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その3

ティリオンの見事な獄卒ぶり、ドワーフ雪辱の誓い、孤児院における逆襲、

そして、黒手組頭領ブラルの最期と、ペイロアの賢女リーンが仲間に加わる経緯について

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さてさて。

全く見事に黒手組に対し一敗地に塗れ、散り散りとなった冒険者達。

いち早く降参して獄卒モードに豹変したティリオン、いまや“一の子分”として幹部扱いである。

「このクソドワーフはもう死んでますぜ! 疫病が怖いんで土の中に埋めてやりましょう」

ブラル、もとより彼等は<真意看破>など持っていないので、新入りの演技を完全に信用している「おう、そうしろそうしろ。」

 

中庭に死んだ振りのドネルガと、オークやヘルハウンド、コッカトリスの死骸がまとめて持って行かれた。お祓い役のリーンも一緒だ。

葬儀の振りをして、彼女はこっそりとドワーフにキュア・モデレート・ウーンズをかける。何とか一息つくドネルガ。

「呪文を出し惜しみして申し訳ありません。しかしあの時かけていたら、おそらく貴方はまた無謀な戦闘で・・・」

と言い、リーンは天守に戻る。聡明で的確な判断ながらも、自分の情けなさが身に染みて、ドネルガは墓場で号泣するのだった。

そして一人、墓場から抜け出し、砦跡から退却して行った。時も置かず、近くの林の中で逃走していたファーザラードと合流する。

エルフの彼は、先に逃げた人質の子供達と一緒だった。囲まれて抱きつかれて困り果てている。「お姉ちゃんを助けてよー!」大泣きで懇願する子供5人。

「そんなこと言ってもなあ・・・(ドネルガがぬっと現れて)・・・ギャー!でたー!」(ガクガクブルブル・・・)

「お前は、か弱い子供の声に応えてやることもできぬのか! それでも修行の旅と言えるのかー!」と一喝するドネルガ。

孤児達の頭を撫でて、ドワーフは誓う。「リーンはわしらが必ず助けてやるぞ」「ほんとう?」「ドワーフのお兄ちゃん、これあげる」

孤児達が差し出した物は・・・今まで隠し持っていたなけなしの財産、手垢だらけの5コモン。心の熱いドワーフはぎゅっと握り締め、この依頼料で仕事を引き受けた。

かくて逆襲を決意するドワーフ&エルフ。でもその前に、まずは人質を帰すことにして、マリエンヌ村に馬で孤児を連れて戻ることにした。

村では思いもかけない支援があった。リーンの父親、栄光戦士団の団長ロベルトから、キュア・モデレート・ウーンズポーションが2本届いていた。

「陣中見舞い」と書かれている。(そうか、ロベルトも、無関心を装いつつ内心では娘のことが心配なのだな・・・)

父の愛を感じつつグッと飲み干すドネルガ。これでほぼ全面回復だ! しかし父さんも、まさかこんな苦境に陥っているとは思いもしないだろう。

 

さて、砦跡では、息絶え絶えのパラディン・アレクは厩に幽閉され、残った黒手組3人とオーク10匹、

さらには新幹部のティリオンと甲斐甲斐しくお酒を酌して回るリーンで、勝利の宴会が開かれていた。

悦に入る頭領のブラル、まさに人生の絶頂期である。そこにお世辞をひらひらとへつらうティリオン。本当に演技なのか疑いたくなるほどだ。

やがて宴も終わり、黒手組のハーフオーク3人は明日の身代金引渡しについて首脳会談で天守2階へ引っ込む。

リーンはアレクと一緒に厩に戻され、ティリオンは生き残ったオーク10匹の隊長として、夜の見張りを命じられる。

最初は何でいきなり新入りに指図されるのかと不満げなオーク達だったが、「こいつの命令は、俺の命令だと思え!」とブラルが威圧し、言うことを聞いた。

ボス達は天守の中に入っていった。これはチャンス、とばかりにティリオン、ひそひそ声で共通語のわかるオーク頭に語りかける。

「あいつらはお前らに何か報酬をくれたのか?」「に、肉、くれた。それだけだ」「肉だけだと?一生そうやって、奴らの飼い犬のように生きていくつもりか?」

「う、うう・・・」「お前らは所詮あいつらに使い捨てだぞ、死んだオーク下士官のザマを見ただろう。」「じゃ、じゃあどうすればいい?」

「逃げちまえ、俺が見てみない振りをしてやる。」「お、お前の言葉は、頭領の言葉、そ、そう、頭領、言った」

「ああそうだ。逃げるなら今だ。俺がブラルを上手く騙しておいてやる。あっちのオーク達にもそれを伝えてこい」

頭が弱いオーク達に対し、ティリオンは<交渉>判定でみすみす成功。

もともと霜降りブラルへの恐怖心だけで繋がっている、混沌にして悪のクリーチャーである。忠誠心など、殆どない。

10匹中8匹は速やかに逃走していった(残る2匹はその言葉がわからないくらい頭が弱かった)。

ティリオンの手には、オーク頭から、逃がしてもらう引き換えとして渡してもらった魔法のグレートアクス+1が残された。

これは武器を取り上げられたアレクにとって、有効な武器となりそうだ・・・

 

一方、厩にいる娘二人、クレリックのリーンとパラディンのアレク。

リーン、健気に彼女を励ましつつ、残った最後のキュア・モデレート・ウーンズをかける。何とか一息つくアレク。

「いいですか、今から縄を解きますけど、自決しないでくださいね? いきなりハーフオーク兄弟に挑発するのもなしですよ、大人しくできますか?

あなたの、ええっと、“まいへあん”神にかけて誓えますか?」「マ・イ・ア・ヘ・ンです!」

ま、そんなこんなで、お互いを知り合うリーンとアレク。メジャー神(ペイロア神)とマイナー神(マイアヘン神)、

二つの神格の関係は言ってみりゃ親会社と子会社のような間柄なのだが、リーンはあまり優越感を見せる様子もない。

アレク「助けられなくてすいませんでした」 教義である“盾持つ乙女”になれず、自責の念を感じるパラディン。

リーンは「ごめんなさい、こちらこそ私のせいでこんな目にあわせてしまって」と、ぽろぽろ涙をこぼす。

さて、彼等黒手組の弱点を分析する。これだけリーンが派手にキュア系呪文をかけても、何も咎められなかった。というか気づいてもいない。

クレリックの末弟が“ぶじゅう”で死んだ今、彼等は全く信仰呪文について無知らしい。つけこむなら、そこに隙が必ずあるはずだ・・・

それからてアレク、今はそれどころではないと思いつつも、聞かずにいられなかった。リーンは父さんをどう思っているのか?

そこのところを突かれると、リーンは、表情厳しく押し黙る。

「父ロベルトは、母が病に倒れても、一度もマリエンヌ村に来ませんでした。いつも任務、任務で・・・」

「それは明日、また話し合いましょう」と、アレクは遮る。そう、今は明日への生きる希望を持つ方が良い。

とりあえず、やるべき逆襲に備えて、しっかり寝て休息をとることにしたのだった。

 

明けて翌日。植苗月8日。身代金受け渡しの日。受け渡し場所はマリエンヌ村外れの孤児院である。

黒手組のブラル、ガウリル、ジャスガルの3人に、新幹部のティリオンを加えて、彼等は徒歩でそこに向かう。

人質のリーンとアレクは武装解除され、縄を縛られた。しかしティリオンは目配せし、縄はすぐ解けるようにしておく。

昼過ぎ、対してマリエンヌ村の身代金引渡しの担当役は、ファーザラード。身代金500ノーブルは自分が立て替えた。

「こ、これ以上近寄るな、身代金はここに置くぞお!!」本当に演技なのかわからぬくらい怯えた様子で、

金貨の入った袋をじゃらりと投げるファーザラード。ブラル、その態度にひっかかり、ニヤニヤ笑いながら手にしようと一人近づく。

地面に落ちているそれを拾おうと身をかがめた瞬間! 

「ハーフオークの悪党どもめ、覚悟!」孤児院の屋根の上から待ち伏せしていたドネルガが、飛び降りた!

「なに、くそおー!」「やはり裏切ったか!」「・・・殺す!」慌てて対応する黒手組のハーフオーク3名。

しかし完全に不意をうち、冒険者達の不意打ちラウンドから戦闘が始まる。

 

昼下がりの孤児院における(今度こそ)最終戦闘。

リーンとアレクは、ティリオンがあらかじめ緩めていた素早く縄を自力で解く。

「アレク!」ティリオンは、オーク頭からもらっていた、魔法のグレートアクス+1を渡した。

今まで溜まり溜まった鬱憤を晴らし、武器を手に取ったアレク、レンジャーの三兄、ジャスガルにヒット!

渾身の一撃に吹っ飛ぶジャスガル。そしてアレクは、返す移動で前にいる長兄ブラルと次兄ガウリルに突撃。

ファーザラードは孤児院に隠れ、物陰から「死ねー!」とマジックミサイルをブラルに。

さらにドネルガも「うおりゃあ」とブラルにドワーブンウォーアクスをぶち込むも、ハーフオーク・バーバリアンのブラルは生き残った。

そして「うおおおお! どいつもこいつも裏切りやがって、もう許さねえええ!!」と[激怒]する。

その恨みのこもった叫びは、今までハーフオークの自分達に心無い迫害をしてきた人間の村人達に対して、のように思えた。

「そうだよな、確かに、薄汚い裏切り者は俺らの方かも・・・」と自嘲しつつも、≪速射≫でアローを連射するティリオン。

「お前の命と共に、悪の心も、絶つ! 我が神マイアヘンの元に、魂よ戻れ!」と武器を両手で構え突進するアレク。

「ひい、来る、来る、こっちに来るなー!」と≪呪文体得≫しているマジックミサイルを次々と連発するファーザラード。

・・・背中合わせで兄を守っていた黒手組次兄のソーサラー、ガウリルもティリオンの弓に倒れた。

兄弟を失い、いよいよ、一人ぼっちとなった黒手組頭領、ブラル・・・

 

仲間内にディバイン・フェイバーをかけまわりつつ、降伏勧告するリーン。

「もう終わりです、降参しなさい。罪を悔い、おとなしく裁きを受けるのです」(そうだそうだ!とファーザラード唱和)

「俺なんざ、どうせ裁判を受けても縛り首よ。笑わせるな!」と絶望的な抵抗を試みるブラル。(ひゃーまだ戦うのかよー、とファーザラード移動)

彼は血だるまになりつつも、“善”に対する憎しみだけで、ただで戦い続ける。≪不屈の闘志≫を持っているので、−10hpになるまで死なないのだ。

何となく可哀想に思えてきたのか、包囲はしたものの、d20の出目が悪くなかなか攻撃を当てることができない冒険者達。

「俺は死なない、死なないんだああああ」と、相対するドネルガにフローズン・ウォーハンマー+1をしこたまぶち当てるブラル。

ドネルガ、強烈な一撃にhpが半減。敵ながら見事な最後っ屁振りである。

しかし・・・ついにドネルガ、ドワーブンウォーアクスで止めの引導を、黒手組頭領のブラルに渡したのだった。

一気に絶命し、何も言わぬまま胴体を真っ二つにされ、ハーフオーク・バーバリアンは倒れた。壮絶なる形相を浮かべて。

 

かくしてマリアンヌ村は、悪党集団「黒手組」の襲撃をしのぎ、平和を取り戻した。

村長ドレッドは、この事件の背後にある異種族間の憎しみに正しく責任を感じ、

彼等ハーフオーク五兄弟に厚く同情の意を示して、孤児院の跡地に彼等の塚を築いたのだった。

リーンが丁重に葬儀を執り行う。そして・・・孤児院はなくなることになった。

 

やはりここは村外れでは危ないし、孤児だからといって自分らの子と差別していいはずはなかろう、

二度と黒手組のハーフオーク五兄弟のような荒んだ心の子供を出してはならぬ、と村人達の反省によって、

リーンが今まで面倒を見ていた孤児5人は、マリアンヌ村でそれぞれ里親に引き取られることになった。

では今まで面倒見役のリーン・スターシャインは、ただの村娘となり、この村で平凡な人生を過ごすのか、それとも・・・

「わしらと、一緒に来ないか?」と、ドワーフのドネルガ。彼の手には、リーンの父ロベルトが送ってくれた

キュアモデレート・ウーンズポーションの空瓶があった。言葉を続ける「これから、お主の長い旅が始まるんじゃ!」

「これは・・・、父が私を、心配して・・・」今まで全く感じていなかった父からの愛に、当惑するリーン。

「世界を旅して、あなたの父さんがどれだけこの国を守っているのか、実感してみるのもよいかと」とアレク。

「父上と仲直りしたいなら手伝おう。確かに俺達にとって、貴方の聡明さはとてもありがたい」とティリオン。

「やったー!回復担当ができたー!俺の生き残る確率が増えるー!」とファーザラード。

「みなさん・・・ありがとうございます・・・」うっすらと涙を浮かべるリーン。

 

ちょっと考えた後、リーンは、深い絆で結ばれた孤児達5人と抱擁を交わす。

「みんな、お姉ちゃん、旅に出ようと思うの。・・・ごめんね」

「ええー!リーン、この村に残ってくれるんじゃないの!」「やだよう!えーんえーん!」

せっかくやってきた平和に次ぐ唐突の別れに、泣いてすがる子供達。だけど彼女には、旅立ちの時が来ているのだ。そのことを知らず知らず悟る孤児5人。

「(ぐすぐす)かならじゅ、もどってくるよね?」「ええ、約束します。」「やくそくだよー!」

そしてリーンは冒険者たちに向き直り、「ふつつかな所もありますが、どうかよろしくお願いいたします」と深々と頭を下げるのでした。

かくて新たな仲間が加わった。その名はペイロアに仕える聡明なる賢女、リーン・スターファイン

(女性の人間、中立なる善、クレリック3Lv、メイン武器はライトクロスボウ)

 

こうして砦跡の宝箱から黒手組の資金をすべて回収し、ほくほくとマリエンヌ村からジェドブリッジの街に凱旋する途中、一つティリオンは気になることを思い出した。

「そういやあ(がさごそ)この自分のメモにあった、スエル古代遺跡ってのは、結局どこにあったのだろう?」

リーン、ひょいと覗き見て「あら、そういえば砦跡の井戸に棲んでいたキャリオン・クロウラーのところからは、さらに下に通路が延びていて・・・」

冒険者達「なんだってー!」

というわけで、今度は地下迷宮探索だ。その用意を整え、英気を養うべく、いったんジェドブリッジの街に戻るのでした。

フラネスの大地を舞台として、彼等冒険者達の旅は、まだまだ続くのであります。

 

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・・・ですが夜も更けてまいりました。しがないバードの私め、ロビン=ザ=バレルエスケープの喉はもうからからです。

ひととき間をおきまして、この話の続きは、また次回にでもお話させていただくことといたしましょう。

 

〜 最初のお話 おしまい 〜

 

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