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分岐器調査隊

春風: 鉄道のポイント。私は鉄道の車両はもとより、そんなものにも興味を抱いてしまいました。一見変わり者っぽいですが、実はポイントをはじめレールに興味を示す人は意外といます
茜: ホント変わり者だね
しおり: あ...茜ちゃん
春風: (泣)
しおり: わたしも春風さんの気持ちわかるな。ポイントってレールが複雑に入り組んでて、なんというか芸術的だよね
春風: うんうん。ポイントの魅力は、やっぱりその複雑な形状なんだよ。複雑でありながら機能的で、ポイントが描く曲線美も芸術的。種類が豊富にあるのも一因かも
しおり: ここではそんなポイントの数々を解説していきます。
茜: もしよかったらお手持ちの写真を送っていただけると嬉しいです。送っていただいた写真の著作権は撮影者帰属として当ページで使用させていただきます
春風: なお当コンテンツで、引用させていただいたもの、提供していただいたものおよびキャラクター以外の写真・図版、文はパブリックドメインにて公開します。ご自由にお使いください

*分岐器の構造

しおり: まず手始めに、ポイントの構造を見てみましょう
分岐器の概略図
しおり: ポイントは通常、図に示したような構造になっています。黒線はストックレール(基本レール)、茶色の線はトングレール(先端・尖端軌条)、トングレールの後端をヒール、赤線はリードレール、紫の線はウィングレール(翼レール)、青の線はガードレール(護輪軌条:ごりんきじょう)、オレンジ色の線は主レール、緑の線はノーズレール(鼻端レール)と呼びます。
茜: うわぁ...いろんなレールがあるんだね
春風: ホントは左右のレール毎に右ストックレールと左ストックレール、って具合に細かく名付けられてるんだよ
茜: うげっ!
春風: あと、実際のノーズは分岐線用・基本線用とに分かれているんですが、それぞれ長さが異なってて、これもやはり別々の名前があてられています(淡い緑が短鼻端レール、濃い緑が長鼻端レール)。ただ、最近は一体成型なので意識することはないと思いますが...
しおり: 保線員でもなければそこまで細かく覚える必要はないしね
春風: さて。ポイントでの進路変更はトングレールの先端を分岐側と反対側のストックレールに移動させることで実現します。最初の図だと、茶色の線が左にくっついているので右に分岐...つまり直進します
しおり: ちなみに、後述の弾性分岐器ではトングレールとリードレールが一体化されて、リードレールがなくなっています

*なくてはならない隙間

茜: ところで、ノーズ付近にすき間があるみたいだけど、車輪がはまっちゃったりしない?
しおり: これは、車輪のフランジが通過できるように設けられたものでフランジウェイっていうの。車輪がはまるほどのすき間じゃないよ
茜: フランジって、脱線させないようにするために付いてるあれ?
車輪の概略図
しおり: そう。フランジウェイはそのフランジが通り抜けるすき間なの。これがないとフランジがレールに乗り上げちゃうから、重要なんだよ
春風: でも、このすき間で起こる進行方向じゃない線路への誤進入(異線進入)を防ぐために、通過する車両は減速を強いられるのがネックなんだ
しおり: 異線進入はガードレールが防いでくれるはずなんだけど、高速で通過させるためにノーズレールを鋭くするとフランジウェイがさらに広がってあまり効果がないんです。ガードレールも傷みやすくなるし。かといって、ノーズを鈍角(=曲線側の半径を急)にするわけにもいきません
春風: そこで、ノーズまたはウィングレールを可動式にしてウィングレール(ノーズ)に密着させて、高速通過を確実にしているものもあるんだよ。ノーズを可動式にしたものはノーズ可動クロッシング、ウィングを可動にしたものはウィング可動クロッシングといいます。
茜: ノーズが動くっていうのは聞いたことがあるけど、ウィングレールを動かすのは知らなかった
春風: うん。同じく最近調べて初めて知りました(笑)
しおり: これらは主に新幹線やほくほく線といった高速な路線で多用されているほか、在来線においても振動や騒音の軽減のために徐々に導入されつつあります。
春風: 次の図はノーズ可動クロッシングの概略図です。このうち水色のレールが動くことでフランジウェイを塞ぎ、反対側に進入するのを防いでいます
ノーズ可動クロッシングの概略図
実物のノーズ可動クロッシングの写真
しおり: あざみ野駅直前、江田方面にあるノーズ可動クロッシングです。ガードレールがないのも特徴的ですね。フランジウェイがないのでガードレールがなくても異線進入は起こりません
茜: 東横線にも同様の使い方をしているものがあります。実際に乗っていると、振動はもちろん、騒音もかなり抑えられています。外で聞くとそうでもないんですが...
春風: 鉄道模型では構造が複雑なので単純化したうえでMarklin(メルクリン)が製品化しています。
しおり: 次はウィング可動クロッシングの概略図です。紫のレールが動きます
ウィング可動クロッシングの概略図
▲ウィング可動クロッシングを使用した分岐器(峰製作所 製品関連:鉄道用分岐器類その2”より)
茜: ウィング可動クロッシングの実物写真です。ノーズ可動クロッシングよりシンプルですが、ガードレールがついてますね
春風: 写真のものは主に騒音対策のためのものらしいです。しかしウィング可動クロッシングは価格面で有利なクロッシングといわれています。制定されたアメリカでは優れた強度のガードレールが存在しないのであまり導入されていませんが、日本には高い強度を持つものが存在するため、安全面などでも問題のない可動クロッシングとなり得る可能性を秘めています。

*ポイントはポイントとは呼ばない

春風: なんか支離滅裂してますが、ある意味本当なんです。ポイントは最初の図のように3つのブロックにわけられています
しおり: 1はポイント部(転轍部)と呼びます。トングレールとそれが密着する基本レールを指します
春風: 2はリード部。トングレールとクロッシング部を結ぶ部分です
しおり: 3はフログまたはクロッシング部(轍差・轍叉部...てっさ)と呼ばれ、レールが交差している部分のことです。ここではとくに理由がない場合クロッシングと表記します。
春風: というわけで、専門的には「ポイント」というと1を指し、全体のことは「分岐器(ぶんきき/ぶんぎき)」またはターンアウトスイッチといいます
茜: 複雑だねぇ
しおり: ここまでは便宜上一般的な「ポイント」を使ってきましたが、以降は「分岐器」で通します。
茜: ただ、他のページでは「ポイント」を使っているので悪しからず
春風: ちなみに、篠原模型のように「ターンアウト」と呼ぶこともあります。転轍機と呼ばれることもありますが、本来はトングレールや可動クロッシングを動かすための装置を指します。

*番数・そのほかの用語

しおり: 分岐器の半径が大きい側を「基本線」または「基準線」、小さい方を「分岐線」といいます。最初の画像では曲線側が分岐線、直線側が基準線です。
春風: また、普段分岐器が開いている方を「定位」、その逆は「反位」といいます
茜: 分岐器ひとつをとってもずいぶんいろんな用語があるんだね
春風: まだまだいっぱいあるけどね。分岐器の分岐角度を表す「番数」とか
茜: 番数?
しおり: 分岐器の大きさ...というか分岐角度は12番とか20番、というように分類されています。上の図では鉄道模型で一般的な4番ですが、基準線の真ん中と分岐線の真ん中との距離が1に対して交点(基準線の真ん中と分岐線の真ん中とが交差する点)からの基準線の距離が4になるので4番なのです。基準線から1m開いたところが交点から4m進んでいれば4番ということもできます。
春風: 正式には番数#Nと分岐角度θ(上図ではθa)の関係は以下のようになっています(Wikipediaより引用、GFDL)
しおり: この式から求まった値を整数にした結果が番数になります
茜: あれ、両開きも角度は同じなんだ。2倍かと思った
しおり: そう、それには私もびっくり。でも、かわりに半径が倍になります
春風: 参考までに、鉄道模型で一般的な4・6・8番と実物で一般的な10・12番それぞれの角度は概ね
番数 #4 #6 #8 #10 #12
角度(分) 14°18′ 9°32′ 7°09′ 5°43′ 4°46′
角度 14.3° 9.53° 7.15° 5.72° 4.77°
制限速度(片) 10km/h 25km/h 35km/h 45km/h
制限速度(両) 40km/h 50km/h 60km/h
となります(番数と角度(分)の関係は京急建設株式会社「よもやまばなし」、1067mm片開きの制限速度は鉄道解析ごっこより)。この表からわかるとおり、8番は4番、12番は6番の約半分の角度なので、このことを覚えておけば番数からおおよその分岐角度を求めることが簡単にできます
しおり: 番数が大きいほど、つまり角度が鋭いほど半径が大きくなるので高速で通過できるようになります。そして番数が大きくなると分岐器も大きくなるので、当然値段も高くなっていきます。さらに、在来線に多い1067mmゲージ(レールの間隔)より広ければ広いほど中心半径が大きくなるのでより高速で通過できます
茜: 制限速度は、12番片開きは分岐側が45km/hです。一般に本線上では分岐側が35km/h(10番)以上のものが使われます。側線も含めると在来線では#8、#10、#12、#16、#18、#20が、新幹線では#10や#12、#18がよく使われているようです。このように、大体は偶数のものが多く使われているようです。
春風: 分岐器の曲線には緩和曲線と呼ばれる、直線から予定半径の曲線までをなだらかに結ぶ曲線を入れられないので、どうしても速度制限を低くせざるを得ないそうです
しおり: 直線側も実は速度制限があって、通常は100km/hになっています。弾性分岐器は新性能台車で無制限(その区間の最高速度)、可動クロッシングは無制限(その区間の最高速度)になります
春風: 気になる国内最大は上越新幹線・高崎駅にある可動ノーズクロッシングを用いた38番の片開きで、分岐側は160km/hで通過できます。38≒4x9すなわち14.3÷9≒1.6度で分岐していることになります
しおり: 下の写真はウィングレールのアップですが、50N-10と刻まれています。50Nはレールの種類で、1mあたり約50kgあるNレール(日本独自のものでNihonとかNewの意)という種類です。10は番数で、すなわち制限速度は1,067mmゲージだと35km/hになります。あとはメーカーのCIロゴと製造年です。これをロールマークと呼びます。あいにくかならずしもこうなっているとは限らないです
春風: 余談ですがこのロゴはコマツキャステックというメーカーのものです。現在この分岐器のクロッシングは大同特殊鋼製のものに交換されています。そちらは分岐器の番数などは記されていない(おそらく反対側に刻印されている)ので残念です
▲ウィングレールに刻まれたロールマーク

*種類

茜: ではでは、おおまかな構造がわかったところで、いよいよ分岐器の種類を紹介しまーす♪
茜: (これまでを振り返って)...おおまか以上だと思う
春風: でも、基本中の基本だよ
しおり: なお、名称についてはほぼ正式であると思われるものと、そのほかの一般的な別名を括弧書きにして記載しています

片開き分岐器
片開き分岐器の写真
茜: 直線から片方はまっすぐ進んで、分岐側は右や左に2つに枝分かれするもので、分岐器の代表格。分かれる方向によって「右片開き」と「左片開き」とがあって写真のは右片開きです
しおり: あちこちで見かけるね
春風: 分岐器の代表格というだけあって鉄道模型でも各社で模型化され、サイズも大小がそろってます

両開き分岐器
両開き分岐器の概略図
茜: これは直線からYの字で枝分かれする分岐器です。左右とも同じ角度で分岐します。写真では同じ角度に見えないかもしれませんが、反対側から見ても同じように見えます
しおり: 基本的には単線で列車同士のすれ違いがある箇所に敷設されています。片開きより省スペースで効率よく行き違いが作れるのが特徴です。問題は、どちらが基準線になるか、です。どちらも同じ半径なので...
茜: ちなみに、20番だと90km/hで通過できるそうです。弾性分岐器の20番は120km/hです。単線のローカル線で優等列車が通過していくようなところでこの番数が使われます
春風: 模型ではTOMIX(トミックス)や篠原、PECO(ピィコ)が「Yターンアウト」などという名称で製品化しています。

振分分岐器
振分分岐器の写真両開きと振分分岐器の違い
茜: え...これ、両開きとどう違うの?
しおり: 両開きに似てるけど、枝分かれが左右対称になっていないものなの。そんな些細な違いで名前が変わるなんて、鉄道の世界は面白いですね。敷地の都合で片開きにも両開きにもできないときや、優等列車が通る単線路線の行き違いでは、優等列車が高速に通過できるようにするために使います。ただしその場合、カーブなどの減速要因がなければ片開きにすることもあります
春風: 両開きで代用できるからか、模型化はされていません

内方分岐器
内方分岐器の概略図内方分岐器の写真
しおり: 基本線側も分岐線側に沿うように曲がっている分岐器です。カーブの方向によって「右内方分岐」と「左内方分岐」とがあります。写真は右内方分岐です
茜: 普通の片開きだと直線が挟まるので分岐器の長さだけ距離が延びてしまいますが、内方分岐器なら分岐器自体がカーブしているので省スペースに貢献してくれます
春風: 模型はTOMIXや篠原、PECO、Marklin、ROCO(ロコ)などで、国内では「カーブポイント」として製品化されてます

外方分岐器
外方分岐器の概略図実物写真
しおり: 同じくカーブの途中にある分岐器で、分岐線側は基本線側から逃げるように曲がっている分岐器です。分岐方向によって「右外方分岐」と「左外方分岐」とがあります。図は左外方分岐、写真は右外方分岐です。
茜: 振分や両開き分岐器との区別が難しいのが玉に瑕。分岐器手前からノーズの先までカーブしていれば外方分岐です。内方分岐にもいえることですが、分岐器からカーブが始まることはないんだそうです。この写真でいうと踏切もカーブにかかっているということになります。

三枝分岐器
実物の三枝分岐器三枝分岐器の概略図
しおり: 両開きの間にさらに直進していく線路が加わったようなものです。距離の面で省スペース化に役立っています
茜: でもどういうわけかあまりみかけないね
春風: 自由が丘のが撤去されちゃったからなおさら。(多分)日本一見やすい三枝分岐器だったのに
茜: その写真を持ってる人はラッキーだね
しおり: 日本では複雑な分岐器は嫌われる傾向にあるので、三枝分岐のような絶滅危惧種の分岐器もあります。もっとも、ここまで省スペース化しなければならないような場所自体がそうそうないので少ない、というのも理由のひとつらしいです
春風: ちなみに、私は関西方面の写真というのは1つしか見たことがありません
茜: 写真の鷺沼検車区は三枝分岐器を3つも設置している数少ない?車庫です。もうひとつはこちら
しおり: こっちの方がわかりやすいかな(視界狭いしボケてますけど)。ちょうど真ん中あたりに写っているのが三枝分岐器です。見事な左右対称になっていて、バンザイをしているように見えます
茜: これは走行中の車内でしかも先頭車からじゃないと見にくいという代物です
しおり: 上のものを別のアングルから見たものです。左右対称には見えないかもしれませんが3方向に同時に分岐しているのがバッチリわかりますね。残りひとつは上空からでないと見えない位置に存在します。
茜: もともとここは東急の敷地だったので(この北側にある小さい留置線が名残)東急のものとして考えると、東急だけでざっと5基が現存しています。東急は三枝分岐器がお好き? 知っているものを挙げると名鉄広見線犬山検車区に1つ、横浜高速鉄道恩田駅から長津田行きに乗ってすぐの進行方向左側、東急車輛製造長津田工場敷地内に1つ、東急東横線新丸子保線基地に1つ、JR東日本大宮車両センターに1つ、東京メトロ鷺沼車両基地に観察できるもの2つ、google mapで観察できるもの1つの総計7基になります。
春風: 模型ではFLEISCHMAN(フライシュマン, Nゲージ)とROCO(Nゲージ)、Marklin(HOゲージ,K)、PECO(HO)が製品化しています

複分岐器
複分岐器の概略図
しおり: 三方向に分岐する分岐器のひとつで、三枝分岐器とは違って枝分かれがずれたり(図上)捩れたり(図下)しているものです
春風: 三枝分岐より(とくに距離の面で)スペースを要しますが、配線の自由度は上です。ちなみに関東での目撃情報は聞いた記憶がありません
しおり: 関西では多分三枝分岐よりたくさんあって、阪急電鉄はものすごい数が設置されています。春風さんが知っているものを列挙すると阪急は庄内に1つ、十三に2つほど、雲雀丘花屋敷に1つ、宝塚に1つ、塚口に1つ、西宮北口本線上に2つ、車庫内に1つの計9基、阪神電鉄の尼崎に1つ(左上図下)、黒部渓谷鉄道の宇奈月に1つ、しなの鉄道小諸駅に1つ(現存するかは不明)の総計12基が存在しています。
茜: どっちも三方向に分岐するのになんで同じ名前にしないのかな...
しおり: ちなみに、英語では複分岐も三枝分岐も「three way」なんだよ。せいぜい左右対称かどうかで区別するくらいみたい
茜: じゃあ、アメリカに引っ越そう!
しおり: 英語の成績1なのに大丈夫?
茜: はうっ
春風: 模型では篠原、Marklin、ROCO、PECO、FLEISCHMAN、TOMIXで製品化されてます

ダイアモンドクロッシング(菱形交差・DC)
実物のダイアモンドクロッシングダイアモンドクロッシングの概略図
茜: 鉄道同士の平面交差をするために用いられます
しおり: 直角以外のは、大抵は後述するシーサスの中央に取り付けられていますね。ちなみに枝分かれしないので分岐器ではないのですが、分岐器類として扱われます。
茜: おおまかに2種類あるようです。一番上は普通のクロッシング。真ん中は可動式、一番下は普通のクロッシングの90°交差のものです
春風: 模型では各社でいろんな角度のものが製品化されています(カーブしているものはありませんが)。日本では路面電車くらいでしか見られない直角クロッシングもTOMIX、KATO(カトー)、篠原の3社で製品化していますが、海外ともなるとATLAS(アトラス)のみがリリースしている状態です
しおり: ダイヤモンドクロッシングの中央に使われる部分(赤で囲った部分)をK字クロッシングといって、ここを可動式にしたものが右上図中段のクロスです。これを可動K字クロッシングといいます。可動部を弾性分岐器同様の構造としたものもあります。
茜: 高速通過または交差時の騒音や振動軽減のために用いられます。本数の多い路線とか特急、夜行が通過するようなところは可動式にすることが多いです
しおり: 夜行列車は人が寝ているわけですから、あまりガタガタ揺らすわけにはいきませんからね
茜: それにしても...どう見たってKの形じゃないのにKなんだ...
春風: たぶんみんなそう思うだろうね。ちなみに、K字クロッシングの両脇...青い丸で囲った部分はノーズレールではなくエンドクロッシングといいます。
しおり: K字クロッシングには、例えば50kgのNレール、5番DCだと50N-5Kと刻まれます。
実物の可動K字クロッシング
▲弾性可動K字クロッシングを使用したDC...を使用したシーサス。DCが8番ということで、これを構成する片開きは16番になる
春風: 模型ではTOMIXで製品化されています。もっとも、これは動く部分はありません。それでも転轍てこやらダミーのポイントモーターが付属し、中央は転換ロッドまで再現してあって、TOMIXのこだわりを感じさせられます

シングルスリップスイッチ(片渡り付交差・SSS)
基本的なシングルスリップの概略図
シングルスリップの概略図シングルスリップの概略図...鈴蘭台仕様
しおり: ダイヤモンドクロッシングに渡り線が取り付けられたもので、B→Cはもちろん、B→Dにも行けます。AはDにしか行けません
茜: もちろん渡り線が反対側についているものもあります。まあ、これを180°回せば当然ですね
しおり: 下のふたつは右が神戸電鉄鈴蘭台、左は阪神電鉄尼崎にあります。私達にはとてもじゃないけど見に行けません(泣)
茜: 下の方はなんとなくシンプルに見えるね
春風: そりゃまあ、もともとは片開き2つとDC1つで構成できるものだからね
シングルスリップを分解
しおり: 上の図のように、青で囲った片開きと赤で囲ったDCの外側にある線をそれぞれ矢印の方向に縮めたものがシングルスリップ、というわけ
茜: わ、なるほど〜。これを縮めると鈴蘭台で見れる形になって、もう少し縮めると尼崎とかで見れる形になって...写真のは片開き2つがクロッシングの中に入っちゃったわけかぁ
しおり: そういうこと♪
春風: 後述のダブルスリップで代用できるからなのか模型ではPECO、ROCO以外では見かけませんが、篠原でもダブルスリップを加工することでシングルスリップを作ることができます。はじめからシングルスリップを製品化しておいてほしい気もしますが...

ダブルスリップスイッチ(両渡り付交差・DSS)
実物のダブルスリップダブルスリップの概略図
しおり: シングルスリップにもうひとつ渡り線が取り付けられてA→D・A→C・B→C・B→Dに行けるようになったものです。ちなみに、真ん中が固定式のものもあって、これはシングルスリップにもあてはまります。各スリップスイッチもやはり複雑すぎて数を減らしています
茜: さっきのシングルスリップを分解した図の上の方に片開きを2つ付け足して真ん中に向かって縮めるとこれになりそうだね
しおり: その通り。でももっと単純なものに分解できるんだよ。それがこれ
ダブルスリップを分解
茜: え、これだけ?
しおり: そう、これだけ。それでもちゃんとダブルスリップと同じように通過できるでしょ
茜: ...あ、確かに
春風: 模型ではTOMIXや篠原、 PECO、Marklin、ROCO、FLEISCHMANで製品化されています
しおり: これだけでも充分複雑だけど、海外にはこんなもっとすごいのがあって、英語ではOutside slip、あるいは設計者の名前からとってベゼラー型っていうみたい
Wikimedia Commonsより。GFDL
茜: あんまり複雑なのは勘弁してくださぁい...

シーサスクロッシング(ダブルクロス・両渡り線・シーサス)
実物のシーサス
シーサスの概略図
茜: 4つの分岐器とDCで構成された、複合的な分岐器です
しおり: 複線区間において上りから下り、またはその逆への切り替えに多用されてますね。それだけに複線の終点か折り返し駅に必ずといっていいほど設置されています
春風: 基本的には片開き4つとDCで構成されてますが、用途に応じて片開きの代わりにスリップスイッチや振分分岐が使われてたりします。すごいものでは複分岐を使用することもあるようです。菱形交差も可動K字を使うこともあります。片開きも向きを変えて使ったりと、実にバリエーション豊か
茜: すご...
春風: 四隅が片開きで、片開きの番数がすべて同一で、隣接する軌道が平行になっているものを標準シーサス(写真と図を参照)、それ以外を特殊シーサスと呼びます。標準シーサスの番数は片開きの番数で表し、10番片開きで構成されているなら10番シーサスと呼びます
しおり: 使い方としては、始発・終着駅ではまず先行車をAからDに入れます。後続車をAからCに入れ、先行車をDからBへ直進させたあと後続車をCからBへ渡せば上りと下りの入れ替えが完了♪
春風: 模型ではTOMIXやKATO、篠原、エンドウ、PECOなど各社で製品化されています。ROCOのHOでは一体化されておらず、ダブルクロスの中央部のパーツと角の分岐器4つをそれぞれ購入してつくります
しおり: ROCO、篠原、エンドウ以外でHO用シーサスを製品化しているところはなかなかないようです

渡り線(片渡り線・シングルクロス)
渡り線の写真
茜: 複線区間において上りから下り、またはその逆へたすき掛けされた形状のものだね
しおり: 基本的には両方を敷設してシーサスのように用いますが、距離的にスペースをとるのであまり見かけません。逆に、スペースさえあればフランジウェイの多いシーサスより騒音・振動が少ない片渡りを用いることもあります。例えば本線上において新幹線ではできるだけシーサスを避けるよう規定されていました。過去形なのは、中央快速線の東京駅でK字クロッシングを弾性可動式としたダイヤモンドクロッシングを用いたシーサスの実用化によって、最近建設された区間には新幹線でも本線上にシーサスを使うようになりつつあるからです。
茜: この渡り線は上下線とも直線になった典型的なものですが、カーブの中に組み込まれたり、複線から単線が分岐していたりすると片開き以外の分岐器が用いられます。例えば先述の外方分岐の写真は、分岐先が内方分岐になった渡り線です。ほかにも各種スリップスイッチを使ったりと形態は様々です。この辺はシーサスと同じですね。
春風: 模型では篠原模型とKTM(カツミ...過去)から発売されていますが、片開き2つで代用できるためかあまり模型化されていないようです。ただし片開きを突き合わせた部分はギャップを切る必要があります。シングルクロスはあらかじめギャップを切ってあるのが普通ですので、製品としてあればそっちを使うのをおすすめします。シーサスもそうですが、シングルクロスの枕木は全部平行に並んでいるのが実物の姿なので、シングルクロスとして売られているものはちゃんとそうなっているというメリットもあります。

ガントレット(搾線・狭窄線・単複線)
しおり: 複線分の敷地を確保できないときに、1組のレールに接するように敷設したもので、ほぼ単線と同じスペースで済みます
茜: 当然この部分ですれ違いができないのでダイヤ上のネックになります。そのせいか日本では昔あった1つが消滅してからは現存しません
春風: 動く部分がないので、普通の分岐器を使うより保守が楽などの理由で海外の路面電車などで使用されています

ポイント部の構造による種類

しおり: ここまでは形状ごとの分類で見てきましたが、次は「普通分岐器」とか「弾性分岐器」といった、ポイント部の構造で分類してみましょう

鈍端ポイント
茜: 茶色で示したトングレールが前端を軸に首を振るタイプで、古い分岐器に使われていました
しおり: トングレールが直線なので通過速度が低く、衝撃も大きくて乗り心地はよくないのですが、車両の構造上鈍端ポイントを使用していることもあるようです
茜: あいにく日本ではまず見ることができません

普通分岐器
しおり: トングレールがリードレールを軸に首を振るタイプで、現在でもまだ使われています
茜: トングレールとリードレールとの間に継ぎ目ができて通過音も大きく衝撃もあるので、最近ではとくに速度が要求される場合に弾性分岐器に置き換えられています
春風: 模型ではほとんどがこれを模したものですね

弾性分岐器
しおり: トングレールからリードレールまでが一体となったものです。トングレールはウィングレールの手前で固定されていて、ポイントマシンの力でしならせて転換します。そういう都合上、レール底面に切り込みが入っています。
茜: 継ぎ目が減るので制限速度は実質ありません。騒音も軽減するので、本数の多い路線を中心に導入がすすんでいます。ただ、普通分岐器より値が張ります
しおり: それでもフランジウェイで大きな音が響き、異線進入する可能性も衝撃もまだあるので、新幹線のように速度も乗り心地も静寂性も要求される場合は可動クロッシングを使うことになります

フログの形状による分類
しおり: 上の図のように、フログの形状にも違いがあります。ちょっとわかりにくいかな? 直線フログは分岐側のノーズレールも直線になっています。曲線フログは分岐側のノーズレールが曲線になっているわけですね
茜: 曲線フログは路面電車などでよく用いられています。直線フログは日本の鉄道のほとんどで採用されています。もちろん内方外方は曲線です
しおり: 最近は半径を大きくするために曲線フログとすることもあるようです
春風: 鉄道模型なら前者はTOMIXとKATO、後者は篠原などです
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