウだ。

「しまったー!」自分でもこの部屋に仕掛けすぎて、どの位置に何の罠があったのか、わからなくなっているらしい。(笑)

 

これはチャンスと、マグミンはリーンの呪文保護を受けたアレクに任せ、デロ・ガーに突進するドネルガ。

しかしデロ・ガーもシールドを唱えてアーマークラスを強化。ファーザラードのマジックミサイルも打ち消してしまった。

そして逆襲でドネルガに向けてトゥルーストライク。次の手番にハンドクロスボウで命中を与える。そして毒!

頑健セーヴに失敗すれば【耐久力】−1d6だったのだが、頑丈なドネルガにはきかなーい。

一方、≪強打≫→≪なぎ払い≫で、地道ながらも着実にhpの少ないマグミンを屠っていくアレク。

ティリオンもコンポジットロングボウでドラウの残党を仕留め、形勢は英雄達が有利に。囲まれるデロ・ガー。

じりじりと後退していき、背後の退路は壁に阻まれた。ドラウとマグミンを倒したアレクが、囲むように彼の側面を固める。

ドネルガ「貴様のからくり仕掛けもこれでおしまいじゃ!」・・・ドスっ! 「ぐわあああ!何の取り得もないドワーフごときにぃぃぃぃぃ!」

とうとう、ドワーフの怒りの一撃で、デロガ・ザ・トラップマスターは打ち倒され、無念そうに絶命する。激闘終了!

何か情報があるかと、デロ・ガーの死体を探ろうとするティリオン・・・カチンと音がした。はっ! 第六感で飛びのく。

ドカーン! デロ・ガーは最期の罠を自分の身体に仕掛けていた。身体を動かすとスイッチが入り、火おこし棒が発火し、

錬金術師の火で傍にいたものを焼き尽くそうとする。最期の最期まで、彼はトラップマスターだったのだ・・・

 

トラップマスターが保持していたマジックアイテムを回収したところで、全員<聞き耳>判定。

すると「ぐわあああ!」という男の悲鳴が聞こえてくる。

そうだ、マリエンヌ砦の元城代レイザーを救出せねば! 一刻のためらいもなく、全員走って南西の通路に入る。

そこは、ただまっすぐに南西に伸びる地下回廊だった。罠の危険もあるだろうが、英雄達、かける、かける!

ファーザラード、いよいよ最後のボス戦闘を見越して、インビジビリティをドネルガに。

だが彼は知らなかった。このながーい通路が、全速力で走っても呪文の持続時間以上の距離であることに・・・

ファーザラード「ああー、貴重な2Lv呪文がー(泣)」

 

(その3へ続く)