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2,装飾花の形にも、多くの変異が発見されています。 装飾花も基本的には、ガク・花弁・雄しべ・雌しべからできていますが、種子を作る性 質を失っているので装飾花と呼ばれます。単なる飾りではなく、おそらく昆虫を引きつ け、受粉の機会を増やす役割を持っていると思います。装飾花にも花粉は、あるので 雄花としての働きはありそうです。
装飾花の花弁のように見える部分は、ガクが大きく発達したものです。本来の花弁 は、装飾花の中心部にありますが、花弁が開くとすぐに脱落してしまうので気付かな い人が多いようです。 ここでは、装飾花の形・ガク片の変異を見てみましょう。 a,ガク片の数のちがい:ヤマアジサイのガク片の数は、普通4枚ですが、3枚、5 枚、6枚になっている装飾花も時々見られます。ある程度安定してこのような数のガク 片が見られると品種の特徴になります。
b,一重と八重:ガク片の数がさらに増えると「八重の装飾花」となります。八重の装飾 花では、花弁・雄しべ・雌しべなどがガク片に変わってガク片の数が多くなります。した がって、八重の装飾花には、花弁などがありません。一重の装飾花では、ガク片が1 〜2枚多くなっても中心に花弁や雄しべ雌しべがあります。 *八重の装飾花でも退化した雌しべを持つものはあります。ミカタヤエなどでは、勢い がよいと装飾花に正常な花を持ちます。
c,丸弁・剣弁・細弁・匙弁(スプーン弁):ガク片の先が丸い、尖る、ガク片が細い などガク片には、大小、太細、長短さまざまな変化が見られます。ガク片の周囲が立 ち上がりスプーン状になる品種もあります。ガク片の形により、装飾花の輪郭が三角、 四角、星形、円形、十字形、光彩形などさまざまに変わり、花から受ける印象も大変 違ったものになります。 ・丸弁
・剣弁
・十字形・光彩形の装飾花
・匙弁(スプーン弁)、貝咲き、へら咲きと表現される
d,鋸歯(きょし)の有無と形:ガク片の周囲に見られる切れ込みを鋸歯といいます。 ガク片の周囲は、普通ななめらかで鋸歯はありません。鋸歯を持つ花では、鋸歯の大 小、尖った鋸歯、丸い鋸歯、鋸歯の多少などが品種の特徴となります。
e,大輪・小輪:装飾花の大小は品種の特徴の一つ。
f,ガク片がつながり盃状になる:合弁花のような状態になる品種があります。
g,平咲き・椀咲:ヤマアジサイのガク片は、普通平らに開くが、品種によりやや椀状 にとどまるものがあります。
h,その他 @脈が目立つガク片:脈が凹凸となってめだつ品種があります。
A中折れのガク片:ガク片が縦軸にそって外側に折れ曲がる品種があります。
B子持ち花:八重のガク片の間から小さな装飾花が出る。
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