D&D3.5キャンペーン第1話

「ペイロアの賢女」

2005/03/27 フォート・マッコイにて)

 

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その1

俊英なる戦士団の凱旋、酒場での暴烈なる拳闘、悪筆はなはだしき脅迫状、

そして、マリエンヌ村の窮状と、義憤に燃える冒険者の依頼引き受けについて

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これはフラネスの大地に生きた4人の英雄の物語だ。たぶん。

彼等は雄々しく戦い、勝利の歓喜に酔い、莫大な報酬を得たが、ときには苦い敗北にまみれ、人生の回り道もした。

そんな生々しい冒険者達の勲であるからこそ、人々に愛され続け、今もなお豊穣祭の酒場では、よくバードが謳っている。

 

その冒険者達の名前は、と問われるならば・・・

失踪した父の跡を次ぎ、滅した騎士団の再興を託された少女、アレク=カイン=クロフォード

(女性の人間、秩序なる善、ファイター2Lvパラディン1Lv、メイン武器はグレートソード)

キーオランドから来た貴族、太古スエル人の末裔、古の帝国が残した遺産と滅亡の真実を求める探検家、ティリオン=セカンフォース

(男性の人間、混沌なる善、ローグ2Lvレンジャー1Lv、メイン武器はコンポジットロングボウ)

タングル森の心柔らかなエルフ(“弱虫エルフ”の雅語)、師匠が命じるままに人間の世界で精神修養をすることになった、ファーザラード

(男性のエルフ、真なる中立、ウィザード3Lv、得意呪文はマジックミサイル)

一本気の若き職工ドワーフ、驚異の武器を鍛えることを望む、ドネルガ=バーブン

(男性のドワーフ、混沌なる善、ファイター2Lvバーバリアン1Lv、メイン武器はドワーブンウォーアクス)

 

彼等が前の冒険で成功を収め、見事なる3体のフルプレートアーマーを見つけ、売り払って報酬を得たところから話は始まる――

 

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北アーンストの地方都市ジェドブリッジにある、冒険者達が最近行きつけの酒場「太ったビヤ樽亭」にて乾杯の音頭を傾け、

ドネルガが酒場のマスターに今回のオーガ退治の自慢話を繰り広げるも、マスターは心おろそかな様子。

怪訝に思う冒険者達であるが、その理由はすぐにわかった。

華やかなファンファーレが鳴り響き、街頭に人々が並び、祝福を始める。パレードだ!

アーンスト伯国の俊英なるエリート戦士団「栄光」が辺境の安寧を果たし、凱旋してきたのだ。

先頭に立つお抱えバードが高らかに謳う。戦士団がそれに唱和する。勝利の歓びと共に。

 

♪「栄光戦士団の歌」

ああ この鎧 輝かしき剣 もはや影もなき 悪!

いざ歌え踊れよ 戦士を讃え いざ誉れ讃えよ われらの盾を

高らかに響く 出陣の喇叭(トランペット)

われらが英雄 むかえよ 栄光 戦士団を!

 

かつてアーンスト伯国には「三禁兵軍」と讃えられた、伯爵直属の近衛兵部隊がいた。

一つはファイターを主体とした防衛戦士団「栄光」

一つはパラディンを主体とした攻撃騎士団「聖戦」

一つはバーバリアンを主体とした遊撃兵団「豪勇」

しかし後の2つ「聖戦」と「豪勇」はグレイホーク戦争後の長い混乱期の中で消滅、解体、雲散霧消してしまった。

残った彼等「栄光」だけが、アーンスト伯国の民にとって、平和な暮らしを守ってくれる最後の希望なのだ。

当然、その人気もすごい。行進終了して解散後、ジェドブリッジ中の酒場に戦士達は散らばり、勝利の宴が始まる。

 

さて冒険者達、街の人々から自分達の人気をかっさらっていった栄光戦士団を見て、ちょっと鬱な気持ちになる。

さっそくへべれけに酔っ払った栄光戦士団の一団が「太ったビヤ樽亭」に入ってきた。リーダー格はジョンというファイターだ。

珍しい女性のパラディン、アレクを目に留め、性的嫌がらせのちょっかいを出すジョン。

「よー姉ちゃん、いかめしい鎧なんか脱いで、こっち来いよー。ひゅーひゅー」

「わかりました、脱ぐのですね?(かちゃかちゃ)」「ああ、いや、悪かった悪かった(あせあせ)」

真っ正直に鎧を脱ごうとするアレクに赤面する兵士達(根はいい奴らなのだ)。

そこでつい、ぽろっとファーザラードが彼等の誇りを傷つけるような失言を放ち、一触即発の雰囲気に。

先ほど自慢話の腰を折られてヘソを曲げていたドネルガがジョンのケンカを買い、大テーブルの上で素手戦闘の殴り合いが始まった!

 

ところがドネルガ優勢のケンカ中に、「太ったビヤ樽亭」にやってきたのは栄光戦士団の団長、ロベルト=スターファイン

彼はケンカを収め、冒険者達に部下の非礼を詫び、酒場の飲み代を全て自分の払いとするのだった。

態度も立派でなかなか話せる団長だ。元は冒険者達と同じ冒険者であったらしい。懐かしい雰囲気につい、つられてやってきてしまった。

親しく歓談するうちに、アレクの姓「クロフォード」の名を聞いて、ロベルトは少し動揺する。

「いや、よくある名だ・・・昔、消失したパラディン騎士団によく似た名前の男がいた。彼は騎士団の最後の一員だった・・・」

思わぬ父の手がかりに驚くアレク。しかしそれ以上の情報はなく、

興もたけなわとなった頃(すでにドネルガとジョンは男らしく和解し、杯を交し合っていた)

ロベルトは席を辞して酒場を出て行く。団長はいろいろと忙しいのだ。

 

そこに何ともタイミング悪く・・・入れ替わり様にて・・・

アートンサメイ川向こうの開拓地メリアンヌ村に住む農夫、ジョージが駆け込んでくる。

栄光戦士団に村の窮状を訴えに来たのだ。

彼が言うには、ハーフオークの頭領を有する野盗団「黒手組」が村の孤児院を襲い、

シスターと孤児5名を拉致誘拐し、身代金を要求してきたと言う。

その脅迫状の文面は以下の通り。

 

〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜

お前等から請けたかづかづの迫害に対して 我々は欠勤することにした。

我等「黒手組」は来たアーンストを収める集団であり、したげられたハーフオークを巣食う正義の集団です

よって、平和偉人のため年間500ノーブルを支払われたい。

もしこの洋弓を無視することがあれば、我等は手始めにメリアンヌ孤児医院をおそい、

期限から過ぎる1週間ごとに子ども1人のくびを、お前らの元に送り届けるでアロー。

どうか洋弓を飲みなさい。

黒手組 投了 霜降りのブラル

〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜

 

何ともバーバリアンが急に読み書きを習ったような、たどたどしく悪筆で誤字だらけの書面を見て、

笑いが吹きこぼれる冒険者達。黒手組は戦の腕はあるようだが、どうもオツムは弱そうだ。

だが、(今やパーティの一員となったかのような)ジョンはしょげていた。どうも栄光戦士団は力になれないらしい。

戦士団は、明日はもう、本拠地の伯都ラディガストに向けて、すぐ出発しなければならないのだ。

メリアンヌ村にかまってやれる時間はないとの事。ならば、と冒険者達がこの依頼を引き受ける。

開拓民の住む貧村では、そんなに報酬は期待できないだろうが、可哀想な孤児や娘をほっとくわけにもいかん。

ところで誘拐されたシスターの名は? リーン=スターファインという16才の女性クレリックであるとのこと。

スターファイン・・・? そう、どうも彼女はロベルト団長の血縁者であるらしい。

だがそのことは、戦士団の中では「あまり言ってはいけないこと」に指定されているとのことだった。

 

身代金引渡しの日限まであまり時間はない。酒場の主人から馬を借り、翌朝、さっそく冒険者達はメリアンヌ村に行くことに決めた。

出発のためジェドブリッジの門をくぐっていく際に、ドネルガは一人の人物を見かけた。

それはマントに身を包んで変装していた、ロベルト団長の姿であった。

父は父なりに、自身の多忙ゆえに救えぬ娘のことが心配なのだろう。

 

さてジェドブリッジからメリアンヌまでは馬で2日。初夏の心地よい平原の風を受けながら、冒険者達は馬を駆る。

メリアンヌ村は林檎の産地らしく、芳しくも美味しい香りも漂ってきた頃、冒険者達は到着した。

出迎えに来たのは村長のドレッド。栄光戦士団ではない冒険者達に、明らかに落胆と失望を見せる。

ならば、とばかりに考えの浅いドネルガ、手近な岩をばちこーんと斧で殴って傷をつけ、自分の剛力を見せつけた。

ところがそれは、メリアンヌ開村の記念に設置された、大事な礎石だった!

あたふたとざわめく住民達。あわててフォローする他の冒険者達3人。

【魅力】が高いアレクもいたので何とかとりなして、村の住民は冒険者達を信用するに至ったのだった。

村長ドレッドから黒手組の構成を聞く冒険者達。首領格はハーフオークの5兄弟だそうだ。

言いにくそうにしていたが、元はメリアンヌの孤児だった。しかしドレッドが村を治める前は・・・

なかなかにハーフオークらしい辛い差別を受けたらしく、ちょっと村人達も心のひけ目を感じている様子。

彼等は人間の放つ白い目に耐えかね、出奔し、悪党の道に入り、点在するオークどもを従え、この地域一帯で「復讐」と称する悪行をするようになった。

ひょっとしたら自分の歩む道だったかもしれないなあ、とちょっと同情を感じる冒険者達・・・特にドネルガとティリオン。

しかし周りの罪なき人々を殺しているのは事実であるし、成敗せねばならない。

 

着いたその日の夜のうちに、拉致現場及び身代金引渡し指定場所の孤児院で現場を調査する冒険者達。

壁が崩れた孤児院の中にはペイロアの聖印が落ちていた。そしてオーク達の足跡。村外れの丘陵に向かって延びている。

聖印はおそらく、リーンが拉致される直前、クレリックだという身の上を隠すために落としたのだろう。

見回りに来ていた村の自警団の青年から話を聞くに、彼女は聡明かつ美しい娘で、憧れて求愛する男も何人かいたとのこと。

幼い頃に伯都ラディガスト市から病身の母と共にやってきた。母亡き後、この孤児院で働き始め、

年老いたお婆さんの院長も死んだ後は、若干16歳で自分が切り盛りするようになった。

その間、父は一度も現れず、親子の断絶は決定的なようだ。

その後の聞き込みで、黒手組のアジトもどうやらあたりがついた。

孤児院から北東に馬で4時間ほど行ったところに鬱蒼と茂る林があり、かつての戦争で陥落し朽ち果てた砦跡があるという。

その位置は・・・ティリオンが実家から持ち出してきた「スエル古代遺跡メモ」と何となく位置が合う! モチベーションがぜんアップする探険家。

 

一晩経ち、植苗月7日。黒手組が指定した身代金引渡しは明日である。

冒険者達は一足先にリーンと子供達がさらわれた足跡を追い、砦跡に向かうことにした。

偵察にもなるし、何より機先を制して救出できればこれ以上の勝利はない。

レンジャーのティリオンによる≪追跡≫を助けた物は、経路上に点々と等間隔に落ちているノーブル硬貨。リーンが落としていったのだろう。

先ほどの聖印放棄に続き、この冷静なる対応能力。このクレリックの【判断力】の高さが伺える。

父の血は正しく受け継がれている。どうやら只者ではなさそうだ。

 

(その2へつづく)